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WW2最大最強のはずの空母「信濃」、なぜ22時間で沈んだ?

2019年1月16日 19:27 月刊PANZER編集部

史上最大戦艦の3番艦は空母


 戦艦「大和」といえば、旧日本海軍のシンボルとして広く知られています。大和型2番艦である「武蔵」も有名です。しかし大和型3番艦「信濃」の名はあまり知られていません。戦艦として生まれながら途中で空母に転身し、1961(昭和36)年にアメリカ海軍の原子力空母「エンタープライズ」が登場するまでは、史上最大の排水量を誇った空母です。

秘密のベールに包まれた、旧日本海軍の空母「信濃」(画像:アメリカ国防総省)。

 強力な空母として期待されながら、竣工後わずか10日で戦闘も交えず沈められてしまいますが、なんと当時の日本海軍内でもこの大事件は知られていません。ほかの大和型戦艦と同様に建造が秘密であったこと、就役から沈没まであまりに短時間であったこと、沈没自体が秘密にされたことなど、とにかく秘密だらけだったのです。写真もほとんど残されていません。

「信濃」沈没に衝撃を受けた旧海軍が極秘にまとめた「S事件調査委員会報告」は、5冊だけ作成されましたが、終戦時にすべて焼却処分されてしまいました。誕生から沈没まで、「信濃」は謎のベールに包まれた艦です。

 太平洋戦争の開始を告げた1941(昭和16)年12月8日の「真珠湾攻撃」、その2日後の12月10日に発生した「マレー沖海戦」において、旧日本海軍は航空攻撃により戦艦を撃沈し、これからの海戦を決するのは戦艦兵力ではなく、航空兵力であることを実証しました。一方で巨大戦艦「大和」を12月16日に、「武蔵」を1942(昭和17)年8月6日にそれぞれ就役させました。大和型は全部で4隻(資料により5隻とも)が建造される計画で、3番艦「信濃」と4番艦(予定名称「紀伊」)まで建造が進められていたのです。

 1942年6月7日の「ミッドウエー海戦」で旧日本海軍は、主力空母「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」の4隻を一挙に失い、今度はアメリカ海軍が、海戦の主役は航空兵力であることを改めて示します。ここで旧日本海軍は、ようやく戦艦から航空機への力点変更を決心し、大和型戦艦で船体が7割方完成していた3番艦「信濃」を空母へ設計変更、四番艦については建造中止を決めます。「信濃」の就役は1944(昭和19)年12月末と計画されました。大和型の船体で作られる空母「信濃」は世界最大というだけでなく、防御力も戦艦並みに強固な世界最強の「重装甲空母」となることが期待されていました。

竣工、そして不運な旅路へ


「信濃」は、1944(昭和19年)11月19日に横須賀軍港で竣工しましたが、激しくなりつつある空襲を避け、残工事を完成させるため呉軍港に回航されることになります。

 呉への航路については、潜水艦を警戒して昼間に沿岸を航行する案と、空襲を警戒して夜間に外洋を航行する案で議論となりましたが、伊豆七島に沿って南下した後に西へ転進、紀伊半島を迂回して瀬戸内海に入る、夜間の外洋航行に決定します。大和型は20ノット(およそ37km/h)以上の高速航行が可能で、万一、潜水艦から魚雷の1発や2発程度を受けたとしても、十分に耐えられるとの自信もあったといいます。

 11月28日13時30分、第17駆逐隊の駆逐艦「磯風」「浜風」「雪風」を護衛に付けた「信濃」は、横須賀軍港を出港しました。

 外洋に出た19時、「磯風」がアメリカ潜水艦の電波発信を捉え、対潜警戒に入ります。浜名湖南の沖合約160kmに位置していたアメリカ海軍潜水艦「アーチャーフィッシュ」が、20時40分に「信濃」を発見します。一方、「信濃」側は、潜水艦の存在は分かったものの、位置は特定できていません。

アメリカ海軍の潜水艦「アーチャーフィッシュ」(画像:アメリカ海軍)。

 夜間の海上で、空母と潜水艦の追跡戦が始まりました。「信濃」は機関が本調子ではなく20ノット以上は出せず、さらに魚雷攻撃を警戒して変針を繰り返すジグザグの航路を取ったため距離が稼げません。引き離されまいと必死の「アーチャーフィッシュ」は、ほとんど潜航せず水上全力航行で追跡します。

