東海道線の東京~横浜間、11月3日は大幅運休 川崎駅工事

2018年7月30日 19:42 乗りものニュース編集部

一部特急列車は横須賀線経由に


 JR東日本横浜支社は2018年7月26日(木)、川崎駅のホーム拡幅工事に伴い、11月3日(土・祝)に東海道線で運休や変更が生じると発表しました。

東海道線の下り線路を移設し、川崎駅の同線ホームを拡幅する工事が行われる(画像:JR東日本横浜支社)。

 工事は11月3日(土・祝)午前10時ごろから翌4日(日)初電前まで実施。東海道線の下り線路を東側に移動し、東海道線のホームの幅を約2.0m~約3.6m広げて最大約12.1mにします。

 この工事に伴い、東海道線(上野東京ライン)は11月3日(土・祝)の午前10時ごろから終電まで東京~横浜間が運休。東京駅を発着する特急「踊り子」「スーパービュー踊り子」と寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」(3日発下り)は、品川~横浜間で横須賀線の線路を経由する関係で時刻が変更されます。

 なお、並走する京浜東北線や川崎駅に乗り入れる南武線、また、湘南新宿ラインや横須賀線は基本的に通常運転です(一部時間帯で時刻変更あり)。

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"指名買い"される高速バスはここが違う! 各夜行路線の戦略

夜行路線を中心に繰り広げられるサービス合戦


 かつて高速バスは限られた事業者によって運行されていましたが、2000年代には制度改正により事業者が急増し、さらにインターネット予約の普及によって、その市場規模を拡大してきました。最近では、おもに大都市どうしを結ぶ路線(首都圏~京阪神、名古屋、仙台)において、多数の高速バス事業者が競合し、運賃比較サイトや総合予約サイト上で「バスを選んで予約する」市場が定着しています。各事業者は個性的な車両、サービス、あるいは運賃で「いかに選んでもらえるか」に注力しているのです。代表的な事業者の戦略を比べてみましょう。

ウィラーの3列シート「ラクシア」搭載車両。主たるターゲットが女性であることを明快に示している(中島洋平撮影)。

 わが国の高速バス路線のほとんどは、地方都市から大都市、地方中核都市へと走り「地元の人の都市への足」として利用される短・中距離(おおむね片道250km以下)の昼行路線です。地元の乗合(路線)バス事業者が、都市部の事業者(大手私鉄系など)と共同運行しているので、地方に住む人のあいだでは、「わが町のバス会社」に乗って東京や大阪へ向かうことが1980年代半ばから定着しました。

 一方、長距離(おおむね350km以上)は夜行路線が中心で、複数のバス事業者どうしが競合しています。特に首都圏~京阪神、名古屋、仙台の3路線は、2006(平成18)年ころから運賃比較サイトや総合予約サイトが市場拡大に貢献したことにより、多くの利用者は、個別のバス事業者ではなく、それらサイトのリピーターになっています。

 利用者は、サイト上で乗車日、区間、人数などを指定して空席を検索しますが、首都圏~京阪神などではひと晩に200便以上の候補が表示されるといった状況です。そこで各事業者はライバルのなかから「選んでもらう」べく、トイレやアメニティグッズ付き、広めで豪華な座席、乗車前後のラウンジサービス(フリードリンク、シャワーなど)といった付加サービスを売りにしたり、逆に格安運賃を売りにしたりします。また、たくさんの停留所を小まめに回り自宅や目的地の近くで乗下車できる便と、ターミナル駅間を直行する便といった区分けも生まれます。

 高速バスどうしの競合が少ない昼行路線では、誰からも不満足を招かない「最大公約数」的商品作りが必要ですが、これら夜行路線は、ターゲットを決めて個性を出すことが求められるのです。

予約サイト名ではなく「事業者名」を覚えてもらうには


 次のステップとして、なるだけ自社の名前を憶えてもらい指名買いしてもらうことが必要です。サイト上で比較されるばかりではすぐ他社に「浮気」されてしまううえに、外部サイトへの送客手数料負担も大きいので、次回以降はできれば自社(直営)サイトから予約してもらうよう促します。

