今日も、YouTube生放送でいただいた、リスナーからの質問に回答します。いただいた質問はコチラ。
「株式市場を見渡すと、お祭りのように騒がれている会社があります。いわゆる『テーマ株』という銘柄です。お祭り好きな私としては、テーマ株を買うと儲かりそうだと思い、ワクワクします。中原さんから見て、テーマ株を買うのは良い判断でしょうか?」
今回は、このご質問に回答していきましょう。
そもそも、テーマ株って何?
テーマ株とは、最近注目されている会社の株のことを指します。株式市場には「旬」のテーマがあり、テーマに関連する会社の株価が大きく上がったり下がったりします。
最近の人気テーマとしては、たとえば、先端テクノロジーの「人工知能関連」や、フィンテック(金融テクノロジー)の「暗号通貨(仮想通貨)関連」など、新聞や雑誌、ニュースを賑わすようなものが有名です。
さて、テーマ株の説明が終わったところで、中原の見解を述べます。
端的に申し上げると、「テーマ株を買うのは愚策」というのが僕の考えです。これには、2つの理由があります。
理由1:「テーマ株」は目立ち過ぎている
テーマ株をオススメできない1つ目の理由は、「テーマ株は目立ち過ぎている」という点です。
株式投資の鉄則は、「あまり目立たない、誰も気づいていないような優れた会社の株を安く買うこと」です。しかし、テーマ株は目立ち過ぎているうえ、株価も割高水準のものが多いです。
経済学者らの研究によれば、「目立った会社の株を買っても儲かりにくい」ことが判明しています。この現象は「Neglected-Firm Effect」と呼ばれています。
すでに目立っている会社は、株価が適正価格または割高になっていることが多いので、買っても旨味がないのです。
一方、現時点で目立っていない会社は、割安で放置されているものが多いうえ、これから目立ったときに、株価が上がりやすいと考えられます。
よって、株式投資の王道は「目立たない株を買うこと」であって、その対極にある「テーマ株」は実りの少ない邪道といえるでしょう。
理由2:「テーマ株」は値動きが激し過ぎる
テーマ株をオススメできない2つ目の理由は、「テーマ株は値動きが激しすぎる」という点です。
金融専門誌「ジャーナル・オブ・ファイナンス」に掲載された論文によると、「株価の値動き緩やかな会社は、値動きが激しい会社と比べて株価が上がりやすい!」という傾向が確認されました。
テーマ株は目立つがゆえ、短期的に株価が乱高下しやすい傾向があります。しかし、値動きが激しい割には、大した利益にはつながりません。ギャンブル要素が大きいので、手を出すのは賢明とはいえないでしょう。
ちなみに、筆者が独自に、過去の株価データを調査してみたところ、「短期トレードでも長期投資でも、値動きが緩やかな銘柄を買った方が有利!」という傾向を確認しました。
だから、「短期トレードだから、テーマ株を買っても大丈夫!」と言い訳も通用しません。短期でも長期でも、株価が乱高下している株を買うのは、避けておいた方がよいでしょう。
まとめ:テーマ株は万人向けの投資先ではない
何かと目立つテーマ株。新聞や雑誌、ニュースでも取り沙汰されることもあり、「ちょっと買ってみたいな……」と思うこともあるでしょう。
しかし、買うのはちょっと待ってください。少なくとも、テーマ株は万人向けの投資先ではありません。割高なものも多いうえ、赤字企業すらあります。
キラキラ光るテーマ株を買うより、目立たず、値動きも静かな、「知る人ぞ知る有望株」を探り当てる方が、よっぽど実りがあるのではないでしょうか。
●参考文献:テーマ株を買うと貧乏になる2つの理由(https://allabout.co.jp/gm/gc/478791/)記事下段に記載
文:中原 良太(マネーガイド)