FPも首をかしげたくなる「ヤバイ生命保険」

06.20 15:23 ZUU online

「保険で得をする」そんなキャッチコピーを目にすることがあります。しかし、保険で本当に得になることは、ほとんどありません。一部、予定利率が高い時の保険や、保険料控除をうまく使って得する方法などもありますが、基本的に保険で得をすることはない、そう考えて差し支えありません。

保険とは不幸に備えるお金です。不幸をお金で解決すると言い換えても良いでしょう。死亡保険金を受け取ると言うことは、被保険者がお亡くなりになったと言うことです。入院という不幸な状態になったから、給付金を受け取ることができるのです。本人にとっては、実にヤバイ状態ですし、家族にとってもヤバイ状況です。

がん保険も同じですね。がんと診断されるのは、実にヤバイ。ヤバイ状態から立ち直るには、お金が必要です。そのお金を用立ててくれるのが保険であり、ヤバイ状態から脱出させてくれる金銭的手立てとなります。

でも、世の中には首をかしげたくなるような「ヤバイ保険」も存在します。今回はそんなヤバイ保険を紹介しましょう。

ご存知ですか? 105歳満期の医療保険

以前、こんな保険の相談がありました。その保険設計書をみると、保険の主契約は105歳払込満了の終身医療保険だったのです。思わず「エッ!?」と声をあげてしまいました。それは105歳まで保険料を払い続け、払い終われば終身の保障があるという医療保険でした。

105歳から何年生きられるのだろうか。というよりも、そもそも105歳まで生きていられるのだろうか。平均寿命を25年も越えていますね。これは紛れもなく、マジで「ヤバイ保険」です。

この保険の内容を詳しく見てみましょう。契約者は、3年前にも見直しを行っていて、その時点の予定利率が1.65%だったにもかかわらず、見直しで1.35%に下がっています。それ以前にも見直しがあったので、最初の契約を見ると何と3.5%の予定利率の「お宝保険」が、消えているではありませんか。その契約者は、解約返戻金が貯まるとその都度新しい保険に転換していました。

疑いの余地はありません。これは保険営業員の言いなりになっていたという感じです。保険営業員にとっては、まさに「いいカモ」、いや「いいお客さん」だったのでしょう。

実は、その契約者は、もう一つ同じような保障内容の保険に入っていました。合計月額保険料は約3万円です。保障もダブっています、必要のない保障もいっぱいついているので、解約して別の保険に入り直しを勧めました。新しく入ったのは、通販型の死亡保険とがん保険というシンプルなものです。二つ合わせても月額6000円。5分の1の保険料になったということです。

このように人に勧められるままに入っている保険は、実はヤバイことがいっぱいです。保険のかけ過ぎです。必要のない保険は見直すことで、家計をずいぶんスリム化することができます。

こんな人にこそ保険に入って欲しい

私は日頃から誰にでも、できるだけ保険に入らない方がいいとは言っています。

しかし、なかには絶対に保険に入った方がいい、と思う人もいます。でも、そういう人に限って入っていないのです。逆に、入らなくてもいいのでは、と思う人が多額の保険料を払っているケースも多いですが……。

保険に入った方がいいという人は、「子どもがいて、給料は全部生活費に消えちゃうの。保険なんか入れないわよ!」そんなことを言いながら宝くじを買っているような人です。

生命保険文化センターの調査で、「生命保険の非加入の理由」があります。保険非加入の理由で42.3%のダントツでトップなのが「経済的余裕がない」と言うことです。

これって、ヤバくないですか? 貯金が全然ないということは、いざトラブルに遭ったときに対処のしようがありません。

つまり、大きな病気とかケガなどで、仕事が一時できなくなった、または死亡で収入が途絶えたと言う場合、貧困に陥る可能性があると言うことです。本来はそれに備えるのが保険です。

ある程度の貯えがある場合、たとえば余裕資金が100万円ぐらいあれば、病気、ケガなどで一時的に仕事ができなくなったとしても、貧困に陥る可能性は小さいでしょう。ですから、お金の余裕がない人こそ、保険に入ってほしいと思います。

ジャンボ宝くじで、夢を買うのもいいのですが、1等当選確率は1000万分の1です。一方で30?34歳の死亡する確率は、8万分の1です。病気・ケガで入院する確率は、ジャンボ宝くじよりもっと高いのです。

