プロのスポーツカメラマンもiPhoneのみで撮影する新時代

05.23 17:15 TechCrunch Japan

プロのスポーツ写真家を思い浮かべてみよう。どのような人を思いうかべるだろうか。ベージュのベストを着て大きな望遠レンズを持ってエンドゾーンあたりに立つ人だろうか。

「プロカメラマン」ときいて、iPhone 6s Plusと、予備のバッテリーパックを持っているだけの人を思い浮かべる人はいないだろうと思う。

ところが、実際にそういう人物がいるのだ。名前をBrad Manginという。かれこれ20年以上もスポーツカメラマンとしての仕事をしていて、スーパー・ボウルやワールドシーリーズ、そしてオリンピックでも写真を撮ってきた。

ただし、彼もこれまでは「ふつう」のDSLR(デジタル一眼カメラ。もちろん昔はフィルムカメラも使っていた)で仕事をしていた。しかし最近はもっぱらiPhoneを使ってスポーツイベントの撮影を行うようになった。カメラがコンパクトになるおかげで、大きな機材を持ち込む必要がなくなり、また違った魅力をもった写真が撮れるようになったのだとBradは言っている。

この話を最初にきいたときは、話を大げさにしているのだろうと思った。しかしiPhoneで撮影して、そしてiPhoneのみを使って編集したTHE PLAYERS Championshipの写真を見せてもらって、ようやく彼の話を信じることができた。

スポーツ写真といっても、通常イメージするようなものとは少し異なったアプローチで写真を撮っているのだ。

Bradは、まず自分の機材で撮ることのできる写真(すなわち機材の限界)を知ることが大事なのだと言っている。iPhoneに搭載されたカメラは素晴らしい性能を持っているが、しかしコンマ数秒を撮るのに適しているとは言えないだろう。そこでBradは、従来のスポーツ写真とは異なる表現方法を探り、iPhoneのコンパクトさによって得られるメリットを活かした写真を撮るようにしたのだとのこと。

たとえば大きな機材の持ち込みがはばかられる場所がある。さらに、大掛かりな機材を持ち込まないことにより、被写体の緊張感を和らげる機能もあるのだとのこと。より自然な写真が撮れるケースがあるのだそうだ。

©2016 Brad Mangin/PGA TOUR

また、撮影および編集をすべてiPhone上で行うことにより、作業のスピードアップを行えるというメリットもある。従来の方法にくらべてはるかにはやく、写真を世界中の人に見てもらうことができるようになるのだ。

ゴルフトーナメントでは、ホールを移動するたびにカメラマンについて回って、写真の入っているメモリカードを編集室に持ち込む人材を用意している。Bradはその場で影の具合の編集などを行い、ただちにメディア本部に写真を送るようにしているそうだ。Bradの方法は、過去のいかなる方法よりも素早く写真を公開/シェアできるようになっているのだそうだ。

ちなみに写真の編集にInstagramのフィルターを用いたりするのかどうかも気になるところだ。問うてみたところ、たまに使うのだとのこと。

ただし、Instagramのフィルターを使う場合も、まずはカメラを機内モードにするのだそうだ。そうしておけば、写真はスマートフォン本体に保存され、間違って共有される心配もない。またGoogleのSnapseedを使うこともあるとのこと。Googleの無料写真編集アプリケーションで、アマチュアおよびプロフェッショナルの双方から支持を集めているアプリケーションだ。編集終了後はPhotoShelterのLibrisを使っているそうだ。これは最近登場した、複数の写真を一括して特定の場所にアップロードするためのiPhoneアプリケーションだ。

ちなみに、ゴルフの1大会中に、Bradは3,232枚の写真を撮影したのだそうだ。このうち最終的に公開したのは380枚だとのこと。なおBradは同じ写真をさまざまなカラーバリエーションないしサイズバリエーション(たとえばInstagramなら正方形になる)でシェアしているそうで、これにより編集部側で目的に応じた写真を選択することができる。

ともかく、スマートフォンに搭載されるカメラは高機能化の一途をたどっているようだ。たくさんの重たい機材を運ばずに、iPhoneなどにシフトするプロフェショナル写真家も増えつつあるらしい。常に狙った写真が撮れるわけではないのだが、コンパクトで邪魔にならないiPhoneでこそなし得る表現があり、それを活かした写真家が増えつつあるようなのだ。

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(翻訳:Maeda, H

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Twitter、ついに140文字制限を緩める

05.24 22:04 TechCrunch Japan

部分的にはすでに報じられていた内容が公式に確認された。今朝(米国時間5/24)、Twitterは「ツイートに含まれる文字数は140以内」という制限を厳格に適用することを止めると発表した。Twitterによれば、新しいユーザーを獲得するためにサービスをさらに使いやすくする変更も準備中だという。

