まずは「裏の色」を確認
駅員の代わりにきっぷを確認する自動改札機。2018年9月、福井県内の一部のJR駅に自動改札機が導入され、鉄道用の自動改札機が全くない都道府県は四国の徳島県だけになりました。いまでは大都市だけでなく、地方都市の駅でも見慣れた設備になったといえます。
いまや見慣れた設備になった自動改札機(2011年3月、草町義和撮影)。
しかし、自動改札機はすべてのきっぷに対応しているわけではありません。うっかり対応していないきっぷを自動改札機に投入するとゲートは開かず、「ピンポーン」という警告音が鳴ります。この「ピンポーン」は割と大きな音ですから、ちょっと恥ずかしい思いをした経験のある人もいるのではないでしょうか。
通常、きっぷの裏が茶色か黒なら通れますが、白い色のきっぷはNGです。自動改札機はきっぷの文字を読み取っているのではなく、磁気情報を読み取っているためです。
きっぷの黒い部分は「磁性体」と呼ばれる磁気を帯びた物質で、ここにきっぷの区間や有効期間などの磁気情報が書き込まれています。自動改札機はこれを読み取ることで使えるきっぷかどうかを判定しますが、磁性体がない白いきっぷでは判定できないのです。
裏が白いきっぷは昔に比べて減りましたが、無人駅からの乗車や乗り越しなどで列車内の車掌から購入するきっぷは白いきっぷが多くなっています。
昔ながらの分厚くて小さなきっぷ(硬券)も、自動改札機を通れません。いまでは自動改札機を全く導入していない地方私鉄などでしか硬券を見る機会がないため、そもそも自動改札機を通れなくても問題ないはず。ただ、地方私鉄の駅から自動改札機が導入されているJRや大手私鉄などの駅までのきっぷが硬券で発売されていることもあり、そのような場合は降車時に自動改札機を通れないということになります。
通れるようで通れないきっぷも
それでは、裏が茶色か黒なら必ず通れるかといえば、そうでもありません。きっぷの利用区間から外れた駅で降りようとしたり、きっぷの有効期間が切れていたりすれば、もちろん通れません。ところが、利用区間も有効期間も問題ないはずなのに「ピンポーン」が鳴ることもあります。
昔ながらの硬券は自動改札機に対応していない(2018年9月、草町義和撮影)。
多くの場合、自動改札機による入場記録がないきっぷは、裏が茶色や黒であっても下車駅の自動改札機をそのまま通ることができません。たとえば、自動改札機がない駅で駅員のいる改札を受け、列車に乗ったケースがこれにあたります。
JRの場合、企画きっぷやフリーきっぷは自動改札機を通れたり通れなかったりします。基本的には通常のきっぷより横に長いきっぷは通れません。「青春18きっぷ」や「秋の乗り放題パス」がこれに該当します。こうしたきっぷには、券面に「へそマーク」(上下にやや長い丸印のなかに×印が描かれたもの)が描かれていたり、「自動改札機は使えません」という案内が記されています。
新幹線の自動改札機は、特急券だけ投入してもゲートは開きません。乗車券と特急券の2枚を同時に投入するか、あるいは乗車券と特急券が一体になったきっぷ1枚を投入する必要があります。
このように、自動改札機で使えるきっぷと使えないきっぷは、見た目だけでは判断できない場合があります。「裏が黒いきっぷは○、白いきっぷは×」という原則を覚えておけば、「ピンポーン」で恥ずかしい思いをすることはほとんどありませんが、フリーきっぷなどを使うときはきっぷの案内を読んだり、駅員に自動改札機を使えるかどうか確認するのがいいでしょう。
【画像】改札機を通れるきっぷと通れないきっぷ
裏面が黒いJRのきっぷのうち、自動改札機を通れるきっぷ(赤枠)と通れないきっぷ(青枠)。横に長いきっぷは基本的に通れない。
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