 具体的には、「覚えやすいブランド名称」と「印象的な車両塗色(カラーリング)」を用意します。都心のバスターミナルで「予約サイトの名前は憶えているのに、自分が選んだバス事業者名がわからず困っている」利用者を見かけますが、彼らもサービスエリアでの休憩の際は車両塗色を頼りに車両に戻るので、色は絶対に覚えます。つまり、塗色とブランド名称と関連させれば記憶につながる確率が上がるのです。たとえば兵庫県の神姫観光バスは2017年、夜行高速バスのブランドを「LIMON(リモン)」に変えるとともに、全車両の塗色と一部車両の内装を鮮やかなレモンイエローに変更しました。「LIMON」は「レモン」と「リムジン」を合わせた造語です。

「LIMON」の一部車両はシートも黄色(画像:神姫バスツアーズ)。

 さらに事業者は、自社サイト経由の予約比率を上げるため、「FGP(Frequent Guest Program/頻繁なリピーター向け特典プログラム)」を充実させます。「VIPライナー」を運行する埼玉県の平成エンタープライズは、2012(平成24)年、国内最大級の共通ポイントである「Tポイント」を導入しました。運賃の1%相当のTポイントが付与されるうえ、自社サイトから予約した場合はさらに1%分が上乗せされます。Tポイントは、利用者にとってはコンビニなどでも使えて便利ですし、事業者側でも、運営会社に広告費を払えば、現住所や年齢などの属性を限定して割引クーポンを発行するなど、会員へのプロモーションに活用できます。

 これとは逆に、自社独自の会員プログラムを充実させているのがウィラーです。自社サイトからの予約だけが対象で、またTポイントのような共通ポイントと比べると同社のバスでしか使えない点は不便ですが、そのぶん、割引クーポンを発行するなど実質的な還元率を大きくすることができます。さらに、年間の利用回数などによって会員をグレード分けし、上級グレードになると「当日、空席があれば無料でアップグレード」といった特典が得られたり、年会費1080円を払ってプレミア会員になれば常に300円引きで予約できたりします。

 帰省などで何度も高速バスを利用するリピーターにとってはお得感が大きい制度です。事業者側にとっても、リピーターが常に自社便を選んでくれ、さらに自社サイトから予約してくれるなら、総合予約サイトへ支払う送客手数料などを考慮するとメリットも十分にあるでしょう。

JRも黙ってへんぞ!


 平成エンタープライズやウィラーは、2000年代にいわゆる「高速ツアーバス」に参入し、その後、乗合バスへと移行した事業者です。そのような、高速ツアーバスからの「移行」事業者らによる攻勢に対し、古くから首都圏~京阪神の夜行バスを運行してきたジェイアールバス関東/西日本ジェイアールバス陣営も、ブランド戦略に乗り出しました。

 両社は、単なる「路線愛称」に過ぎなかった「ドリーム号」を、「ブランド」に昇華させる試みを重ねています。有名女性タレントを「アンバサダー」に起用し、テレビCMを展開したり車両にラッピングを行ったりしています。老舗事業者ならではの安全、安心への取り組みをサイト上で具体的に掲載するなど、品質の可視化にも熱心です。そもそも、誰でも知っている「JR」という社名、「ドリーム号」というわかりやすく覚えやすいブランド名称は最大の強みです。

「ドリーム号」運行30周年記念として、アンバサダーの横山由依さんがラッピングされたバスが2019年3月まで運行されている。画像はイメージ(画像:西日本ジェイアールバス)。

 とびきり豪華な車両を投入してブランディングを図る事業者もあります。徳島県を拠点に2006(平成18)年から高速バス(当時は高速ツアーバス)に参入した海部観光は、2011(平成23)年、全席がほぼ個室タイプでわずか12人乗りの「マイ・フローラ」を長距離夜行の徳島~東京線に投入しました。「日本一豪華な高速バス車両」として、当時は数々の新聞や雑誌、テレビ番組などで紹介されたものですが、収益性で見れば長距離夜行路線はそれほど高くありません。同社は、東京線「マイ・フローラ」のメディア露出で地元における社名の認知度を上げると同時に、徳島~大阪線を徐々に増便するという戦略を採りました。徳島~大阪は他事業者の高速バスが30分間隔で走る「ドル箱」であり、乗務員や車両も効率よく運行できることから収益性も極めて大きい路線なのです。

