cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_f6c6c2ff5c75_トム・ブラウンに高校生YOSHIが聞く“デザイナーへの道” f6c6c2ff5c75 0

トム・ブラウンに高校生YOSHIが聞く“デザイナーへの道”

2018年5月2日 13:12 WWDジャパン

 「トム ブラウン(THOM BROWNE)」はこのほど、日本版の公式インスタグラム(@thombrownejp)をスタートした。伊勢丹新宿本店本館のポップアップイベントのため2年半ぶりに来日したトム・ブラウン=デザイナーに、この春高校生になったばかりのインフルエンサー、YOSHIが直撃。お馴染みのトリコロールがポイントの「トム ブラウン」のスエットを着用しながら、インスタグラムのこと、デザイナーのこと、トムの高校生時代のことなど、素直な疑問をぶつけた。寡黙でシャイな人柄で知られるトムに、高校生インフルエンサーはどう切り込む?

YOSHI:インスタグラムでは何を発信していきたい?

トム・ブラウン(以下、トム):特別でクレイジーなものはすべて載せるよ。

YOSHI:僕もデザイナーになりたいんだけど、デザイナーになるにはどうしたらいい?

トム:一番大事なことはまず洋服の作り方を学ぶこと。基本の基本だけどまずはそこかな。それは有名になってお金をもらえるとか、インスタグラマーになるとか華やかなことばかりじゃない。まずは洋服をきちんと作る基礎を勉強しなさい。

YOSHI:トムはどんな高校生だった?

トム:YOSHIほど、クールじゃなかったよ(笑)。

YOSHI:当時はどんな服装だった?

トム:随分昔だからブランドにアクセスする方法があまりなかった。みんなが注目するブランドって「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」しかなかったしね。

YOSHI:僕がデザイナーになったらコラボしてくれる?

トム:まずはいいデザイナーにならなきゃいけないよ。

YOSHI:頑張ります!

トム:Good luck!

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cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_55d974e3a5e5_「バレンシアガ」の人気スニーカーを巡り乱闘  55d974e3a5e5 0

「バレンシアガ」の人気スニーカーを巡り乱闘 

2018年5月1日 17:13 WWDジャパン

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、パリのプランタン(Printemps)の店舗で4月25日朝に起きた同ブランドの人気スニーカー“トリプル S(TRIPLE S)”のために並んだ買い物客を巻き込んだ乱闘について、中国人客に対して人種差別的対応だという批判を受けて謝罪した。

 SNSユーザーがアップした動画によれば、乱闘はフランス人買い物客が既に並んでいた中国人買い物客を無視して店舗に入ろうとしたことがきっかけで起きた。動画をアップしたユーザーは「中国人を差別した『バレンシアガ』をボイコットしろ。並んでも横入りされる。『バレンシアガ』のスニーカーは中国人客が買わなくなったら売れなくなるだろう。これからは中国ブランド『リーニン(LI-NING)』を買おう」とコメントしている。

 乱闘の目撃者は、「横入りされた中国人女性買い物客は毎日同店舗に並んでいた人物で、横入りしたアルバニア系フランス人客に毎日のように横入りされていたが、何も告発などはしてこなかった。だが今日、彼女が5人のグループが横入りしたことを指摘したところ、グループの内の1人が彼女を脅した。彼女を守ろうとして駆け寄った彼女の息子を、グループが殴って乱闘が起きた。フランス人警備員は乱闘が起きてから中国人を拘束するためだけに出動。その日の販売はキャンセルされた。しかも特に不愉快なのは、最初に殴ったグループはスニーカーを買うことができたが、プランタンの従業員はわれわれ中国人客には立ち去るように命じ、もう2度と買いに来るなと言ったことだ」とSNSで状況を説明した。「バレンシアガ」とプランタンのインスタグラムの投稿には非難のコメントが数多く寄せられている。

 これに対し、「バレンシアガ」は26日に「昨日パリの百貨店で、顧客が並んでいるときに起きた乱闘について深く反省しています。警備スタッフの行動はことを静めるためのものでした。そこにいた皆様に深く謝罪します。全ての顧客に平等に接することを再確認します」と英語と中国語でツイッターに謝罪文を掲載した。

 また、プランタンも同日に中国のSNSを通じて謝罪。「昨日プランタンで起きた乱闘ことについて深く反省します。本来あるべき顧客対応とは全く矛盾した対応でした。乱闘に巻き込まれた中国人買い物客の皆様、そして今回の件で憤りを感じた方、ご不便をおかけした皆様に深くお詫びします。このような状況でも対処できるよう、スタッフには追加研修を命じました。このような乱闘が2度と起こらないように努めます」とコメントした。

 今回の乱闘についてコンサルタント会社L2のリズ・フローラ(Liz Flora)=アジア太平洋地域エディターは、転売またはリセール市場が拡大していることが背景にあるとし、「列には多くの代理購入業者が並んでいた。これは中国と他国間の商品の価格差がいかに市場に影響するかを示している。『バレンシアガ』の商品は今非常に人気が高く、需要も非常に大きい。この事件は、多くのブランドが国家間の価格差について再考する機会になるだろう」と分析する。