大切なのはリスクに堪えられる家計にすること

ジャンボ宝くじを年2回30枚買ったら1万8000円です。宝くじを買ったつもりで、年額2万円ほどで入れる保険もあります。

たとえば、都道府県民共済は月額2000円で、年間2万4000円ですが、割戻金が約32%あるので、実質年間1万7000円ぐらいで入ることができます。それで死亡保障、入院保障などもついています。

大切なのは、そうした保険に入っている間に貯蓄をして、ちょっとしたリスクに耐えられる家計にすることです。余計なお節介かも知れませんが、あなた自身でなくても身近にお心当たりのある方がいたら、ぜひ教えてあげてください。

長尾義弘(ながお・よしひろ)

NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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「マトリックス」と「スカウター」で理解するVRとAR

06.20 15:19 ZUU online

そもそも「VR」とは何なのか?

2016年は「バーチャルリアリティ(VR)元年」だと言われる。あちらやこちらでこぞって取り上げられるVRによって、ゲームをはじめとしたさまざまなデジタルの体験が大きく変わると言われている。

他方で、さまざまなところで取り上げられていても、VRとは何なのか、まだまだはっきり理解されていない部分もある。そこで今回はVR/ARとは何なのか、改めて解説を試みたい。

世界を仮想する「VR」と、現実に情報を追加する「AR」

VRとは、簡単に言えば「人の感覚に働きかけて、仮想の世界を実質的に現実のように感じられる環境を作る技術」とされる。例えば、紙に描いたりディスプレイに表示されたリンゴを、目や脳に巧く働きかけて、「実際のリンゴ」に故意に見せかけるような、架空のモノをあたかも現実であるかのように認識させるものだと理解できるだろう。

またVRに非常に似た技術に「AR(拡張現実)」もある。2つは同じ仮想技術に関わる仕組みではあるが、その内容は大きく違っており、まずは、それぞれどのような違いがあるのかみてみよう。

VRは簡単に説明すると、コンピュータで仮想世界を作り出し、、ゴーグル型のディスプレイであるヘッドマウントディスプレイを使って、その中に利用者自身も入り込む。立体的に見える仮想世界のものごとを“現実”であるかのように認識することで、例えば、今までにないゲーム体験などもできるようになるという。臨場感あふれる仮想現実の世界で主人公になりきって敵と戦ったり、冒険をしたりできるということだ。

他方で、ARについては、目の前の現実世界が基本的な世界観の基礎になる。人が目にする現実の世界に、さまざまな情報を付与して表示させるものだ。例えば、博物館などで展示物にスマートフォンをかざしたり、ARに対応したメガネで展示を見たりすると、予め登録されていた、詳細な説明が表示されるといった使い方が出来る。

つまり、VRでは仮想世界に入り込むことで、今までにない臨場感の溢れる仮想体験を出来る一方で、解説がなければ理解できなかった現実のものごとにARで情報を付加して理解を助けるといった使い方の違いがあるとも言えそうだ。

VRが「マトリックス」なら、ARは「スカウター」

VRは、コンピュータで作られた「仮想世界に没入」することだと説明したが、より分かりやすい言い方もある。改めてVRは何かといえば「コンピュータによって作り出された仮想空間を、まるで現実のものであるかのように体験できる」技術だが、似たようなモノを思い出すことはないだろうか。

端的に言えばそれは、映画『マトリックス』で描き出されたものだ。同作品の主人公・ネオは一般人として日常生活を送っていたが、その世界は仮想世界だったと後に知ることになる。現実世界と仮想世界を行き来しながら、仮想世界から人々を開放する戦いがモチーフだったが、「仮想世界に入り込む」のはVRそのものだろう。

一方で、ARは、視野に入る現実に、特殊なメガネなどを通じて、情報を追加するもの。そのARにも非常にいいたとえがある。人気漫画ドラゴンボールに登場した、戦闘力を測る片目のメガネ、モノクルのような道具である「スカウター」とそっくりだ。つまり、目の前の人物に対して、「戦闘力」という情報を付加しているという具合だ。