 現在、海部観光の大阪線は1日16往復にまで成長しました。同社の高速バスには「マイ・エクスプレス」という横文字の愛称が付いているものの、地元では「海部観光」「海部さん」といった呼び方で親しまれています。いまでは台風が接近した際など、地元の新聞やテレビで、徳島バスやジェイアール四国バスといった老舗の事業者と並んで、同社の高速バスの運行状況も紹介されるようになりました。「海部さん」と親しみを込めて呼ばれることこそ、ブランド価値のあらわれなのだと実感します。

 このようにバス事業者どうしが切磋琢磨しながらブランド価値の向上に努めていますが、万一にも大きな事故などがあると、その事業者だけでなく高速バス全体の価値を下げ、客足が遠のきます。そう考えると、事故なく安全に運行を続けることこそ、全事業者共通で最も重要なブランド戦略なのかもしれません。



【写真】登場当時「日本一豪華」といわれた高速バス車両の車内


東京と徳島を結ぶ海部観光の「マイ・フローラ」。ほぼ個室タイプで全12席(画像:海部観光)。

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筑豊電鉄に西鉄カラー車両登場 歴史の"もしも"が現実に?

2018年7月30日 19:00 乗りものニュース編集部

西鉄グループ創立110周年企画


 福岡県内を走る西鉄グループの筑豊電気鉄道は2018年7月30日(月)、同グループ創立110年を記念して、西鉄天神大牟田線の電車カラー「アイスグリーン」をまとった電車を走らせると発表しました。

筑豊電気鉄道に登場する「アイスグリーン」デザインの3000形電車(画像:筑豊電気鉄道)。

 西鉄(西日本鉄道)は、前進である九州電気軌道が1908(明治41)年に設立されて、今年で110周年を迎えます。

 筑豊電気鉄道は1951(昭和26)年に設立。路線は工業都市の北九州と炭鉱で栄えた筑豊、そして商業都市の福岡を結ぶ計画で、当初は西鉄の天神大牟田線、貝塚線とつなげる構想もあったといいますが、石油へのエネルギー転換で炭田が衰退し、筑豊直方~福岡間は幻に。黒崎駅前~筑豊直方間のみの開業で現在に至っています。

「アイスグリーン」のデザインは、西鉄天神大牟田線では5000形、6000形、6050形、7000形、7050形で採用。そして今回、このカラーリングが筑豊電気鉄道の3000形(3004号車1編成)でも採用されます。運行期間は8月2日(木)から約3年間(次回車両検査まで)です。

 筑豊電気鉄道は「歴史の背景を思い浮かべながら、今回の車両をご覧いただくと一味違った楽しみ方が出来ると思います」としています。



【写真】西鉄天神大牟田線の「アイスグリーン」電車


西鉄天神大牟田線を走る「アイスグリーン」の電車(画像:筑豊電気鉄道)。

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お掃除ロボがJR大阪駅に登場 自動運転の清掃、本格運用へ

2018年7月30日 19:42 乗りものニュース編集部

有人の洗浄機による清掃を置き換え


 JR西日本メンテックは2018年7月27日(金)、大阪駅での清掃作業について、清掃ロボットによる自動運転の運用を本格的に開始すると発表しました。

ソフトバンクロボティクスの「RS26 powered by BrainOS」(画像:JR西日本)。

 同社はJR西日本と連携し、将来の労働力不足への対処と清掃品質の向上を目指して、ソフトバンクロボティクスと中西金属工業と共同で清掃ロボットによる清掃を試行してきました。

 JR西日本メンテックによると、作業の省力化、出来映えの均質化、安全性について一定の成果を得られたことから、8月より本格的な運用を始めるといいます。

 対象は大阪ステーションシティの中央コンコース、「暁の広場」、ルクア東西通路、バス乗り場です。現在は有人で洗浄機を用いて行われている清掃が、ロボットによる自動運転に切り替わります。



【写真】中西金属工業の清掃ロボット


中西金属工業の「ロボクリーパー」(画像:JR西日本)。

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クルマのガラスコート「撥水」「親水」「滑水」どう選ぶ?

2018年7月30日 19:43 乗りものニュース編集部

「撥水」はフロントガラス、「親水」はサイドミラーなどに


 車のフロントガラスやミラー類のコーティング剤には、大きくわけて「撥水」と「親水」の2タイプがあります。

雨で視界が悪くなったフロントガラスのイメージ(画像:Chidchanok Rittichaisamran/123RF)。

 それぞれ、どのような違いがあるのでしょうか。カー用品メーカーのカーメイト(東京都豊島区)に聞きました。

――それぞれどう違うのでしょうか?