 「シャネル(CHANEL)」など国家間の商品の価格差を是正しようとしているブランドもあるが、輸入税、ブランドイメージ、為替などにより国によって30〜40%の価格差が見られることは珍しくない。

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cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_ade837976efb_着用アイテムが売れまくる、韓流アイドルの空港パパラッチ ade837976efb 0

着用アイテムが売れまくる、韓流アイドルの空港パパラッチ

2018年5月1日 14:44 WWDジャパン

 韓国で人気の「空港ファッション」をご存知だろうか。アイドルや俳優など韓流スターを空港で撮ったパパラッチフォトのことで、リアルクローズのお手本として絶大な人気がある。日本のヤフーに相当する韓国の検索サイト、ネイバー(NAVER)には写真をまとめるネイバーフォトというサービスがあり、そのカテゴリー内にも「空港ファッション」が入っている。あらゆるメディアが撮影したスターの私服写真が集められており、注目している人が多いのだ。そのためスターたちも撮られることは了承済み。服もヘアもばっちりとキメて現れ、カメラに向かって笑顔でポーズを決めている。マスクにキャップをかぶり、顔を隠しながら出てくる日本のアイドルと比べれば“パパラッチ”というよりイベント写真のようだ。

 参考にするといっても、雑誌と違いクレジットはない。しかしSNS上で検索すれば、あっという間にどこのブランドか知ることができるだろう。インスタグラムでは「空港ファッション」の韓国語ハッシュタグをつけた写真が25万件以上も投稿されているが、さまざまなアカウントがパパラッチフォトを使用し、出回って数日以内にはブランドの特定を済ませている。着用したすべてのアイテムを特定するアカウントは少ないが、数投稿見て回れば大体のアイテムはどこのものか知ることができた。例えば仁川国際空港で撮られた少女時代のユナの写真は、ブランドのみならず服の値段、撮影場所、日にちまで詳細に記載されている。


着用ブランドを特定するインスタグラム、スタイル アンド スターの公式アカウント(@styleandstar)から。少女時代のユナ

 空港に現れるアイドルには飛行機に乗ってきたとは思えないほど整った服装の人も多いので、撮られる意識を持っていることはファンも理解している。それでも大半のファンは私服を着ていると思って見ているのだが、韓国ファッションビジネスに精通した人物によれば、実はブランドが提供する服、つまり衣装がほとんどだという。着用を依頼する金額は5万円程度と広告費としては格安で、有名ブランドである必要もない。ファンが広告だと気がつかないのは、1ブランドが全身の衣装すべてを提供しているわけではなく、私物など他ブランドのアイテムと掛け合わせているからだ。

 また、写真は事務所の承諾なしに掲載することができるため、空港にはウェブサイトに写真をアップして稼ぐカメラマンが300人も待機しているという。この写真がSNSで拡散されて反響を呼ぶわけだが、中にはアイドルの着用によって1アイテムが1週間で400万円も売れたブランドもあるという。まさに“コリアン・ドリーム”だ。

 もちろんテレビでもライブでも、韓流スターが着用したものは人気が出るものだ。しかし、さまざまなブランドを掛け合わせ、街中でも浮かないリアルクローズである「空港ファッション」は、単なる憧れに終わらず購買意欲をそそるのではないだろうか。アイドルファンのみならず、韓国のネクストトレンドを追いかけたければ要注目だ。

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cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_967710655872_気鋭デザイナーのキコが敬愛する日本の“レジェンド”とは 967710655872 0

気鋭デザイナーのキコが敬愛する日本の“レジェンド”とは

2018年5月1日 14:34 WWDジャパン

 ロンドンを拠点に活動するキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)は、今最も勢いのある若手デザイナーの一人だ。“オタク”気質なデザイン背景と、それらをワークやテーラードといった普遍的要素と融合させるバランス感覚に優れており、モードやストリートといったカテゴリーに収まらない無二の存在感を放っている。

 セント・マーチン美術大学在学中からその高いポテンシャルに注目が集まり、卒業コレクションで「ステューシー(STUSSY)」とのコラボレーションを実現させた。16年に自身の名を冠した「キコ コスタディノフ」を立ち上げてからも、「アシックス(ASICS)」や「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」という歴史ある企業との協業を続けている。2月には「アシックス」とのコラボレーションモデルの第2弾が東京で発売されて即完売。ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)では同モデルをイメージしたインスタレーションが行われ、本人も来日して話題となった。

 そんな気鋭デザイナーは「アシックス」とのコラボレーションをはじめ、現在は休刊している日本のメンズ誌「ヒュージ(HUgE)」(講談社)が好きだったり、2018-19年秋冬シーズンのランウエイショーにヘアメイクアップ・アーティストの加茂克也を起用したりと、日本との縁が深い。シャイな性格で知られているが、「アシックス」の工場を初めて訪れたことや加茂との出会いについて多弁になる姿から、日本への強い思いや仕事の充実ぶりが感じられた。

WWD:2018年春夏シーズンのランウエイショーに「アシックス」のシューズを使用していたが、コレクションのイメージをシューズにどう反映させた?

