「高齢者75歳以上」提言 年金年齢上がる恐れも

01.06 15:38 東京新聞

 日本老年学会などは五日、高齢者の定義を従来の六十五歳以上から十歳引き上げ、七十五歳以上とすべきだとの提言をした。社会の担い手としての期待が高まるが、年金の支給開始年齢引き上げなどにつながる可能性もある。

 同学会などは、高齢者のうち六十五~七十四歳について「心身の健康が保たれ、活発な社会活動が可能」と認定。十年前と比べると五~十歳は若返っているという。ニッセイ基礎研究所の前田展弘主任研究員は「時代の流れに合った提言だ」と評価。働きたい人が働く「生涯現役社会」を目指すべきだ、と訴えた。

 民間企業では労働力の確保という観点から、定年を延長する動きが出てきている。明治安田生命保険は二〇一九年に総合職など内勤の全職員約九千人の定年を六十五歳に延長する。同社の根岸秋男社長は五日、東京都内での会合後の取材に「現在の六十歳から六十五歳の嘱託雇用職員の給与を倍増させる」と明かした。

 ただ、六十五歳よりも高齢の人の雇用には企業側に抵抗感もある。東京都内の電子部品メーカーの人事担当者からは「雇用確保の負担は大きい」との声が聞かれた。小泉進次郎氏ら自民党の若手議員による「二〇二〇年以降の経済財政構想小委員会」は昨年、現在の社会保障制度では財政を維持できないとして、「六十五歳からは高齢者」という定義を見直し、定年制を廃止することを提言した。

 公的年金の支給開始年齢はこれまでも段階的に引き上げられ、現行制度では原則六十五歳から。財務省はさらに引き上げを求めているが、提言をまとめた主要メンバーの大内尉義(やすよし)・虎の門病院院長は「提言が、年金支給年齢の安易な引き上げなどにつながらないようにしてほしい」とくぎを刺した。

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チェーンソーでヤマト運輸脅し、後に謝る動画 男逮捕

01.06 14:29 東京新聞

 三重県警は五日、同県伊賀市のヤマト運輸営業所でチェーンソーを手に営業所の従業員を脅したとして、暴力行為法違反の疑いで、伊賀市玉滝、トラック運転手長谷川和輝容疑者(27)を逮捕した。脅している様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿していた。

 逮捕容疑では、昨年十二月三日午前五時四十五分ごろ、伊賀市のヤマト運輸伊賀支店伊賀阿山センターで、同社パート従業員の男性(53)に「おいさっさと荷物出せや」「なめくさりやがってコラー」と大声を上げ、持っていたチェーンソーを空吹かしするなどして、男性を脅迫したとされる。県警によると、容疑を認めている。

 長谷川容疑者は逮捕前の一月五日夕、再びユーチューブで生放送の「謝罪会見」と称した動画を配信。行為を認め、「ヤマト運輸さんなどに関係される方々にはご迷惑お掛けしました。すみませんでした」と二十秒以上にわたり頭を下げていた。

 県警によると、長谷川容疑者は自宅に荷物を届けに来たセンターの配達員が、自分が不在の時に持ち帰ったことに腹を立てたという。逮捕直前の五日夜、本紙の電話取材に応じ、動画を配信したことに「やり場のない怒りがあった。動画を盛り上げることで鎮めようと思った」と釈明していた。

ユーチューブで謝罪する長谷川和輝容疑者

保護ネコとの出合いアップ 浦安の飼い主仲介ラウンジ改装

01.06 02:00 中日新聞社

 保護されたネコと新たな飼い主を仲介するラウンジ「猫の館ME」(浦安市堀江六)が、改装オープンした。店舗スペースを四倍の約七十平方メートルに広げて活動基盤を強化。工事費用は全国から寄付(一口五千円)を募り、約二百七十万円を集めて充てた。

 ラウンジでは、浦安、市川両市の保護ネコを支援ボランティアから預かり、飼い主を探す。子ネコと比べて新たな飼い主が見つかりにくい大人のネコが中心で、引き受け希望者は利用料(平日は一時間千百円、土日は千三百円)を支払ってネコがいるスペースに入室。気に入れば無償で引き取れる。

 血統証明書付きのネコを販売するペットショップや、触れ合いたい人のためのネコカフェとは異なり、保護ネコ支援を目的としている。見学譲渡会と比べて、時間をかけて見極められる。同ラウンジでは十数匹のネコがいて、えさ代などを支援(月二千円)する「あしながおじさん」のようなサポートプランもある。