 撥水剤は雨粒を水玉にし、ガラスとの接点を減らすことにより転がりやすくします。ガラスコート剤市場においてもこのタイプがメインでしょう。一方、親水剤は雨粒を水膜にすることにより、ガラスへ均一な膜を貼らせます。

――どう選べばよいのでしょうか?

 撥水コートをしたガラスでは、水玉が風圧を受けるときれいに飛んでいきますので、おもに風の影響を受けやすいフロントガラスにおすすめです。一方で親水剤は、水膜越しに対象物を見ることになりますので、多少は像が歪むものの、雨が付着している状態よりは見やすくなるというものです。風の影響を受けにくいサイドミラーやサイドガラス、リアガラスなどに向いています。

※ ※ ※

 風圧を受けると雨が飛んでいく撥水剤、水がべたっと広がり膜をつくる親水剤ですが、裏を返せば、撥水剤は風がなければ雨が飛ばず、親水剤は風の影響を受けると像が歪みやすくなるというデメリットもあるようです。

第三の勢力「滑水」は理想か?


 カーメイトのガラスコート剤としては、親水タイプのほか、「滑水」タイプの売れ行きが好調だといいます。「滑水」タイプとは、どのようなものなのでしょうか。

「基本的なメカニズムは撥水剤と同じですが、水玉状になった雨とガラスとの接点に『滑り』の効果を足したものが滑水剤です。これにより、風圧を受けなければ雨が飛ばない撥水剤に対し、低速走行時や、極論を言えば停車時でも、雨粒の自重で雨が滑って落ちていきます。もちろん高速時には撥水剤と同じ飛びをします」(カーメイト)

 カーメイトによると、滑水剤はスプレー後にワイパーが必要なこともあり、フロントガラスへの使用がおすすめとのこと。ただし、滑水剤は現在のところ「3か月」「1年」といった耐久性のある商品があまりないそうです。「雨の降っている日にだけスプレーするような方には滑水剤が、耐久性重視でしたら撥水剤がよいでしょう」と話します。

撥水コーティング(左)と滑水コーティングの比較。滑水コーティングは停車時でも水滴が流れていく(画像:カーメイト)。

 ちなみに、カーメイトはサイドミラー用として、「超撥水」タイプもすすめています。これは、水滴とガラスとの接点を減らす(接触角150度以上)ことで、「雨が全く付着しない」ものだそうです。ただし被膜がもろく、触ると落ちてしまうこと、また仕上がりが少し白っぽくなることから、サイドミラーやサイドガラスの狭い範囲で使用するのがよいといいます。



【画像】水膜を形成する「超親水」の視界


「超親水」コーティングをしたリアガラスの視界イメージ。水膜越しだがクリアな視界が得られる(画像:カーメイト)。

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自転車旅行列車「B.B.BASE」この秋も4方面へ運転 JR東日本

2018年7月30日 19:44 乗りものニュース編集部

自転車をそのまま載せて房総へ


 JR東日本千葉支社は2018年7月27日(金)、自転車旅行のための列車「B.B.BASE」をこの秋も週末に運転すると発表しました。

209系電車を改造した「B.B.BASE」。自転車をそのまま搭載できる(2017年12月、恵 知仁撮影)。

「B.B.BASE」は両国駅(東京都墨田区)から房総の各地へ向かう列車です。自転車を解体することなくそのまま一緒に載せることができ、旅先でサイクリングが楽しめます。2018年9月から11月までの運転日と区間は次のとおり。

・「B.B.BASE内房」(両国→和田浦、館山→両国)
9月1日(土)、2日(日)、29日(土)、30日(日)、11月23日(金・祝)、24日(土)

・「B.B.BASE外房」(両国~安房鴨川)
10月13日(土)、14日(日)、28日(土)、11月3日(土・祝)、4日(日)

・「B.B.BASE佐原」(両国~佐原)
9月8日(土)、9日(日)、10月20日(土)、21日(日)、11月10日(土)、11日(日)

・「B.B.BASE銚子」(両国~銚子)
11月17日(土)、18日(日)

