ハードルは高いが超えられる! PCでUHD BDを楽しもう
新4K・8K衛星放送がスタートし、買い換えのベストタイミング到来となった液晶テレビを含め、リーズナブルな製品が増えている4K HDR対応の液晶テレビと液晶ディスプレー。
そんな4K液晶関連とともに注目なのが、“Ultra HD Blu-ray(UHD BD)”だ。昨年公開され、オリコン週間BDランキング(4月15日~4月21日)に初登場1位となった「ボヘミアン・ラプソディ」などの最新作だけでなく、「2001年宇宙の旅」や「ルパン三世 ルパンVS複製人間」、「ルパン三世 カリオストロの城」(7月24日発売予定)などといった名作が続々と登場しているも魅力だ。
4K&HDRを思う存分楽しむ本命と言えるUHD BD。UHD BDプレイヤーやUHD BD再生に対応した「Xbox One」でも楽しめるが、PC環境でも再生可能になっている。
PC向けのUHD BD対応ドライブは、2017年にパイオニアが世界初となる製品を投入したが、今年のはじめにモデルを刷新。5インチ内蔵型で、同社独自の「オーディオCDチェック」機能などを備えたハイエンドモデル「BDR-S12J-X」と、同機能を搭載しない「BDR-S12J-BK」、スロットローディングを採用したポータブル型の「BDR-XS07B-UHD」がリリースされた。
さらにパッケージがないバルク品「BDR-212UHBK」が、ドライブ単体で1万3200円前後、4K UHD BD再生対応の「PowerDVD」などが付属する「BDR-212UHBK/WS」が1万4200円前後で販売されている。
映画好きにはたまらない名作のUHD BD化や手ごろな価格帯になっている4K HDR液晶など、追い風状態といった感じのUHD BD。PC自作パーツショップも同様で、UHD BD対応ドライブの売れ行きが伸びているという声や、UHD BD視聴を行うPCの相談が増えたという声が、一部のショップスタッフからは聞こえてきている。
PCでUHD BDを楽しむために超えなくてはならないハードルは、パイオニアが世界初のUHD BD対応ドライブを発売した2017年と比べれば、かなり下がっており、実際にショップ店頭取材中に、UHD BD視聴を行う自作PC一式を購入している人と遭遇したこともある。
そんなUHD BD視聴マシンは、2017年にZ370N WIFIで4K BDシアターPCをお手頃に自作するで一度組んでいるが、今回は8コアCPUなどの最新パーツや、LEDイルミネーションを楽しめる魅せる要素、そして快適なゲーミングと、UHD BD視聴以外の要素を盛り込んだPCを構成してみたので、紹介していこう。
HDCP2.2対応HDMI出力端子がキモ
Blu-ray Discと異なり、PCでUltra HD Blu-ray Discを再生するためには、クリアーする条件がいくつかある。そのため、UHD BDに対応する光学ドライブと再生ソフトを用意すればオッケーとはいかない。
まずは、PCでUHD BDを楽しむためのハードウェア要件のお復習いだが、大きく2つがある。
Intel SGX(Software Guard Extensions)に対応するCPUとマザーボード
HDCP 2.2に対応するグラフィックス機能(ノートPCの場合不要)、4K液晶(HDR推奨)
Intel SGX(Software Guard Extensions)は、インテルが開発したセキュリティー技術で、OSやアプリケーションはこれを利用することで、高いデータセキュリティーを確保できる。UHD BDのPC視聴に欠かせないプレイヤーソフトのCyberLink「Power DVD」では、このSGXをUHD BDが採用するコピーガード技術“AACS2.0"”の暗号化解除に利用している。
対応CPUは、インテル第7世代Core(Kaby Lake)シリーズ以降(第6世代Coreも一部は対応)で、マザーボードはIntel 200シリーズから対応しているので、クリアーは比較的容易だ。
続いてのHDCP 2.2に関しては、ちょっとややこしくなる。まず、液晶側のHDCP 2.2と4K解像度やHDRのクリアーは簡単なのだが、問題は出力側のGPU周りだ。
前提としてGeForceやRadeonといった外部GPUでは、肝心のIntel SGXが利用できない。そのため、Intel CPU内蔵GPUがマストになるわけだが、第7世代Core(Kaby Lake)以降のCPU内蔵GPUはHDCP 2.2に対応しているので、こちらも最新CPUを使うなら問題ない。
ここで話が終われば話は簡単なのだが、HDCP 2.2はマザーボード側の対応も必要になっている。マザーボードスペックの“内蔵グラフィック”の項目にHDCP 2.2の記載があるか要チェックだ。
HDCP 2.2の記載がなくとも、4K@60HzやHDR出力に対応するHDMI 2.0/HDMI 2.0aやDisplayPort 1.3/1.4対応の出力端子を備えていれば、HDCP 2.2に対応している可能性は高いが、メーカーへの確認は欠かせない。
そのほかWindows 10や6GB以上のメインメモリーといった要件もあるが、これらは余裕でクリアーしている。
ポイントはマザーボード選び!
UHD BDをPCで楽しむための要件を理解したら、さっそくパーツ選びへと進む訳だが、難関のマザーボードはZ390チップセットを採用するASRock「Z390 Phantom Gaming-ITX/ac」とGIGABYTE「Z390 I AORUS PRO WIFI」が狙い目だ。
ともにHDCP 2.2をサポートするHDMI出力端子(4K/60Hz、HDR対応)を備えているだけでなく、メーカーのショップイベントなどで、UHD BD対応を謳っている。Mini-ITXなので、拡張性は限られるが定番サウンドチップRealtek「ALC1220」による高音質オーディオや11ac無線LANなど、メインストリームクラスの機能を備えている。
そのほか、Z270やZ370チップセットを備えたマザーボードのUHD BD対応状況は、CyberLinkのサポートページで確認できるので、確認してみよう。
マザーボードが決まればあとは簡単!
UHD BD視聴マシンを構成するうえで、最も難関とも言えるマザーボードだが、決まってしまえばあとは簡単。第8世代または第9世代CoreシリーズのCPUや、お手ごろ価格になってきているNVMe M.2 SSDなどといった旬なパーツを組み合わせていけばオッケーだ。
次回は、人気の8コアCPUをはじめ、キレイなLEDイルミネーションと冷却性能に定評のあるオールインワン水冷キットや、1TB NVMe M.2 SSDなどで構成したUHD BDマシンを紹介していこう。
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