 二〇一三年七月のオープン以来、百匹に新しい飼い主を見つけた。一方で活動の維持費がかかるため、雑貨や高価格帯のキャットフードなどの販売スペースを拡充した。一時預かりや飼い方セミナー、シャンプーなどのケアなども展開している。

 ラウンジを運営する小倉則子さんは「譲渡希望者にネコが日ごろ暮らしている空間で素顔を見てほしい」と話す。問い合わせは「猫の館ME」=電047(720)2222=へ。 (村上豊)

広げた保護ネコがいるスペースについて説明する小倉則子さん=浦安市堀江で

「都民の共感」つかめるか 予算案の知事査定スタート

01.06 02:00 中日新聞社

 東京都の小池百合子知事は五日、就任後初めての二〇一七年度予算編成に向け、事業内容や必要経費を詳細にチェックする「知事査定」を始めた。都税収入が六年ぶりにマイナスになる見通しの中、旗印とする「都民ファースト」を打ち出せるかが焦点だ。保育所の待機児童対策や東京五輪・パラリンピック、豊洲市場への移転問題などへの対応とともに、今夏の都議選をにらんだ小池都政の試金石になる。(内田淳二)

一般会計5年ぶり減

 「大義ある政策を都民の共感を呼ぶ形で、いかに予算に反映するか」

 十六日まで続く査定の初日が終わった後、小池知事は記者団にそう語った。都によると、知事査定は例年四日程度だったが、今回は延べ八日間に倍増。予算案は二十五日に発表される。

 小池知事は一般会計予算が五年ぶりにマイナスの六兆九千億円台半ばになると表明。根幹の都税収入が、海外経済の減速による企業収益の低下などで、六年ぶりに減る見込みという。

 小池知事は事業を見直して七百億円の財源を確保し、「三百五十件を超える新規事業を盛り込む」と表明した。ただ、待機児童対策など個別の重点事業費は「査定中」とした。

0・4%の攻防

 「政党復活予算は前回で終わりにする」。昨年十一月、小池知事はそう宣言。昨年十二月、五十七の業界団体や都議会各会派から、公開で予算要望を聞いた。

 復活予算とは、都の予算原案で削られた事業費を都議会からの要望の形で復活させる仕組み。規模は二百億円だが、都の本年度当初予算の一般歳出に占める割合は0・4%。それでも、都議会と業界団体、都職員との蜜月の象徴だったため、ベテラン自民都議は「都議選をにらんだ宣戦布告だ」と受け止めた。

 小池知事は主宰する政治塾から独自候補を出すため、今月七日に塾生の選抜試験を実施。最大会派の自民と対決姿勢を強める一方、「改革の仲間」として公明、民進両党とは選挙協力を検討する考えだ。

 予算案を審議する来月二十二日からの都議会定例会は、都議選を視野に、各会派のつばぜり合いが激しさを増すことが予想される。

タブレット端末でペーパーレス着手

 今回の知事査定には、資料の閲覧にタブレット端末が初めて導入され、東京都によると、コピー用紙一万五千枚が節約されたという。小池百合子知事は「メモを取りにくいところはあるが、都政大改革というべきペーパーレス化が始まった」とご機嫌だった。

 都によると、都庁で二〇一四年度に使われた紙は三億七千九百十六万六千枚程度に上るという。小池知事は衆院議員だった一五年十月、ツイッターで「モンゴルの議会はすべてペーパーレスだとか。日本はいまだに紙ベース。むむ」とつぶやくなど、以前から関心が強い。 (木原育子)

東京都の新年度予算編成の知事査定に臨む小池知事=5日、都庁で

お年玉いくらもらった? シリアの子におすそわけを

01.06 02:00 中日新聞社

 「今世紀最大の人道危機」といわれるシリア内戦。死者は民間人を含めて四十七万人と推計され、六年目に入っても終息のめどは立たない。戦争の犠牲になった子どもも多く、命が助かっても心の傷は大きい。日本の子どもたち! シリアの子どもを少しでも助けるために、お年玉の一部を寄付してみないか? (河野紀子)