 利用には旅行商品の購入が必要です。往復「B.B.BASE」利用の日帰り、宿泊コースに加え、片道のみ利用のコースも用意。JR東日本千葉支社は「ぜひ、B.B.BASEに愛車と一緒にご乗車していただき、彩り豊かな秋の房総をお楽しみください」としています。

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列車の「ガタンゴトン」なぜ減った? 鍵はロングと斜め

2018年7月30日 19:44 草町義和(鉄道ライター)

レールの長さは25mが基本


 列車に乗っていると、ときおり「ガタンゴトン」「ダダンダダン」といった音が聞こえ、列車が上下に揺れます。レールとレールが接続する部分(継ぎ目)の隙間に、車輪が当たるためです。

レールとレールの継ぎ目。わずかに隙間がある(2018年2月10日、草町義和撮影)。

 工場で製造されるレールの長さはさまざまですが、現在は25mの長さで出荷されることが多く、業界では25mのレールを「定尺(ていしゃく)レール」と呼んでいます。

 この定尺レールを金具で接続したとき、継ぎ目で発生する「ガタンゴトン」の音が聞こえる間隔で列車の速度を推測することができました。1秒ごとに「ガタンゴトン」が聞こえれば、レールの長さは25mですから速度は25m/s。時速に直せば90km/hです。

 しかし、最近は列車に乗っても「ガタンゴトン」という音を聞く機会が少なくなりました。

全長60kmのレールも! 「長いレール」で音と振動が減少


 レールの継ぎ目は多ければ多いほど、音や振動の発生する回数が増えます。とくに新幹線のように高速運転を行うと、音や振動も大きくなります。また、列車の乗り心地は悪くなり、線路の周囲にも大きな音や振動をまき散らしてしまいます。

東北新幹線では長さが60kmもあるロングレールが使われている(2011年11月、恵 知仁撮影)。

 そこで考えられたのが、レールをできるだけ長くすること。これにより継ぎ目自体を減らし、音や振動の発生源を少なくしたのです。

 1本の長さが200m以上のレールを「ロングレール」と呼びます。全長2kmの区間に定尺レールをそのまま設置すると、継ぎ目は79か所。200mのロングレールを使えば、継ぎ目はわずか9か所に抑えられます。

 ロングレールは高速運転を行う新幹線で、とくに普及しています。東北新幹線・いわて沼宮内~八戸間で使われているロングレールは、なんと全長60.4km。東海道本線・東京~平塚間の63.8kmに匹敵します。

ロングレール、どうやって運ぶ?


 しかし、60kmに及ぶレールを製造して工場から線路の敷地まで運ぶのは不可能です。そのため、短いレールをたくさんつくって現地に運び込み、その場で継ぎ目を溶接して1本のロングレールにしています。

総武本線(越中島支線)を走るレール輸送列車。この貨車は定尺レール用だが、複数の貨車をまたいでロングレールを搭載できる貨車もある(2014年6月、草町義和撮影)。

 ただ、200m程度なら列車を使って運ぶことも可能です。レール搭載用の荷台を設けた貨車を10両くらい連結し、複数の車両をまたぐようにしてレールを載せます。

 直線を走るだけならともかく、カーブに差し掛かったらレールが貨車からはみ出してしまうのでは、と思うかもしれません。しかし、レールは意外と弾力性があり、貨車に載せたレールもカーブに合わせて曲がってくれるのです。

 とはいえ、載せただけでは曲がりませんから、レール輸送用の貨車にはレールを支えて誘導するための棒(ガイド)が設置されています。

「レールの斜めカット」で乗り心地向上


 レールの継ぎ目をなくせばなくすほど音や振動が減り、乗り心地も良くなります。しかし、継ぎ目を完全になくすことはできません。

線路を斜めに切ってつないだ伸縮継目(2017年10月、草町義和撮影)。

 レールは温度の変化で伸び縮みします。とくに猛暑のときなどは、レールが膨張して曲がってしまうこともあります。伸縮するエネルギーの「逃げ場」として、ある程度は継ぎ目を設けなければならないのです。

 そこで、線路の継ぎ目に「伸縮継目」と呼ばれる技術が使われることも増えました。レールの先端を浅い角度で斜めに切り取って外側に伸ばし、もう一方のレールを斜めの線に沿って密着させます。こうするとレールが膨張しても外側に伸びるため、曲がりにくくなります。また、斜めに接続させると段差や隙間も少なくなり、騒音や振動を減らすことができます。

 このように、騒音の軽減や乗り心地を良くするための技術開発が進み、「ガタンゴトン」の音が少なくなったのです。



【写真】「ガタンゴトン」ではなく「ダンダン」の場合も


車軸が4本(2軸台車ふたつ)ある鉄道車両は「ガタンゴトン」「ダダンダダン」だが、2軸の貨車が多かった昔の貨物列車は「ダンダン」という音を発していた(2005年5月、草町義和撮影)。

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陸自の試作りゅう弾砲、特徴や運用は? 装輪、155mmの意味

そもそも「りゅう弾砲」とは?


