毎週土曜に放送中のドラマ「オトナ高校」(夜11:05-11:59テレビ朝日系)。本作の撮影現場に潜入し、遊び心たっぷりの教室セットについてや、独特の世界観で描かれる「オトナ高校」ができるまでなど、貴島彩理プロデューサーと美術プロデューサーの丸山信太郎氏から話を聞いた。
大人ならではのデザインが施された教科書の表紙には四十八手!?
30歳ながら女性経験ゼロのため「オトナ高校」へ強制的に入学させられた荒川英人(三浦春馬)らが通う「オトナ高校」が使用する教科書も、大人ならでは(!?)のデザインとなっており、保健体育の教科書に至っては、なんと体位を模型で表現するほど…!
丸山氏は「教科書は面白おかしくしたかったのと、それでもコメディーになりすぎないように、本当に教科書として存在しそうなテイストにしています。保健体育の表紙は、四十八手を使用してみました(笑)」と教えてくれた。
また、貴島Pも「国が大真面目に、恋愛や性交について教育しようとするとこうなるんじゃないか?というラインを狙っています。“全力で真面目にやっているのに、なんかズレてる”という部分が面白さに繋がれば…と思っています」と小道具へのこだわりも盛りだくさんに詰まっている。
“オトナ”が通う学校ならではの厳しいルールも!?
英人たち30オーバーの童貞や処女たちが通うことになった教室に潜入すると、大真面目に性交渉にまつわる校則や校訓が堂々と掲げられ、校則はよく読むと笑えてしまうし、校訓はインパクト大でとても強烈だ。
また、1人1人に支給されている生徒手帳も実は中身がしっかり作ってあるという。「助監督さんが一生懸命、中身を考えてくれて。読んでみたら“校内で性行為に発展した場合は事後ただちに担任に申告すること”とか、細かい決め事ができていて(笑)。
『校則はこうでいいのか?』と、みんなで真顔で会議もしたのですが、途中“私たちは何を真面目に話し合っているんだ!?”と爆笑になったり。現場では明るく真剣に“エロ”に取り組んでいます!」と、貴島Pは語り、細部にまで“エロ”をちりばめているようだ。
教室に配置されている動物の縫いぐるみの意味は!?
また、教室内には動物の縫いぐるみもチラホラ。天井際廊下側の窓からは「オトナ高校」の校章マークにも使われているつがいのフラミンゴがいたり、直立したタヌキも鎮座されていたりする。
丸山氏は「フラミンゴのピンク色を使いたかったことと、フラミンゴでハートを作りたくて、校章マークに入れてみました。フラミンゴのつがう姿もいいですよね。それに、人の裸だと生々しいので(笑)、タヌキに裸になってもらって、直立させてみました。察してください(笑)」と、何げないセットにもしっかりと意味が込められている。
セリフにも、もちろん“エロ”を盛り込んだ際どいワードが満載!!
英人や権田勘助(高橋克実)、園田真希(黒木メイサ)ら、いわゆる恋愛弱者な生徒を追い込むのは、20代の若き教師陣。すでに5人の子を持つ担任・山田翔馬(竜星涼)や、清楚系と見せつつ誰にでも体を許してしまう小悪魔系の副担任・姫谷さくら(松井愛莉)は、卒業の兆しが見えない生徒たちに全く容赦がない。
毒舌で恋愛理論をただき込みつつ、ドギツイ発言で英人を追い込んでいく。
第1話でさくらは生徒たちに避妊具を配布するなど、未経験者たちには刺激的なシーンの連続で、「台本で読むよりも、実際に声に出して演じて頂いたらすごく過激で。クランクインする前の顔合わせでは、思わずみんなで爆笑しました。
竜星さんと松井さんが、口にするのも恥ずかしいはずのセリフを力強く言ってくださって、若いお二人の一生懸命さがよりドラマを面白くしてくれています」と、貴島Pも絶賛する。
竜星と松井にオファーした際については、「竜星さんは『こういうのがすごくやりたかった! 台本を読んでこんなに爆笑したのは初めて! 全力を尽くします』と力強く言ってくださいました。松井さんは、こんな過激なセリフを言うとは思えない人が…という部分に面白みがあると思ってお願いしました。
『頑張ります!』と真っすぐな目で、とてもキラキラした笑顔で言ってくださったので、逆になんだかとても申し訳ない気持ちになりました(笑)」と打ち明けた。
オープニングで三浦が見せる見事なダンスにも大注目
強制的に「オトナ高校」に通う生徒たちの表情とは裏腹に、オープニングでは笑顔でキレキレのダンスを見せる三浦が印象的だ。
ミュージカル「キンキーブーツ」(2016年)でも、高い評価を受けた三浦がそのスキルを遺憾なく発揮しており、「リピートが止まらない!」とくぎ付けになったファンも続出。
貴島Pは、「オトナ高校にイヤイヤ通っている英人たちだからこそ、オープニングではあえて、笑顔で楽しそうな様子を描きたかった。本編とのアンバランスさを作りたいと監督と相談して、周回遅れの青春を楽しんでいるイメージにしました」と狙いを語る。
そして、「英人たちも、不本意ながら始まった学園生活を、いつしかこのオープニングのように、楽しめるようになっていければ」と秘めた思いもあるそうだが、果たしてそんな日はやってくるのか、今後の展開も気になるところだ。
真っすぐな英人たちの成長をリアルに描きたい
今後の展開について「年齢的には“大人”になったこじらせ男女が、人として成長していくさまをきちんと見せていきたい。ですが、裏テーマとして、『人はそう簡単には変わらない』ということも描きたいなと。
年齢を重ねていくと、“変わること”がだんだん難しくなってくると思います。子どものときのように素直になれないことも増えてくる。でも、オトナ高校に出てくる人々は、みんな実はピュアでまっすぐな人たち。
そんな彼らが1歩1歩、成長していきつつも、これまで積み重ねてきた30年強を簡単には変えることができない…そういう部分も含めて、リアルに描いていければ…と思っています」と語る貴島P。
無事に英人たちは、真の“オトナ”になれるのか…。まだまだ悪戦苦闘することになるであろう彼らの成長ぶりに注目だ。