簡単に読めると思いきや… 「同名」の難読バス停
全国に25万以上あるといわれるバス停。そのなかには「難読バス停」も存在します。単純に漢字が難しいものもあれば、まったくの当て字で想像がつかないもの、また、一見馴染み深い地名に見えて、じつは全然違う読み方になる、というバス停もあります。
「新宿一丁目」には都営バスや京成タウンバスなどが停車。所在地は新宿区ではない(風来堂撮影/一部モザイクを入れています)。
東京都内で、3つ目の例として挙げられるのが「新宿一丁目」。「しんじゅくいっちょうめ」と読んでしまいそうですが、じつは葛飾区にあるこの名前のバス停の読みは「にいじゅくいっちょうめ」です。
そして新宿区にも「新宿一丁目(しんじゅくいっちょうめ)」バス停があります。新宿、葛飾いずれの「新宿一丁目」も都営バスが使っているほか、葛飾の「新宿一丁目」には京成タウンバスも停車。また、「新宿二丁目」「新宿郵便局」バス停も、新宿区と葛飾区の両方に存在します。
葛飾のほうは、JR常磐線の金町駅と亀有駅のちょうど中間地点あたりに、「新宿」と書いて「にいじゅく」と読む地名があるのです。いずれの「新宿」も、もともとは「新しく作られた宿場町」という意味で名前が付きました。それにより、はるかに時代が下った現代で、遠く離れた位置に同名のバス停ができてしまったというわけです。
八王子市にある西東京バスの「神戸」バス停も紛らわしい読みです。「こうべ」と読んでしまいそうですが、こちらの読みは「ごうど」。同じ読みの地名やバス停は神奈川県、愛知県、埼玉県などあちこちに点在しており、由来も地域により様々ですが、神社が関係していることが多いようです。
予想を裏切る読みばかり 西東京バスの難読バス停たち
「新宿」や「神戸」はひっかけ問題のようですが、単純に読み方が難しいバス停も多くあります。奥多摩町の「留浦」バス停などはかなり難読です。読みは「とずら」。奥多摩湖沿いにあり、西東京バスの路線が停車します。ちなみに隣には「小留浦(ことずら)」バス停もあります。
西東京バスにはほかにも難読バス停が。ひとつは青梅市にある「蜆沢(えびさわ)」。「えび」は普通、「蝦」もしくは「海老」と書き、「蜆」の本来の読みは「しじみ」です。これも地名が元になったバス停名ですが、どうして「蜆」を「えび」と読ませるのかははっきりとわかっていません。檜原村の「笛吹入口」も予想を裏切るタイプのひとつ。山梨県に「笛吹(ふえふき)市」がありますが、読みは「うずしきいりぐち」です。そして、このバス停と同路線の3つ隣に、さらなる難読バス停が。
そのバス停は「人里」。やはり、そのまま「ひとざと」と読んでしまうのは誤りです。正解は「へんぼり」。辺境の里という意味での「辺里」が転じたという説がありますが、定かではありません。この人里バス停の待合所には大きなしだれ桜が植わっており、春にはバス停に覆いかぶさるようにして桜が咲くことでも有名です。
葛飾新宿郵便局前にある「新宿郵便局前」バス停。新宿郵便局前にも「新宿郵便局前」バス停がある(風来堂撮影)。
バス停名には、古くから地域に根付く地名が残っていることが多々あります。バスに乗って地名を訪ね歩いてみれば、地域に関する意外な発見や、知られざる地名の由来の一端を知ることができます。
記事制作協力:風来堂
【写真】都内有数の「難読バス停」、じつは花の名所
檜原村の「人里」バス停は、木製の待合所に覆いかぶさるようにしだれ桜が咲く。読みは「へんぼり」(画像;photolibrary)。
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