 日付変わって11月29日の午前3時10分、約6時間20分の追跡劇ののち、「信濃」の前方、距離1500mへ占位することに成功した「アーチャーフィッシュ」は魚雷6発を発射、そのうち4発が「信濃」に命中します。

「信濃」は浸水が始まりますが、大和型の防御は、この程度の被害には耐えられる“はず”でした。被雷直後でも「信濃」は18ノットを維持、これを護衛する駆逐艦から退避行動を取った「アーチャーフィッシュ」は以降、追撃が出来なくなります。

たった4発で1日も過ごせず


 ちなみに大和型が撃沈されたときの被弾数を見ると、「大和」の被弾数は爆弾7発、魚雷10発(日本の戦闘詳報による。アメリカ軍戦略調査団資料では爆弾5発、魚雷10発)、「武蔵」の被弾数は爆弾17発、魚雷20発(記録員戦死のため、後日生存者など関係者の証言から作成された戦闘詳報による。アメリカ軍資料では爆弾44発、魚雷25発)とされています。

 しかし「信濃」は、戦闘艦としては不完全でした。船体をいくつかに区分し浸水や火災の際、防火防水扉を閉鎖することでその区画だけで被害をくい止められるようにした「水密区画」は未完成で隙間だらけ、乗員も乗艦してから日が浅く、各装置の操作に不慣れで浸水を抑えることができません。水蒸気を水に戻す復水器が停止してボイラー用の真水が欠乏したため、ボイラーの運転が止まり、午前8時には完全に動力、電力を喪失してしまいます。護衛駆逐艦による曳航作業にも失敗し、浸水と傾斜はどんどん進行。午前10時37分に総員退艦発令、10時55分(57分説もあり)に転覆、艦尾から沈没しました。

「信濃」の被雷状況(月刊PANZER編集部にて作成)。

 こうして大和型末っ子の世界最強最大になるはずだった重装甲空母「信濃」は、竣工から10日、出航からわずか22時間で、たった4発の魚雷により失われたのです。正確な沈没地点は2019年現在も分かっていません。

「信濃」を撃沈した「アーチャーフィッシュ」は戦争を生き延び、1945(昭和20)年9月2日に東京湾の米戦艦「ミズーリ」艦上にて行われた日本降伏文書調印式の際には、同じ東京湾内に停泊していたといいます。また1963(昭和38)年には、「信濃」が建造された横須賀の工廠にも入渠しています。退役したのは就役から25年後の、1968(昭和43)年のことでした。



【画像】旧日本海軍空母「信濃」、最後の航路


1944年11月28日13時30分に横須賀を出港した空母「信濃」だったが、翌29日10時55分に沈没。詳しい位置はわかっていない(月刊PANZER編集部にて作成)。

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東京駅などで"江戸甘からあげ弁当"発売 江戸甘味噌のタレ

東京ゆかりの食材で地域性も演出


 ジェイアール東海パッセンジャーズが2019年1月15日(火)、「江戸甘からあげ弁当」を新たに発売すると発表しました。

東京、品川、新横浜駅で発売される「江戸甘からあげ弁当」のイメージ(画像:ジェイアール東海パッセンジャーズ)。

 唐揚げに、東京都地域特産品の「江戸甘味噌」が入ったタレを絡め、東京ゆかりの食材といわれる「あさり」「昆布佃煮」「福神漬」を使用して地域性を演出。「ご飯が進むのはもちろん、お酒とも相性抜群の商品に仕上がっています」とのこと。

 価格は890円(税込)で、1月17日(木)より、東海道新幹線の東京、品川、新横浜駅にある同社弁当売店で販売されます。

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_cf87b847cc1b_モバイルSuica年会費無料に 携帯や一部スマホは提供終了へ cf87b847cc1b cf87b847cc1b モバイルSuica年会費無料に 携帯や一部スマホは提供終了へ oa-trafficnews 0

