「劇的に運賃を下げられないか」
神戸市が、北神急行電鉄北神線を神戸市営地下鉄と一体的に運行すべく、北神急行電鉄の親会社である阪急阪神ホールディングス傘下で、北神急行の筆頭株主である阪急電鉄と、協議に乗り出します。2018年12月27日(木)、神戸市と阪急電鉄でその合意に至りました。神戸市交通政策課によると、実質的な北神線の「市営化」だといいます。
神戸市営地下鉄西神・山手線内の駅に停車中の北神急行電鉄7000系電車(2010年2月、恵 知仁撮影)。
北神線は1988(昭和63)年に開業した新神戸~谷上間7.5kmの路線です。うち約7.3kmを北神トンネルが占め、両駅間に途中駅はありません。新神戸駅では山陽新幹線と神戸市営地下鉄西神・山手線に、谷上駅では神戸電鉄有馬線に接続し、このうち神戸市営地下鉄西神・山手線とは相互直通運転を行っています。
ほぼ全線が六甲山地を貫くトンネルということもあり、北神線の建設費は700億円にもなっています。運賃にもそれが反映されており、ひと駅間ながら440円。それが神戸市や兵庫県からの補助によって80円減額され、360円となっています。
今回、神戸市は北神線を地下鉄西神・山手線の一部にすることを検討しています。これまで補助を行ってきたなかで、なぜその選択に至ったのか、神戸市交通政策課に聞きました。
――なぜいま北神線の「市営化」を検討するのでしょうか?
運賃補助は一定の期限を決めて行っており、いまは2014年度から2018年度までの5か年期間にあたります。今年度でひとつの区切りを迎えるにあたり、引き続き同じような政策をしてよいのか、むしろ、より劇的に運賃を下げられないかと検討し、市営地下鉄の一部にするという案に至りました。それを市から阪急さんへ持ちかけたところ、「前向きに検討しましょう」とご返答いただき、協議の開始について両者で合意しました。
三宮~谷上、540円が270円に?
――北神線の運賃を下げることは、市としてどのようなメリットがあるのでしょうか?
北神線の利用率が向上し、ひいては北区(主に六甲山地の北側に位置する神戸電鉄沿線)の魅力アップにつながると考えています。神戸の中心的な市街地である三宮は、谷上から8.8km、北神線と地下鉄西神・山手線の直通列車で2駅、約10分という距離です。しかし2路線にまたがるため、運賃は片道540円、往復1080円にも上ります。これが大きなネックとなり、乗車人員も伸び悩んでいる状況です。
加えて、北区の人口はここ10年で5.5%も減少しています。市全体では0.9%ですので、減少率はかなり大きいといえるでしょう。だからこそ、北神線の運賃もこのまま推移し続けていいのか、という思いがありました。北神線は、運賃さえ低廉になれば、地域の魅力が一気に向上するポテンシャルの高い路線と考えています。
――どれくらい運賃を下げるのでしょうか?
それは今後の検討課題です。北神急行電鉄にどれだけの資産があり、それをどのように扱うのかも含め、まずは「市営化」が実現可能かどうかを検討していきます。
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神戸市交通政策課によると、「市営化」された場合に北神線区間へ市営地下鉄の運賃体系を適用するかも未定といいますが、仮にそれが適用された場合、三宮~谷上間は270円となります。
ちなみに神戸市は阪急と、地下鉄西神・山手線を阪急線と直通運転させる構想についても協議していますが、今回の北神線「市営化」は「全くの別件」とのこと。「西神・山手線と阪急線の直通は、莫大な費用をかけて新たに路線を整備する事業ですが、北神線の『市営化』は、既存インフラを活用し、地域の活性化につなげる構想です。方向性が大きく異なります」と話します。
【路線図】ひと駅間だけの私鉄、北神急行電鉄
茶色の太い線が北神線。神戸市営地下鉄西神・山手線と谷上~西神中央間で直通運転を行っている(北神急行電鉄の画像を一部加工)。
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