今回のバージョンアップに伴い、画像、ビデオなど添付のメディア、返信の@ユーザー名は140文字制限に含まれなくなる。ただしユーザーが入力したURL文字列は依然としてカウントされる。これはTwitterの文字数カウンターの本質に関わる問題であるため変更しなかったのだろう。

つまりTwitterのシステムではユーザーが新たなツイートを入力するインターフェイスに含まれる文字はカウントされる。URL文字列はカウントされるが、ビデオ、写真、GIF、他のツイートの引用などの添付は文字数としてカウントされないとしたのはそのような背景のためだ。

一方で、@メンションがユーザーが入力する文字列であったにもかかわらずカウントされないこととなったのは、Twitterをグループ・チャットのメディアとして普及させたいという同社の戦略によるものと思われる。

ツイートがスレッド化して会話が続き、多数のメンバーが参加するようになると、宛先に全員を含めるための文字列がどんどん長くなる。ある時点で140文字の制限を回避するために宛先を切り捨てる(@ユーザー名に含めない)必要が出てくる。予定されているバージョンアップではこの点が改良される。

@ユーザー名入力は本文から外され、別個のインターフェイスを用いることになる。

Twitterのルールは新しいユーザーには複雑でわかりにくいとして評判が悪かった。これは140文字の制限だけでなく、ツイートとして表示されるいろいろな要素にそれぞれ不透明な印象を与えるルールがつきまとっていることにもよっていた。熟練したTwitterユーザーになるためには、不合理な制限を回避して必要なことをツイートに表示させるための裏ワザを多数習得する必要があった。

こうした「ハッキング」の必要を無くすための作業が準備されている。たとえば、これまで特定の相手への返信をフォロワー全員に公開するためには@マークの直前にピリオドを打つ必要があった(.@ユーザー名)。これはTwitterのシステムが@ユーザー名で始まるツイートは自動的にその相手のみに公開される仕様になっていたためだ。


この仕組が設けられたのは、もともとタイムラインに個人同士の会話が多数表示されてわかりにくくならないようにするためだった。しかし結局のところ無駄なルールだったと判明した。自分が直接メンションされていなくても、他のユーザー同士の会話は十分に興味深く、読むに値することが往々にしてある。これはTwtterが巨大な公開の会話プラットフォームであるという本質からくるもので、ルールで変えることは不可能だった。

全員に会話を読んでもらいたい場合、ユーザーは@マークの前にピリオドを打つようになり、これが 非公式なルールになった。こうしたことのために、 新しいユーザーにはTwitterには「隠れたルールが多数ある」ように感じられ、使いにくいと思わせる原因となっていた。

過去にどんな背景があったにせよ、Twitterはわかりにくいルールの撤廃に向けて精力的に作業を進めている。新しいユーザーは以前のTwitterよりはるかに直感的にシステムを使いこなすことができるようになるだろう。ユーザー数頭打ちになっているというTwitter最大の問題の解決にも役立つはずだ。

Twitterの共同ファウンダー、CEOのジャック・ドーシーは声明で「われわれの今年の最大の優先事項はシステムをシンプル化し、使いやすくすることだ。…Twitterの本来の強みである『今何が起きているのか』をライブの会話でシンプルに伝える能力〔に立ち戻ること〕に全力を集中する」と述べた。

Twitterでは「この変更によって、今後、@ユーザー名で始まるツイートは全てのフォロワーに公開される」と述べている。またTwitterはRTすること自体が広い範囲にツイートを公開する意図があるものと考えられるとしている。

さらにもう一つの変更は、自分自身の以前のツイートをRTないし引用できるようになったことだ(これまでは不可能だった)。この制限は自分が書い複雑なコンテツを拡散するためのプラットフォームとしてTwitterを利用するユーザーには苛立たしい制限と感じられていた。

以前投稿したツイートを誰もが読んでいるわけではない。多くのユーザーは以前ツイートした内容を再度フォロワーの目に触れるようにしたいと考える。ところがTwitterにはそういう仕組がなかった。もちろん、この制限はスパムが繰り返し表示されるのを防ぐというメリットはあった。しかし正当な利用の障害になる場合がメリットを上回ったようだ。【略】 Twitterでは新たに自分のツイートに再投稿ボタンが表示されるようにするので、自己ツイートの引用は非常に簡単になった。

Twitterが実際のアップデートに先立って変更の内容を公表したのはデベロッパーにアプリの修正の余裕を与えるためだという。

Twitterのプラットフォームを利用しているアプリ、サービスは無数に存在する。今回の変更はTwitterのREST、ストリーミングAPI、広告API、Gnip、Display利用プロダクトに影響を与える。またデスクトップやモバイルでツイートやタイムラインをエンベッド表示させるためのFabric Kitも変更されることになるとTwitterは述べている。