モバイルSuica年会費無料に 携帯や一部スマホは提供終了へ

携帯電話は全機種で終了へ


 JR東日本は2019年1月16日(水)、「モバイルSuica」の年会費を、クレジットカードの種類にかかわらず2020年から無料にすると発表しました。

スマートフォンの「モバイルSuica」アプリ(2018年5月、乗りものニュース編集部撮影)。

 モバイルSuicaは、携帯電話(フィーチャーフォン)やスマートフォンで交通系ICカード「Suica」の機能が利用できるサービスです。

 現在、携帯電話や、Android OSを搭載したスマホで、「ビューカード」以外のクレジットカードを登録してモバイルSuica利用する場合、1030円(税込)の年会費がかかります。これが2020年2月26日以降、サービス向上を目的に無料化されます。

 一方、携帯電話の全機種とAndroidスマホの一部機種については、2020年2月25日または12月22日に、クレジットカードによる入金(チャージ)や定期券の購入などといったログインを伴うサービスの提供が終了する予定です。ログインを伴わない、電子マネーによる鉄道利用や買い物などは引き続き利用できます。

 なお、新たな新幹線IC乗車サービスの開始に合わせ、「モバイルSuica特急券」も2019年度末にサービスの提供終了が予定されています。

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_beae5bca0698_自衛隊が掲げるモットー、賛否両論「見敵必殺」のほかにも beae5bca0698 beae5bca0698 自衛隊が掲げるモットー、賛否両論「見敵必殺」のほかにも oa-trafficnews 0

自衛隊が掲げるモットー、賛否両論「見敵必殺」のほかにも

言霊(ことだま)の国の、言葉をめぐるお話


 2018年11月、ある地方紙において、航空自衛隊が保有する戦闘機の垂直尾翼に「見敵必殺」という言葉が書かれたことに対し、「刺激的すぎ、時代錯誤なのではないか」という趣旨の声が紹介されました。

2013年、隊内の戦技競技会優勝を記念するマーキングが施された、第6飛行隊所属F-2戦闘機。尾翼上に「見敵必殺」のモットーが見える(画像:Photolibrary)。

 これは築城基地(福岡県)に駐留する航空自衛隊第6飛行隊が、同基地において開催される航空祭にあわせ、F-2戦闘機に施した記念マーキングであり、SNSなどにおいても賛否両論の大きな話題となりました。

「見敵必殺」とはすなわち「敵を見たならば必ず殺す」という意味ですが、これは第6飛行隊のモットーであり、同隊の上位組織である西部航空方面隊公式ウェブサイトにかつて掲載されていた記事において、「現有戦力を最大発揮して、必ず敵を倒すという至上命令を端的に表した言葉である」と説明されていました。

 自衛隊の戦闘機に書く言葉として適切か否かはさて置くとして、実は第6飛行隊所属機に対して「見敵必殺」という言葉を書き始めたのは、2018年が初めてのことではありません。それどころか確認できた範囲だけでも、現F-2の前任機であるF-1の時代においても行われており、前世紀から続く長い歴史があります。

「誰かが生きているかぎり」掲げ救助へ


 自衛隊や他国の軍隊に属する部隊すべてが、こうしたモットーを掲げているわけではないようですが、モットーを全面に押し出すこともまた、それほど珍しくはないようです。

航空自衛隊 航空救難団のUH-60J救難ヘリコプター(画像:航空自衛隊)。

 たとえば航空自衛隊において、捜索救難や輸送を専門とする航空救難団のモットー「That others may live(誰かが生きているかぎり)」は、最も広く知られているもののひとつだと言えます。

 このモットーは、航空救難団と同じ任務を負うアメリカ空軍パラレスキュー部隊のそれがオリジナルであり、「負傷者の救命、救助はパラレスキューマン(救難員)としての私の義務である。私はつねに迅速かつ効率的に任務を果たす覚悟ができている。欲求や快楽よりも任務を優先する。私は『誰かが生きているかぎり』これを行う」という決意の表明から、最後の一文を借り受けたものです。

 事実、彼らは要救助者が生きている限りかならず救助に出動し、仮にひとりを救出するのに何人もの死傷者を出しても、任務を断念することはありません。

「平和が職業」掲げる部隊は…?