実際の用途も見ておこう。スーパーマーケットでの消費者の目線の先をメガネ型の機器で計測して、商品棚のどのあたりに視線が集まっているのか、実際の写真に重ね合わせて、消費者の注意をひく商品陳列の方法を工夫するといった使い方がある。ほかにも、スーパーマーケット店内の写真をもとに、人の集まる場所をハイライトすることで消費者の行動を解析。販売戦略に活かすといった用途も注目されている。

また個人を識別して、情報を参照することもできるという。例えば、ブティックを訪れたある消費者の画像を撮影し、解析することで個人を特定。過去の買い物の履歴を参照して、消費の傾向に応じた服をオススメするなどの工夫に活かすといった用途も想定されており、ビジネスに活かす方法の開発も進みつつある。

ほかにもある「仮想現実」、SRとMR

仮想現実は何もVRやARだけではない。他にもSR(代替現実)やMR(複合現実)というものもある。最後にこれらについて紹介しよう。

SR(代替現実)は、現実の世界に、本来存在しえない人や物を仮想的に映し出して、まるで実際に存在するかのように錯覚させる仕組みである。この技術を使うと、例えばヘッドマウントディスプレイに利用者本人の手と仮想映像の手を差し替えて表示する。また現在ではない「過去の映像と今の映像とが織り混ざった映像を映す」といったことが実現でき、利用者は現実と虚構の混じった不思議な世界にいざなわれることとなる。

また、MR(複合現実)は仮想空間を現実に重ね合わせて表示するもので、キヤノン が高い技術を持っている。キヤノンが開発したヘッドマウントディスプレイを使うこの技術では、何もない空間に立体的な仮想物体があるように見せるものである。

例えば、何もない空間に立体的な車のCGが浮かび上がり、自分がしゃがめば下から覗けるし、左右に回ることで同じように左右からのフォルムを確認することも出来る。まるで映画の中のような世界であり、仮想であることを感じさせないほどの出来だ。

仮想技術は製造業のように製品を設計し、テストを繰り返し、完成させるという業種では試作品を作らなくて済むということから、大きなコスト削減につながるはずだ。また、コンピュータ上ですべて行うので、開発のスピードアップにもつながる。

仮想技術は、いまやゲームのみならずさまざまな産業で活用が始まろうとしている。今後さまざまな産業で大きな変革をもたらすのではないか。そんな期待に胸を躍らせずにはいられそうにない。(ZUU online 編集部)

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PAY.JPは「エンジニアフレンドリー」な職場で育つ

06.20 15:28 ZUU online

「FinTech企業」と言えば、ベンチャーやスタートアップと呼ばれる、ごくごく小さな規模の組織を想像するかもしれない。その典型的な規模感のチームで決済プラットフォームの構築に取り組んでいるのが、「PAY.JP(ペイドット ジェーピー)」だ。

同決済プラットフォームを運営するのはBASE。数多くある決済プラットフォームと同様に、自社のプロダクトに磨きをかけ続けている。ネットショップ開設サービス「BASE(ベイス)」を運営する同社が、ローンチ前のオンライン決済サービス「ピュレカ」を子会社化し、2015年9月に開発者向けにリリースしたのが「PAY.JP」だ。

今回はそのPAY.JP事業部長を務める高野兼一氏に、お話しを伺った。プロダクトの開発を進めている職場の現状と、人事面で今後どのような見通しを描き出すかも興味深い。

PAY.JPを育てるのは「ネット大好き」なエンジニアの職場

金融サービスを中心に発想すると、まだまだ「お堅い」と思われるかもしれない。だがPAY.JP事業部は、そうした雰囲気からはほど遠い。高野事業部長自身も、職場ではカジュアルな格好で通しており、金融業の典型的なイメージとはギャップがある。

実際のところを直接尋ねると、「インターネットネイティブな若い人達が集まっており、チームのメンバーみながネット好き。ネットを使って既存の金融システムをディスラプト(破壊、崩壊の意)していこうとしている」との答え。会社の雰囲気はまさにネットベンチャーといったところだ。

さらにチームは全員がエンジニア。ネット大好きな人達がエッジの立った(個性の際立った)プロダクトを目指して開発に集中しているという。中には米国に留学中の大学生もおり、オンラインを中心に情報の発信と議論をしながら、業務を進めていく。