Twitterはこれらの変更が公開されるスケジュールについては「数ヶ月以内」という以上に詳しく明かしていない。

〔日本版〕バージョンアップ後のTwitterでは返信のための@ユーザー名、メディアの添付、自己RTが「140文字の本文」から除外される。添付メディアのレンダリングにはタイムラインに表示されないTwitter独自のURLが用いられ、これが24文字であるためコンスティン記者の記事タイトルは「Twitterの本文が24文字長くなった」と表現されている。返信の@ユーザー名が別途入力されることになるのを考慮すれば、本文に利用できる文字数はその分も増加している。

ピリオド・プラス@ユーザー名のルールが廃止されたことで、本文中に@ユーザー名があるツイートは全フォロワーに公開されるようになった。ただし140文字にカウントされる点はそのまま。@ユーザー名が返信用のインターフェイスから入力された場合、公開範囲は従来の返信と同様、受信者および発信者、受信者の双方を同時にフォローしているユーザーのみ。ただしユーザー名文字列が140文字にカウントされなくなる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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Google、パスワード不要のログインをAndroidアプリに

05.24 01:21 TechCrunch Japan

Googleはパスワードを廃止するしくみを計画している。様々な特徴 ― タイピングのパターン、歩き方のパターン、ユーザーの現在位置、等々 ― を組み合わせることによって個人を特定するシステムで、テストがうまくいけば年内にもAndroidデベロッパーに提供される予定だ。金曜日午後にGoogle I/Oデベロッパーカンファレンスで行われた目立たない発表の中で、Googleの研究開発部門ATAPのDaniel Kaufmanが、Project Abacusの最新状況を説明した。二要素認証に代えて生体認証を使うシステムの名前だ。

覚えているかもしれないが、Project Abacusは昨年のGoogle I/Oで初めて紹介され、パスワードと暗証番号の面倒からユーザーを解放する野心的計画と説明された。

今日、セキュアなログイン ― 銀行やエンタープライズ環境で用いられているもの ― は単なるユーザー名とパスワード以上を要求する。さらにSMSやメールで携帯電話に送られてくる特別な暗証番号の入力も要求することが多い。これは一般に「二要素認証」と呼ばれ、ユーザーの知っているもの(パスワード)と、ユーザーの所有するもの(例えば携帯電話)を組み合わせることから、そう呼ばれている。

Project Abacusでは、ユーザーは端末のアンロックやアプリへのサインインを、蓄積された「信頼スコア」に基づいて行う。このスコアは様々な要素を用いて計算され、例えば、ユーザーのタイプするパターン、現在位置、話すスピードやパターン、顔認識、等々が使用される。

既にGoogleは同様の技術をAndroid端末(Android 5.0以降)に“Smart Lock” という名前で実装しており、ユーザーが信頼された位置にいるか、信頼されたBluetoothデバイスが接続されているか、本人がデバイスを持っているか、あるいはデバイスがユーザーの顔を認識すると自動的に端末がアンロックされる(ちなみにSmart Lock for Passwordsは、単にウェブサイトやアプリのパスワードを保存して、次に訪れた時に自動入力する機能)。

Project Abacusはちょっと違う。端末のバッググラウンドで動作し、ユーザーのデータを連続的に収集して信頼スコアを生成する。

基本的にこのスコアは、本人であると言っている人がどの程度確かに本人であるかを示す。もしスコアが十分高くなければ、アプリは昔に戻ってパスワードを尋ねることができる。ATAPは、アプリによって異なる信頼スコアを要求することもできると以前言っていた。例えば、銀行はモバイルゲームよりも高いスコアを要求するかもしれない。

Google I/O 2015でProject Abacusがデビューした時

「誰でもスマホを持っていて、そこにはあらゆるセンサーが入っている。私が誰かをわかってくれれば、パスワードは必要なくなるはず。スマホを使うことに専念できるべきだ」とKaufmanは説明し、パスワードベースの個人認証の問題点を指摘した。

彼によると、Googleの検索や機械学習グループの技術者たちがProject Abacusのアイデアに注目し、「信頼API」(Trust API)というものを作った。このAPIは来月から銀行でテストに入る。

6月に「いくつかの非常に大きい金融機関」が信頼APIの初期テストを開始する、とKaufmanは言った。

「これがうまく行けば、世界中のAndroidデベロッパーが年内には利用できるようになる」と付け加えた。

Kaufmanはすぐに他のATAPプロジェクトの話に移り、つながった衣服モジュラー・スマートフォンレーダーセンサー等々について話した。他の技術も楽しみではあるが、この「信頼API」は特に、スマートフォンでアプリを使うやり方に関して、現実世界の変化を生むものだ。これはまた、アプリのコンテンツを安全に守る新しい方法にもなる ― 本人以外がスマートフォンを手に入れアンロックできたときでも、ソフトウェアが〈本人でない〉と判定すれば、あらゆるアプリを自動的にロックすることができる。

