市の人口が減るなか、増えている沿線人口
静岡県浜松市内を南北に走る、新浜松~西鹿島間18駅、17.8kmの遠州鉄道 鉄道線(通称:西鹿島線)。2017年度の輸送人員は1003万9000人と、49年ぶりに年間1000万人を超えました。遠州鉄道によると、浜松市の人口(2018年12月時点で約80万人)は減っているものの、東日本大震災の影響で沿岸部から内陸部へ移動する動きがあり、市の中心と内陸側を結ぶ同鉄道の沿線人口は増えているそうです。
遠州鉄道の2000形電車。2両が基本編成で、ラッシュ時間帯には連結して4両編成になる(2018年11月、恵 知仁撮影)。
遠州鉄道の特徴のひとつである「全線単線ながら日中は12分ごと」という高密度・高頻度運行が、それを支えます。列車を効率的に運行するため、駅の位置を動かしたこともあるとのこと。
走っている電車の色から地元では「赤電」とも呼ばれている遠州鉄道西鹿島線は、「生活路線」の色彩が強いそうですが、沿線には名所もあります。
駅にも「赤電」という表示が。
一部区間は高架になっている。
緑色になったラッピング電車も走る。
まず「浜松城」。天下を取った徳川家康にゆかりが深いことや、のちに江戸幕府の要職に就いた城主が多いことから、「出世城」とも呼ばれています。最寄りは遠州病院駅です。
楽器メーカー「ヤマハ」の本社も“名所”といえるでしょう。企業ミュージアムが設けられています(見学は要予約)。最寄りは八幡駅です。
徳川家康ゆかりの場所で、電車の安全祈願
そして「浜松八幡宮」。ここも家康にゆかりが深く、1573年に起きた三方ヶ原の戦いで武田信玄に大敗した家康が、この八幡宮にあるクスノキの洞に身を隠していたところ、そのクスノキから雲が立ち上がった、という言い伝えがあります。勝運や立身出世、安産、長寿などの神様とされているそうです。最寄り駅は、名前の通り八幡駅。
ちなみに遠州鉄道では、新車が納入されたとき、この浜松八幡宮で安全祈願を行っているそうです。
徳川家康が隠れたと伝えられる浜松八幡宮「雲立のクス」(2018年11月、恵 知仁撮影)。
あと鉄分高めですが、「ED282」もポイントかもしれません。夜間の保線工事や、車両のけん引などに使用されている、1925(大正14)年に製造されたイギリス製の電気機関車です。普段は西ヶ崎駅に留置されています。
この「浜松八幡宮」と「ED282」は、「鉄☆たびスポット」にもなっています。
奥の青い機関車がED282。1959年に国鉄から遠州鉄道へ。
「鉄☆たびスポット」にチェックイン。
個性的なデザインになっている遠州鉄道の電力施設。
JR東海が発売している特別企画のきっぷ「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」には、あわせて専用アプリが用意されており、各私鉄が選んだ沿線のオススメスポット「鉄☆たびスポット」に「チェックイン」が可能。そうしてポイントをためると、JR東海と私鉄16社の鉄道グッズが抽選で当たるなどするものです。
全線に乗っても、所要時間は片道32分。運行頻度が高く、途中下車ポイントもある遠州鉄道は「気軽な鉄道旅に向いた路線」だというのも、特徴に数えられるかもしれません。横長のロングシートで、「車内で駅弁」という雰囲気ではありませんが、沿線には「うなぎ」や「餃子」といった名物もありますし。
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