双子妊娠は、おなかの赤ちゃん2人分だから、ママの体重増加は赤ちゃん1人のママよりハイペースになってもいいの?
でもどこまで増えて大丈夫?食事はどんなことに気をつければいいのでしょうか?
双子妊娠ママのための体重管理ポイントを、帝京大学医学部附属病院・産婦人科学講座・医学教育センター准教授の笹森幸文先生にうかがいました。
双子でも、体重増加の目安は単胎妊娠と同じ
双子妊娠の妊婦さんも、体重増加の目安は単体妊娠の場合と変わりません。ただし、トラブルが起きやすいので、食事に注意が必要です!
体重増加の目安は、 妊娠前の体重からBMIを算出します
「双子や三つ子など、多胎妊娠の体重管理は難しいんですよ」と笹森先生。
「日本人の、多胎妊娠における体重増加の推奨値はありません」が、双子妊婦さんの体重がどのくらい増えていいかの目安については、
「おなかの赤ちゃんが1人の場合の【単胎妊娠に準ずる】というのが、一般的な考え方」なのだそうです。
単胎妊娠の体重増加の目安は、妊娠前のBMIから算出します。
BMI=体重<kg>÷(身長<m>×身長<m>)
■体重増加の目安
・BMI 18.5未満:+9~12kg程度
・BMI 18.5~25未満:+7~12kg程度
・BMI 25以上:個別対応。+5kg程度が一応の目安
双子妊娠はむくみやすいため、 体重が増えやすい
双子ママは、「赤ちゃん2人分の体重」+「単胎よりも多い羊水(ようすい)」の分、体重が増えやすい状態。しかもむくみやすく、体重が一気に増えがちです。
「むくみは血圧が上がる、尿たんぱくが出る、などの症状がない限り、それほど心配する必要はありません。
体重が増えすぎてしまったからといって、ママは自分を責める必要はないんですよ」と笹森先生。
「それよりも注意したいのは、妊娠高血圧症候群などの合併症です。
多胎妊娠は、合併症のリスクが高いので、バランスのよい食生活で必要な栄養をとり、予防に努めてください」。
双子妊婦さんが体重管理で気をつけたいポイント
1 妊娠高血圧症候群になりやすいので、塩分のとりすぎに注意
塩分のとりすぎは、「妊娠高血圧症候群」の発症に関連しているといわれています。カロリーは適正で、塩分は控えめの食事を心がけましょう。
外食やインスタント食品、ファストフードは、塩分のとりすぎにつながるので、控えるのが賢明。ビタミンやカルシウムもしっかりとることが大切です。
2 貧血を防ぐため鉄分はしっかりと
妊娠中は血液中の水分が増えるので、「鉄欠乏性貧血」になりやすくなります。双子ママはとくにその傾向が強くなるので、貧血には十分注意して。
ママの貧血は、赤ちゃんの発育不全を招くことがあります。普段の食事から、鉄分をとることを意識しましょう。
3 むくみやすいけれど、水分は制限しない
妊娠中は血管から外に水分が流出しやすくなるため、むくみやすい状態です。むくみが出ても血圧が上がる、尿たんぱくが出るなどの症状がない限り、それほど心配する必要はありません。むくむからといって、水分を制限することはやめましょう。むやみに水分を制限すると、血栓症のリスクが高まり危険です。
4 一気に食べられないなら、5食、6食に分けて食べる
双子ママは、早いうちからおなかが大きくなるので、胃が圧迫されて食が進まない人も多いようです。
「食べすぎ」よりも「しっかり食べられない」ことのほうが心配。1日3食にこだわらず、小分け食べにして、必要な栄養をとりましょう。
5 妊娠28週以降は、積極的に運動しなくてOK。おなかの張りに注意
双子妊娠は早産になりやすいので、「運動すること」よりも「無理しないこと」のほうが大切です。
「ウォーキングしておなかが張るなら、すぐにやめて」と笹森先生。
「とくに28週以降は、積極的に運動する必要はありません。ただし、足首を動かすなど、血行は促して血栓症を予防しましょう」とのことでした。
いかがでしたか?
もし体重が一気に増えてしまっても、自己判断で食事制限したり、運動を頑張りすぎて無理をするのは危険です。産婦人科医の指導の下で、バランスよく栄養をとることと、塩分を控えることが大切なのですね。(文・たまごクラブ編集部)
監修/帝京大学医学部附属病院 産婦人科学講座・医学教育センター准教授 笹森幸文先生