TBS系で放送中の「花のち晴れ~花男 Next Season~」。SNSでは、初回放送中から若い世代を中心に盛り上がり、webサイト「ザテレビジョン」でも連日「視聴熱(※)」ドラマ デイリーランキングの上位にランクインするなど、注目を集めている。
神尾葉子の大ヒットコミック「花より男子」の新章を、杉咲花主演でドラマ化。原作のキャラクターや世界観の再現度や、個性豊かなキャラクターたちの魅力が1話から発揮され、視聴者を魅了した。
さらに、ドラマ内で解禁された宇多田ヒカルによるイメージソング「初恋」や、「花より男子」で学園を取り仕切っていた“F4”のリーダー・道明寺を演じた松本潤が友情出演したことでも話題になった。
今回は、ドラマ「花より男子」(2005年、TBS系)から引き続き、プロデューサーを務める瀬戸口克陽氏にインタビューを行い、原作の世界観を表現するためのこだわりやキャスト陣の魅力などについて聞いた。
※SNSや独自調査を集計、今熱い番組・人物・コトバからテレビの流行に迫る新指標
原作の世界観を表現するためのこだわり
神尾先生が描かれた“花男”“花晴れ”の世界のお金持ちの突き抜け感。そのセレブ感の中に心情のリアルがあるので、舞台設定をしっかりと作り上げました。
前作の「花より男子」の道明寺家は福島まで行っているんですけど、今回の神楽木家の豪邸は家の表が三重、玄関入ってすぐのロビーが和歌山、庭が静岡、ダイニングルームは大阪で撮っています。
世界観を表現する勝負所なので、妥協せずに選びました。
英徳学園にみんなが高級車で登校しているシーンも新たに撮影しているんですけど、そういう世界観は大事にしています。
あと、1話で登場したキーアイテム「ローストビーフ」もしっかりと検証して、どれくらいの大きさで、どういう作りにすればいいかということもかなり綿密に打ち合わせしましたし、原作でも出てくる白馬も呼んで、大事なシチュエーションを作り上げています。
天馬(中川大志)が生徒会長を務める桃乃園学院は原作から少しバージョンチェンジしています。
原作だと学院がテーマパーク化しているんですけど、天馬のバックボーンを考えた時に父親はIT関係で“時の人”のような感じがいいのでは、となって。
そんな人の息子なので、彼が学校で公約するとしたら、IT的な要素も取り入れるのではないかなと思って、学院内にパトロールロボットがいたり、先生がセグウェイで移動したり、お掃除ロボットがいたり…。
そういう方向性で世界観を膨らませている部分も、効果を発揮できているのではないかなと思います。
音ちゃんがバイトしているコンビニも実際にファミリーマートさんにご協力いただいて撮影していたり、お金持ちと真逆の江戸川家での庶民生活、(音の母親役の菊池)桃子さんとの慎ましいけど、クスッとくるようなほほ笑ましい生活の知恵も見どころだと思います。
桃子さんは、品があるけどすごくチャーミングなんです。明るくてほっとけないお母さんを魅力的に演じていただいています。
晴の父親である巌さん(滝藤賢一)は晴に厳しく接していて、今回はそういう親子の関係性、音ちゃんとお母さん、晴とお父さん、天馬くんと継母の利恵さん(高岡早紀)の関係も実はこの“花晴れ”の重要なポイントです。
キャラクターでいうと、杉咲さんが髪を30cm切ったり、平野(紫耀)くんがパーマをかけて外ハネにしたり、中川くんが前髪を横に流す感じにしたりとか、みんな原作の髪形とかビジュアルを極力再現するようにしてもらいました。
武闘派の杉丸(中田圭祐)は空手を、一茶(鈴木仁)は華道が板につくように習っていますし、C5のブラックジャケットもみんなが憧れるものじゃないといけないので、質感や形にもこだわって、オーダーメードで作っています。
個性的なキャラクターを演じるキャスト陣の魅力
原作のファンにとっても大事だと思うので、ビジュアルも含め原作のイメージに合う方に演じていただきたくて、1年以上前からずっと探していました。
杉咲さんには最初に「ぜひ演じていただきたいんですけど、髪を切れますか?」という相談させていただきました。
そうでないと音ちゃんを演じられないと思ったので。そしたら「もちろん切ります」と言っていただけて、音ちゃんを演じていただけることになりました。
平野くんは「誰か晴に合う人はいないか…」と探していたところ、平野くんを薦めてくれた方が何人かいて、舞台を見に行ったら抜群にイメージに合ったのでお願いしました。
ただ晴のキメているかっこいいシーンはできると思っていましたが、天然な部分のお芝居は正直、未知数だったんですが…うわさでは平野くんが天然だと聞いていたんですけど、直接本人に会ってみたら思った以上に晴にぴったりで驚きましたね(笑)。
何をやるのか、予想を軽々と超えてくるのが面白いですね。それが平野くんの最大の魅力だと思うし、晴にもぴったりなので、今後もさらに魅力的で目の離せないキャラクターになると思います。
中川くんも完璧な天馬という役にぴったりで。約2ページ分くらいある長せりふをカメラに向かって言うシーンがあったんですけど、一発OKで決めてあっという間に撮影が終わっちゃって、「本当に天馬だな!さすが!」という感じでした。
知的でスマートなイメージです。自分がどうあることが作品全体が良くなるのかを考える視点を持っているのかなという印象。
中川くんは大河ドラマ「真田丸」(2016年、NHK総合ほか)で豊臣秀頼を演じているのを見たんですけど、若くして先輩方を家臣に迎えている若君な役を堂々と演じていて、その姿が“プリンス感”あるなと思って、「天馬役は中川くんだ!」と思いました。
役作りに関して言うと、杉咲さんは台本にシーンに合わせて原作を切り貼りして、そのイメージをしっかり持ちながら演じています。原作の音ちゃんを誰よりも愛してその音を自分がどう演じるかにすごく一生懸命です。
それは、平野くんや中川くんたちも同じで、自分が演じるそのキャラクターを本当によく研究して、自分なりに考えてきているなと感じますね。若いのに本当にすごいなと思います。
ドライリハーサルから完成度高く撮影に挑んできていて、実はそういう部分に関してはもう少し時間がかかるのかなと思っていたんですけど、僕らの想像を上回るレベルで撮影現場に入ってくるので、頭が下がる思いになりますし、よりシーンが面白くなってワクワクします。
第1話では道明寺の登場も話題に。今後は?
原作にタマさんが出るので、秘書・西田とともに登場いただきます。“花男”のキャストの方もこの“花晴れ”の世界観に生きている、ということをちゃんと表現したくて、原作に則っていろいろなキャストに登場してもらえるように頑張っているので、期待していただければと思います!