新名神とつながり、交通量が増加
名古屋市と三重県津市を結ぶ東名阪道は、四日市JCTから亀山JCTまでの区間で渋滞が慢性化しています。国交省による2017年の渋滞損失時間ランキングでは、亀山JCT~鈴鹿ICの上り方面が4位に、下り方面でも四日市JCT~鈴鹿IC間が11位となっており、全国で上位の「渋滞難所」になっています。
東名阪道 亀山JCT上り方面の合流地点。この付近から鈴鹿ICまでの区間で慢性的な渋滞が発生している(2012年1月、佐藤 勝撮影)。
この東名阪道と並行する形で、新名神の新四日市JCT~亀山西JCT間が2018年度内の開通を目指して建設されています。同区間は新名神の東端にあり、この地域で関西圏と名古屋を結ぶ主要ルートのひとつになります。東名阪道の渋滞緩和にも期待が寄せられていますが、そもそもなぜ東名阪道は混雑するのでしょうか。NEXCO中日本の担当者は、原因について次のように話します。
「2008(平成20)年に新名神の亀山JCT~草津JCT間が東名阪道とつながり、名古屋、東京方面と京都、大阪方面を結ぶ新たなルートができましたが、それにより交通量が大幅に増えたことが渋滞の主な原因と考えられます。また、四日市JCT~亀山JCT間には、渋滞の原因になりやすいサグ部(下り坂から上り坂へ変わる場所)がいくつかあり、このことも慢性的な渋滞に関係していると考えております」(NEXCO中日本名古屋支社 広報担当)
一方、新名神の新四日市JCT~亀山西JCT間が開通した場合、東名阪道の交通量が分散することが見込まれます。
「過去にも、新東名の浜松いなさJCT~豊田東JCT間が開通したことで、並行する東名高速の交通が分散して渋滞が大幅に緩和された例があります。東名阪道と新名神のダブルネットワークが完成すれば、適切な交通分散が進んで渋滞が緩和されると期待しています」(NEXCO中日本名古屋支社 広報担当)
ただし、NEXCO中日本は新名神の完成をただ待つのではなく、現状できる対策を行っているところです。
現状でもさまざまな対策、日本初の試みも
現状での渋滞対策では、四日市JCT~亀山JCT間で道路を拡幅して車線を増やしたり、道幅を変えずに2車線から暫定3車線とする区間を順次増やしたりしています。さらに、2017年9月からは交通状況に応じてLEDライトで視線誘導を行う「ドライブ・アシスト・ライト」を日本で初めて鈴鹿IC付近の上り線に設置しました。
「車線の追加や暫定3車線運用は、道路の物理的容量を増やしてクルマの流れを良くすることを目指しているもので、一定の成果があがっています。ドライブ・アシスト・ライトはクルマの流れる速度を検知して、状況に合わせて自動的に発光することでクルマの速度低下を防いだり、渋滞時に速度回復を促したりする仕組みです。まだ導入したばかりで効果を示すデータがありませんが、渋滞の緩和は期待できそうです」(NEXCO中日本名古屋支社 広報担当)
鈴鹿IC付近の路肩に設置された「ドライブ・アシスト・ライト」。車速を検知して光り方を自動制御し、速度低下を防ぐ(画像:NEXCO中日本)。
NEXCO中日本はほかにも、渋滞の発生しやすい場所に横断幕や簡易LED情報板などを設置してドライバーに注意を促すなど、さまざまな取り組みを行っていますが、渋滞を根本的に解決するには至っておらず、2018年のGW期間の渋滞予測でも、下り方面は5月3日(木)の午前8時から12時で30km、上り方面は5月3日(木)から5日(土)のそれぞれ午後5時から翌午前1時で20km(いずれも鈴鹿IC付近)の渋滞を予測しています。
東名阪道における渋滞解決の「本命」はやはり、新名神 新四日市JCT~亀山西JCT間の開通ということになりそうです。NEXCO中日本の担当者によると、同区間の建設は「2018年度内の完成を目指し、順調に進んでいます」とのことです。
【地図】東名阪道と並行して建設される新名神の予定ルート
建設中の新名神 四日市JCT~亀山西JCT間は2018年度内に開通予定(国土地理院の地図を加工)。