キコ・コスタディノフ(以下、キコ):18年春夏は「Manhunter」と「Lost Highway」という2つの映画から着想を得ました。作品に共通する冷たくて不吉な感じをシューズで表現するために、まずはカラーリングにこだわりました。さらにクリーンなフィルムを施したり、合成皮のPUレザーを使用したりして、ディテールでコレクションのイメージに近づけています。

WWD:デザインの特徴は?

キコ: 「アシックス」には250足以上の型があるので、まずは新しいシルエットを探すところからスタートしました。そして“ゲル ニンバス20(GEL-NIMBUS 20)”と“ゲル ベンチャー6(GEL-VENTURE 6)”というパフォーマンスタイプのモデルを組み合わせることにしたんです。“ゲル ニンバス20”の外側に付いているジェルのデザインが好きで、トレイルシューズ“ゲルベンチャー6”の分厚い素材のアッパーと融合させました。

WWD:服のデザイナーがシューズをデザインする難しさは?

キコ:特に難しいと感じたことはありません。セント・マーチン美術大学の卒業コレクションで「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」のシューズをコンペも兼ねて作って以降、何度もシューズはデザインしています。「アシックス」には工場があり技術者もいるので、彼らと協力してモノ作りができました。

WWD:スポーツブランドのイメージが強い「アシックス」にファッションの要素をどう加えた?

キコ:「アシックス」はファッションブランドではありませんが、今はファッション業界でも履いている人はたくさんいます。だから無理にファッション感の強いデザインにする必要はありませんでした。既存の「アシックス」のファンにも気に入ってもらえるように、ミニマルに仕上げました。僕は学生時代からずっと好きだったので、2度目の協業を終えた今でも夢が実現したような感覚で、本当にうれしいんです。

WWD:契約は今後も続く?

キコ:18-19年秋冬シーズンも続きます。シーズンごとに契約を結ぶので今後何年続くかはわかりませんが、今回のシューズも即完売したみたいだし、続くといいですね。

WWD:インスタグラムで兵庫・神戸にあるアシックス本社の様子を撮影した動画を多数アップしていたが、最も印象的だったことは?

キコ:2日間かけて本社とスポーツ工学研究所を巡り、とても楽しい体験でした。「アシックス」は世界では珍しく、ラバーのソールを原料から作っています。そんな最先端のテクノロジーが見られたり、企業秘密の場所もあったりして、まるで「ナサ(NASA)」みたいな感じ。それと普段メールでやりとりしているチームに会いに行けたことはとても貴重でした。彼らが誇りを持って仕事に取り組んでいる実際に見て、多くのことを学びました。

WWD:今回のシューズを使ったインスタレーションや18-19年秋冬のランウエイショーのヘアメイクは加茂克也が担当していたが、彼との出会いは?

キコ:ジュンスケ(山崎潤祐「フリーマガジン(FREE MAGAZINE)」編集長)を介して知り合いました。2年前に来日して「ゼム マガジン(THEM MAGAZINE)」で「キコ コスタディノフ」のファーストコレクションを撮影した際にヘッドピースを担当してもらいました。加茂さんはレジェンドです。「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」や「アンダーカバー(UNDERCOVER)」のショーも見ていたし、いつかショーでお願いしたいと思っていました。そして1月のロンドンメンズでついに実現したんです。

WWD:メンズの金髪ヘアがとても印象的だった。

キコ:メンズのヘアスタイルは映画「Fitzcarraldo」から着想を得ています。主演のクラウス・キンスキー(Klaus Kinski)のブロンドヘアが印象的だったので、ロンドンでウィッグを手に入れて、加茂さんが東京でアレンジしてくれました。

WWD:東京のインスタレーションでリクエストしたことは?

キコ:彼はアーティストだから、あまりこちらからお願いすることはありません。18年春夏シーズンのショーを見てもらい、「アシックス」のシューズに使われているジェルをモデルに塗るなど、加茂流にアレンジしてもらっただけです。彼の仕事はすべて素晴らしいから、僕たちもサプライズを楽しみにしているんです。

WWD:日本で何か発見はあったか?

キコ:良い本屋を見つけたのと、これから「タカヒロミヤシタザロソイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」と「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の展示会に行きます。それと日本の食べ物はいつもおいしいので、寿司やお好み焼き、ローカルからメジャーまで、毎回違う食べ物を試しました。神戸で食べた神戸牛と黒ゴマのアイスは本当に最高でした!

