神戸空港と関空を30分で結ぶ船
大阪湾に浮かぶ関西国際空港には、JRと南海電鉄が乗り入れているほか、関西の各地域とを結ぶ高速バスが発着しています。
神戸空港と関西空港を結ぶ高速船「そら」。同「うみ」と2隻で毎日32便が運行されている(画像:OMこうべ)。
たとえば神戸市内からだと、主要駅であるJR三ノ宮駅前から高速バス(空港リムジンバス)が直通しており、関空までの所要時間は1時間5分、料金は1950円です。ほかに、電車を乗り継ぐ方法のほか、実は神戸からは海路で関空へ向かう方法もあります。
神戸空港も関空と同様、大阪湾に浮かぶ海上空港です。陸地をぐるりと回るよりも海上を直線で結んだほうが近いため、両空港のあいだを高速船「神戸~関空ベイ・シャトル」が運航しています。乗船時間はおよそ30分、料金は1850円。神戸空港ターミナルから乗船場までは歩いても5~6分、無料のシャトルバスも出ています。関空側の乗船場からも、第1・2ターミナルまでバスが連絡しています。
三宮からは、神戸新交通のポートライナーで神戸空港駅(神戸空港ターミナルに隣接)まで行き、船に乗り換える必要があります。ポートライナーの所要時間は18分、料金は330円です。ただし、ポートライナーとベイ・シャトルの両方に乗れる「ポートライナーセット券」を購入すれば、料金は1850円と、実質的にポートライナーのぶんが無料になります。
「徳島~関空」高速バスとフェリーどっちが便利?
関空は、四国の徳島県からも多くの人が利用します。JR徳島駅から関空への直通高速バスは所要2時間45分、料金は4100円です。
JR徳島駅から船を利用したアクセスは、まず市営バスで15分、徳島港の南海フェリー乗り場へ向かい、そこからフェリーで和歌山港へ渡ります。乗船時間は2時間15分。和歌山港からは南海電鉄の列車に乗り換え、急行や特急「サザン」ならば泉佐野駅でさらに乗り換え、関空に到着します(和歌山港駅から普通列車利用の場合は和歌山市駅でも乗り換えが必要)。所要時間は50分ほどです。
全行程を合わせると3時間半近くかかる計算ですが、料金は徳島駅~徳島港が210円、そしてフェリー乗り場でフェリーと南海電鉄の両方で使える「好きっぷ2000」という切符が2000円で購入できるので、合わせて2210円。直通の高速バスと比べ1890円もお得になります。
和歌山港へ入港する「フェリーつるぎ」(画像:南海フェリー)。
徳島から関空へのアクセス手段は、高速バスと船、どちらにもメリットとデメリットがあります。高速バスならば少々値段は高いものの、乗り換えなしで関空まで直行可能。しかし、途中の道路渋滞に巻き込まれる恐れもあります。一方、船ならば料金は安いものの、時間がかかるほか、乗り換えが多いため、大きい荷物を持っているときも不便でしょう。
ただ、船は深夜も運航しています。徳島港2時55分発のフェリーに乗船すれば、徳島からの高速バスでは間に合わない関空7時半前発の便に搭乗することも可能。まさに一長一短なのです。
長崎空港にも「海路」あり
九州の長崎空港も、大村湾に突き出た海上空港です。大村湾の東海岸と橋で結ばれており、空港から県内各地への高速バスのほか、近くのJR大村駅とを連絡する路線バスも日に20本運行。大村駅から列車に乗り換えて移動することも可能です。
この長崎空港にも海路によるアクセス方法が存在します。大村湾の北岸に位置する観光地ハウステンボスとのあいだで、安田産業汽船が高速船を運航。所要時間50分、料金は1960円です。
長崎空港からハウステンボスまでの陸上交通手段としては、佐世保方面へ向かう高速バスで直通、もしくはいったん大村駅に出て、JRで向かう方法があります。前者は所要59分、料金1250円。鉄道を利用する場合は、大村駅まで路線バスで12分、240円。さらに大村駅からハウステンボス駅まで40分前後、650円です。
長崎空港をバックに大村湾を航行する高速船「オーシャンライナー3」(画像:安田産業汽船)
船は料金的には最も高くなりますが、ハウステンボスの園内に発着するというのが特徴。正面入り口とは反対側のハーバータウンにある、ハウステンボスマリンターミナルです。
ハーバータウンはハウステンボスの入場券なしで出入りでき、ここには「フォレストヴィラ」というハウステンボス公式ホテルのひとつがあります。正面入り口から遠く、シャトルバスなどで向かう場所ですが、船ならば到着する場所が比較的近いので便利です。長崎空港からハウステンボスへのアクセス手段は、泊まるホテルによって変えるのもいいかもしれません。
※記事制作協力:風来堂、加藤桐子
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