再建が完了した興福寺中金堂へ
歴史と文化が折り重なった古都「奈良」は、景観や食もまた魅力。JR東海が展開する観光キャンペーン「うまし うるわし 奈良」では、「天平の朝」をテーマに鮮やかな朝焼けから始まる「興福寺中金堂編」のCMが東京・静岡地区で放映されています。
そんな「うまし うるわし 奈良」について、2019年1月に開催された「運慶・快慶作の仏像鑑賞と奈良のうまいもん巡り」の2日間プレスツアーに参加しました。1日目は奈良市内、2日目は奈良市外を巡ります。
2018年に再建が完了した興福寺の中金堂(2019年1月16日、伊藤真悟撮影)。
プレスツアーの1日目は、奈良市内のお茶屋「つるや」のランチからスタート。閑静な旧市街に位置する「つるや」は、奈良の芸妓 菊乃さんがプロデュースするお店です。メニューは赤米や奈良の食材にこだわっているとのこと。「昼御膳」(1800円)、「花懐石」(3000円)、「極懐石」(5000円)の3種類で、いずれも予約が必要です(価格はすべて税込)。
興福寺では、2018年に再建が終わった中金堂を見学。中金堂は1717(享保2)年に大火で焼失し、1819(文政2)年に仮堂が建てられましたが、2000(平成12)年に老朽化のため解体。2010(平成22)年に再建を開始し、2018年に完成しました。堂内には、木造の釈迦如来坐像などが安置されています。ちなみに柱は、カメルーンから輸入したケヤキが使われているそうです。
「つるや」のランチ。
通常は非公開の興福寺北円堂。
興福寺の国宝館。
興福寺の北円堂は、鎌倉時代に活躍した仏師、運慶が制作した弥勒仏像が置かれています。通常は非公開ですが、4月20日(土)から5月6日(月・休)までと7月7日(日)には特別公開が予定されています。
行列ができるという「純氷」のかき氷店
興福寺の次に訪れたかき氷専門店「ほうせき箱」は、夏はもちろんのこと、冬でも行列ができるという人気店で、通常は整理券を配布しています。
かき氷店「ほうせき箱」の「いちごヨーグルト氷」(2019年1月16日、伊藤真悟撮影)。
氷は72時間かけて製氷した「純氷」で、ふわっとした食感が特徴です。かき氷専門店ですが、ドリンクメニューも用意。さらに、かき氷やその器を描いたポストカードなどのグッズも販売しています。
その後は東大寺へ向かいました。南大門には運慶と快慶らにより制作された金剛力士像が置かれています。
東大寺ミュージアムは、2011(平成23)年10月に開館した施設です。館内には重要文化財の千手観音菩薩立像や多聞天立像など多数の文化財が展示されています。入館料は中学生以上600円、小学生300円です。
東大寺の南大門。
南大門に置かれている金剛力士像。
東大寺二月堂。
東大寺の二月堂は国宝に指定されている建物で、大仏殿の東側の丘陵部に位置します。奈良時代の創建ですが、現在の建物は1669(寛文9)年に再建されたもの。伝統行事「東大寺修二会」(お水取り)の場所としても有名です。この二月堂からは奈良の街を一望できます。
「西の迎賓館」に宿泊
清酒「春鹿」の醸造元である今西清兵衛商店では、地酒の利き酒を行いました。ここでは、500円で利き酒グラスを購入すると、5種類の日本酒を1杯ずつ楽しめます。「春鹿」という酒名は、春日大社とその神獣である鹿から名付けたそうです。酒粕で漬けた奈良漬けの試食もあります。
「西の迎賓館」ともいわれる奈良ホテルの本館(2019年1月17日、伊藤真悟撮影)。
今西清兵衛商店からほど近いレストラン「TERRACE」では、奈良食材を使い和食の伝統とフレンチの技法を融合させた料理を提供しています。ディナーコースは1万円(税・サービス別)、ランチは4000円(同)で提供。ドリンクは別料金です。
宿泊は、1909(明治42)年10月開業の奈良ホテル。国賓や皇族も宿泊したことがあり「西の迎賓館」ともいわれています。創業当時からの本館と、1984(昭和59)年に営業を開始した新館があります。
利き酒で用意された5種類の日本酒。
「TERRACE」の店内。
奈良ホテル本館のロビー。
木造2階建の本館は、東京駅の丸の内駅舎も手掛けた辰野金吾が設計に関わっています。客室以外にもロビーやバー、ティーラウンジがあり、明治時代のクラシックな優雅さが漂います。なお、2017年から約3年の期間で、本館の耐震補強工事と一部客室のリニューアルが進行中です。
日本最初の厄除け霊場へ
2日目の最初の目的地、安倍文殊院(奈良県桜井市)は645(大化元)年に創建されたという寺院。本堂には快慶の作品で国宝の「渡海文殊(とかいもんじゅ)」が置かれています。
快慶作の「渡海文殊」が収められた安倍文殊院の本堂(2019年1月17日、伊藤真悟撮影)。
この地は、安倍一族発祥の地ともいわれており、2010(平成22)年には安倍晋三首相が石燈籠を奉納しています。1基70万円の永代奉納料で誰でも奉納が可能。石燈籠に氏名や社名とともに心願成就や商売繁盛などの願いごとが刻まれます。
同じ桜井市内にある、宿泊設備を備えたレストラン「オーベルジュ・ド・プレザンス 桜井」では、窓越しに広がる田園風景を眺めながら食事を楽しめます。ランチは奈良の旬の食材を使ったコース料理で2種類です。
最後の訪問地は岡寺(奈良県明日香村)。日本最初の厄除け霊場で、本堂内には土でできた如意輪観音座像が本尊として祀られています。座像の高さは4.85mで、「日本三大仏」にも挙げられる重要文化財です。普段、如意輪観音座像の拝観は離れた所からですが、4月1日(月)から6月30日(日)までの期間は、すぐ近くで拝観できます。
安倍文殊院の石燈籠。
2日目のランチ会場。
岡寺の如意輪観音座像。
JR東海では、「うまし うるわし 奈良」キャンペーンにあわせて、興福寺国宝館の早朝拝観や、興福寺北円堂などの特別参拝、個人ではなかなか行けない酒蔵巡りなどの旅行商品を設定しています。