 なかには面白いモットーもあります。陸上自衛隊において最も厳しい課程のひとつとして知られる、レンジャー養成教育で叩き込まれる「レンジャー五訓」などは、

一.飯は食うものと思うな
二.道は歩くものと思うな
三.夜は寝るものと思うな
四.休みはあるものと思うな
五.教官・助教は神様と思え

という、ちょっと驚くような内容となっています。

山口駐屯地第17普通科連隊の、レンジャー教育における山地潜入訓練の様子(画像:陸上自衛隊)。

 また、RF-4E/RF-4EJ偵察機を運用する百里基地(茨城県)の偵察航空隊 第501飛行隊は「見敵必撮」という、今回、新聞記事になった「見敵必殺」をもじったモットーを掲げています。滑稽でありつつも味のある、いかにも偵察機部隊らしい傑作であると言えるのではないでしょうか。

 筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)の独断で選ぶ最も印象的なモットーは、冷戦時代のアメリカ空軍に存在した、戦略航空軍団(SAC)が掲げた「Peace is Our Profession(平和が我々の職業)」です。

 戦略航空軍団のおもな任務は、核兵器を搭載した戦略爆撃機や大陸間弾道ミサイルの運用でした。すなわち彼らが力を発揮する時とは、「世界終末時計」の秒針が最後の0秒を指した瞬間であり、現代文明崩壊を意味しました。核兵器はあくまで抑止力でありそれを使ってはならない。それをしないことが職業であるというモットーを、あえて彼らは掲げていたのです。

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_93493af3032e_南海「ラピートブルー」の電気機関車、台湾に登場! 93493af3032e 93493af3032e 南海「ラピートブルー」の電気機関車、台湾に登場! oa-trafficnews 0

南海「ラピートブルー」の電気機関車、台湾に登場!

おもに七堵~潮州間で運行


 南海電鉄と台湾鉄路管理局(台鉄)は2019年1月15日(火)、南海の「ラピートブルー」をまとった台鉄E200型電気機関車が、台湾で運行を開始したと発表しました。

台鉄E200型電気機関車の塗装と特別ラッピングの実施前後(画像:南海電鉄)。

 関空特急「ラピート」に使われている南海50000系電車の濃紺色「ラピートブルー」を、台鉄の電気機関車2両に再現。さらに特急「ラピート」や大阪観光名所のイラストなどを車体にラッピングしています。日台の友好を深めるとともに、特急「ラピート」や大阪の観光名所の、台湾での認知度を高めるのが狙いです。

「ラピートブルー」の電気機関車は、7月13日(土)まで、おもに七堵~潮州間でキョ光号(急行列車に相当)として運行される予定です。

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_fd80e20f8e9d_海外での邦人保護、自衛隊はどう動く? 鳥取で保護措置訓練 fd80e20f8e9d fd80e20f8e9d 海外での邦人保護、自衛隊はどう動く? 鳥取で保護措置訓練 oa-trafficnews 0

海外での邦人保護、自衛隊はどう動く? 鳥取で保護措置訓練

2019年1月15日 19:50 月刊PANZER編集部

海外で暴徒に囲まれる悪夢、そのとき自衛隊は?


 日本国旗が揚がるJICA(国際協力機構)の施設に群衆が集まっています。手には棒や石を持ち、塀を叩いたり怒鳴ったりしてなにやら不穏な雰囲気です。その様子を、上空からドローンが監視していました。2018年12月11日(火)から14日(金)までの4日間、鳥取県の日光演習場、陸自米子駐屯地、空自美保基地およびこれらを結ぶ経路、ならびに周辺海空域で実施された、「平成30年在外邦人等保護措置訓練」のひとコマです。

海外の邦人を陸上輸送することを目的にオーストラリアから輸入された輸送防護車。フロントは防弾ガラス(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 海外にいるときに、現地の紛争や暴動に巻き込まれることほど不安なことはありません。しかし、日本人がこうした事態に巻き込まれ、避難や帰国ができなかったり、犠牲になったりする事案が何度も発生しています。

