黒板五郎、純、蛍が、初めて富良野に降り立った駅が消える?
2016年10月25日(火)、JR北海道が特に利用の少ない3線区を廃止し、バス転換する方向で沿線自治体と協議する方針を固めたと、複数のメディアが報じました。その3線区は次のとおりです。
・根室本線:富良野~新得(1430円、152人)
・留萌本線:深川~留萌(1316円、183人)
・札沼線:北海道医療大学~新十津川(1909円、79人)
カッコ内は、100円の営業収入を得るために必要な営業費用を意味する「営業係数」(円、2014年度)と、1kmあたりの1日平均輸送人員を表す「輸送密度」(人、2015年度)です。
JR北海道は輸送密度が500人級である場合、燃料費や乗務員経費など輸送に直接必要な経費を賄えないとしていますが、今回挙がった3線区は、輸送密度が200人未満で特に利用が少ない状況です。
これら線区のなかには、映画やテレビドラマに登場した駅が含まれています。廃止が現実になると、物語と同じように列車が駅を発着する光景も過去のものになりそうです。
根室本線の富良野~新得間には、1981(昭和56)年から始まったテレビドラマ『北の国から』で物語の“出発点”となった布部駅(北海道富良野市)が存在。テレビシリーズ第1話で、主演の田中邦衛さん演じる黒板五郎はじめ純、蛍の3人が初めて富良野に降り立ち、親戚の草太兄ちゃんと合流したのがこの駅でした。駅前には作者、倉本 聰さん直筆の「北の国 此処に始まる」と書かれた木製の看板があります。
「幌舞駅」「明日萌驛」も廃止か
根室本線の富良野~新得間には、幾寅駅(北海道南富良野町)も存在。この駅は中間駅ですが、映画『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年公開)のなかでは、廃止を控えた「幌舞(ほろまい)線」の終点「幌舞駅」として登場。高倉 健さんがその駅長役を務めました。
また留萌本線の深川~留萌間にある恵比島駅(北海道沼田町)は、NHK連続テレビ小説『すずらん』(1999年)で使用されました。本来の駅舎とは別に、テレビドラマ用に木造の「明日萌(あしもい)驛」が造られ、その建物は現在も残されています。
JR北海道は今年7月、「単独で維持が困難な線区」を秋口までに示すとしていましたが、8月以降に続いた台風被害の影響で公表が延期されています。
今回挙げられた3線区のひとつ、根室本線の富良野~新得間はその台風で大きな被害を受け、一部区間(富良野~東鹿越)は10月17日に運転が再開されたものの、残る東鹿越~新得間についてJR北海道は、被害が甚大で「工事着手については早くとも来春以降となる」としていました。