とは言え、ビジネスチャットもいろいろなサービスが登場して、何を選んでいいのかわからないという声も聞く。いろいろな機能や特徴があるのだが、今回はSlack、Chatwork、LINE WORKSの「チャット」機能の使い勝手にフォーカスして比較してみた。
Slack
「Slack」は2013年カナダで創業。グローバルに展開し、有料プランの契約企業数は11万9000社以上となっている。アメリカでもっとも展開しているが、2番目の市場はなんと日本だ。
入力キー
英語版の時代は「Enter」が基本だったが、日本語版のリリースにあわせて「Ctrl+Enter」で送信できるようになった。「環境設定」→「詳細設定」で「Enter」を押して送信するようにもできる。
メンション・宛先
「@」をクリックするか、「@」を入力するとユーザー一覧が開くので選択すればよい。
既読通知機能
なし
テキスト表示のカスタマイズ
太字、取り消し線、引用タグ、リスト、リンクなどを利用できる。「」をクリックすると、インラインコードを利用できる。
返信機能
スレッドを利用する。Slackの特徴の一つで、話題ごとに別のスレッドを作り、返信できるようになる。部外者には返信が見えず、複数の話題が飛び交うチャンネルでも、話の流れが整理できるというメリットがある。反面、適当に使っていると、情報が届いていないという人がでてきてしまうネックもある。
絵文字
豊富な絵文字機能を搭載しているのが面白い。絵文字リアクション(通称リアク字)として投稿に付けられるのもユニーク。また、絵文字ジェネレーターがあり、任意の画像から絵文字を作成し、チームで利用できるのが楽しい。2020年6月15日、リモートワーク向けのアイコンセットを公開し、追加できるようになっている。
ファイルアップロード
GoogleドライブやOneDriveといったクラウドサービスから直接アップロードできるのが便利。
(関連記事:使ってみようSlack入門 ~使い倒して業務効率アップ!)
Chatwork
導入企業数26万9000社を誇る老舗サービス。2019年5月、Nielsen調べによると、国内利用者数No1となっている。外部ユーザーとつながりやすいのが特徴。
入力キー
初期設定では「Shift+Enter」で送信するが、入力欄の上に「Enter」で送信というチェックボックスが用意されているのでわかりやすい。「Shift+Enterキーで送信」と表示されているが、「Ctrl+Enter」でも送信可能。
メンション・宛先
「TO」をクリックするとユーザー一覧が開くので選択する。「@」を入力しても何も起らない。
既読通知機能
なし
テキスト表示のカスタマイズ
テキストそのものを太字にしたり、色を付けることはできない。その代わり、タグを使うことで罫線や囲みといった装飾を付けることは可能。たとえば、「[hr]」が罫線タグ、「[info]タイトル[/info]」が囲み枠タグという具合だ。組み合わせることもでき、意外と凝った表現も可能だ。
返信機能
あり。投稿のメニューから「返信」を選ぶと、メッセージの入力フォームに元の投稿へのリンクとその投稿者が付いた1文が挿入される。投稿の引用はない。元の投稿を見る場合は、「返信元」をクリックする。
絵文字
絵文字パネルから49種類の絵文字を入力できる。投稿に対して「了解」「ありがとう」などの絵文字でリアクションする機能も搭載した。隠れ絵文字もあり、「(ec14)」と入力すると同社の山本社長の絵文字が、「(gogo)」と入力すると腕を突き上げる絵文字が表示される。
ファイルアップロード
ファイルを選択すると、プレビューが表示されてコメントを入力できるのだが、なんとそこでファイル名を変更できるのが便利。これは地味に神機能。
LINE WORKS
導入社数は10万社を突破しており、富士キメラ総研の2019年の調査では国内での有料版ビジネスチャットシェアで1位を獲得している。なんと言っても、LINEと似たUIで操作できるので、誰でも迷わずに活用できるのが○。
入力キー
初期設定ではEnterキーで入力する。「環境設定」画面で「Ctrl+Enter」と「Alt+Enter」から選べる。
メンション・宛先
「@」を入力するとメンバー一覧が開くので選択する。メンション先を選ぶボタンはない。
既読通知機能
あり。既読のメンバーと未読のメンバーを確認できるので、催促したり注意したりできる。ちなみに、有料プランであれば、管理機能から既読機能はオフにできる。選択肢があるのはありがたいポイントだ。
テキスト表示のカスタマイズ
なし
返信機能
最近搭載された。元の投稿を含んだ状態で返信が投稿されるので、話の流れを遡らずに済むのが楽。
絵文字
LINEのような絵文字とスタンプが使える。絵文字の種類も揃っているのだが、ビジネスでも使えそうなスタンプも利用できるのが面白い。肩の力を抜いてコミュニケーションできそう。ただし、LINEのように自分で追加することはできない。
ファイルアップロード
ドラッグ&ドロップやファイル選択で、ファイル単体が即投稿される。確認ダイアログが開かないので、スピード重視ならありがたい。
(関連記事:さわってわかったLINE WORKS)
以上が、3大ビジネスチャットサービスの「チャット」機能に限定した比較となる。筆者はいろいろな企業と仕事をしているので、SlackとChatwork、LINE WORKSのすべて有料プランを契約しており、毎日がっつりと使い込んでいる。その上で、「チャット」機能がダントツに優れている、ということはないと感じている。一長一短だったり、好みが分かれる所だったり、いい意味でバリエーションがある。どのサービスも無料で試用できるので、ビジネスチャットを検討しているなら、まずはがっつりと触ってみることをお勧めする。
■関連サイト
Slack Chatwork LINE WORKS