実際、「今年の4月まで正社員は2人だけだった」(高野事業部長)のが実態で、決済プラットフォームとしての完成へ向けた取り組みも、組織の拡充もまだまだこれからというところだ。その中で同氏は、自身で課題を見定めつつ着実に進めようとしている。

職場でのコミュニケーションにも、いわゆる“エンジニア文化”が目立つ。ITエンジニアの間でポピュラーなメッセージツールSlack(スラック)を活用しながら、業務に関連する意思の疎通を図っているとのことだ。カジュアルに別のサービスと連携させることもでき、チャットベースで業務を進める上では非常に役立つとのことだ。

正社員のほかにも、業務委託で働いているスタッフやリモートで働いているスタッフもメッセージツールを有効に活用しており、そうした点では、PAY.JP事業部は、「エンジニアフレンドリー」な職場だと言うことができそうだ。

目指すのは若いエンジニアが実力を発揮できる職場

ただ、現状では「PAY.JP」に関わるチームは小規模だ。高野部長のほか正社員、業務委託のスタッフを含めて、メンバーは8人と、BASE社全体(40人)と比べてもまだまだ少数。また高野事業部長は「しばらくは少数精鋭でやっていくつもり」だと、急激な拡大を指向しているわけではないことを明らかにしている。

そんなPAY.JP事業部としては、挑戦し続けられる組織を目指しているという。高野事業部長はそんな理想を語る。また、「個人のオーナーシップを大切にしながら」、「それぞれが自分の意思決定ができるような組織にしていきたい」とチームの向かう方向性について話す。

リソース・機材についても、「エンジニアとしては『このディスプレーを使いたい』などの要望もある」とした上で、同事業部長はそういう要望に応えて、個人の力を引き出せる組織にし、「ゆるい環境から生まれるイノベーションがある。そういうものを引き出し、新しい風を吹き込みたい」と言う。

中でも特徴的なのは、若い、ネットに親しみのある人物には開かれているとも受け止められることだろう。その点でもPAY.JP事業部は“エンジニアフレンドリー”なのかもしれない。たとえば、「チャットに対するレスポンスが早いなどの、ネットネイティブであることも高評価だ」と高野事業部長は話す。

実際、スタッフとして入る人のほとんどはネットワーク(人脈)経由だという。高野事業部長自身もピュレカの売却前から、BASE代表の鶴岡氏ともともと知り合いだったそうだが、信頼できる人の紹介により見知った仲であれば採用も円滑に進めやすいということもある。あわせて、技術者のパフォーマンスについては、それぞれが「何をしたか」を把握することで、評価になるとのことだ。

BASE社のオンライン決済サービスを担うPAY.JP事業部が、「若い」「エンジニア」の力を引き出す環境を、これからどのように構築していくのか、まずは注目だと言えそうだ。(FinTech online編集部

{{BASE株式会社|https://binc.jp/ja/}}

本社:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂二丁目11番1号 Gスクエア4階
代表取締役CEO: 鶴岡 裕太
資本金:8億7383万円(資本準備金を含む)
2012年12月11日創業。20万店舗を超える個人・法人・行政が利用するEコマースプラットフォーム「BASE」と、Web・モバイル・IoTなど様々なシーンの決済導入を簡易にしたオンライン決済サービス「PAY.JP」を運営。決済の簡易化を通じて世界中の人々が最適な経済生活を行える環境の構築を目指している。

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地方版ハローワーク、国と自治体の連携はできるのか?

06.20 15:35 ZUU online

自治体の権限拡大や規制緩和など地方分権改革に関する15の法律をまとめて見直す分権一括法が、参議院本会議で可決、成立し、地方自治体の窓口で求人情報を紹介できる「地方版ハローワーク」が設置できるようになった。これを後押しする改正職業安定法は8月までに施行される。

地方版ハローワークは国のハローワークとの連携などに課題も残るが、求職者に求人情報と生活支援サービスを一体として提供できる。移住者の受け入れや企業誘致と連動させた雇用対策など地域の事情に応じた取り組みも期待されている。

移住者受け入れなどに自治体は期待

厚生労働省によると、地方版ハローワークは自治体が無料で職業紹介する施設で、これまで必要とされてきた国への届け出義務が廃止された。市役所の窓口などに自由に設置でき、職業紹介がしやすくなる。