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cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_e53cc1136dd0_編集長・中島敏子による「ギンザ」ラストイシューを語る e53cc1136dd0 0

編集長・中島敏子による「ギンザ」ラストイシューを語る

2018年5月1日 14:31 WWDジャパン

 雑誌「ギンザ(GINZA)」は、現在発売中の2018年5月号をもって編集長が交代します。11年5月号から7年間、同誌をリードした中島敏子・前編集長の暴れん坊っぷりは同業者から見ても記録に残すべしと思うので、ここで触れておきたいと思います。

 暴れん坊の意味は、撮影現場で声を荒げるとか、編集部で校正紙が宙を飛ぶとか、酒の席で大騒ぎするといったひと昔前の雑誌界隈で聞かれた類の話ではなく、ご本人のキャラクターはむしろ逆。話し方は終始穏やかで、動きはむしろスロー。スローと言ってものんびりではなく、空手の黒帯というプロフィールからか、忍者のごとく気配を消すのがうまいからそう見えると私は分析しています。ファッション誌の編集長の多くは編集部や広告部のスタッフと連れ立って行動しますが、同編集長はひとりで展示会を訪れ、静かに商品を見ている姿をよく見かけました。

 では何が暴れん坊かというと、それは業界の“常識”を覆してきたという意味です。ファッション誌のビジネスは、販売売り上げと広告売り上げで成り立っているから、広告クライアントとの関係性はとても重要です。ですが、ともすれば広告に傾斜して、編集者の視点がぼやけることも事実。その中で、彼女は一貫して、編集視点ファーストを貫いていました。広告出稿側からすれば、商品をアピールしたくて出稿したのに、例えば商品がクリアに見えない写真があがってきたら、ガッカリするのも当然。ただ、カタログのように商品がはっきり見えることよりも、ブランドと雑誌の世界観が化学反応を起こすことの方が結果的には読者のハートに届きアピールにつながることも事実で、それこそ雑誌のだいご味です。

 また、ファッション誌なのに文字量が多い上に締め切りは常にギリギリだから、ライターや校正者泣かせでも有名でした。とことんコンテンツ重視で、“もう、これでいいか”といった諦めの判断がないから、一緒に仕事をするメンバーは日に日に肝が据わっていったと聞きます。そんな関係者泣かせの一面もあったようですが、こだわりを貫くことで、クライアントや読者の理解力を育てたと言ったらほめすぎでしょうか?

 中島編集長によるラストイシューのテーマは“WHAT IS INTELLIGENCE~「知的な服」ってなんだろう”。ツボはいくつもありますが5つに絞ると、1.黒い服にフォーカスした巻頭撮影ページの扉がウィメンズではなく堀内太郎デザイナーが立ち上げたメンズ「ティーエイチ」の、さらには服でもなくスツールの写真であること 2.同撮影ページの中でラグジュアリーと並び新進ブランド「カイダン エディションズ(KWAIDAN EDITIONS)」を1ページで取り上げていること 3.知性の表裏一体の“ユーモア”が随所に盛り込まれていること(P.221の「知的フェイスを作る4TIPS」はほぼブラックジョーク)  4.巻頭連載「タマンサの部屋」でのぞく同編集長の本音 5.巻末連載「岡村靖幸 結婚への道」の文末で岡村さんと並んで自身も大きな花束をもって写真に収まっていること(ベタ……)です。

 彼女はずっと対話をしていた、と思います。取材対象とも、読者とも、世間とも。声にならない対話も含めて、問いかけ、聞き取り、それを文字や写真にしてきた。とてもジャーナリスティックな姿勢です。パリコレでショーの始まりを待つ間、時々おしゃべりをしましたが、そんな時もどこか獲物を狙うハンターの姿勢をのぞかせてくるから、対話は刺激的でした。

 「ギンザ」の発行部数は、同編集長が就任後数年間の右肩上がりの勢いがここ数年は落ち着き、発行部数もピーク時より下がっていたようです。それはこのご時世でご多分にもれず。だからこそ太いファンに向かって濃い情報を届けることに注力していたのでしょう。そのコンテンツ力が今後、紙、デジタル、リアルなどどの媒体で発揮されるのか気になります。

 これまで「ギンザ」で編集部キャップを務めてきた河田紗弥・新編集長による「ギンザ」第1号は来月発売。彼女もまた、ファッションやカルチャーを愛し、マガジンハウスらしい深いこだわりを持った編集長のようなので、雑誌ラバーのひとりとしてそのお披露目を楽しみに待ちたいと思います。

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cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_0dc6868e8676_スティーブン アランが事業縮小 米国内23店舗を6店舗に 0dc6868e8676 0

スティーブン アランが事業縮小 米国内23店舗を6店舗に

2018年5月1日 14:29 WWDジャパン

 ニューヨーク発のセレクトショップ、スティーブン アラン(STEVEN ALAN)の事業縮小が止まらない。全盛期には米国内には23店舗と185人以上の従業員を抱えていたが、現在は6店舗で約20人に削減した。さらにニューヨークとロサンゼルスにあったショールームも閉鎖し、アイウエアのライセンスも終了した。

 これについて創業者のスティーブン・アランは、「縮小してはいるが、会社を終了するわけではない。多くの店舗を閉店し、これからも閉店するが事業の継続を望んでいる」と説明した。アラン創業者は4月25日に従業員に会社の状況を説明し、雇用継続の保証はできないことを告げた。今後は卸業からも撤退し、ニューヨークにある工場では残っている店舗のために生産する。