 2013(平成25)年1月に発生した「アルジェリア人質事件」では、邦人10名の犠牲者が出て、日本国内に大きな衝撃を与えました。

 軍隊には外国で紛争や暴動に巻き込まれた自国民を救出して自国まで連れ帰るという任務があります。日本でも、ソマリア沖海賊の対策部隊としてジブチに派遣されている陸上自衛隊の部隊をアルジェリアに派遣する作戦案も出ましたが、法的な問題から実現しませんでした。自衛隊は、在外邦人を輸送することは2007(平成19)年から本来任務に位置付けられたものの、輸送機や艦船によるものに限られており、現地に着いても空港や港で待機することしかできませんでした。

 しかしこのアルジェリアでの事件を契機に、同年の11月15日には自衛隊法が改正され、陸上自衛隊による邦人の陸上輸送が可能になりました。さらに2015(平成27)年9月19日には平和安全法制が可決されて武器を使用する警護、救出もできるようになり、「在外邦人等輸送」は「在外邦人等保護措置」と呼ばれるようになります。

日光演習場内に設けられた集合場所のJICA事務所。暴徒に取り囲まれている状況にある。暴徒役は自衛隊員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

状況を偵察するUAV(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

誘導輸送隊の輸送防護車(中)と軽装甲機動車。輸送防護車の正面と右の軽装甲機動車の銃塔にLRADスピーカー(後述)が見える(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 在外邦人が滞在国外へ退去する際、空港や港湾へ移動するために、集合場所が指定されます。冒頭の場面は、JICAの現地事務所を集合場所に想定したもの。ここから彼らを空港や港湾へ輸送するのは陸上自衛隊の任務ですが、この訓練のように、集合場所が暴徒に囲まれているような事態も想定しなければなりません。

武器使用も認められる「在外邦人等保護措置」、でもその前に


 邦人輸送任務に当たるのは、スピーカーや暴徒対処用「秘密兵器」を装備した、軽装甲機動車と輸送防護車で編成された誘導輸送隊です。「輸送防護車」は、海外の邦人を陸上輸送することを目的にオーストラリアから輸入された装甲車で、10名が乗車でき、特に地雷や道路に仕掛けられた爆発物に対する防御に優れています。陸上自衛隊中央即応連隊に8両が配備されており、航空自衛隊のC-130、C-2輸送機で空輸することが可能です。

 これら装甲車は機関銃を装備していますが、暴徒対処用の「秘密兵器」として音響兵器、通称「LRAD(Long Range Acoustic Device)」が装備されている車両もあります。これは特定の方向に指向性のある音波を投射して、強烈な不快感を一時的に与え、なるべく危害を与えず暴徒を遠ざけるものです。アメリカ軍をはじめ各国軍、警察で採用されており、効果が認められています。

LRADを作動させながら前進する輸送防護車。陸自隊員が後ろに続く(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

前進する中央即応連隊の隊員。89式小銃は上に向けている(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

集合場所となったJICA事務所に到着した輸送防護車。集まっていた邦人を車内に収容する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 また誘導輸送隊は偵察用に、UAV(いわゆるドローン)も装備しています。カナダ・エリヨン社製の「スカイレンジャー」で、折り畳み可能であり、専用バッグに入れ隊員が背負って運搬できます。市販ドローンより高性能で、悪天候時でも飛行が可能、取材当日も雨天でけっこう風もありましたが、安定した飛行を見せていました。

中央即応連隊の本部管理中隊が運用するUAV「スカイレンジャー」(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

UAVは折り畳んで専用バックに収納できる(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

UAV専用バックはひとりで背負って運搬できる大きさ(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 誘導輸送隊は暴徒から少し距離を取って、スピーカーから英語で「こちらは日本の陸上自衛隊です」「我々を通して下さい」「解散して下さい」「代表者と話をさせて下さい」などと呼びかけます。また日本語で、集合場所内にいる邦人に向けて、陸上自衛隊が来たことを伝えます。

移動準備が出来るまで周辺を警戒する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

邦人を収容し移動を開始する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

邦人の脱出を確認したのち輸送防護車に乗り込む陸自隊員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 しかし暴徒は解散する様子を見せません。投石も始まりました。ここで“秘密兵器”LRADの登場です。強烈な音波を発しながら装甲車隊が急速前進し、暴徒を追い散らして集合場所に入り、なかにいる邦人を輸送防護車に収容。こうして邦人は空港に向かいます。

