全身全霊を込めた主演舞台「バリーターク」が大千秋楽を迎えた草彅剛。舞台を経て感じたことや今の心境、そして下半期に向けての意気込みを「月刊ザテレビジョン」の連載「お気楽大好き!」(8月号発売中)で語った。その一部を紹介。
ユースケさんも来てくれた。「汗かいて一生懸命やってる僕の姿がいい」って
舞台「バリーターク」が大千秋楽を迎えました。毎回全力投球で、毎日が濃密で。舞台をやってる期間って、人生の中で一番充実してると思うんだ。一日の中で無駄にするところがないから。芝居してて、相手の松尾(諭)さんのリアクションを感じたりする時間の流れがすごい繊細だったり濃かったり。もうボーッとしてる時間がないんです。他のことは何も…まあ(愛犬の)クルミの散歩はしてるけど(笑)、ノドにいいハーブティーを飲んで、あしたのために早く寝ようと思ったし、アザとかケガは多かったから体のメンテナンスは一番気を使ったかもしれない。常にベストの状態にもっていこう、そこだけに全力を尽くした感じが気持ち良かった。でないとできない舞台だったから。舞台に対して純粋になれてる自分が、上演時間の1時間40分のためだけに毎日考えてる自分が好きだった。
今回もたくさんの方がいらしてくれてね。ユースケ(・サンタマリア)さんも来てくれた。汗かいて一生懸命やってる僕の姿がいいって言ってくれて。そうなんだよ。「正直内容はあんまり分からなかったけど、良かったよ」って言ってくれる人が多かったんで、それは役とかそういうのを超えて、伝える部分の大切さみたいなのをもう一度自分自身も学べたかなと思った。
(稲垣)吾郎さんと(香取)慎吾も忙しい中、見に来てくれて。ブログやインスタでコメントを…、うん、うれしかったです。そうやって僕のことを愛情を持って見てくれてる2人に感謝っていうか。一つ一つの言葉が本当に素敵で、僕の舞台をすごくいい形で言葉にしてくれた。やっぱり分かってくれてるんだなって。それを読んで観劇してくれた方も、また舞台を思い出してくれたのかなと思うし、見てない方も新たな想像を膨らませてくれたんじゃないかな。
いろんな時間が流れていて、どれも色鮮やかで、バンバンバンと色が入ってくる
それにしても横浜、東京と千秋楽の後、月に一度の「7・2新しい別の窓」の生放送があったというのは、面白い巡り合わせだなと思って。舞台でめちゃくちゃエネルギー使って放心状態だったのに、余韻も何もバタバタとお台場に移動して、打ち合わせも台本もほとんどなくて、カトルド・トランプって何だよ!って思いながら、僕が運転して3人でクルマ乗ってるわけですよ。面白いよね。全然違うことだから、むしろできちゃうっていう。この感じもまんざらじゃないぞ、僕の人生って思う。
“ななにー”(「7・2新しい別の窓」)では白井晃さんと松尾諭さんとクルミで三軒茶屋の町を歩いたのが楽しかった。あのパッケージ成立してたよね。「クルチューバーと剛のぶらぶら散歩旅」みたいな番組ができそう(笑)。3カ月一緒にいて、汗水流した2人とだったので友情が芽生えてる感じがして。落ち着いたら松尾さんとも連絡取り合って、あらためて三茶で労をねぎらってもいいんじゃないかなと。やっぱり舞台終わって寂しくなるから。
さっき舞台のことだけ考えてるって言ったことと矛盾するけど、実は映画も撮ってました。「まく子」(2019年公開予定)という、僕はちょっとダメなお父さん役。子供がメインで、子供の妄想というか宇宙人とか円盤が出てきちゃって面白いんだよ。映画「中学生円山」(2012年)を思わせるような感じもちょっとあって。でも淡い少年と少女のラブストーリーにキュンとする。初めてご一緒する監督で、独特な撮り方をしていて楽しかった。
いろんな時間が流れていて、どれも色鮮やかで、バンバンバンと色が入ってくるんだよね。舞台やってるときも、汗かいてすごい長台詞しゃべってるじゃん!って客観的に見てる自分もいるし、吾郎さんと慎吾を乗せて運転してるときに街の人に声を掛けられてる感じとか、新しい現場に立ってる瞬間とか、ユーチューバーの自分とか、自分の“新しい地図”にどんどん色鮮やかな新しい色が足されていくことによって、もっと違うどこか行ったことのない場所に行ける感じがして。これからももっともっと色鮮やかになっていくんじゃないかな。