ハローワークは全国に544カ所あり、いずれも厚労省が管轄している。自治体が運営する職業紹介事業所は約370カ所あるものの、事業計画書を国に提出しなければならず、自治体の負担が大きかった。

自治体が自由に設置できることでさまざまな活用が想定される。例えば、生活保護の受給を求めてきた若い人に適切と思われる仕事を紹介することができる。

UターンやIターンに力を入れている自治体だと、地元の求人情報を集め、国のハローワークを通じて都市部で働く人に紹介することも可能だ。国のハローワークが設置されていない地域でも、積極的に求人情報を提供できるようになる。

今後、国と地方で求人情報の共有化を進め、UターンやIターン就職など地域に応じた対応を進めるが、国のハローワークが現在、自治体へオンラインで提供している求人情報は、全体のざっと7割ほど。各ハローワークは求人を受け付ける際、自治体に情報提供して良いか確認を徹底し、情報提供量を増やしていくという。

石破茂地方創生担当相は記者会見で「国と地方のハローワークがうまく連携し、住民の利便性が確実に増すよう今後も取り組みたい」と新制度に期待感を示した。

全国知事会が国に創設を要望

ハローワークの職業紹介事務はもともと、国家公務員が都道府県庁で特定の事務をする地方事務官制度のもとで進められ、都道府県知事が指揮監督していた。

しかし、第1次地方分権改革で「地方事務官制度では責任の所在があいまいになる」などと批判の声が上がった。職業紹介を自治事務として自治体に置くか、国の直接執行事務とするかで議論した結果、国の事務とすることになり、2000年に都道府県労働局が設置されている。

これに対し、全国知事会は二重行政の解消や行政の効率化の観点から、国の出先機関の地方移管を強く主張、最重点分野として国に要望してきた。しかし、厚労省や経済界、労働界は全国一斉の職業紹介や雇用保険、労災保険の適用、給付に支障が出かねないなどとして反対している。

このため、全国知事会は2015年11月、折衷案として地方版制度の設置を石破地方創生担当相に要請した。地方版ハローワークで実績を積み重ねたうえで、あらためて国に移管を求める狙いもある。

連携が不十分だと文字通り二重行政に

ハローワークによる職業紹介は、順調に成果を上げているわけではない。3月の全国職業紹介状況を見ると、月間の有効求職者数196万人に対し、有効求人数は265万人。有効求人倍率(季節調整値)は1.30だが、就職件数は20万件にとどまっている。仕事を探している人が就職できた割合は10.2%、企業が働き手を確保できた割合は7.6%だった。

求職者の中には失業保険の受給中で働く意思のない人がおり、求人数には頼まれて求人票を出しただけのカラ求人が含まれる。このため、正確に実態を反映しているといえない面もあるが、10%前後の数字では職業紹介事業が十分に機能を果たしているとは思えない。

最近は民間の人材ビジネスが急速に拡大したため、転職者の約3割が民間求人広告経由となり、ハローワーク経由の約2割を上回っているといわれている。特に大学生の就職活動は、インターネットのシステムを構築した民間事業者の独壇場に見える。

ハローワークでは、事務職を希望する人が多いのに対し、建設や医療、介護系の求人が増える雇用のミスマッチも起きている。人口減少が進む地方では、このミスマッチが労働力不足に及ぼす影響は大きい。

自治体がそれぞれ独自の地方版ハローワークを持てば、それがカンフル剤となり、国のそれに活気を与える可能性がある。しかし、国と地方の連携が不十分だと、文字通り二重行政の弊害が生じるだろう。

国と一部の自治体はこれまで、業務の一体的な実施を試してみたが、寄り合い所帯のために互いの意思疎通が図れず、調整が円滑に進まなかったという反省点が、全国知事会から出されている。

国と自治体がそれぞれの持ち味を生かして雇用対策に乗り出す形は、求職者にとって心強いが、それを生かすも殺すも国と自治体の連携にかかっている。地方版ハローワークが実のある制度になるかどうか、国と自治体の真価が問われるのはこれからだ。

高田泰 政治ジャーナリスト

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関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

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シェアリングエコノミー 米国の成人4.2%利用 JPモルガン