空港到着、輸送防護車から仮設の国際線ターミナルへ向かう。全員ヘルメットと防弾ベスト着用、黄色線のベストは外務省職員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 取材公開された想定では、暴徒は銃など火器を所持しておらず、比較的スムーズに救出ができましたが、当然、武装している場合の訓練も実施されています。しかし作戦の「手の内を明かす」ことにもなるので訓練は公開されていません。

空港で「ハンドシグナル」を習うワケ


 訓練の舞台は、空港での訓練を想定した空自美保基地へと移りました。

 ロープで仕切られたレーン、荷物チェック用のプラかご、金属探知機、セキュリティ係員によるボディチェック。空港の、国際線搭乗ゲートのセキュリティチェックで普通に見られる光景ですが、ここで働いているのは迷彩の防弾ベストを着用し、ヘルメットを被った航空自衛隊員です。警戒にあたるのもガードマンや警察官ではなく、小銃を携行した陸上自衛隊員で、ほかにMPの腕章をした警務科隊員や、赤十字腕章をした衛生科隊員の姿も見えます。

格納庫内へ臨時に開設された「国際線搭乗ゲート」(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

金属探知機。ボディチェックしているのは空自隊員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

格納庫の入り口を警備する陸自の中央即応連隊の隊員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 国際空港としての出入国管理機能は喪失し、邦人出国手続きのため、セキュリティチェックのレーンや金属探知機、出国カウンター、待合室の椅子まですべて日本政府が仮設した、という設定です。

紛争地の出入国審査機能喪失時は、衛星回線で日本と繋いだ端末で外務省職員がパスポートチェックする(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

格納庫の外に設置された衛星回線用のアンテナ(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

急病人発生の想定訓練も実施された。脱出邦人役を演じているのは自衛隊員(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 パイプ椅子が並んだ待合室では、搭乗前の説明が行われますが、普通の民間機ならまず聞くことがない内容もあります。それは航空機に搭乗を「案内」する自衛隊員による、手の動きや指の形で合図を送る「ハンドシグナル」の説明です。

普通の国際線搭乗なら行われない「ハンドシグナル」の説明。このシグナルは「止まれ」を意味する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

「ハンドシグナル」の説明。これは「しゃがめ」を意味する(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

航空機まで陸自隊員が誘導護衛する。「進め」のハンドシグナルが為されている(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 乗客は自らの安全のため、「案内自衛隊員」の指示に従わなければなりません。飛行場では航空機のエンジン音で声が聞こえなくなるので、不測の事態に備えて、「進め」「止まれ」「しゃがめ」「伏せ」「立ち上がれ」の、5パターンのハンドシグナルの説明が徹底されるのです。

固まって航空機まで誘導される。身を隠す所もなく危険な場面。「ハンドシグナル」の必要性が理解できる(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

空自第3輸送航空隊のC-2輸送機に乗り込む脱出邦人役(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

C-2輸送機に乗り込む脱出邦人役(2018年12月13日、月刊PANZER編集部撮影)。

 在外邦人の保護活動の中心になるのは外務省ですが、防衛省とも連携します。実際に現地で活動するには、外務省職員だけでは人数も装備面からも不可能で、自衛隊の協力が不可欠なのです。

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_85422505133d_雪と戦う新千歳空港、圧巻の「全幅一方向除雪」とは 85422505133d 85422505133d 雪と戦う新千歳空港、圧巻の「全幅一方向除雪」とは oa-trafficnews 0

雪と戦う新千歳空港、圧巻の「全幅一方向除雪」とは

超ビッグなスノープラウ付き除雪車が隊列走行!


