ロードスター排気音補完計画
新車を買った情報2019。私は四本淑三であります。今回も話題の中心はロードスターRFでありますが、いい排気音を轟かせているのに、どうにも音が小さい。オープンにしてトンネルでも走らない限り、運転席には聞こえない。この排気音をなんとかしよう、というのが今回のテーマであります。
排気音を楽しめるのもいまのうち?
もちろん車の排気音は法で規制されておりまして、規制値を超えると車検を通りません。道路運送車両法で定めるところの近接排気騒音でありますが、私のクルマの場合、車検証に記載されている測定値は83デシベルでありました。
規制値は96デシベルですから、もっと上げても許してもらえそうですが、2016年以降の生産車は、純正より音の大きなマフラーを装着できません。従いまして、2018年型のロードスターRFは、マフラーの交換で音量を上げられないのであります。
こうしたクルマの騒音は、最近は国連自動車基準調和世界フォーラムという、なんだかまどろっこしいところで審議されておりまして、我が国の規制もこの基準に沿ったものになっております。
ここでクルマの走行音を段階的に下げていこうという申し合わせになり、加速走行騒音規制というものが決まりました。現在はそのフェーズ1で、ロードスタークラスの乗用車は72デシベル以下。2020年のフェーズ2では、70デシベル以下となり、2024年のフェーズ3については、できるかどうか様子を見ながら、68デシベルくらいでどうかな? という話になっているそうであります。
走行音の音源は主にエンジンとタイヤですが、タイヤの騒音を下げるのも限界がある。だからフェーズ3をクリアできるのは、電気自動車くらいになるだろうと言う人もいます。それでフェラーリやランボルギーニ、マクラーレンまでもが燃費度外視のハイブリッドを熱心にやっているのでしょうか。
ただ、いまなら誰に咎められることなく、自然吸気のエンジン音を楽しめる。他人に迷惑にならない方法で、どうにかしたいものです。
ワイヤレスマイクで排気音を拾う
そこで排気音をマイクで拾い、カーステレオで鳴らしてみることにしました。題して「ロードスター排気音補完計画」。都合のいいことにAUX入力が車室内にあるので、ここにマイクを接続するだけであります。
面倒なのはマイクケーブルの引き回しで、内装材を外して這わせるのも面倒。そこでワイヤレスマイクを使うことにしました。最近はAmazonで2.4GHz帯のワイヤレスマイクが安く手に入ります。ところが日本の技適認証を取ったものは稀。その稀な認証済みをうたったものを買ってみましたが、認証番号はどこにも入っておりません。うむむ。
YouTuber御用達マイクを買ってみた
結局、ランチ3回分ほどのお金をドブに捨てたうえで、国内で安心して使えるソニーの「ECM-AW4」という製品を購入しました。実売価格は1万8000円前後。Bluetooth接続するマイク内蔵のトランスミッターとレシーバーの組み合わせ。本来はビデオ撮影用の音声収録とインカムシステムを兼ねたものです。
トランスミッターを演者の襟元に装着し、レシーバーの出力をカメラに接続して使います。カメラの向きや距離に関わらず、一定の音量で声が録れることから、自撮りの必要なYouTuberに人気があるようです。内蔵マイクの音はイマイチですが、外部マイク入力もあります。
問題は電源の単4電池が3時間も持たないこと。本体を触るとカサカサ音を拾うこと。Bluetoothなのでミリ秒単位の音声遅延があること。そして、買ってすぐ電池カバーのヒンジがポロッといってしまう中華クオリティーの組み付け。それ以外は実用に即した良いものです。
マイクの装着場所が問題
ただマフラー近辺に、マイクを取り付ける良い場所がありません。ナンバープレートにクリップで引っ掛けるのが簡単そうですが、ナンバーに余計なものを付けるとお巡りさんにインネンを付けられそうです。
そこで、ひとまず両面テープでバンパーに貼ることにしました。念のため、脱落防止用のワイヤーをナンバープレートのネジにつなぎ、クリップがパカパカしないようタイラップで止めてあります。ちなみにワイヤーもテープもタイラップも、3000円くらいのGoProのバッタもんに付属していたものです。
なぜかオープン時の開放感がアップ
結果は意外なものでした。もちろん車内は排気音で満たされます。オーディオのボリュームで排気音を上げ下げしたり、EQ調整したりするのは新鮮であります。
ところが無指向性のマイクですから、ロードノイズや対向車の通過音など、排気音以外も拾ってしまう。発信加速から巡航に移ると、排気音よりロードノイズが大きくなり、ジャージャーとうるさいだけ。風が吹くとノイズも入ってくるから、やかましい。
マイクの位置をもっとマフラーに近づけたり、ウインドシールドを付けたりといった工夫はいるでしょう。排気自体の温度はそれほど高くなさそうなので、ピエゾセンサーを試してみるのも手かもしれません。
ただ、意外な効果として、オープン時の開放感は上がりました。オープン時の視界は、前を見ている限りソフトトップと変わりませんが、いまひとつ開放感に乏しい。それは耳の後ろから来る音を、ピラーが遮っているからだと日頃から感じておりました。
果たして、その方向から届くべき音がヘッドレストスピーカーから流れてくると、そこにピラーなど存在しなかったかのような錯覚をするわけであります。これは研究の余地があるかもしれません。
排気音をマイクで拾うと燃費が悪化
そして、もっとも意外だったのは、スピーカーから音を出さない方が排気音は心地良く聞こえることです。つまりマイクなんかない方が良いってことであります。うぐぐぐぐっ。
これはエンジンの回転音、フロア下の排気管の振動、ギアボックスの鳴り、そのバランスで排気音を聞いているからであります。排気音だけ上げても、ゲームマシンの効果音みたいで、すぐに飽きる。このあたりは楽器と同じで、なかなか奥深いものです。
さらに困ったことには、燃費計の数字が悪化する。景気のいい排気音を聞くために高い回転数を常用し、無駄な加減速が増えるからであります。せっかくのエコなスポーツカーも、これでは台無し。
結論といたしまして、この計画は中止とし、別の作戦を考えることにいたしました。無駄なレポートにおつきあいいただき、ありがとうございました。それではまた。
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