昨年Googleは、Project Abacusが全米28州、33校の大学で試行されていると言った。銀行での利用は大きな進展だ。そして年内にはAndroidデベロッパーが自分のアプリに実装できるようになれば、Googleはユーザー認証に関して、ライバルシステムであるAppleの指紋認証ベースのTouchIDに対して、独自の優位性を得ることができるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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Pepper、次はアジア太平洋地域のピザハットで就業予定

05.24 16:13 TechCrunch Japan

Pepperは就職に困ることはないようだ。世界的に経済状況が思わしくない中での話であり、その点は少なくともPepperを評価すべきなのだろう。Pepperはあちこちに活動範囲を広げつつある。そしてこのたび、店の「高級さ」加減では落ちるのかもしれないが、しかしPepperならきっとうまくやるだろうと思われる分野に職を得たようだ。

すなわちソフトバンクとマスターカードが提携して、Pepperをピザハットで働かせることになったのだ。まずはアジア太平洋地域の店舗がターゲットであり、年内にPepperを配属したい考えだ。

「Pepperは従来のデジタルキオスクを新しくしてくれると思います。タブレットや情報端末を操作するかわりに、ロボットと対話しながら必要な情報を得たり、何らかの操作を行うことができるようになるのです」と、MasterCard VPのTobias Puehseは言っている。「ファストフードショップによって、持ち帰り商品をオーダーする際に、Pepperが注文を受け取ってくれたりするのです」。

出典: YouTube

Pepperにはマスターカードのデジタルウォレット・サービスであるMasterPass機能が搭載され、Pepperを通じて支払いができるようにもなっている。また、これまでの商品購入履歴などを参照して、カスタマイズされた対応を行うこともできる。さらには客の様子に応じて振る舞いを変えることもできるようだ。「Pepperには感情を読み取る機能が備わっています」とPuehseは言う。「お客様がハッピーなのか、それとも不機嫌なのかを認識することができるわけです。それによってPepperは接し方を変えることができます。さらにはちょっとした冗談などを交えて、お客様の気分に応じた応対ができるのです。いってみれば共感能力を持っているわけです」。

マスターカードはPepperの供給状況に応じて、アジア太平洋地域のどの店舗にPepperを配備するかを決めていく予定であるようだ。同地域ではすでにPepperをカスタマーサービスに応用する動きが見られ、Pepperを通じてオーダーすることにも慣れてもらいやすいだろうという目論見もあるようだ。初期導入がうまくいくようであれば、Pepperが働く店を増やしていきたい考えなのだそうだ。

なお、PuehseはPepper導入について、人員削減的な意味を持つものではないことを強調していた。「利用者の方々に心地よさを感じてもらうための手段という意味付けです。人対人のコミュニケーションを排除しようというような意味ではないのです。たとえばPepperは支払い作業すらより面白く感じられるものにすることができます。さらにPepper側で顧客情報などを活用することにより、タッチパネルを通じてオーダーするよりも、好みに応じたオーダーが行えるようにもなることでしょう」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

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IMAXが「VR体験センター」を開設、独自のVRカメラも

05.23 01:49 TechCrunch Japan

IMAX。映像テクノロジー推進の第一人者である同社が、バーチャルリアリティーのリングに上がるべく、新たに一連のプロジェクトを立ち上げる。

Goolge I/Oカンファレンスの後、IMAXは360度、3Dコンテンツの撮影を可能にする「映画品質のバーチャルリアリティー(VR)カメラ」を開発する計画を発表した。映像技術の巨人は、このプロジェクトをGoogleと協同で進める。Googleは同社のJumpプラットフォームを使い、開発には18ヵ月を要すると予想されている。仕様から見て、これは業務用カメラであり消費者向けではない ― 相当の現金を手離すつもりでない限り。

さらにIMAXは、VRコンテンツに変換するために、既存の映像作品をGoogleに提供すると言った。

VRをスクリーンに持ち込むだけでなく、IMAXはVRスクリーンを消費者の手に渡すことも見据えている。同社は、ショッピングモール等の公共の場所で「VR体験」を提供する準備を進めている、とWall Street Journalは伝えている。言い換えれは、誰でもVRヘッドセットを使ってゲームをプレイしたりビデオを見たりできる場所だ。