06.20 15:37 ZUU online

米JPモルガン・チェースの「共有経済」に関する調査から、米国の成人の4.2%に値する1030万人が何らかの形で共有経済を利用していること、1%に値する250万人が毎月平均15%所得を増加させていることなどが明らかになった。

英専門サービス会社プライスウォーターハウス・クーパースの調べによると、共有経済はすでに世界中で年間15億ドル(約1562億1000万円)の価値を創出している。さらに今後10年間で3350億ドル(約34兆8869億円)にまで伸びると期待されている。

共有経済で所得を増やした米国人は47倍増

この調査は「実際に共有経済が生み出す利益」をテーマにJPモルガンが3年間(2012年10月2015年9月)にわたり、共有経済を生活の一部に取り入れている26万人の銀行口座を観察、分析したものだ。

「オンデマンド」とも呼ばれる共有経済は、本来ならば発掘されず埋もれているはずの技術や資産への需要を見つけだし、社会で共有することで「宝の持ち腐れ」を回避する究極のエコシステムだ。

JPモルガンの報告では、米配車サービスUberやといった共有経済企業の「プラットフォーム・ワーカー(プラットフォーム型ビジネスに労力などを提供して収入を得る人)」は、他企業に勤めている、あるいは個人経営の運転手よりも月平均533ドル(約5万5507円)所得が高く、米個人空き部屋仲介サービスAirbnbなどの「即席家主」は月平均314ドル(約3万2700円)の利益を得ている。

様々な形で共有経済から収入を増やした人々は、過去3年で47倍にも増えている。

こうした動きは世界中に広がりつつあり、英国では今後数十年間で5億ポンドから90億ポンド(約747億8293万円から1兆3461億円)に価値があがると期待されているほか、欧州全体では共有経済効果で国内総生産(GDP)が1250億ドル(約13兆175億円)伸びると見込まれている。

モルガンは共有経済を「未来の職業」とし、特に世界経済が下降気味の近年において「景気活性化の起爆剤になる」と称えている。それと同時にこれらのプラットフォーム型ビジネスには、社会保険や有給休暇といった保障制度が確立されていない点をリスクとして挙げている。

現時点で共有経済が最も発展している国は米国。世界中で865社の共有経済スタートアップが活動中といわれているが、その半分以上が米国、特にサンフランシスコとニューヨークを基盤にしている。次いでロンドンが頭角を現している(米JustPark調べ)。(ZUU online 編集部)

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相続税対策で「アパマン購入」 早すぎると失敗するワケ

06.20 15:39 ZUU online

広い土地を持っている地主の方々にとって、相続税は悩ましい問題だ。2015年1月1日から、相続税の基礎控除額が引き下げられたのと同時に最高税率が引き上げられた。本題に入る前にこの改正点をいま一度おさらいしよう。

相続税の改正ポイントのおさらい

相続税の基礎控除額は以下のように引き下げられた。

◯2015年1月1日 以前
5000万円+(1000万円 x 法定相続人の数)
◯2015年1月1日 以降
3000万円+(600万円 x 法定相続人の数)

相続税の税率も、相続人の法定相続分の取得価格が2億円超に関しては、累進性がきつくなり、最高税率も50%から55%へと引き上げられている。

5%の引き上げというと、さほど負担感がないと思われるかもしれない。しかし、この法定相続分の取得価格(課税される遺産総額(=課税価格の合計額-基礎控除)を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして計算した価格)が仮に3億円と仮定すると、従来の「3億円 x 40%-1700万円=1億300万円」が、新税率のもとでは「3億円 x 45%-2700万円=1億800万円」と500万円も増税となる。

しかもトータルの相続税額は相続人ごとに計算したものを合計するので、もし法定相続人が2人なら、トータル1000万円が増えることになる。

このような状態で、いざ相続が起こった時、何も対策を打っていない場合、①多額の相続税を払う必要が出てくる ②遺産分割でもめる ③納税資金が足りない といったことが起こりかねない。

さらに相続税は、相続人が被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内に申告納付をしなければならない。

この10カ月という期間は、長いようであっという間に来てしまう。まず、死亡から4か月以内に準確定申告をしなければならない。また、もし不動産が主な相続税の対象物件の場合、最悪処分し、換金するまでを10カ月の間に行う必要があるわけだ。

