西鉄初の本格的観光列車、その姿はどうなる?
福岡県内に鉄道路線網を持つ西日本鉄道が2017年5月17日(水)、東京都内で西鉄グループの事業説明会を実施。導入が予定されている新たな観光列車の姿が、少しずつ明らかになってきました。
西鉄の倉富純男社長(右)と藤田浩展上席執行役員(2017年5月17日、恵 知仁撮影)。
導入の目的、想定するターゲットは? 西鉄が本格的な観光列車を導入するのは、これが初めて。目的として同社が挙げるのは「沿線地域のさらなる活性化」「沿線開発+沿線発信」です。食材や特産物、文化、自然、産業といった沿線地域の「資源」と「観光」をこの列車で結びつけ、以下のような形で、観光列車を通じた沿線地域の活性化、価値向上を目指すとしています。
・観光列車の利用者による地域での消費
・地域の店舗、企業などの販売拡大支援
・沿線地域の情報発信による観光客の増加
・沿線イメージ向上による居住人口の増加
この観光列車の“要”として西鉄は「地域」を挙げており、地域と連携してこの列車を通じ、地域の魅力向上、活性化に取り組んでいきたいとのこと。また、ターゲットは地元の人(福岡、九州在住者)、来福観光客で、女性の比率が比較的高いと考えているそうです。
東北や上越新幹線の観光列車を手がけた会社が担当 プロデュースするのは、飲食などのオペレーション事業、ブランディングプロデュース事業などに取り組んでいるトランジットジェネラルオフィス(東京都港区)。JR東日本の観光列車「TOHOKU EMOTION」や「現美新幹線」も手がけた会社です。
コンセプトは「LOCAL to TRAIN ~街を繋いできたレールは人をつなぐ時代へ~」。西鉄の倉富純男社長は「沿線200万人の方々に非日常を提供し、沿線200万人の方々に一度は乗っていただければ。そして公共交通の良さを知っていただければ」と話します。
既存車両に「えっ?」と驚く改造を 運行区間、料金は?
既存車両の改造で、新観光列車は誕生します。西鉄の藤田浩展上席執行役員によると、まだどの形式の車両を使うかは決まっていないものの、登場したばかりのものではなく、リニューアルしながら20年ぐらい使える車両を考えているそうです。1989(平成元)年デビューでいまでは古くなった8000形電車ではないとのこと。
新観光列車は3両編成で、内装や家具には沿線地域の素材を使用。「地域」を感じられる列車(空間)を目指すといい、倉富社長は「『えっ?』と思う改造ができると思います」と話します。定員は50名前後の想定だそうです。
運行区間は? 料金は利用しやすい価格に 運行は、西鉄福岡(天神)駅と大牟田駅を結ぶ天神大牟田線の予定で、その途中で分岐する太宰府線も含むとのこと。甘木線での運行も検討はしているといいます。
車内では、沿線の豊かな食材を生かした温かい料理が提供され、ランチやディナーなど、いろいろな形を考えているとのこと。
料金について、現在のところ未定ながら利用しやすい価格にする予定といい、「ちょっといいレストランに食事をしに行くぐらいのイメージ」(藤田上席施行役員)だそうです。
運行開始は2019年春の予定 運行開始は2019年春の予定。2017年度中に車両のイメージやネーミングが決定される見込みです。
また西鉄では現在、8000形を使った観光列車「旅人」「水都」を運行していますが、8000形は車両の老朽化が進行。そのため今後、「旅人」「水都」を別の車両にし、新観光列車と並列で進めていくことを考えているそうです。
【写真】引退も近い? 老朽化が進んでいる8000形電車
西鉄の特急形車両8000形。車内には2人掛けの転換クロスシートが並ぶ(2009年10月、恵 知仁撮影)。