車内での嘔吐、車両は営業不可に
忘年会、新年会シーズンは、酒に酔った状態でタクシーに乗り帰る人も増えるかもしれません。
深夜のタクシー利用も多くなる年末年始。車内で吐いてしまった場合は……写真はイメージ(画像:写真AC)。
もし、タクシー車内で気分が悪くなった場合、乗務員はどう対応するのでしょうか。都内大手の日本交通(東京都千代田区)に聞きました。
——気分が悪そうな乗客には、どのように対処するのでしょうか?
乗務員がお客様の状況を見ながら、こまめにお声がけをさせていただきます。ご気分が悪いようでしたら、お客様の許可を得て窓を開けるほか、必要に応じて公衆トイレなどに立ち寄るといった対応をしています。
——耐えきれず車内で吐いてしまった場合はどうなるのでしょうか?
そのタクシーは営業ができなくなりますので、お客様を送り届けたあと、車庫へと戻します。特殊な清掃をし、吐瀉(としゃ)物はもちろん、においも完璧に取り除いてから営業を再開させます。
※ ※ ※
車内で吐かれてしまい、その後の営業ができなくなれば、当然ながらその乗務員やタクシー会社には損失になります。この損失分は、乗客に請求されることになるのでしょうか。
「請求しません」という会社も
タクシー車内で乗客に吐かれてしまった場合の対応について、東京ハイヤー・タクシー協会(東京都千代田区)は、「お客様がご不快な思いをされないようにするのが第一」としたうえで、次のように話します。
「シートなどが汚れますので当然物損にはなりますが、それをお客様に請求するかは状況次第でしょう。吐いたことも覚えていないようなお客様もいらっしゃいます。ドライバーはまず会社に連絡、お客様から名刺などを頂戴するなどして連絡先を確認し、後日、個別に話し合うケースが多いと思います」(東京ハイヤー・タクシー協会)
一方、神奈川、東京、埼玉でタクシー事業を展開する三和交通(横浜市港北区)は、「まずは、エチケット袋をお渡しするなどして吐かれないようにします」としたうえで、「吐かれてしまっても、お客様に損失分を請求することはない」といいます。
三和交通でも、車内で吐かれてしまった場合はその後の営業をせず、営業所に戻って車内を清掃するそうです。「営業所には予備の座席も用意してあるので、座席を含むもろもろの用品を取り替え、車内を清掃し、汚れたものは洗って干します。乗務員も手慣れていますので、時間を惜しんでてきぱきと行い、営業再開に備えます」と話します。
「酒酔いでなく乗りもの酔いでも同じですが、吐かれてしまうのは仕方のないことです。タクシーに限らず、どの乗りものもそのようなスタンスではないでしょうか」(三和交通)
とはいえ、乗車前に少しでも気持ち悪かったら、吐いてから乗る、車内でどうしても我慢できなくなった場合は、クルマを停めてもらって外で吐くことを念頭に置いたほうがよさそうです。
【写真】忘新年会帰りで乗る機会があるかも? 新型タクシー
2017年10月にデビューしたトヨタの次世代タクシー車両「JPNタクシー」(2017年10月、乗りものニュース編集部撮影)。