スウェーデン拠点のStarbreeze ― ヘッドセットとゲームを提供する ― との提携によって、IMAXはVRセンターを世界6箇所に開設する予定で、ロサンゼルスを皮切りに中国その他の地域へと拡大していく。

この計画は、VRカメラと密接につながっている。なぜならIMAXは映画製作会社のVRコンテンツを作ってもらい、このVRセンターに配信してほしいからだ。

コンテンツ形態としてのVRは、メディア業界への転換が可能だが、配給には根本的問題が残っている。最近本誌のDisruptイベントのパネルで論じたれたように、ヘッドセットのあの形状と価格は、アーリーアダプターか可処分所得の豊富な人に利用が限定され、一方では、自宅でしか使えないことが利用シナリオの可能性を限定している。モバイルVRは問題の一部を解決するものの、別のタイプの課題をもたらす。デバイスは非力なマシンにつながれ、バッテリー寿命の心配やその他のモバイル要因が絡んでくる。

IMAXのVR体験センターは、この配給問題を解決するものではないが、VRを身近にすることはでき、その結果認知度を高め、多くの人々に役立たせることができるかもしれない。少なくとも、将来われわれを興奮させる新たな(そしてカッコいい)映像体験が期待できそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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WantedlyがFacebookボットをリリースするワケ

05.23 23:04 TechCrunch Japan

ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーが今日、ボットとのチャットを通じて仕事探しができるFacebookボットをリリースした。このボットはWantedlyが提供するメッセンジャーであるSyncのほうでも利用可能だ。

「恵比寿近辺で医療系の仕事はありますか?」などと自然文で案件や会社が探せるようになった。ただ、これだと単に検索オプションを使って「高度な検索」をするのと大して変わらないのではないか、という疑問がわく。実際、開発を担当したウォンテッドリーのリードエンジニア、相川直視氏と滝川真弘氏らによると、今のところボットといっても高度な意味解析をしているわけではないという。形態素解析(単語に分けること)をして業種や職種、地域などと思われる語彙について重み付けを付けた上で既存のデータベースにクエリを投げ、その結果を自然文に埋め込む形で返答とする仲介処理をしているという。今のところユーザー個別のプロフィールを覚えたり、直前の質問(文脈)を覚えることもしていない。雑談的な対話も、あえて取り入れようと考えていないという。

ウォンテッドリーのリードエンジニア 相川直視氏(右)と滝川真弘氏(左)

早く手を出す会社のほうが先に行ける

「地域」だけでチェックボックスが100個もありそうなイケてないUIの検索フォームに比べたら、チャットUIのほうが良いということはあるだろう。しかし果たして使われるほどの利便性が提供できるのだろうか? そもそもユーザーはどういう質問をするのだろうか? 今の段階で出しても、ユーザーはむしろガッカリしないだろうか? そういう質問に対して相川氏は、次のように語る。

「最初はガッカリさせることもあるかもしれません。でも、それを恐れていたら何もできませんよね。それにチャットだとクエリで検索できないことがどんどん入ってきます。チャットに早く手を出す会社のほうが先に行けると思います」(相川氏)

「チャットUIで何が出て来るのか、やってみないと分からないところがあります。アーリーアダプター層が、いろいろな質問を試してみるのかなと思っています」

Wantedlyで多い検索は、実は「在宅、未経験、リモート」だそうだ。これだと「なぜ在宅したいのか」という理由は、普通の検索窓では聞き出せない。

「検索クエリだと、ユーザーがどういう気持ちで検索してるか分からないんです。でも、チャットというUIは面白くて、ほんとに知りたいと思ってる文章を打ってくれます」

元Googleのエンジニアだった相川氏は、そもそも検索ボックスに空白区切りで複数の単語を入れるような人は少数派だと指摘する。多くの人は1つ単語を入れるだけで検索をする。

「それに、もしGoogleが生まれたときから検索が自然文だったら、本当に空白区切りで人々は検索したのかなと思います。ほとんどユーザーは1語で終わりで、2語を入れて検索する人はWantedlyでも数%しかいません」

なぜ「在宅」と検索しているのか、本当の理由は分からない

Wantedlyはもともと求人募集を出す企業に対して、給与や福利厚生を書くことを禁止している。それは条件よりもパッションで人を結びつけるところをやりたいからという。

「『町おこしの仕事がしたいけど、ワークライフバランスが崩れるようなことはしたくない』という質問が来たときに、ちょっと相反するようなこの問いかけに対して、『本当はどちらが大事なのですか?』と聞き返すような、今であれば転職エージェントがやっているようなことを徐々に実現していきたい」という。「仕事を探すのって、ほんとは単語で表せるわけじゃないですよね」