 「シリアから着の身着のままで逃げてきた人が多い。不自由な生活の中、祖国にいつ帰れるか分からないので、不安とストレスを抱えています」

 国境なき医師団(MSF)の助産師として二〇一五年三月から半年間、イラク北部のクルド人自治区にあるドミーズ難民キャンプで、妊婦健診や出産に携わった小島毬奈さん(32)=東京都豊島区=は話す。

 キャンプは見渡す限り、テントやれんがを積み立てた家が広がり、戦火を逃れた四万人が暮らす。出産は多いときで月百五十件。キャンプが開設された三年前は他団体の医療施設もあったが、資金不足などから撤退。いまはMSFの診療所一カ所のみが妊産婦のケアを担う。朝八時に開くと、二十人以上が列を作って待っている。

 診療所を支える職員もシリアから逃れた難民たち。家族や友人を亡くした人も多いが、いつかは帰りたいと願っている。「私たちに生きるなと言っているようなものだ」。内戦で荒れていく母国の現状を嘆き、何度も繰り返し訴えてきた言葉が耳に残っている。

 診療所には、妊産婦だけでなく子どもも駆け込んでくる。「内戦のトラウマ(心的外傷)は子どもの方が深刻。一目見れば分かるほど、笑わないし話すこともできない」。夜尿症がひどく、支給のおむつに頼る子も。アラビア語の単語帳を作って意思疎通を図るなかで、彼らの心の傷の大きさを痛感したという。

 一方で、日本国内ではシリア内戦に関する報道が少なく、関心も低いと感じている。一五年九月にシリア難民を乗せたボートが転覆し、三歳の男児の遺体がトルコの海岸に漂着したニュースは大きく伝えられたが、その後は話題に上ることは少ない。

 シリアでは、人口の半数にあたる一千万人が国内外で避難生活を強いられているとされる。「支援団体のウェブサイトなどでシリアの現状を知る手段はたくさんある。人ごとにせず、まずは関心を持って」と小島さん。シリアで活動をする団体に寄付することなど、日本でもできることはあると語る。

◇主な支援団体と寄付口座(いずれもゆうちょ銀行の口座番号。加入者名は団体名)
・特定非営利活動法人国境なき医師団日本
 口座番号 00190‐6‐566468
・特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム
 口座番号 00120‐8‐140888
・公益財団法人日本ユニセフ協会
 口座番号 00190‐5‐31000
・特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン
 口座番号 00130‐6‐254059
 ※寄付金額と、寄付者の住所、氏名、電話番号を書き、通信欄に「シリア支援」と明記、窓口かATMで手続きする。ゆうちょ銀行の振り込み以外にも寄付する方法はある。詳しくは、各団体のウェブサイトで。

 <こじま・まりな> 1984年、東京都生まれ。助産師として都内の総合病院や産婦人科クリニックに勤務した後、2014年に国境なき医師団に参加。15年3月~16年9月、イラクとレバノンの難民キャンプの医療スタッフとして計1年間派遣された。

シリア難民が暮らすドミーズ難民キャンプ=2015年4月、イラク北部のクルド人自治区で(国境なき医師団提供)

<2020へ かながわの10代>(5)先輩に続け 全力疾走

01.06 02:00 中日新聞社

女子ラグビー・小畑結依さん(17)=関東学院六浦高2年

 広々としたフィールドで追いすがる相手を尻目に、ボールを持って独走する。ラグビーを観戦する側からすれば胸のすくシーン。プレーしていれば、なおのこと-と水を向けると、「疲れる…」と言いかけて「けど、楽しいです」と白い歯を見せた。格好をつけない、本音なのだろう。

 自己分析では、負けず嫌いで、常に動いていたい活発な性格。サッカーやバスケットボールも好きだが「相手にぶつかっても反則にならないラグビーが一番」。好戦的な野生動物を思わせるせりふを、それと懸け離れた人懐こい笑顔で語る。一年後輩の小川すみれ子さん(16)が「キャラの濃い人」と評するのも分かる。

 小学五年の時、父・望さん(51)に「足腰が強いから、やってみたら」とタグラグビーを紹介された。タックルの代わりに相手の腰に付いたタグを取り、強い接触を避けるルール。「でも体を張ってタックルしたい」。中一になり、ラグビーのクラブチームに入った。

 二〇一五年に関東学院六浦(むつうら)高校(横浜市金沢区)に入学した。同校はこの年、女子選手の育成を目指す県ラグビー協会の打診を受けて県内初の高校女子ラグビー部を創部。その初代主将を任された。