 北海道千歳市にある新千歳空港は、1994(平成6)年に国内で初めて24時間運用となった空港。2017年度の乗降客数は、国内線に限れば羽田空港に次いで第2位という規模です。

 しかし2016年12月には、大雪の影響で1302便もの欠航が出たこともありました。そうした事態を回避すべく、冬の新千歳空港では日々、除雪部隊が雪と戦っています。

除雪車で斜めに隊列を組んで作業。雪をかきわけるスノープラウは幅6.5mもある(画像:新千歳空港事務所)。

 新千歳空港にはAとB、2本の滑走路があります。1日あたり約300便を運航するため、除雪で滑走路を閉鎖する場合でも、必ずどちらか1本は利用できるようにして、空港の機能を止めないようにしているのです。

 積雪期には、約90台の除雪車両と約180名のスタッフが除雪体制を整えています。その代表的な車両は、2005(平成17)年度に導入された高性能スノープラウ除雪車。従来のものより2mも大きい幅6.5mのプラウ(雪を押し出す板)で、雪を一気に押し出します。

 スノープラウ除雪車にはさらに、高性能スイーパ除雪車が連結され、プラウで除去しきれなかった雪をスイーパ除雪車の回転ブラシでかき出し、送風機で吹き飛ばします。このようなスノープラウ除雪車とスイーパ除雪車の連結車両が10組20台で雁行(がんこう。Vの字形に並んで走行)することで、滑走路の中心から外側に向かって雪をかき出します。さらに、隊列の両端を走る2台の高性能ロータリ除雪車が、滑走路外へと雪を排出するのです。

 これら除雪作業車の12列編成で作業を行うことで、全幅60m、長さ3000mの滑走路は、片道走行で除雪が完了します。所要時間はおよそ20分。その後、積雪の深さや路面状況を確認し、滑走路閉鎖から約30分で除雪作業が終了します。

 この12列編成による「全幅一方向除雪」は2007(平成19)年から導入されましたが、それ以前は除雪開始から滑走路閉鎖解除まで約50分かかっていたというので、約20分もの時間短縮になっています。

滑走路の除雪だけじゃない! 冬の新千歳を支えるもうひとつのヒミツ


 冬季の安全な運航を可能にするには、路面の雪を取り除くだけでは不十分。飛行機自体に付着した雪や氷も取り除く必要があります。その作業が「デアイシング」。薬剤を機体に散布し、雪や氷を融かしたり、再び雪が付着するのを防いだりします。

 積雪地にある多くの空港において、飛行機はターミナルビル前のエプロン(駐機場)でデアイシングを行ったあと、離陸に向けて滑走路の端へ移動します。新千歳空港の場合、冬期間は滑走路南端まで移動して離陸するのですが、その地点まで国内線ターミナルから約3km、国際線ターミナルからだと5km以上も地上走行しなければならず、離陸待ちのあいだに防除雪氷剤の効果が切れてしまうこともありました。そうした際にはターミナル前まで戻ってデアイシングをやり直さなければならず、遅延の一因となってしまいます。

 こうした遅延を解消するため、新千歳空港には2010(平成22)年、滑走路近くに国内初のデアイシング専用エプロンが整備されました。デアイシング作業から離陸までの時間を短縮することはもちろん、再デアイシングの際もターミナル前まで戻ることなく作業でき、ターミナル前のエプロンを予定外に使用するという混乱を防ぐこともできます。こうして、遅延を大幅に減らすことが可能になりました。

新千歳空港全景。中央やや上に飛行機の雪や氷を取り除くデアイシングエプロンがある(新千歳空港事務所の画像を加工)。

 ちなみに青森空港の除雪隊は、「青森空港除雪隊ホワイトインパルス」と名付けられ、作業見学ツアーなども開催されています。円滑な離発着のための作業が、冬の観光資源のひとつにもなっているのです。



※記事制作協力:風来堂、加藤桐子

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_962250ba5767_JR芸備線の不通区間、一部が暫定再開へ 西日本豪雨で被災 962250ba5767 962250ba5767 JR芸備線の不通区間、一部が暫定再開へ 西日本豪雨で被災 oa-trafficnews 0

JR芸備線の不通区間、一部が暫定再開へ 西日本豪雨で被災

昼間は運休


 JR西日本広島支社は2019年1月15日(火)、西日本豪雨の影響で運転を見合わせている芸備線 三次~狩留家間48.2kmのうち、三次~中三田間43.7kmで4月上旬から暫定的に運転を再開すると発表しました。