 2015年4月に投資銀行のフィナンコ(FINANCO)と契約しバッカーを探していたが、実現には至らなかった。

 店舗ではオリジナルブランド比率が25%に過ぎず、それが問題だったという。また、同ブランドの公式ECサイトは技術的問題を抱えており、「これを修正しようとすると膨大な費用がかかった。店舗の在庫をECサイト上で売ることができず、結果的に大幅な値下げが行われた。八方塞がりだった」とアランは語る。

 しかし、アランは「長年にわたって何らかの悪い決断をしたことを自覚しており、回復するのは難しい。だが心から生き残りを望んでいる」と語った。

 「スティーブン アラン」は1994年に創業。セレクトショップの運営の他、同名のオリジナルブランドのウィメンズ、メンズ商品を生産していた。現在はニューヨークのトライベッカ、チェルシー、ブルックリン、アッパーウエストサイドとボストン、アトランタに店舗を構える。

 なお、日本ではユナイテッドアローズが提携しており、現在「スティーブン アラン」5店を運営する。

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インスタ発ブランド「ファッション ノヴァ」って?

2018年5月1日 14:25 WWDジャパン

 「ファッション ノヴァ(FASHION NOVA)」というブランドをご存じだろうか。グーグル(GOOGLE)が発表した「2017年にグーグルで最も検索されたブランドランキング」で、「グッチ(GUCCI)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「シュプリーム(SUPREME)」に次いで4位にランクインし、「シャネル(CHANEL)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ディオール(DIOR)」など誰でも知っているインターナショナルブランドをしのいだブランドだ。華やかなランウエイショーを披露することもなく、ファッション雑誌に登場したこともない同ブランドが、どうやってこのランキングに選ばれたのか?

 大きなバストとヒップに細いウエストの女性を魅了し、インスタグラムで1150万フォロワーを抱える「ファッション ノヴァ」を、何も知らないままに一言でいうとしたら“メリハリボディーに憧れる人のためのインスタブランド”だろう。だが、「ファッション ノヴァ」はそれ以上の存在のようだ。メディアの露出を避け続けてきた創業者、リチャード・サギアン(Richard Saghian)が、米「WWD」のインタビューに応じ、これまでブランドを取り巻いてきた全ての疑問に答えた。

 「ファッション ノヴァ」の本社は、ロサンゼルスのダウンタウン近くの工業地域にある無機質な建物だ。スタートアップ企業にありがちないわゆる“キラキラ感”はないが、ディスコボールに光沢感のあるソファ、フリーテイクの食べ物もあるアットホームなオフィスだ。インタビューのために会議室に現れたサギアンは、Tシャツの上にデニムシャツ、ジーンズと、トレンド感はないがリラックスした服装で、ゴールドを差し色にしたブラックの腕時計は高価そうだが、成金ぽくはない。残念ながら撮影はNGだったが、まだ顔に幼さが残るイラン系アメリカ人だ。

WWD:これまでメディアにほとんど露出してこなかったあなたが、なぜ今回インタビューに応じたのか?

リチャード・サギアン(以下、サギアン):人員採用のため。「WWD」を読んでいる人はまず「ファッション ノヴァ」を知らないと思うからね。社員の年齢層は低く、大学を卒業したばかりの社員がほとんどだ。競合企業に引き抜かれることもあるが、チームを守り、育てたいと考えている。それこそが成功し続ける鍵だからね。僕は最高経営責任者であり、最高財務責任者で、同時にチーフ・マーケティング・オフィサーでもある。このままビジネスをやめてもいい生活を送れるけど、ビジネスを拡大したいんだ。そのために助けがいる。ちなみに今は20ほどの職種で人員を募集しているよ。

WWD:まず、「ファッション ノヴァ」を立ち上げたきっかけは?

サギアン:父がウィメンズウエアのショップを経営していたことが影響していると思う。夏の間は父の店で働き、顧客に価値を提供することを学んだ。僕なりのやり方で、父と同じようなビジネスがしたかった。2006年にカリフォルニア州・パノラマにあるパノラマモール(Panorama Mall)に1号店をオープンしたよ。

WWD:そこからECサイトの立ち上げに至った理由は?

サギアン:僕が店で取り扱っている商品と同じ商品を、もっと高い価格帯で売っているECサイトを見つけたことがきっかけでECサイトをオープンすることを考え始めた。だが、ただECサイトを立ち上げるだけではだめで、そこに集客する動線がないといけない。それでインスタグラムを動線の入り口にするため、店のベストセラー商品をモデルに着せてインスタグラムにアップし始めたんだ。ECサイトを立ち上げる前のフォロワー数は6万ほど。13年に満を持してECサイトを立ち上げたけど、できるだけ先に延ばしかった。本当にこの方法がうまくいくかどうかわからなかったからね。でも、立ち上げから1週間で全商品が売り切れたよ。

WWD:生産から販売まではどのように行っている?

