車両の数は最盛期の約3割に
東海道新幹線では1964(昭和39)年の開業以来、さまざまな車両が導入され、そして引退していきました。現在、東海道新幹線を走る車両のうち、“最後の日”が迫ってきたのが700系電車です。
浜松駅に入る700系。東海道新幹線から姿を消す日が近づいてきた(2018年3月、草町義和撮影)。
700系は1999(平成11)年にデビュー。JR東海とJR西日本が共同開発した車両です。登場当時は先頭車が「カモノハシに似ている」といわれ、話題になりました。2006(平成18)年までに東海道・山陽新幹線用の1200両(16両×75編成)と山陽新幹線用の128両(8両×16編成)、あわせて1328両が製造されています。
しかし、2007(平成19)年には700系に代わる新型車両としてN700系電車の営業運転が始まりました。2013(平成25)年には改良型のN700Aもデビュー。のちに従来のN700系もN700Aタイプに改造されています。
これに伴い、東海道新幹線の700系は徐々に減ってきました。JR東海によると、同社の700系は2017年度末で224両(16両×14編成)でしたが、2018年度末には半分の112両(16両×7編成)になる計画。2019年度末にはゼロになる予定です。東海道新幹線への乗り入れに対応したJR西日本の700系も、同社によると2018年11月13日時点で176両(16両×11編成)しかありません。
通常、新しい車両のほうが乗り心地などが改善されており、古い車両を選んで乗る人は、そう多くないかもしれません。とはいえ20年近く運行されてきた車両ですから、700系を幾度となく利用して思い入れのある人もいるでしょう。「なくなる前にもう一度乗っておきたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。
「乗り納め」以外にも形式を調べるメリットが
東海道新幹線で運転されている700系の定期列車(2018年11月1日~2019年2月28日の計画)は、東京~名古屋間の「こだま」上下各5本と東京~新大阪間の「こだま」上下各5本だけ。「ひかり」「のぞみ」は全てN700Aに置き換わりました。
静岡県内の茶畑を走る700系(2010年2月、恵 知仁撮影)。
臨時列車は「のぞみ」も含め、700系の列車が比較的多く残っているものの、運転日は限られます。また、通常は700系でも、一部の日は検査などの都合でN700Aが使われることがあります。700系で運転される列車をあらかじめ調べておかないと、そう簡単には乗れなくなりました。
どの列車が700系で運転されているかは、時刻表で調べることができます。JR東海のウェブサイトで公開されている東海道・山陽新幹線の時刻表(PDF版)を見ると、車両の形式などを示す「N700(16両編成)」「N700(8両編成)」「500系」の記号が使われています。
700系を示す記号はありませんが、逆にいえば、東海道新幹線では記号の付いていない列車が700系ということになります。なお、「○月○日はN700で運転」といった注記がある場合、その日はN700Aで運転される計画ですから注意が必要です。
ところで、東海道新幹線の700系はグリーン車の10号車と普通車の15、16号車が、いまでは非常に珍しい喫煙車です。N700Aにも客室から分離した喫煙ルームが一部の車両に付いていますが、「自分の席でタバコを吸いながら移動したい」という場合は、700系の喫煙車を選んで乗る必要があります。
逆にタバコの煙が苦手な人は、喫煙車や喫煙ルームから離れた車両に乗りたいところ。単に「乗り納め」だけでなく、タバコを吸いたい、あるいは避けたい場合も、車両の形式を調べるメリットはあるといえるでしょう。
【写真】幕を回転させる700系の行き先表示
700系は「幕式」の行先表示器を採用した最後の新幹線車両。駅名を記した幕を回転させることで、行き先の表示を変化させる(2017年2月、伊藤真悟撮影)。
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