京急「発祥の地」で運行
京急電鉄は2018年2月25日(日)、創立120周年を記念した特別列車「京急120年の歩み号」の運転を始めました。歴代の京急車両のデザインを復元したラッピング車両を連結。おもに大師線で運転されます。
運転を開始した「京急120年の歩み号」(2018年2月25日、草町義和撮影)。
京急電鉄はいまから120年前の1898(明治31)年2月25日に創立された、大師電気鉄道を起源に持つ大手私鉄です。平間寺(川崎大師)の参詣客輸送を目的に計画され、1899(明治32)年1月に現在の大師線の一部が開業。のちに路線を伸ばし、東京と横浜を結ぶネットワークを構築しました。
出発式は2月25日(日)の10時から、京急川崎駅の1番線ホームで行われました。川崎大師貫主(かんす)の藤田隆乗さんによる安全祈願式や、テープカットを実施。その後、試乗列車として10時49分に発車し、京急電鉄の原田一之社長や地元の幼稚園児、保育園児らを乗せて大師線を1往復しました。
かつて車掌として半年ほど乗務した経験のある原田社長は、40年数年ぶりにマイクを握って車内放送を実施。運転終了後に行われた会見で「車掌をやめて本社配属になってからも『(乗務に)遅刻しそうだ、大変だ』と慌てる夢をみてうなされることがありました。最近はその夢を見なくなったのですが、これを機にまた見るようになるかもしれません」と、笑いながら話していました。
「京急120年の歩み号」は2019年2月24日(日)までの1年間、おもに大師線の京急川崎~小島新田間を走りますが、運用の都合で本線を走ることもあるとのこと。京急のウェブサイトでは、大師線の運行時のみ運行時刻が公開されます。
1両ごとに異なる「時代別」デザイン
「京急120年の歩み号」は、大師線などで運転されている1500形電車の4両編成1本(1521編成)を使用。歴代の京急車両で採用されたデザインを、1両ごとにラッピングで復元しました。
木製の扉も再現された(2018年2月25日、草町義和撮影)。
1号車は1924(大正13)年から1965(昭和40)年まで使われていたデザインで、デ51形電車をイメージしています。デ51形は鋼製の車体と木製の扉を組み合わせた「半鋼製」でしたが、「京急120年の歩み号」では木製の扉もラッピングで表現しました。
2号車は1951(昭和26)年から1963(昭和38)年まで使われていた、赤と黄色のデザイン。500形電車などに施されていた塗装を表現しています。
3号車は赤色をベースとして窓の下に白い帯を入れたもの。1953(昭和28)年にデビューした600形電車(初代)で初めて採用されたデザインです。ほかの車両も1963(昭和38)年までに、このデザインに統一されました。いまも1500形や2000形がこのデザインで走っています。
4号車も赤と白の組み合わせですが、白は窓の回りも覆うようにした太い帯になっています。1978(昭和53)年に登場した800形電車で初採用され、いまも2100形などで採用されているデザインです。
このほか、車内も「京急創立120周年までの歴史」をイメージした装飾が施されました。路線や車両の移り変わり、昔といまの駅舎の姿、歴代のポスターや昔の切符などを紹介しており、大師線沿線の幼稚園や保育園の子どもたちが描いたイラストも展示されています。