 小五のころから続く習慣がある。ミーティングや試合後のノート作りだ。これはまずかった、次はこうしよう…。望さんが録画したビデオを見ながら、ボールや人の動きを表した図も描く。「私にとって一番、集中できる時間。楽しい」。自宅の食卓で没頭していると、望さんに「なんだ、勉強じゃないのか」とちゃかされることも。内容は、次の試合前に読み返す。

 「私からラグビーを取ったら、本当につまらない人生」と語るだけに、のめり込み方は半端ではない。中学時、クラブの練習がない平日は近所の公園に行った。壁を相手にパス。キックは狙い通り、三本連続で命中したら帰ると決める。何度やり直しても「それが楽しかった」と振り返る。

 地道な努力を背景に、昨年から、全国レベルの大会に個人で選抜されるようになってきた。先月二十七日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場であった東西対抗戦「U18(十八歳以下)花園女子十五人制」でも、メンバー四十四人の一人に選ばれた。

 二〇年東京五輪の出場は大きな夢だ。昨年のリオ五輪七人制女子ラグビーに、横浜市出身の小出深冬(みふゆ)(21)や山口真理恵(27)、鈴木彩香(27)の三選手が出場した。中一の時、コーチの指示にふてくされていると「どんな時でも返事をしろ」とたしなめてくれたのが、同じクラブにいた小出選手。身近な先輩が五輪代表で活躍するのだから、心理的なハードルは低い。

 「仲間を生かし、自分でも決める小出さんを目指す。判断力と俊敏性に磨きをかけて、六浦高と横浜、日本の女子ラグビーを強くしたい」。独走だけでは疲れる。仲間や先輩がいるからこそ、前を向ける。あこがれの横浜出身の五輪代表の系譜に連なるべく、今年も駆け抜ける。 (梅野光春)

 <女子ラグビー> 男子と同様に五輪は7人制で、ワールドカップ(W杯)は15人制でプレーする。ルールも男女共通。昨年のリオ五輪では、女子の日本代表「サクラセブンズ」は1勝4敗で参加12カ国中10位だった。日本ラグビー協会によると、昨年12月22日現在、女子高校生のラガーは1951人で、2011年と比べ約400人増。大学生や社会人らを含めた女子ラグビーの競技人口も、5729人から7698人に増えている。

◇プロフィル
 おばた・ゆい
★身長、体重 
 161センチ、58キロ
★リオ五輪 私の感動シーン 
 女子ラグビー日本代表の挑戦。試合には負けたけど、体の大きい海外選手にタックルする姿勢がかっこよかった。
★私の初夢 
 強豪チームと同じくらい強くなり、見ている人が「どっちが勝つんだろう」と楽しめる試合ができる女子ラグビー部にする。

関東学院六浦高校・女子ラグビー部の主将小畑結依さん=横浜市金沢区で

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<東京SAKE物語>(5) 切子が語る酒の魅力

01.06 02:00 中日新聞社

 なめらかな曲線のカットが施された、水色のぐい飲み。日本酒を注ぐと、ガラスの表面がきらりと輝きを増し、ぜいたくな気分を演出してくれる。

 「このお酒はすっきりとした飲み口。柔らかく、まろやかな味わいを切子で表現しました」。江東区亀戸にある「江戸切子の店華硝(はなしょう)」の企画担当熊倉千砂都(ちさと)さん(41)が、「夢の香純米吟醸」(奥の松酒造、福島県二本松市)をイメージした酒器の説明をしてくれた。

 華硝は昨年十一~十二月、新しい酒の楽しみ方を提案しようと中央区日本橋本町の直営店で「日本のお酒から発想する江戸切子の器展」を開いた。岩手や宮城、京都、香川まで全国二十四銘柄の日本酒の味を表現した酒器を制作。紅色、瑠璃色、ぶどう色といった伝統色から桜色、白黒など色とりどりのぐい飲み、杯、グラスを酒瓶と一緒に展示した。

 「お客さんに『この酒器にはこのお酒が合います』と薦めるのではなく、酒に合わせて酒器を作る逆転の発想。酒蔵ごとに歴史や味が異なる日本酒の魅力や個性を切子で表現できたら」と千砂都さんは狙いを話す。

