結果的には渋滞対策に効果?
新東名高速では、トンネルの入口が垂直ではなく斜めになっているものが多く見受けられます。
新東名高速の今里トンネル(静岡県裾野市)は入口も出口も斜めになっている。写真はトンネル完成後で未舗装の状態(画像:大林組)。
何か意味があるのでしょうか。NEXCO中日本に聞きました。
――トンネルの入口が斜めになっているものがありますが、どうしてですか?
ドライバーがトンネルに入る際に感じる圧迫感をなくすためです。垂直なトンネル断面よりも広く、ゆるやかな形に見せています。
――圧迫感をなくすことでどんな効果がありますか?
トンネルに入る際に圧迫感を感じることで、ドライバーは減速しがちです。それを抑える効果があります。渋滞対策として斜めにしているわけではありませんが、結果的にその効果が得られているでしょう。
斜めのトンネル入口、いつから存在?
――これは最近多いスタイルですか?
以前から存在しますが、新東名を建設するころから増えてきた印象です。ドライバー心理の研究が進んだことを受けてのことでしょう。
――逆に垂直な断面は、最近のトンネルではなくなってきているのでしょうか?
いえ、もちろん新しいトンネルでも、垂直な断面のものもあります。斜めの形状は山間部周辺の景観に配慮する観点もあり、採用するかしないかは山の形状によっても異なります。
――出口も斜めになっていることがあるのはなぜでしょうか?
これも地形によります。ある程度長いトンネルでしたら、入口と出口で形状が異なることもありますし、上下で1本ずつのトンネルが近接している場合などは、山の切り方をそろえて出口も斜めになっている場合があります。
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新東名は東名に比べ、勾配やカーブが少ない一方で、トンネルが多くなっています。そうしたなか、構造面からドライバーの心理的負担をなくす工夫がなされているようです。
【写真】斜めのトンネル入口、上空から見ると
新東名高速の清地トンネル(静岡県静岡市)付近。左の上りトンネル入口は斜め、右の下りトンネル出口は垂直になっている(画像:国土地理院)。