ここ数年水害が発生したときに線状降水帯という言葉が聞かれるようになりました。
では具体的にはどのようなものなのでしょうか?その発生原因と災害との関係をみてゆきます。
経験したことのない大雨になる
2017年7月5日 河川氾濫の様子
線状降水帯は動きの速いものと停滞するものがあります。特に停滞するものは大きな災害に結びつく集中豪雨を発生させます。激しい雨を降らせる積乱雲が連続して発生し線状に並びその規模が幅20〜50km、長さ50〜200kmになるものが線状降水帯と呼ばれています。
停滞性の線状降水帯は同じ場所で激しい雨が3時間を超えて降り続けることもあり、まさにその場所に居る人にとっては経験したことのない大雨となります。
線状降水帯を作る要因
停滞性の線状降水帯の発生要因のひとつにバックビルディング現象があります。次のような流れで線状降水帯を作り出します。最初に風の収束や地形効果などによって積乱雲が発生します。激しい雨を降らせながら上空の風に流されてゆっくりと移動して行きます。風上側のこの積乱雲が発生した場所で新たに積乱雲が発生し、またゆっくりと風下へ移動して行きます。
この流れが繰り返され、発達した積乱雲が世代交代を繰り返しながら組織化されて線状降水帯を作り出します。積乱雲させる、水蒸気の供給や上昇気流を引き起こす要因の解消、積乱雲を移動させる上空の風の流れの変化がない限りこの状況が続きます。
知って備える言葉の意味
メディアなどを通じて頻繁に使われるようになった線状降水帯。その発生要因は少し複雑でメカニズムそのものを理解するには時間がかかるかと思います。
ただ、この言葉は大きな災害を引き起こす可能性をもったものとして理解しておけば、メディアなどを通じて発生の可能性情報を得て備えに結びつけることができるのではないでしょうか。