 制作する前、職人自らさまざまな形の酒器でそれぞれの銘柄を飲み比べ、デザインに生かした。千砂都さんの弟で、華硝三代目の隆行さん(37)は「酒器を作っている私たちも、日本酒のことを実はあまり知らなかった。器の形や色によって味や印象がこんなに変わるのかと驚いた」と振り返る。例えば先がすぼまったぐい飲みは、口を付けた瞬間、中に閉じ込められていた香りが一気に広がる感じがした。

 華硝が酒蔵も巻き込んで新たな戦略を練る背景には、「ものを作るだけでは職人の自己満足。楽しみ方まで含めて伝えないと生き残っていけない」(千砂都さん)との危機感がある。

 消費量が減っている日本酒同様、江戸切子など伝統工芸の世界も先行きは楽観視できない。五十四事業所が加入する江戸切子協同組合(江東区)によると、昭和四十年代のピーク時に約七百人いた職人は百人ほどに減少。そのうち職人が一~二人の事業所が半数以上を占め、七人を抱える華硝が最大規模という。

 華硝で職人になって四年目の小坂衆洋(ともひろ)さん(27)は「江戸切子も日本酒も、触れる機会を増やせば良さが分かってもらえる」と強調する。小坂さん自身、日本酒は辛いイメージがあって苦手だったが、今回の飲み比べで初めておいしいと思えた。自身の作品を紹介している、写真・動画共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」には、「欲しい」「どこで買えますか?」といった反応が寄せられている。

 展示会は、一点一万~十万円の酒器が目標売り上げを早々に達成するほど好評で、北海道など遠方からの来場者もいた。華硝は今後も毎月、日本酒を数銘柄ずつ取り上げて酒器の制作、展示を続けることにした。

 千砂都さんは「お客さんに、お酒のことも知ってもらえた」と手応えを語る。互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、販路を広げていく。「業界の枠を超えて挑戦し続けてこそ、伝統が未来へとつながっていくんだと思います」 (奥野斐)
 =おわり

 <江戸切子> 江東区を中心に都内や近郊で作られるガラス工芸品。江戸後期に現在の日本橋周辺で始まり、ガラス製造業者が原料などを運ぶのに便利な川の近くに、切子の工房も集まったとされる。透明ガラスや、色を薄くかぶせた色被(いろきせ)ガラスを使い、表面にカットを施す。代表的な文様は、魚の卵をモチーフにした「魚子(ななこ)」など十数種類ある。1985年に都の伝統工芸品に、2002年に国の伝統的工芸品に指定されている。

江戸切子の酒器に模様のカットを施す華硝3代目の熊倉隆行さん=江東区で

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人工知能搭載で人の感情理解、会話する車 トヨタ

01.05 15:22 東京新聞

 【ラスベガス(米ネバダ州)=岸本拓也】トヨタ自動車は4日、米ラスベガスで5日から開幕する世界最大の家電見本市「CES」で展示する人工知能(AI)を搭載したコンセプト車を発表した=写真、岸本拓也撮影。AIを通じて車が運転手の感情や行動を学び、自動運転技術と組み合わせて安全性を高める。数年内に日本国内の公道で、この技術を活用した試作車の実証実験を始める。

 「トヨタコンセプト-愛i(アイ)」と名付けられた車は、最新のAI技術を活用してカメラで認識した運転手の表情や動作、会話の内容から、人の感情や好みを理解する。

 それを基に、AIが運転手のストレス状態や疲労度などを把握し、車内の照明を点滅させて居眠り運転を防いだり、運転手の異常があった場合に自動運転に切り替わったりして、安全性を高める。

 運転手の会話や会員制交流サイト(SNS)での発信などから、AIが運転手の嗜好(しこう)も把握。好みの話題で会話することもでき、人と車がパートナーのような存在になることを目指す。

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今年で最後? 築地初競り マグロ7420万円

01.05 15:09 東京新聞

 築地市場(東京都中央区)で五日朝、今年最初の取引となる「初競り」が行われ、二百十二キロの青森県大間産のクロマグロが七千四百二十万円(一キロ当たり三十五万円)の最高値で競り落とされた。記録のある一九九九年以降、二〇一三年の一億五千五百四十万円(同七十万円)に次いで二番目の高値になった。

 落札したのは、すしチェーン「すしざんまい」を運営する喜代村(中央区)で六年連続。木村清社長は「いっぱい競合相手がいて高くなった」と話した。同社は、クロマグロを午後に解体し、全国の店舗で提供する。

