TEMU1000型に続いて導入された電車
台湾東部の鉄道路線で、大規模な脱線事故が発生しました。
台湾の在来線を運営する台湾鉄路管理局や現地メディアの報道によると、宜蘭線の新馬駅(宜蘭県蘇澳鎮)で2018年10月21日(日)の16時50分(日本時間17時50分)、台東駅に向かっていた「プユマ6432次」(8両編成)の全車両が脱線。このうち5両が横転しました。台湾鉄路の発表(10月22日の第5報)によると、乗客366人のうち18人が死亡。187人がけが(うち10人は重傷)をしたといいます。
「プユマ」に使われている台湾鉄路のTEMU2000型(画像:日本車輌製造)。
「プユマ」は日本の在来線特急に相当する「自強号」のうち、台湾の西部と東部を台北経由で結ぶ列車の名前。2013年に営業運行が始まりました。「6432次」は列車の番号です。
今回脱線した「プユマ6432次」の車両は、日本製のTEMU2000型電車でした。
台湾鉄路管理局が、東部路線の輸送力増強のために導入した「自強号」用の電車で、日本車輌製造と住友商事が2011(平成23)年に受注。2012(平成24)年から2014(平成26)年にかけて136両を納入しました。2013(平成25)年にも16両を追加受注し、2015年に納入しています。
このTEMU2000型は、車体を傾けることで乗り心地を維持したままカーブを比較的速く通過できる装置を搭載しているのが、特徴のひとつです。
台湾鉄路管理局はこのTEMU2000型の前に2006(平成18)年、日立製作所がJR九州の885系特急形電車(特急「かもめ」「ソニック」に使用)をベースに開発した「自強号」用のTEMU1000型電車も導入。こちらも車体を傾ける機能を搭載しているものの、「空気バネ式」ではなく、車体を振り子のように傾ける「振り子式」を採用しています。
脱線事故の原因はまだ不明。今後の詳細な調査が待たれます。なお、「空気バネ式」も「振り子式」も日本の在来線特急で多く採用されていますが、これまで特にそれによる事故は発生していません。
【写真】台湾に渡った日本の寝台特急583系
引退した日本の特急形寝台電車「583系」。写真の6両編成中、中間の2両が台湾に渡った。現在整備が進む現地の鉄道博物館で保存される(2016年3月、草町義和撮影)。
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