埼京線や横浜線などでは姿消す
現在、E235系電車が最新型車両であるJR山手線。この2世代前にあたる元山手線の205系電車も、一部の車両がいまなお別の場所で健在です。
山手線で使用されていたころの205系電車。写真は2段窓で初期の車両(2002年3月、伊藤真悟撮影)。
黄緑色の帯を巻いた山手線用の205系は、1985(昭和60)年に当時の国鉄が製造を開始。1987(昭和62)年のJR化後も製造が続き、あわせて583両の大所帯になりました。この山手線用の205系は、6扉車を除き、ほかの205系と比べてドアの窓が小さいのが特徴です。
この山手線205系は2002(平成14)年より、新型のE231系電車500番台との入れ替えがスタート。2005(平成17)年、同線から引退します。
仙石線に移った205系電車。先頭車は中間車からの改造。
武蔵野線用に帯の色を変えた205系。
中間車から先頭車に改造中。
山手線を走っていた205系は、武蔵野線、京葉線、南武線、南武支線、鶴見線、埼京線、川越線、八高線、横浜線、仙石線の各路線に“異動”。ホームが短い鶴見線や仙石線などでは、中間車に運転台を取り付けて先頭車両に改造した車両も登場しました。
しかし2010(平成22)年以降、“異動先”の京葉線、南武線(南武支線を除く)、横浜線、埼京線、川越線、八高線では、E233系電車や209系電車500番台、E231系電車に役目を移譲。元山手線の205系は廃車になるなどして、姿を消しています(京葉線には、武蔵野線の元山手線205系がいまも直通してくる)。
地方私鉄や海外で「元山手線」!
廃車にならなかった元山手線205系は、さらに“異動”しました。
山梨県の大月駅と河口湖駅を結ぶ富士急行へ譲渡された車両は、改造ののち、6000系電車として現在も使われています。
富士急行の6000系電車。私鉄で唯一、205系を改造して導入した(2004年1月、伊藤真悟撮影)。
この車両は、山手線で使われた205系のなかでも初期のもので、ドアの窓が小さく、車両側面の窓が「田」の字のように2枚窓になっています。山手線のあとは京葉線で使われていました。
205系の現在の“職場”は、国内だけではありません。多くの車両がインドネシアに渡っています。JR東日本は埼京線、横浜線、南武線の205系を、2013(平成25)年度から首都ジャカルタの近郊で都市鉄道を運行するインドネシア通勤鉄道会社(PT Kereta Commuter Indonesia)に譲渡しており、2018年にも武蔵野線の205系を譲渡しました。
このなかには、山手線で使用された車両も存在。ジャカルタに渡ってもドアは交換されていないため、ドアの窓が小さければ元山手線の車両だと分かります。
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