「例えば子どもができて仕事を辞めた主婦の方がいるとしますよね。アパレル系だったので、もう1度アパレル系の仕事がやりたいと質問があったとき、文章で返せるUIだと、『そういうのはないかもしれないけど、こういうのはどうですか?』という提案ができます。スタートアップ企業のカスタマーサポートの仕事なら電話対応なので自宅でやれますよ、とか」

「ですから、本当にやりたいのは回答として募集案件を返さないようなものです。あなたがやりたいことを教えてください、というようなチャットです。いまだと転職エージェントがヒアリングを通して求職者の本質的なニーズをつかみとってマッチングをしますが、頭の中にはクライアントが20〜30社しかないという状況があります。Wantedlyは会社情報とプロフィール情報は日本でいちばんあるはずなので、これを使っていきたいです。会社情報だけじゃなくて、どういう社員がいるかも分かるので相性マッチングすることも将来的にはやっていきたいですね」

Wantedlyの掲載案件数は3万件で、利用社数は1万5000を超えているという。

まずはクエリを蓄積して徐々に進化

チャットUIだと、通常の仕事探しサイトと異なるクエリが出て来る可能性があって、そうした面にも期待しているという。例えば「上司がいない会社」(フラットな組織)とか、逆に「強烈なリーダーのいる組織」とかだ。

こうしたクエリに、いきなり良い回答ができるわけではない。まだ始まったばかりのボットの進化は、どうもクエリを蓄積するところからスタートするということらしい。以下、実際にいろいろとぼくが質問を投げてみた結果を掲載しておく。なんだか、それなりに会話が成り立っているように思えるものも少なくない。

「Siriがどんどんクエリを蓄えましたよね。昔は答えられなかったことで、いま答えられるようになっているものがあるはずです」

これはぼくの推測だけど、Facebookも似たアプローチを取っているように見える。一部でベータ版提供を開始しているFacebookのコンシェルジュサービス「M」を先日試用してみたのだけど、あまりにもこちらの意図を正確に汲みとるし、返答も正しすぎるのだ。背後は明らかにボットではなく人間だった。賢すぎて拍子抜けした形だ。Facebookはユーザーが何を聞くかというクエリを集めている段階なのではないだろうか。ある程度の量が集まれば、類型化して、それを自動化する戦略が見えてくるだろう。そういう意味で、Wantedlyのボットもフタを開けてみてクエリをまず蓄積するのだ、という方向性は合理的に思える。

検索の精度はクエリの絶対量で決まる面もある。例えばBingが1カ月で集めるクエリ量をGoogleが1日で集められるとすると、ロングテールのマイナーな領域ではBingではクエリ量が少なすぎて精度が出ないが、Googleでは十分ということもある。ボット対応の競争がヨーイドンで始まっているのだから、当面はいかに多くのクエリをユーザーから引き出せるかが1つの焦点となっていくだろう。

そんなわけだからWantedlyが真っ先にボット提供に走りだしたのを見て、これで何か目の前の課題が解決されたと考えるのは早計だけれども、前のめりのスタートアップ企業としての注目の取り組みだと思う。

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リクルートテクノロジーズがブロックチェーン実証実験

05.23 01:00 TechCrunch Japan

実証実験の狙いは「Decentralized(非集権化)の経験を積む」ことだった。リクルートテクノロジーズのアドバンスドテクノロジーラボ(ATL)は、リクルートグループの本業といえる転職支援業務の一部をブロックチェーンに載せる想定に基づく実証実験を行った。実証実験には、ブロックチェーンを応用したデジタル著作物の権利管理サービスを提供するドイツascribeが協力した。この2016年1月から4月にかけて第一段階の実証実験を行い、内容を公表した(発表資料)。

今回の実証実験の目的はR&D部門による技術の検証で、同社の事業への展開については未定だ。だが、その実証実験の内容は「非集権化(decentralized)した転職支援サービス」とでも呼ぶべきものだ。同社は「履歴書公証データベース」と呼んでいる。

実証実験で構築したサービスでは、転職志望者が転職活動に必要な「履歴書」や「卒業証明書」、あるいは過去に在籍した企業の所属証明書などの書類を「履歴書公証データベース」に登録する。これらの書類の公開範囲を決めるのは転職志望者自身だ。例えば「A社の採用担当者が、自分の履歴書を決まった期間の間、閲覧できる」といった閲覧制限をかけることもできる。この枠組みにより、紙の書類を用いず、しかも機微性がある文書の公開範囲を自分でコントロールしつつ、各種の証明が可能となる。転職志望者側にとっては機微性がある書類の流出リスクを減らすことができ、採用側にとっては個人情報管理の負担を減らし、経歴詐称のリスクを回避することができる。