 2018年5月31日、防衛省・自衛隊が使用する防衛装備品の開発を手がける防衛装備庁が、陸上自衛隊向けに開発を進めている「装輪155mmりゅう弾砲」の試作品の写真と概要を、ホームページで公開しました。

2018年5月31日に防衛装備庁が公開した試作「装輪155mmりゅう弾砲」(画像:防衛装備庁)。

 陸上自衛隊は現在、「FH70」と「99式自走155mmりゅう弾砲」という、2種類の155mmりゅう弾砲を運用しています。りゅう弾砲は戦車の主砲のように目標に向けて水平方向に発射するのではなく、砲弾が放物線を描いて飛翔するタイプの砲(曲射砲)の一種です。一般的には「榴弾」と表記されますが、陸上自衛隊は「りゅう弾」という表記を用いているため、この記事では「りゅう弾」に表記を統一することを、あらかじめお断りしておきます。

 大砲で使用される砲弾は、おおむね徹甲弾とりゅう弾の2種類に分類されます。徹甲弾は戦車や軍艦などの装甲に穴をあけるための砲弾で、装甲の厚い戦艦同士や戦車同士の戦いでは、徹甲弾が使用されます。

 一方のりゅう弾は、内蔵された火薬の爆発によって飛び散った破片によって相手にダメージを与える砲弾で、装甲の厚い目標に対して効果はあまりありませんが、広範囲に展開した歩兵や、装甲の薄い車両などに対する攻撃に適しています。

その名の「155mm」や「装輪」はなにを意味する?


 第二次世界大戦ごろまで、りゅう弾砲の口径(砲身の直径)は国によってまちまちでしたが、第二次世界大戦終結後に起こった冷戦で、西側諸国がNATO(北大西洋条約機構)、東側諸国がワルシャワ条約機構という軍事同盟をそれぞれ創設し、使用する兵器の規格の統一を進めたことから、旧西側諸国に属する国の軍隊では口径105mm、155mm、203mm、旧東側諸国に属する国の軍隊では口径122mm、152mm、203mmで、ほぼ統一されています。

 現在各国が使用しているりゅう弾砲の射程は、おおむね30kmから40km程度ですが、ロケットブースターを装着して射程を70km程度まで延ばした、「VLAP」と呼ばれる砲弾も開発されています。

陸自「99式自走155mmりゅう弾砲」は、無限軌道(いわゆるキャタピラー)で49.6km/hでの自走が可能(画像:陸上自衛隊)。

 陸上自衛隊は現在、「203mm自走りゅう弾砲」、「99式自走155mmりゅう弾砲」、「155mmりゅう弾砲(FH70)」の3種類のりゅう弾砲を保有しています。

「自走」とは読んで字の如く、自ら走れるという意味で、「203mm自走りゅう弾砲」と「99式自走155mmりゅう弾砲」はキャタピラー式の装甲車輌に、それぞれ203mmりゅう弾砲と155mmりゅう弾砲を搭載しています。

 実のところ「キャタピラー」はアメリカ企業であるキャタピラー社の登録商標で、一般的に英語では「クローラー」または「トラックベルト」、日本語では「無限軌道」と呼ばれます。無限軌道を用いて走行する車両は「装軌車両」と、タイヤを用いて走行する車両は「装輪車両」と呼ばれています。つまり前出の「装輪155mmりゅう弾砲」は、タイヤを用いて走行する車両に、155mmりゅう弾砲を搭載しているということになります。

先任は富士重工製水平対向エンジンつき


「155mmりゅう弾砲(FH70)」は車両による牽引で移動するタイプのりゅう弾砲で、陸上自衛隊では三菱ふそうが製造する7tトラックに、砲弾の積み下ろしに使うクレーンや牽引装置などを装備した「中砲けん引車」によって牽引されて移動します。