一般的に相続税対策は、おもに以下の3つが必要となる。

遺産分割 = 家族間のもめごとをいかに排除していくか
納税対策 = 相続税納税資金を準備すること
節税対策 = 相続税の圧縮を図ること

②と③はその順番をケースバイケースで考えなければならない。

アパマンの節税対策 効果が高いのは「建築直後」

不動産が主な相続税の対象財産の地主の方々、また有効活用されていない土地を多くお持ちの方々は、アパートを経営することで相続税の評価額が下がることを御存じだと思う。その理由は、現金より不動産の方が相続の評価額が低くなるからだ。

しかし、早めに対策をした方が良いと考え、実際に相続が発生する時期よりかなり早くアパート経営に踏み出すと、節税効果が薄れてしまうことがあることは御存じだろうか。

マンション経営による相続税対策の効果が最も大きくなるのは、建物を建てた直後だ。時間の経過により節税効果は小さくなり、やがてはマイナスになってしまう。

マンション経営「節税効果のシミュレーション」

高い入居率を保ち順調に賃料収入を得れば得るほど、その時期は早まる。下記の前提条件をもとに、その節税効果の推移をシミュレーションで検証してみよう。

①建物:1億円(現金で建て、借金しない)
②減価償却:木造22年
③建築費1億円の建物の相続税評価額:3500万円(※)
④家賃による建物建築費を10年で回収(表面利回り10%)

※建物の相続税評価額を建築費の35%、22年後には評価はゼロになる。35%としたのは「建築費の50%(固定資産の評価額) × (1-借家権割合30%)」から。

まず、1億円の現金がアパートの建物に代わることによって、3500万円に圧縮される。これは、アパートを建築した途端に6500万円、評価減になることを意味する。

3500万円をスタートとし、22年かけて建物の価値が下がっていき、22年目に建物の価値が0円になる。その一方家賃収入が入ってくるので、その土地建物のオーナーである被相続人の財産が毎年増えてくることになる。

そうすると、被相続人の相続財産は、(ア)減価償却した後の建物の価値(22年で0円)+(イ)毎月入ってくるアパート経営から生じる家賃(10年で1億円)の合計金額になる。

建物を建築した後は建物の価値が高いが、累計家賃収入が低いので相続評価額が低く済む。一方、年月が経つにつれて建物評価額は下がってくるが、累計家賃収入が上がってくる。その速度は、上記(イ)の方が早いので、結果時間が経過すればするほど、相続対策に役立たなくなってくるのである。

アパート経営の相続対策はタイミングに注意

家賃収入が順調に入ってくる事は、大家業にとっては望ましいことだが、こと相続対策でのアパート建築が目的の場合、あまりに早すぎる対策は、逆効果となってしまうのだ。また、被相続人がアパート建築後認知症になってしまうと、信託などの有効な手立てをしておかないと、その資産が凍結されてしまいかねない。したがって、アパート建築だけで十分な相続税を行った、と考えるのではなく、並行してさらなる対策を講じる必要があるのだ。

現金を不動産に変えてアパート経営をするタイミングが、相続税対策にはとても大切なことを十分に認識しておくと、振り返ってみて何のためのアクションプランだったのかを見失うことがなくなるのではないだろうか。

{{マネーデザイン|http://moneydesign.co.jp/}} 代表取締役社長 中村伸一

学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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政府が長期的に視野に立った投資を行う好機

06.20 15:40 ZUU online

日本の長期金利(国債10年金利)は、マクロのファンダメンタルズ要因と金融政策要因で説明できることを解説してきた。

ファンダメンタルズ要因と金融政策要因

ファンダメンタルズ要因としては、企業貯蓄率と財政収支の合計で貨幣経済の拡張を左右するネットの資金需要(トータルレバレッジ、GDP対比、マイナスが強い)と、失業率に先行する指標として知られ内需の拡張を左右する日銀短観中小企業金融機関貸出態度DIである。

金融政策要因としては、イールドカーブのアンカーである日銀政策金利と、日銀の資金供給(マネタイズ、買いオペ)の力を示す日銀当座預金残高の変化(前年差、GDP対比)である。

これらに、グローバルな金利水準の代理変数としての米国債10年金利を加えれば、日本の長期金利がうまく推計できることが分かっている(1988年からのデータ、4四半期移動平均、98%程度の動きを説明)。