サギアン:デザインチームとバイイングチームは1000以上のメーカーと仕事している。サマーシーズンは生産の80%をロサンゼルスで行い、寒い時期は生産の80%を米国外で行っている。われわれが競合他社よりも速く生産できるのは、ロサンゼルスのメーカーと提携することにより、サンプルができて24時間以内に届け、その後48時間以内にはモデルに着せて撮影の準備ができている状態だからなんだ。商品のアイデアが完成して1、2週間以内には販売される。モデルは月曜から金曜日までの週5日は社内にいて、その週に発売する600着ほどを撮影する。そうしたら写真を新着商品として掲載して完了だ。掲載の時は、長ったらしい製造ナンバーとかじゃなくて、“Netflix and Chill Set”みたいな探しやすい名前をつけるように気をつけている。たいていの商品は50ドル(約5300円)以下で販売している。顧客がログインした時に新着商品があれば通知が行く仕組みになっていて、たいていは数日間、速いものは数時間で売り切れる。その売れ具合によって再入荷する。米国内だったら2日以内に届け、ロサンゼルスから65km圏内だったら午後1時までの注文は同日中に届けている。それをひたすら繰り返しているんだ。ファストファッションよりもサイクルが速い、いわば“ウルトラファストファッション”だね。たくさんの種類を用意することが重要だと考えている。顧客はSNSにたくさん投稿しなくちゃいけないから新しい服が必要なんだ。それに、クラブで同じ服を着た人に会うのって最悪だろ?デニムジャケットだったら50種類は必要なんだ。1種類だけじゃなくてね。

WWD:「ファッション ノヴァ」で特に人気の商品は?

サギアン:アメリカ製のストレッチデニムを使った35ドル(約3745円)のジーンズだ。カーディ・B(Cardi B)やカイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)のようなグラマラスなお尻にフィットする。かつてこのジーンズを着用していたクロエ・カーダシアン(Khloe Kardashian)は自身のブランド「グッド アメリカン(GOOD AMERICAN)」で、150ドル(約1万6000円)で同じようなスタイルのジーンズを発売しているし、ララ・アンソニー(La La Anthony)も自身のブランドで90ドル(約9600円)で似たスタイルのジーンズを作っている。だけど、個人的にはべつに構わないと思っているよ。顧客にとってたくさん選択肢があったほうがいいからね。

WWD:競合相手でもある英ファッションECサイト「ブーフー(boohoo)」は、インスタグラムのフォロワー数は310万、17年の売上高は2億9464万ポンド(約444億円)だが、「ファッション ノヴァ」はどうか?

サギアン:インスタグラムのフォロワー数は1150万。売上高は明かせない。利益も数字は明かせないが、17年は前年比7倍増で成長した。

WWD:今は非上場企業だが、外部から資金を調達する予定は?

サギアン:今のところない。競合企業のほとんどは利益確保にやっきになっているが、今そこに集中する必要はない。ベストな商品を適正価格で顧客に速く届けることができている限り、ビジネスは成長すると信じている。今集中したいのは「ファッション ノヴァ」というプラットフォームに可能な限り多くの人を集めることだ。

WWD:現在南カリフォルニア地域のモール内に5つの実店舗があるが、今後実店舗を増やす予定は?

サギアン:ない。実店舗はいわば観光スポットのようなもの。ビジネスを始めたときはアメリカ中に100店舗構えることを夢見ていたけど、オンラインの売り上げを伸ばすことより1店舗オープンすることの方がよっぽど難しいんだ。新たな国でECサイトを立ち上げることができるのに、新しい実店舗を立ち上げる必要なんてないだろ?

WWD:「アマゾン(Amazon)」など他のECサイトで商品を売る予定は?

サギアン:「アマゾン」とは働く必要はないよ。顧客は直接われわれのECサイトに来る。月の訪問者数は100万単位だ。それに女の子たちは服を「アマゾン」で買ったなんて友だちに言いたがらないからね。

WWD:「ファッション ノヴァ」はカイリー・ジェンナー、ブラック・チャイナ(Blac Chyna)などのインフルエンサーと関係が深いようだが、彼女たちとはどのように仕事している?以前、「カット(THE CUT)」はカイリーの投稿1つで5万ドル(約535万円)の売り上げにつながったと報じているが?

サギアン:「ファッション ノヴァ」の顧客はみんなインフルエンサーだよ。彼女たちはもともと、服を着た写真をインスタグラムに「ファッション ノヴァ」のタグをつけて投稿していた。そこから無料で商品を提供する代わりにプロモーションしてもらうようになり、直接ビジネスするようになった。今は3000人ほどと仕事している。カイリーとビジネスするようになったのは16年からだ。だがインフルエンサーマーケティングは死んだと思っている。インスタグラムは新しいアルゴリズムのせいで顧客に響かない仕様になってしまった。

WWD:中でもコラボ商品も発売する予定のラッパーのカーディ・Bは、新曲「She Bad」で「I could buy designer, but this Fashion Nova fit all that ass(デザイナーブランドを買うこともできるけど、この『ファッション ノヴァ』はどんなお尻にもフィットするの)」という歌詞もあり、いわばブランドのミューズのようだ。インスタグラムのフォロワー数が約2200万の彼女は以前、「ファッション ノヴァ」を着用して投稿することで月に2万ドル(約214万円)の報酬だと話していたが、彼女との関係はどのように始まった?

