お値段1機約680億円
2018年8月17日に新千歳空港の民航機用滑走路へ次期政府専用機となるボーイング777-300ER型機が着陸し、航空自衛隊千歳基地の特別航空輸送隊のハンガーに入りました。
千歳空港に到着した新型政府専用機(画像:航空自衛隊)。
新千歳空港には民航機用滑走路2本と自衛隊用滑走路が2本ありますが、次期政府専用機はこの時は民間機登録でしたので民航機用滑走路を使いました。ちなみに8月20日には自衛隊機に登録替えされてシリアルナンバーも軍用機用に変更されていました。
千歳に到着した777-300ERは双発機で、現用の747-400型「ジャンボジェット」政府専用機ほどのボリュームを感じませんが、実は777-300ERの胴体長は747-400よりも長く、全幅はほぼ同じで双発機としては世界最大級なのです。実際、既存の特別航空輸送隊のハンガーにわずかに入りきらず、拡張改修工事が行われています。最近、千歳基地で現用の政府専用機が2機とも外で見られたのは、ハンガーが工事中で入れなかったという事情もあります。
まだ詳しい性能仕様は公開されておらず、内部構造も不明ですが、貴賓室、秘書官室、会議室、事務室、随行員室、記者会見室、一般客席などという基本レイアウトは現用型と似たものになると思われます。ちなみに秘書官室、随行員室の座席はビジネスクラス、一般客席もプレミアムエコノミー仕様の座席になっています。一般客席には、同行記者も同乗することができますが、民航機同等の運賃を支払わなければなりません。
内外装は、多くのVIP機改修を手がけているジェットアビエーション社(スイス)のバーゼル工場が担当し、2016年11月から1年以上をかけて完成させました。航空自衛隊が運用するこの日本政府専用機が777シリーズでは世界最初の軍用機登録となります。
2機を調達し価格は合わせて約1355億円となっていますが、航空自衛隊が採用したステルス戦闘機F-35は1機147億円ですので高いような印象です。とはいえ777-300ERのカタログ価格は約350億円程度で、政府専用機では特注の通信システムなど多くの機器を積み込みますので、一概に比較はできません。
機体外見のデザインは尾翼に日の丸をあしらい、胴体側面に「日本国JAPAN」と表示されているのは変わりませんが、現用のジャンボでは赤と金色の直線だったラインが、赤の優美な曲線に変わり、金色ラインは無くなって柔らかい印象を与えます。
2機目の次期政府専用機の到着は12月になる予定で、現用のジャンボジェットが退役する2019年4月以降は2機の777-300ERが日の丸を背負って世界中を飛び回ります。
【写真】現用政府専用機は国内最後の旅客型「ジャンボジェット」
現用の政府専用機のベース機はボーイング747-400型機(2014年10月19日、月刊PANZER編集部撮影)。