ブロックチェーン著作権管理サービスドイツascribeのと共同で実証実験

この履歴書公証データベースは、例えば「履歴書」本体はブロックチェーン外のデータベース(例えばIPFS)で管理し、ブロックチェーンには履歴書のハッシュ値だけを刻む。利用するブロックチェーンは、7年間の運用実績を持つビットコインのブロックチェーンだ。ブロックチェーンへのインタフェースとして、独ascribeが提供する著作権管理サービスの枠組みを利用した。

ascribeはドイツ、ベルリンに本拠地を置くスタートアップだ。リクルートテクノロジーズはドイツ・ベルリンに開発拠点を置き、イスラエルにも出向くなどして、R&Dで手を組むスタートアップ企業を探していたが、その過程でascribeと出会った。同社のプロダクトは、デジタル著作物(イラスト、写真など)のハッシュ値をブロックチェーンに刻み込んで真正性を保証する仕組みを中核とした著作権保護サービスで、4000人のクリエーターが利用中とのことだ。

「ブロックチェーン上のアプリケーションには独特の要件がある。アプリケーションを直接ブロックチェーン上に実装するのではなく、ascribe社のサービスを一種のミドルウェアとして活用した。例えばトランザクションが不成立だったときのリカバリーなどの機能は、ミドルウェアのような中間層があった方がいい」とリクルートテクノロジーズの中野猛氏(アドバンスドテクノロジーラボ ベルリン東京Project)は話す。

ascribe社のサービスにはない機能はリクルートテクノロジーズが作り込んだ。例えば、前述の履歴書の閲覧管理機能だ。公開対象となる人だけが履歴書などの書類を閲覧できるよう、スクランブルをかけて管理する。

このような機能を実装、動作を確認して実証実験の第一段階はひとまず終了している。その知見を踏まえて第2段階の実証実験の設計に取りかかっているところだ。今後の課題として、「より非集権化したアプリケーションの実装」などの課題が挙がっている。ブロックチェーンそのものは非集権化されたインフラといえるが、ブロックチェーンを活用するサービスが従来型の集中的なアーキテクチャで構築されている事例はまだまだ多い。今後はEthereumの活用形態として盛んに議論されている「Decentralizedされたアプリケーション」を試す可能性もあると中野氏は話している。

デセントラライズで破壊された後のビジネスモデルを模索

実証実験の狙いについて、もう少し聞いてみた。

「今回の実証実験の意味は、Decentralizedな技術の経験を積むことにある。ある意味、リクルートはcentralized(集権的)な企業だ。だが世の中がDecentralizedに向かう可能性があるなら、早い段階でそれを経験して技術的な知見を積んでおくことは必要だ」(前出の中野氏)。

今までのビジネスは、より多くのユーザー数を獲得したプレイヤーが強くなる。リクルートも、一つの企業に大量の情報を集約することで競争力を得て成功したプレイヤーの一社だ。今までの各種サービスの競争、プラットフォームの競争では一つの企業がいかに多くのユーザーを獲得するか、いかに多くの情報を集約するかが問われるcentralizedな世界観だった。

だが、ブロックチェーンに取り組むスタートアップの合い言葉は「Decentralized(非集権化)」だ。一つの事業主体、一つのプラットフォームが情報を独占するのではなく、P2Pネットワークにホスティングされたブロックチェーン上に刻んだ改ざんできず公開されている情報に基づいてビジネスを展開しようとする。情報の集約、独占によるCentralizedなやり方ではなく、Decentralizedをビジネスの根幹に据えようと考える人たちが出始めているのだ。

このようなスタートアップが勢いを持ってきたときには、情報の集約により競争力を発揮してきたリクルートグループに対して破壊的(Disruptive)なインパクトをもたらす可能性がある。そのような事態に先駆けて、自分たち自身がDecentralizedな知見を積むことが重要だと考えたのだ。R&D部門らしい発想と言える。

「ビッグデータ分析の分野でも、早い段階からHadoopの知見を蓄積していたことが今、役に立っている。遅れて始めるより、混沌としていても初期段階から始めた方がいい」(中野氏)。

リクルートテクノロジーズのアドバンスドテクノロジーラボの広報を担当する櫻井一貴氏は「リクルートは『自分自身の破壊を考えること』が生存戦略になっているところがあるから」と付け加えた。

ブロックチェーンに可能性を見いだしている人たちの多くが、「Decentralizedされた未来」を見ている。次の大きな破壊の波は、ここから始まるのかもしれない。

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Instagramのアナリティクスツールでデータ分析が可能に

05.24 12:07 TechCrunch Japan

Instagramが、同社のプラットフォームを利用する企業やブランド向けに新しいツールを発表する準備をしている。企業のプロフィールや問い合わせボタン、地図などへのアクセス機能に加え、ポスト関連の数値や広告経由の購買実績などを計測する分析ツールだ。リリース前テストを行った誰かから情報のリークがあったおかげで、Instagramの分析ツールが実際にどのような内容なのかを見ることができた。