「155mmりゅう弾砲(FH70)」は西独(当時)、英、伊の共同開発で、陸自に配備されているものは日本製鋼所のライセンス生産品(画像:陸上自衛隊)。

 実は「155mmりゅう弾砲(FH70)」もまったく自走できないという訳ではなく、陣地(発射位置)に展開後の移動などの短距離移動用に、排気量1800ccのガソリンエンジンが搭載されています。このエンジンは富士重工業(現スバル)が開発したもので、クランクシャフトをはさむ形でシリンダーを左右に水平に配置して、遂になるピストン同士が向かい合うように上昇・下降する構造から「水平対向エンジン」と呼ばれています。スバルは自社の乗用車の全車種に水平対向エンジンを使用していますが、スバル以外ではトヨタとスバルが共同開発したスポーツカーの「86」と、ポルシェ911などでしか使われていません。

 陸上自衛隊の駐屯地祭や、毎年8月に開催される「富士総合火力演習」などでは、「155mmりゅう弾砲(FH70)」が自走することがあります。もし自動車ファンの方が足を運ばれる機会があれば、いまでは希少種となった水平対向エンジンの音を楽しまれてはいかがでしょうか。

「155mm自走りゅう弾砲(FH70)」は1983(昭和58)年から400門以上が調達されましたが、老朽化に加えて、2013年末に策定された、おおむね10年間の防衛政策を定めた「防衛大綱」で、陸上自衛隊の砲の定数(上限)を300門に定めたこともあって、順次退役が進んでいます。今回防衛装備庁が試作品の写真と概要を公開した「装輪155mmりゅう弾砲」は、「155mmりゅう弾砲(FH70)」の後継砲として、配備が予定されています。

「牽引式」の後継が「装輪」になったもっともなワケ


 なぜ牽引式の「155mmりゅう弾砲(FH70)」の後継が牽引式のりゅう弾砲や、「99式自走155mmりゅう弾砲」のような装軌式の自走砲でないのか、という疑問をお持ちの方もおられるのではないかと思います。

 現代の砲戦では砲の発射位置を探知する対砲レーダーや、無人機をはじめとする観測装置の進化により、砲は発射後に発射した陣地から速やかに移動しないと、生き残ることが難しくなっています。前にも述べたように「155mmりゅう弾砲(FH70)」には水平対向エンジンが搭載されていますが、そのエンジンで自走できる距離は短く、現代の砲戦で必要とされる距離の移動は困難です。

 装軌式の自走砲は装輪式の自走砲に比べて、砂漠やぬかるんだ土地などでの走行性能が高く、またその場で360度旋回できるため、砲の向きを変えやすいという長所もあります。ただ装軌式車両は道路の長距離自走には適しておらず、また装輪式車両に比べて重量が重いため、大型の輸送機でないと空輸ができないといった短所があります。

 こうした理由からフランス陸軍やインドネシア陸軍が採用した「カエサル」、スウェーデン陸軍やノルウェー陸軍が採用した「アーチャー」など、装輪式自走砲を採用する国が増えつつあります。また韓国陸軍は装軌式の「K9」自走砲と並行して、トラックに105mmりゅう弾砲を搭載する「EVO-105」の導入を進めています。

フランス陸軍などが採用している155mm装輪自走砲「カエサル」(竹内 修撮影)。

スウェーデン陸軍などが採用した「アーチャー」155mm装輪自走砲(竹内 修撮影)。

韓国陸軍が導入する「EVO-105」105mm装輪自走砲(竹内 修撮影)。

 陸上自衛隊は「203mm自走りゅう弾砲」を順次退役させ、北海道に配置されている北部方面隊に「装輪155mmりゅう弾砲」を配備する計画を立てています。道路を高速で自走し、おそらく航空自衛隊のC-2輸送機にも搭載できる「装輪155mmりゅう弾砲」の配備により、陸上自衛隊は砲の定数の削減をカバーできると考えているようです。



【写真】大迫力! 陸自最大口径火砲「203mm自走りゅう弾砲」の発射炎


陸自最大口径の「203mm自走りゅう弾砲」。略称は20HSP。「サンダーボルト」という公式愛称もある(画像:陸上自衛隊)。

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