2018年11月に一部使用を開始
JR九州は2018年7月25日(水)、保存・復原工事を進めている鹿児島本線・門司港駅(北九州市門司区)の駅舎について、2019年3月にグランドオープンすると発表しました。
基本的に大正創建当時の姿に復原される門司港駅の駅舎イメージ(画像:JR九州)。
門司港駅は九州における鉄道の玄関口として、1891(明治24)年に「門司」駅として開業。1914(大正3)年に移転し、このときから現在の駅舎が使われています。1942(昭和17)年、関門海峡をくぐる関門トンネルの開通にあわせ、「門司港」駅に改称。1988(昭和63)年には鉄道駅として初めて、駅舎が国の重要文化財に指定されました。
駅舎の工事は2012年に着手され、以降、解体調査や復原が進められてきました。方針としては、創建(1914年)当時の姿に戻すことが基本とされます。外壁は石貼り風にモルタルを塗り、屋根は天然の石盤を葺(ふ)き、さらに屋根まわりの飾りを復原。1929(昭和4)年に設置された正面車寄せの庇(ひさし)は除去します。
一方、駅舎正面の時計(1918年設置)や西側の通路上家(1931年増築)などは、その歴史的価値を尊重しそのまま残されます。修理後の駅舎は、これまでと同様、駅として使われます。
駅舎内部の1階旧三等待合室は、建築当初の姿を復原しつつ、構造補強を兼ねたエレベーターを新設。グランドオープン後は「スターバックスコーヒー」の門司港駅店(仮称)が入ります。
2階はレストランが開店 「みかど食堂」の名前が復活
2階の旧「みかど食堂」も建築当初の姿を復原しシャンデリアを設置。グランドオープン後はレストラン「みかど食堂 by NARISAWA」が開店します。
2階食堂の内装復原イメージ。ここは「みかど食堂 by NARISAWA」が入居予定(画像:JR九州)。
門司港駅の旧「みかど食堂」は1914(大正3)年の駅舎開業と同時に営業を開始した高級洋食店です。当時、山陽鉄道(後の山陽本線など)の急行列車内で食堂車を運営していたみかどが手掛けていました。
JR九州は「復原工事中に旧厨房の床下から発見された伝票によると、1日に200組の来店があり大変にぎわっていたようですが、関門トンネルの開通によりお客さまが次第に遠のき、昭和56年ついにその歴史に幕を下ろしました」と説明しています。
新たに開店する「みかど食堂 by NARISAWA」の料理は、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフで、「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」のスイーツコースの演出も務める成澤由浩さんが監修。「地元のお客さまに愛され、門司港のシンボルとして誇れる洋食レストラン」をコンセプトに、「西洋の食文化と日本の食文化が融合した懐かしい料理」(JR九州)が提供されます。
今後、2018年11月10日(土)には、券売機や「みどりの窓口」が仮駅舎から復原駅舎に切り替わります。このほかの、1階の待合室やカフェ、ギャラリー、2階の食堂、貴賓室などは2019年3月にオープンする予定です。JR九州は「これからの門司港を100年先まで見守り続ける門司港駅にご期待ください」としています。