橋脚などが流された芸備線の「第1三篠川橋りょう」。2018年7月7日撮影(画像:JR西日本)。

 2018年7月の豪雨により、芸備線は「第1三篠川橋りょう」(白木山~狩留家間)の橋脚が流されるなどの被害が発生。ここを含む三次~狩留家間で、現在も列車の運転を見合わせています。

 JR西日本によると、おもに通学客の移動手段を確保するため、新学期の時期に合わせて暫定的に運行を再開するとのこと。ただし、今後の安定的な運行のために線路を強化する必要があることから、線路改良工事を進める時間帯を確保しながら列車を運行するといいます。

 計画では、朝と夕に「数往復程度」を運行し、昼間は運休します。また、ゴールデンウィークや夏休み期間中は線路改良工事を集中的に行うため、列車は終日運休します。一方、バス代行輸送は引き続き実施されます。

 なお、「第1三篠川橋りょう」の復旧工事が順調に進めば、芸備線全線は2019年秋ごろには運転を再開する見込みです。

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_241870a36582_"瀬戸大橋アンパンマントロッコ"京都鉄道博物館で特別展示 241870a36582 241870a36582 "瀬戸大橋アンパンマントロッコ"京都鉄道博物館で特別展示 oa-trafficnews 0

"瀬戸大橋アンパンマントロッコ"京都鉄道博物館で特別展示

展示期間はおよそ1か月


 JR四国とJR西日本、京都鉄道博物館(京都市下京区)は2019年1月15日(火)、観光列車「瀬戸大橋アンパンマントロッコ号」を、京都鉄道博物館に特別展示すると発表しました。

観光列車「瀬戸大橋アンパンマントロッコ号」のイメージ(画像:JR四国)。

 JR四国の現役車両を同館で展示するのは初めてといいます。2月2日(土)から3月3日(日)までの約1か月間、「瀬戸大橋アンパンマントロッコ号」のキハ185系ディーゼルカー1両とキクハ32形1両(トロッコ車両)が、本館1階に展示される予定です。

「瀬戸大橋アンパンマントロッコ号」は岡山~琴平間や、岡山~高松間を走る観光列車。アニメ『それいけ!アンパンマン』のキャラクターたちが描かれた車両に乗って、瀬戸大橋を渡ります。

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cat_8_issue_oa-trafficnews oa-trafficnews_0_87af3be6f73c_阪神なんば線が10周年 ラッピング列車など記念企画続々 87af3be6f73c 87af3be6f73c 阪神なんば線が10周年 ラッピング列車など記念企画続々 oa-trafficnews 0

阪神なんば線が10周年 ラッピング列車など記念企画続々

阪神・近鉄の直通運転も10周年


 阪神電鉄と近鉄は2019年1月15日(火)、阪神なんば線が3月に開業10周年を迎えることから、その記念企画のひとつとしてラッピング列車を運行すると発表しました。

 阪神電鉄と近鉄は2019年1月15日(火)、阪神なんば線が3月に開業10周年を迎えることから、その記念企画のひとつとしてラッピング列車を運行すると発表しました。

 阪神なんば線は、2009(平成21)年3月20日に西九条~大阪難波間3.8kmが開業。これにより既存区間を介して、三宮(現・神戸三宮)から近鉄奈良までが1本の列車で移動できるようになりました。同路線の1日平均利用者数はおよそ9万5000人といいます(2017年度)。

 ラッピング列車の「阪神なんば線開業10周年記念列車」は、阪神電鉄の1000系電車1編成(6両)を使用。神戸や奈良など沿線各地のイメージをデザインしています。1月16日(水)から約2年間、阪神本線や阪神なんば線、神戸高速線をはじめ、直通先の山陽電鉄線、近鉄線でも運行される予定です。

 近鉄では1月16日(水)から約1年間、記念ロゴのステッカーを付けた「阪神・近鉄つながって10周年記念ロゴ列車」を運行。1026系電車1編成(6両)を使い、近鉄奈良線や阪神電鉄線などを走ります。

 両社はこのほかにも、2019年12月までの期間、共同でウォーキングイベントやスタンプラリーの開催、企画乗車券や記念グッズ、旅行商品の販売などを展開していく予定です。

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