近隣の「カタカナ施設」にあわせて改称
JR東日本は2018年12月4日(火)、山手線と京浜東北線の田町~品川間で建設中の新駅(2020年春開業予定)について、名称を「高輪ゲートウェイ(Takanawa Gateway)」に決めたと発表しました。
近江鉄道のスクリーン駅(2009年9月、恵 知仁撮影)。
カタカナを含む駅名は全国に多数あります。高輪ゲートウェイ駅の近くでも、りんかい線の「東京テレポート駅」「天王洲アイル駅」「品川シーサイド駅」、ゆりかもめの「テレコムセンター駅」「有明テニスの森駅」がカタカナを含みます(天王洲アイル駅は東京モノレールにもあり)。
カタカナは多くの場合、駅の近くにあるカタカナ名称の施設に由来しています。しかし、なかには現地の地名と合体させる、前後の字を省略するなどによって、インパクトのある字面になった駅名もあります。
えちぜん鉄道の三国芦原線にある「太郎丸エンゼルランド駅」(福井県坂井市)は、もともと周辺の地名にあわせて「太郎丸駅」を名乗っていましたが、1999(平成11)年、近隣に福井県児童科学館(愛称「エンゼルランドふくい」)がオープン。2017年に現在の駅名へ改称されました。
三国芦原線の電車が直通している福井鉄道には「ベル前駅」(福井市)があります。駅前のショッピングセンター「ショッピングシティベル」にあわせて1993(平成5)年に改称されたもの。もとの名前は「花堂南(はなんどうみなみ)駅」でした。ほかにも福井鉄道には「ハーモニーホール駅」や「サンドーム西駅」など、カタカナを含む駅があります。
近江鉄道の「スクリーン駅」(滋賀県彦根市)は2008(平成20)年に開業。近くに液晶ディスプレイの製造装置などを開発している大日本スクリーン製造(現在のSCREENホールディングス)の工場があります。同社が従業員の通勤用として駅の設置を近江鉄道に要望し、その費用も同社が負担しました。
紛らわしくて消えたカタカナ駅も
一畑電気鉄道(現在の一畑電車)は2001(平成13)年、松江市内にある古江駅を「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前駅」に改称。近くに建設された美術館のオープンにあわせて名前を変えています。当時は表記18字、記号を含む読み仮名25字で、日本一長い駅名でした。現在は美術館の閉館で「松江イングリッシュガーデン前駅」に再改称されています。
弘南鉄道の「田んぼアート駅」(青森県田舎館村)は、原則として4月から11月まで営業。色の違う稲を植え分けることで水田に絵を描く「田んぼアート」が行われている地域に設置されました。
ちなみに、カタカナを含んだ駅名で最も古いのは、1874(明治7)年に開業した「西ノ宮駅」(現在の西宮駅)と「三ノ宮駅」。これは「にしみや」「さんみや」などと誤読しないよう、カタカナの「ノ」を加えたものと思われます。
カタカナを当てた外国語を含む駅名としては1915(大正4)年、現在のJR大糸線(一部)を運営していた信濃鉄道が「アルプス追分駅」(現在の長野県安曇野市)を開業しています。駅の西側に広がる北アルプスに由来していますが、登山口の最寄り駅と勘違いして下車する客が多かったようで、4年後の1919(大正8)年には現在の「安曇追分駅」に改称されました。
全ての文字がカタカナの駅名は1922(大正11)年、北海道鉱業鉄道(のちの北海道鉄道)の金山線に開業した「ニナルカ駅」(現在の苫小牧市)が最古とみられます。ニナルカは「高台」を意味するアイヌ語です。1943(昭和18)年には金山線の国有化にあわせて漢字の「静川駅」に改称され、ほどなくして駅自体が廃止されました。
JRの前身である国鉄線では1968(昭和43)年、函館本線の狩太駅(現在の北海道ニセコ町)が、地元の要望を受けて「ニセコ駅」に改称されました。このころ、スキー場の開発が進んでいた付近の山(ニセコアンヌプリ)にちなんで名付けられたもの。JRの駅では国鉄時代も含め、最も古い「全文字カタカナ駅」です。
【写真】日本一長かった「ルイス駅」
一畑電車の「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前駅」。日本一長い駅名でもあったが、現在は「松江イングリッシュガーデン前駅」に改称されている(画像:pixta)。
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