更に、マイナス金利政策の時の長期金利へのインパクトがプラスの時の何倍(1であれば同じ強さ、5であれば5倍のインパクトの強さを表す)かを表す調整ファクターを政策金利にかけることで、プラス金利下のモデルをマイナス金利下の推計に応用できる。

長期的に視野に立ったインフラ整備と防災強化の投資が望まれる

更に、超長期金利(国債20年金利)にもこのモデルが応用できることがわかった。データの制約のため、1992年からとなるが、95%程度の動きを説明できる。

超長期金利 = 1.192+ 0.019 中小企業貸出態度DI + 0.908 (政策金利X調整ファクター)+ 0.594 LN (米国長期金利)- 0.058 (ネットの資金需要+日銀当座預金残高変化)
現在の-0.15%程度の長期金利は、調整ファクターを3-4倍程度とすると、フェアバリューと考えることができる。

一方、現在の0.2%程度の超長期金利は、調整ファクターを8-9倍程度まで引き上げなければ、フェアバリューと考えることができないことがわかった。調整ファクターが1・5・10・15と変化するに従い、2016年4-6月期の超長期金利の推計値(米国の長期金利は1.6%程度を前提)は0.89%・0.52%・0.07%・-0.38%と変化する。

マイナス金利政策下では、金融機関は保有国債をなかなか手放したがらないため、日銀の国債買入れオペの価格が強含みやすくなるとみられる。更に、利回りを求めて、より長期の国債がファンダメンタルズ対比で選好されることにより、超長期の調整ファクターがより大きくなっていると考えられる。

結果として、マイナス金利政策は、イールドカーブに大きなフラット化の圧力をかけていることが確認できる。マイナス金利政策は国債買入れオペにかなりの負荷をかけてしまう分、金利をより押し下げ、イールドカーブをフラット化させたが、マーケットに日銀の追加金融緩和の限界を感じやすくしているといえる。

言い換えれば、この低金利とフラット化したイールドカーブの環境を利用し、国債を大幅に増発しても、政府が数十年単位の長期的に視野に立ったインフラ整備と防災強化の投資を行うことが望まれていると言える。

会田卓司(あいだ・たくじ)

ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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豪とシンガポールがFinTechスタートアップ共同支援

06.20 15:42 ZUU online

オーストラリア証券投資委員会(ASIC)とシンガポール通貨当局(MAS)が6月16日、両国のスタートアップの成長を促進するFinTech支援協定を結んだ。

新たに生まれた支援関係によって、両国のスタートアップは海を越えた事業展開がより自由に行えるようになる。

今年に入ってFinTech促進の支援は国内から国外へと広がりを見せており、今後世界中でより広範囲をカバーするネットワークが形成されていくと予測されている。

ASIC会長「FinTech革命に国境はない」

急速に国際的な知名度を増したシンガポールのFinTechエコシステム。健全なインフラストラクチャーや将来有望な人材の宝庫といったプラス要素が最大の強みとなっている。MASのモハンティCFOのアピール通り「アジア市場へ進出を狙う他国にとって最適の入り口だ」であることは疑う余地がない。

一方、オーストラリアFinTechもデジタル、モバイル、ブロックチェーン、ビッグデータなどの技術分野で急成長を遂げている。

FinTech注目株の2カ国が手を結ぶことで、両国間は勿論、今後世界のFinTech市場におよぼす影響は計り知れないだろう。

ASICのクレッグ・メッドクラフト会長は「FinTech革命が国境という壁に妨害されるべきではない」とコメント。今後も消費者や投資家に恩恵をもたらす機会の開拓に、積極的に取り組む意向を示している。

両国はスタートアップ支援と同時に、新興市場の動向や規制の影響に関する情報を共有し、共同改革プロジェクトなどにも着手する予定だという。

こうした国際FinTech協定は、革命の成長とともにますます活発化している。今年3月にはASICと英金融行動監視機構(FCA)間が同様の支援協定に同意しているほか、FCAとシンガポール金融管理局(MAS)間でも今年5月に「FinTech Bridge」が設立されている。日本でもこうしたニュースが聞かれる日が待ち遠しい。(FinTech online編集部

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