 昨年十一月に予定されていた豊洲市場(江東区)への移転延期で、今年も築地で初競りを迎えた。取引前の新年あいさつで、卸売業者「大都(だいと)魚類」の青木信之社長は「移転時期も確定しておらず、われわれはまさに混乱の渦中。中ぶらりんの状態から一刻も早く脱却することを願っている」と語った。

 マグロを扱う仲卸業者でつくる東京築地魚市場大物業会の早山(はやま)豊会長も「私の中にあるのは戸惑いと怒り。その怒りを商売にぶつけ、なんとしても生き残っていく」と述べた。

喜代村の木村清社長(右)らによって運ばれる、初競りで最高値がついたクロマグロ=5日午前6時13分、東京・築地で

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<癒す ケッコーな話> インコのにおい トリこ

01.05 13:39 東京新聞

 「ほら、ここをかいでみてください。天日干しにした布団のようなにおいがするでしょう?」

 神戸市灘区の喫茶店「とりみカフェ ぽこの森」。女性の常連客を中心に訪れた人たちがお茶を飲みながら、ガラス越しにインコなどの小鳥を見てくつろぐ。経営者の梅川千尋さん(37)が、特別にセキセイインコを連れてきて、においをかがせてくれた。

 羽の付け根に鼻を近づけると、なるほど、干し草のような香り。鳥好きでなくても、思わずうっとりしてしまう。かつてインコを飼ったことがあり、小鳥見たさに来店したという兵庫県芦屋市の女性会社員(50)は「分かります。離乳食を食べ始めた赤ちゃんの頭からも、同じにおいがしますよね」と目を細めた。

 最近、三十~四十代の女性を中心に、インコブームが起きている。インコといえば、人間の言葉をまねることで昔から人気だが、今回のブームで注目されているのは、この甘く懐かしいようなにおいだ。

 火付け役となったのが、同店が二〇一三年五月に発売した「インコアイス」。バニラアイスにアワやヒエ、麦といった雑穀や、リンゴなどのフルーツ、ナッツ、ヒマワリの種など、つまり小鳥の餌になる物が混ぜてある。「最初、餌をアイスにしたらどうかと思って作ったら、想像以上にインコ臭くって」と梅川さん。

 そんな話を聞いて合点がいった。あのにおいの正体は、餌として与える雑穀のにおいのようだ。餌の上を歩いたりして、体ににおいが移る。食べて摂取するからか、羽を守るため体内からにじみ出る油分からも、バターやナッツのような甘いにおいがする。

 インコの種類はもちろん、同じ個体でも部位によってにおいは微妙に違う。「セキセイインコだと、羽の付け根はチーズっぽいにおい。くちばしの先端は、ラムネのようなさわやかさ」と梅川さんはほほ笑む。

 アイスは、セキセイインコやコザクラインコ、ブンチョウなど九種類。ネット上で「キワモノかと思ったら普通においしい」と話題になり、東京や大阪、名古屋など全国の百貨店の催事で売られる人気商品になった。通販もしている。

 梅川さんは、インコのにおいが楽しめるコーヒーや入浴剤、ふりかけ、サイダーなど続々と商品を開発。男性よりも女性の方がにおいに敏感といわれることも関係するのか、とりこになるのはほとんどが女性という。男性は「なるほどね」と薄い反応だとか。「においをきっかけに鳥好きを増やしていきたいですね」とグッズ展開に知恵を絞る。

 同じくインコのにおいに着目したのは、アクセサリーなどをネットで販売する名古屋市天白区の「OKAMEN75」。インコのにおいの香水「魅惑の背中」を開発した。

 経営する斎藤郁美さん(41)も、物心が付いたころからインコを飼っていたという。「仕事の合間などの息抜きに、ぽかぽかしたにおいで癒やされてきました」と話す。香水を開発したのは四年前。「外出中でも、いつでもインコのにおいがかげるように」と、インコ好きならではの発想だ。

 香水を染み込ませて楽しむボールペンや携帯ストラップ、アイマスクなども開発。「“昔飼っていたあの子のにおい”と涙を流す人もいる。事情があって小鳥が飼えない人もにおいグッズなら手軽に楽しめます」

 ストレス社会ともいわれる現代。インコが多くの人を癒やしている。 (稲田雅文)

インコにまつわるさまざまなグッズを開発する梅川千尋さん=神戸市灘区の「とりみカフェぽこの森」で

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