サギアン:カーディ・Bとは、彼女の「Bodak Yellow」が大ヒットするずっと前、アーティストとして活動する前、そしてスタイリストを雇うようになる前からの仲だ。カーディ・Bとの契約以前からビジネスはうまくいっていたが、彼女は「ファッション ノヴァ」に信用を与えてくれたと思う。彼女が「ファッション ノヴァ」のことを話すとき、それは心からの言葉なんだ。だから彼女はわれわれのお気に入りのパートナーの1人だね。

WWD:特にインスタグラムが強い印象があるが、その運用はどのように行っている?

サギアン:「ファッション ノヴァ」のコアの年齢層は16~35歳だ。毎日30分ごとに、彼女たちが親しみやすいコミュニケーション方法で投稿している。

WWD:そのコミュニケーションの方法とは具体的にどのようなもの?

サギアン:われわれは顧客のことを「#NovaBabe」または「#NovaStar」と呼んでいる。彼女たちが「ファッション ノヴァ」の商品を着用した写真にどちらかのタグをつけて投稿してくれたら、それぞれに「いいね」やコメントをする。たまに投稿をリポストすることもある。コメントをするときは、必ず最後に“love”やハートの絵文字をつけるんだ。ちなみに、カスタマーサービスのメールも最後に“Love and Light”とつけている。「#NovaBabe」と「#NovaStar」は、いわばプラットホームもトレンドも超越する「ファッション ノヴァ」と顧客との絆なんだ。

WWD:最後に、インスタグラムがなければ「ファッション ノヴァ」は存在しなかったと思う?

サギアン:それはない。SNSは僕たちの成長を早めてくれるが、なくても「ファッション ノヴァ」は存在する。もしインスタグラムがなかったら、古い方法でビジネスを伸ばすだけさ。口コミとかね。

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cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_4b820138e1b8_スタートトゥデイ、ZOZOSUIT生産失敗で約40億円の損失 4b820138e1b8 0

スタートトゥデイ、ZOZOSUIT生産失敗で約40億円の損失

2018年5月1日 14:13 WWDジャパン

 スタートトゥデイは2018年3月期に、体形採寸用ボディースーツ“ZOZOSUIT”の生産失敗で約40億円の特別損失を計上する。内訳は、ボディースーツの製造委託先で出資先でもあるニュージーランドのストレッチセンスの株式評価損が18億4800万円、“ZOZOSUIT”生産のために行っていた設備投資の減損処理に14億8600万円、ストレッチセンス社に支払い済みの前渡し金評価損が6億6300万円。

 スタートトゥデイは、2000万ドル(約21億4000万円)を投じて、100%子会社化する予定だったストレッチセンスとのコールオプション契約の締結も中止。スタートトゥデイ研究所で自社開発した新たな“ZOZOSUIT”を使うことを発表した。

 無料で手に入れられる“ZOZOSUIT”は昨年10月末に発表すると大きな話題を呼び、多くの予約が殺到。今年1月から配布をスタートしていたものの、最大8カ月の遅延が発生していた。

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遊び心のあるクルーソックスがトレンドの兆し

2018年5月1日 14:08 WWDジャパン

 世界最大級のダンスミュージック・フェス「ウルトラ ミュージック フェスティバル 2018(ULTRA MUSIC FESTIVAL 2018以下、UMF)」が3月23~25日、米マイアミで開催された。

 海沿いの会場には8つのステージが設けられ、100組を超すアーティストが出演。最終日の大トリとしてサプライズ登場し5年ぶりの復活を果たしたスウェーデン出身の3人組DJ、スウェディッシュ・ハウス・マフィア(SWEDISH HOUSE MAFIA)をはじめ、アフロジャック(Afrojack)、ザ・チェインスモーカーズ(The Chainsmokers)、デヴィッド・ゲッタ(David Guetta)、マシュメロ(Marshmello)といったダンスミュージックを代表するアーティストを中心としながら、今年は俳優のかたわらラッパーとしても活躍するウィル・スミス(Will Smith)やG・イージー(G-Eazy)、ベッキー・G(Becky G)らヒップホップのジャンルで活躍するアーティストなども多く登場した。

 3日間で16万5000人が来場し、立地条件と天候にダンスミュージックというジャンルも相まって、例年通り「UMF」らしい露出度の高い服装が人気。今年はスポーツとスイムの2つの定番スタイルを軸に、シャツを羽織ったり裾を結んだり、どこかにシースルーやフリンジのアイテムを取り入れたりと、シンプルになりがちなコーディネートに1アイテムプラスした来場者が目を引いた。また、スニーカーやホールブーツ一辺倒になりがちな足元では、遊び心のあるクルーソックスを合わせることで他と差をつけるスタイリングが、フェスファッションの新たなトレンドの兆しを見せていた。

