世界の富裕層がどんなことに関心を持ち、どんな趣味を持っているのか――。世界と日本の富裕層をそれぞれ対象にした調査から、趣味や関心事のランキング上位について見ていきましょう。
世界の富裕層の趣味・関心事トップ7
世界の超富裕層の趣味・関心事については、調査会社ウェルスXがまとめています。対象は3,000万米ドル以上、日本円で33億円以上の資産を持つ超富裕層です。これによると首位は「ビジネス」という、誰もが首肯せざるを得ない結果となりました。上位7位までは以下の通りです(複数回答)。
1位 ビジネス (56.9%)
2位 慈善活動、社会奉仕 (38.6%)
3位 スポーツ (33.0%)
4位 金融 (28.3%)
5位 教育 (17.8%)
6位 アウトドア (17.3%)
7位 話術、演説 (15.2%)
中でも7位の「話術」は、なかなか日本では耳慣れないかもしれません。富裕層には経営者や名士など社会的に地位が高いとされる人も多いことから、人前に立って話す機会が多いということでしょう。
この調査は年齢別にもまとまっていて、40歳以下では「スポーツ(50.4%)」「旅行(22.0%)」「音楽(19.3%)」も人気の趣味である一方、70歳以上では「芸術(20.7%)」が支持されています。
男女別の結果では、男性にとって最大の関心事である「ビジネス」が、女性では2位でした。それでは女性の首位は何かというと「慈善活動、社会奉仕」でした。これは男性でも2位に入っています。
男性に比べて女性のほうが社会貢献に関心が高いともいえますが、男女いずれも1位・2位にビジネスと慈善活動、社会奉仕が入ったわけですから、富裕層は男女問わずこれらに強い関心を持つ傾向があるということでしょう。
なお3位の「スポーツ」を競技別にみますと、超富裕層に最も人気のスポーツはやはり「ゴルフ」という結果でした。
1位 ゴルフ 26.6%
2位 サッカー 15.3%
3位 スキー 14.1%
4位 テニス 11.6%
5位 バスケットボール 8.1%
日本の富裕層の趣味は?上位の7つを紹介
日本の富裕層の関心事を見ていきましょう。少し古いデータではありますが、財団法人ハハイライフ研究所がまとめた『富裕層のライフスタイル研究報告書』(2005年)によれば、世帯年収3,000~5,000万円の方を対象としたアンケートで、8割超の方が「旅行」を挙げています。
1位 旅行 (80.3%)
2位 自己実現のための勉強・学習 (57.3%)
3位 仕事のための勉強・学習 (55.5%)
4位 飲食(食べ歩き、ワイン、調理) (54.0%)
5位 健康維持(ジム、医薬品、医療)(50.5%)
6位 住居(家具、インテリア、造園、リフォーム)(45.8%)
7位 コンサート、観劇、スポーツ観戦など(40.0%)
この調査は「お金と時間の使い方」に関するアンケートであって、上で紹介した世界の富裕層とはまったく別の調査ですから、単純に比較はできません。
あくまでこの調査のみからですが、半数以上の人が「自己実現のための勉強・学習」「仕事のための勉強・学習」をともに時間の使い方として挙げています。富裕層は学習意欲が高い傾向にあるといってよさそうです。
余暇時間を勉学に充てることで、さらに事業や専門分野で成果を上げることができ、高い報酬を得ることができる……という好循環ができている人も多いかもしれません。
実益を兼ねない、純粋な趣味といえる項目としては「飲食」「住居」「コンサート、観劇、スポーツ観戦など」が支持されています。
意外にも関心度が低かったものが「美術品・骨董」(12.8%)のコレクション。また調査年度の差もありますが、近年、世界の富裕層の関心が高まっている「社会貢献(地域活動、ボランティア)」(24.0%)についてもやや関心度は低いようです。
近年、ふるさと納税による寄付や、クラウドファンディングの知名度向上、認定NPO法人などへの寄付による寄付金控除の存在が浸透しつつあることから、寄付による社会貢献を行っている人も徐々に増加しています。
日本ファンドレイジング協会「寄付白書2017」によれば、2009年には34.0%であった日本人の寄付者率は、2016年には45.4%に向上しています。日本の富裕層も海外の富裕層と同様に、寄付をする人、活動の支援をする人が増えているようです。
多忙すぎて時間が取れない日本の医師が趣味にしていること
日経ビジネス(2012年12月10日号)によれば、日本の富裕層のうち、「経営者」に次いで多い職業が「医師・歯科医師」だそうです。
ただ富裕層の中でも、医師・歯科医師の消費行動は、一般的にイメージされる「富裕層」とは少し異なっているようです。
というのも、医師は学会をはじめ同業者との付き合いが多く、また本業においても多忙なため、趣味やレジャーに費やす時間はなかなか取れない傾向にあるからです。そのためか、まとまった時間を必要とするスポーツや習い事よりも、趣味と実益を兼ね、日常的に使用できるファッション小物のコレクションや、ドライブを趣味としている人が比較的多いのかもしれません。(狩野詔子、中小企業診断士 / d.folio)