新しい分析機能の詳細については、一番始めにInstagramの予約投稿機能についてLater.comのブログに投稿された。このブログは、発表間近の企業プロフィール機能の画像を暴露したのを同じサイトだ。

しかしながら、これらのスクリーンショットは、Instagramのユーザーインターフェースが青と白のデザインから白黒に変わったUI変更よりも前に撮影されている。つまり、この機能が広くローンチする時には、このスクリーンショットから見た目が少し変わっているかもしれない。しかし内容はそこまで大きくは変わらないだろう。

スクリーンショットから分かるのは、Instagramの分析ツールは「インサイト」と呼ばれるものを提供してくれるようだ。そして、フォロワーの属性とポスト分析といった2つの大きなエリアにフォーカスしているということだ。

フォロワー分析のセクションでは、フォロワーの位置情報や年齢、性別などを含む詳細な属性を見ることができる。位置情報は国別、都市別で見ることができ、メジャーブランドから小さなローカルビジネスに至るまで有意義なデータとなる。ユーザーの大半がどの地域にいるのか知ることで、投稿するタイミングを決めやすくなる。しかしながらInstagramの新しいタイムライン表示アルゴリズムで、表示方法は時系列ではなくパーソナライズされた順序になるので、あまりこの役目は意味がないのだが。

このアップデート後のタイムラインは、多くのユーザーがすでに利用しているという話も聞いているが、Instagramによるとまだ徐々に公開範囲を広げている段階のようだ。

性別や年齢のような詳細なデータを円グラフや棒グラフで見られることに加えて、フォロワー分析のセクションでは時間別、日別での新規フォロワー数の推移も見ることが出来る。これにより、例えばどのポストがフォロワー数増加にピンポイントで効果があったのかや、どのポストが広く拡散されたか、などを知ることができる。

ポスト分析のセクションでは、投稿の内容とそのパフォーマンスにフォーカスしている。想像できるだろうが、ここではインプレッション数やリーチ数、ウェブサイトのクリック数などフォロワーの行動を見ることができる。インプレッション数は投稿が計何回閲覧されたかの数字で、リーチ数はその投稿を見たユニークユーザーの数といった具合だ。ウェブサイトのクリック数はプロフィールに載せてあるリンクをどれだけの人がクリックしたか、という数字で、企業のアカウントだと多くの場合はその会社のウェブサイトへのクリック数ということになるだろう。

「フォロワーアクティビティ」ではフォロワーが最も良くInstagramを使う時間帯を表示してくれるので、投稿するタイミングを決める時に役立つ。

別のパートでは、過去の週や月ごとにインプレッションの多い順にポストを見ることができる。ここは特に面白い。なぜなら、これがシンプルなチャートではなく、ポストのサムネイル画像の上にインプレッション数がそのまま表示されているからだ。これにより、どのポストがよかったのかを計測できるだけでなく、全ての画像を一度に見ることで実際にどんな内容のポストがよかったのかを視覚的に見ることができる。

また、これによりそのポストの長期的なパフォーマンスも見ていくことができる。つまり、フォロワーやそれ以外のユーザーは一度戻って昔のポストも見直したのか、それとも最近の新しい投稿だけを見ているのか、ということだ。

私たちは、Instagramが企業プロフィールの開発と同様に分析ツールの開発も行っていることを知っていた。しかし実際にどのような項目が見られるのか、どういった動きになるのか、というのは今まで見たことがなかった。

数ヶ月以内と言われているInstagramの分析ツール正式ローンチによって、企業や広告主に対して提供する機能という点でInstagramがFacebookに近づいていくのが分かるだろう。

同社は最近になって動画の閲覧数カウントや長時間動画(例えば60秒動画など)の広告分野に力を入れている。これらの機能は、広告主がデジタルに移行していく中で、TV広告に費やされる広告予算を4億人のユーザーを持つInstagramのプラットフォームに移管することを目的としている。

しかしながらInstagramには、企業、言い換えれば将来の広告主が、Instagram上で会社情報などをシェアする公式アカウントとして利用したり、ツールを使ってフォロワーや投稿内容、リーチや伸び率などを分析するなどの分野で、サポートが足りていなかった。しかしそれも近い将来変わるだろう。

Instagramはこの新しい分析ツールを現在利用できるようになったユーザーは全体の何%かといったことは開示しなかったが、分析ツールの存在については認めた。「私たちは、数ヶ月以内にInstagramに登場する新しいビジネスツールをテスト中です」とInstagramの広報担当者は話した。

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(翻訳:Kana Shiina)

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