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cat_2_issue_oa-wwdjapan oa-wwdjapan_0_60a32d031d93_セリーヌを去った無口な女性デザイナーの功績を振り返る 60a32d031d93 0

セリーヌを去った無口な女性デザイナーの功績を振り返る

2018年5月1日 14:01 WWDジャパン

 ご存じの通り、2008年から約10年「セリーヌ(CELINE)」のクリエイティブ・ディレクターを務めたフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が昨年末に退任しました。フィービーの「セリーヌ」は服もバッグも靴もよく売れて、「WWDジャパン」の紙面を度々賑わしました。業界内人気も非常に高く、東京コレクションのフィナーレで男性デザイナーが「セリーヌ」のウィメンズの靴を履いて出てきたり、自店で「セリーヌ」の取り扱いがないセレクトショップのバイヤーが仕事で愛用していたりといった光景を見るたびに、プロに愛されるプロなんだな、と思ったものです。フィービー退任のニュースを受けて「大人の女性が買える服が減ってしまう」と嘆く声が多く聞かれます。

 18-19年秋冬については、フィービーは制作に関わらず、デザインチームによるコレクションをパリコレ期間中にショールームで発表しました。フィービー不在のコレクションにガッカリするかと思いきや、むしろ直接かかわっていないにも関わらず彼女のクリエイションそのものであることに感動した、というのが感想です。型数は少ないものの、そこにフィービーのエッセンスがギュッと詰まっていました。フィービーはチームのスタッフに厳しかったと聞きますが、その厳しさは新しいデザインを生み出し、浸透させるのに必要な厳しさだったのではないでしょうか。

 彼女は「セリーヌ」の前に「クロエ」を手掛けており、そのラストコレクションが印象に残っています。子供を授かったフィービーは自分が関わる「クロエ」のラストコレクションをチームに託し、自身は客席で夫とともに見守りました。パリコレの人気絶頂のデザイナーが妊娠を理由にその役職を手放し、しかも客席でショーを見るという選択は潔く、当時は画期的でした。私は、その姿を写真に収めようと、フィービーの客席の正面のスタンディングスペースにカメラマンと陣取りその姿を追いました。撮った写真がこちらです。


 周囲の目もはばからず、客席から立ち上がり笑顔で拍手を送るフィービー。これって、職場放棄でしょうか?そんなことない、と私は思います。フィービーは母である自分を選び、同時に自分不在でもきっちり仕事をやり遂げるチームも育てたのです。今年3月のパリで「セリーヌ」の18-19年秋冬コレクションを見た時、このシーンが蘇りました。今回はショーこそなかったものの、関わったチームは仕事を終えた時、「クロエ」の05-06年秋冬コレクションを制作したチームと同じような安堵の表情を浮かべたのではないでしょうか。

 10年間のフィービーによる「セリーヌ」のコレクションを振り返ると、個人的には10年から12年にかけてのコレクションが一番好きです。メンズウエアをベースにした実用性と女性らしさを兼ね備えていること、新しいテキスタイルの探究によりシンプルな中に“最新”が潜んでいること、色の組み合わせが独特であることなどがその理由です。これらの特徴は、フィービーによる「セリーヌ」で常に見られたことではありますが、この頃はよりウエアラブルでした。ボタンのないジャケットを肩にひっかけるようにして着るのがフィービー流ですが、同じようなスタイルの女性をどれほど見たことか(笑)。

 素材の探求は目にこそ見えずともプロにはわかるもの。「セリーヌ」のデニムを着ていると、日本のデニムのプロから「それどこの?」と度々聞かれました。「セリーヌ」のシンプルなブラックワンピースをクリーニング店に持ち込んだ時には、受付の人が激しく興味を持ち、服を表にして裏にして「この生地何?」とつぶやいていたことも印象的なできごとです。

 フィービーの「セリーヌ」を一言で描写するならば、“知的”だと思います。日本では女性に対するほめ言葉は圧倒的に“カワイイ”であり、その価値観に当てはまらない自分を窮屈だと感じる女性は多いはずです。ちょっと大げさに言うと、フィービーはそんな女性に力と居場所を与えてくれました。職場のリーダーであると同時に母であり妻であるフィービー自身のリアリティーが“知的”かつしなやかな「セリーヌ」には反映されていたのだと思います。

 インタビューにはなかなか応じてくれなかったフィービーは、実際に会うと、声がとても小さくて、囲み取材では真横に陣取らないと声が聞き取れないほどでした。インスタグラムなどSNSには最後まで力を入れることはなく、リアルの場を大切にし、展示会で飾る花のセレクトで来場者を魅了しました。服を着る一人として、ファッションを仕事とする一人としてたくさんの刺激をありがとうと伝えたい。いったんアデューですが、歳を重ねてさらに豊かになった感性をまたどこかで見せてくれることを期待しています。

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