ミリタリーな雰囲気が魅力のNATOストラップ
腕時計のベルトに「NATOストラップ(NATOベルト)」という、主にナイロンで作られた、引き通し式タイプのものがあります。
最近ではダニエル ウェリントン(Daniel Wellington)やタイメックス(Timex)の時計などでよく見られるので、若い世代でも知っている人は多いでしょう。時計の愛好家、あるいは映画ファンなら、「007 ゴールドフィンガー」(1964年)で、ジェームズ・ボンドがロレックスのサブマリーナーに似たようなベルトを通していたことを記憶していらっしゃるかもしれません。
1973年、イギリスの国防省は海軍用にストラップを導入しました。グレーで幅20mm(のちに18mmとなります)のナイロン製で、兵士たちが入手する際には、まずG1098("G10")という表に記入する必要があり、そのあとに軍の用品店で受け取る手順になっていました。
イギリスはNATO(North Atlantic Treaty Organization、北大西洋条約機構)に加盟していたため、このストラップにはNATO加盟国の軍用品を管理するコード番号(NATO Stocking Number)が発行されていました。そこから“NATOストラップ”と呼ばれるようになったわけです。
以上のような経緯から、NATOストラップのことを「G10ストラップ」と呼ぶこともありますし、現在ではG10ストラップの中でもイギリス国防省のコントラクターであるPhoenix社が制作しているものこそ“ホンモノ”である、とする人もいます。
ちなみに、前述の「007 ゴールドフィンガー」が公開されたのは1964年で、劇中に出てくるストラップは、1973年に導入されたG10ストラップとは厳密には構造が異なります。
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NATOストラップの一般的な付け方
さて、NATOストラップを時計に付けてみましょう。だいたいの腕時計は「ばね棒」でベルトが時計に固定されています。時計本体からばね棒を外し、時計に適合したサイズのストレートなばね棒を付けてから、ストラップを取り付けることになります。
NATOストラップは2本のベルトで構成されていますが、長い方を上にして、時計本体の上部から下部へと、裏側にベルトを通します。
そして、下にある短いベルトの先端(キーパーが付いています)に長いベルトを通します。
時計本体を長いベルトに通し、さらに短いベルトに通すことによって、時計をストラップの所定の位置に保つ効果があるほか、ばね棒が1つ故障した場合でも時計が落下しないようになっています。このあたりは軍用品として採用されただけあり、実用的です。
身につけるときは、手首に巻いてバックルで留めればよいのですが、NATOストラップの時計を初めて体験した人のほとんどが、「長すぎるのでは?」と思うのではないでしょうか。NATOストラップは服の上からでも着けられるように……というミリタリー的な発想があるため、だいたい長めにできています。
そのままにしておくとすこし邪魔なので、端を折り込むことで解決します。どう折り込むかは完全に好みですが、筆者の知る限りでは内側にたくしこむようにする人が多いです。
さて、NATOストラップの時計を身に着けたとき、時計の正面から見ると、余って折り返した部分が12時の方向に見えてしまいます。これもNATOストラップの味なのですが、見えにくくする通し方もあります。
ちょっと変わった通し方
NATOストラップの実用性とはすこし離れるが 気分転換にいかがでしょうか
この方法だと、手首の内側こそ厚くなりますが、ストラップの先端が時計の12時の側に出すぎないので、文字盤側から見るとすっきりした印象になります。筆者は時計好きの友人から、この付け方を教わりました。
もっとも、NATOストラップが持っている機能性を活かした付け方とはいえないかもしれませんし、ストラップ自体が薄いと、時計本体の位置が安定せず、ズレる可能性もあります。そのあたりは理解した上でお楽しみください。
ちょっとしたことですが、通し方を変えるだけでも、表情が違って見えるものです。NATOストラップの腕時計を愛用している人なら、気分転換の一つとして試してみてはいかがでしょうか。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。
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