JR指定券は1か月前から発売
年末年始の「一大イベント」といえば帰省。大勢の人が東京などの大都市から実家のある地方に移動します。JR旅客6社の発表によると、2017年12月28日から2018年1月4日までの輸送人員(主要46線区の新幹線や在来線特急など)は1057万4000人でした。
年末年始は、新幹線など都市と地方を結ぶ多くの交通機関が混雑する(2013年9月、草町義和撮影)。
これだけの人数になると座席は全て埋まり、立ち客であふれかえる列車が多くなります。通路やデッキで数時間、立ちっぱなしで過ごすのは避けたい。あらかじめ指定席のきっぷを買っておいて、郷里までゆったり座って帰りたいところです。
JRの場合、指定券は乗車日1か月前の午前10時から発売。JRのネット予約サイトでは、発売開始のさらに1週間前から事前申し込みサービスを提供しています。駅の窓口でも利用者が多い時期には、事前申し込みを受け付けていることがあります。ただ、早めに申し込めば必ず指定券を確保できるわけではありません。少しでも座れる確率を上げるためには、列車の選び方から考える必要があります。
まず、運行区間ができるだけ短い列車を選ぶのがいいでしょう。たとえば東京駅から東海道新幹線を使って大阪に帰省する場合、山陽新幹線に直通する広島行きや博多行きの列車より、新大阪止まりの列車のほうが指定券を取りやすいといえます。新大阪止まりの列車は広島や博多に行く客があまり乗っておらず、その分指定席に余裕ができるためです。
もう満席! まだある指定券の入手方法
このほか、毎日運転されている定期列車よりは、特定の日に限り運転される臨時列車のほうが、指定席を確保しやすいといえるでしょう。ただ、東京~大垣間の夜行快速「ムーンライトながら」のように、通常は定期列車が運行されていない区間や時間帯を走る臨時列車は指定券の入手が難しくなります。観光客向けの特別な車両を使っている臨時列車も、その列車に乗ること自体が目的の客が多く、注意が必要です。
臨時列車を狙うのも手だが、写真のような観光客向けの特別な車両を使った臨時列車は指定券の入手が難しい場合もある(2018年5月、草町義和撮影)。
もっとも、すいていそうな列車を選んで早めに買うのがいいことは分かっていても、帰省のスケジュールが固まらず、事前受付どころか発売が始まってもきっぷを買うことができないこともあるでしょう。ようやくスケジュールのめどが立ったときには、全ての列車が満席になっているかもしれません。
とはいえ、完全に諦める必要はありません。まず考えられるのは、キャンセルで空いた席を狙うことです。
JRの指定券でキャンセル席を狙う場合、基本的には出発の直前まで、キャンセルが出ていないかどうか、駅の窓口やネットの予約サイトで随時確認する必要があります。ただ、人気の高い列車になると、キャンセルが出て数十秒~数分後には再び満席になることもしばしば。かといって数十秒おきや数分おきに駅の窓口を訪ねたり予約サイトにアクセスしたりするのは、現実的ではありません。
そこで、キャンセルが集中しやすい時期にキャンセルが出ていないかどうか確認するのがいいでしょう。一般的には、列車が出発する日の2日前にキャンセルが集中します。指定券の払戻手数料は2日前までなら330円ですが、前日になると料金の30%に跳ね上がるため、そうなる前に払い戻す人が増えるのです。
キャンセル狙いのほかにも「奥の手」が
出発の2週間前も比較的キャンセルが出やすいといわれています。こちらは旅行会社が団体旅行や旅行商品向けに確保していた指定席のうち、売れ残った分をJRの予約システムに戻すためです。
東北新幹線の新青森行き「はやぶさ」。たとえば東京~仙台間と仙台~新青森間で席を分けて予約することで、座れる可能性が高くなる(2011年3月、草町義和撮影)。
もうひとつの方法としては、複数の区間に分けて指定券を購入すること。完全なノンストップ列車でない限りは途中の駅で乗り降りがありますから、東北新幹線の東京~新青森間を通して予約できる席は満席でも、東京~仙台間の指定席と仙台~新青森間の指定席なら空いている席があるかもしれません。
そこで「東京~仙台間の指定席」と「仙台~新青森間の指定席」に分けて購入すれば、席を移動する必要はあるものの、座って帰省することができます。仙台駅で後続列車の指定席に乗り換えてもいいですし、同じ列車内にある別の指定席に移ってもかまいません。
このような買い方をする場合、駅の窓口で「座席が途中の駅で変わってもかまいません」などと申し出ましょう。窓口の係員のほうから「途中の駅で席が変わりますけど、それでもよろしいですか」と声をかけられることもあります。
ちなみに、新幹線で区間を分けて予約を入れる場合、同時に購入すれば、ひとつの座席を利用するときの料金と同じです(改札は出られません)。しかし在来線の指定券は、基本的にはひとつの座席ごとに料金が発生するため、通常は高くなります。
【写真】でかっ! 「みどりの窓口」昔の予約端末
「みどりの窓口」でかつて使われていた大きな端末。駅名などが記されたノート状の鉄板にピンを差し込むことで予約情報を入力していた(2011年10月、恵 知仁撮影)。
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