“汚部屋”に“ゴミ屋敷”……その内部を見たコトはありますか? アリ地獄のように身動きが取れなくなるほどのゴミ。仕送り段ボールの中からは、腐ったフルーツが異臭と小虫を放ち……。しかし、その住人はいたって普通に見える女性の場合が多いとか。アナタの隣人も、もしかしたら……?【特集・汚部屋オンナ 第2回】
数々の汚部屋に潜入取材した実話系ルポライターの村田らむさんが、“汚部屋オンナ”たちの実態をご紹介!
真夏のゴミ屋敷作業はまさに地獄絵図
天井に届きそうなほど積み重なったゴミ袋が部屋を占拠
東京・代官山。ドラマに出てくるような瀟洒なマンションを訪れたのは、真夏の夜。
“超大型物件”とのことで覚悟はしていました。
依頼人の希望で深夜から作業開始。近隣の方にバレたくなかったのでしょう。
ドアを開けると予想をはるかに超える光景。押し寄せたゴミが1メートル以上の高さになっている。
そもそもエアコンが壊れ、電気業者を呼ぶために片づけを依頼されたので、部屋のエアコンはつきません。夜とはいえダクダクと汗が流れる。
(左)トイレも用を足せない状態。掘り起こすと高級そうな服や小物が出てきたが、床に近いものは水漏れのせいかカビが発生/(右)ゴミ山の中に埋もれたケージ。驚くべきことにこの部屋でネコを飼っていた!
荷物を持ち上げると泥だんごのような物体が床に落ちた。なんと大量の猫の糞です。ほとんど隙間のない部屋で猫を飼っていたんです。猫の餌も散らかっている。
そして、なぜか使用ずみナプキンが壁にペタペタ貼りつけられていた。
地層のように重なったゴミを上から片づけていくと、階層が下がるたびに新たなゴキブリが出現。ゴキブリの卵もパラパラ落ちる。
湯船には生活ゴミ、荷物などが。全体的にグッチョリと湿っていた
最後はみんなでふき掃除なんですが、10年分のゴミがたまった床はドロドロすぎて、簡単にはキレイにならなかったです。
◎こんなオンナが住んでいる
・30代後半
・広めの2DKにひとり暮らし
・会社ではそこそこの役職らしい
・とにかく物を捨てられない
すり鉢状の空間が唯一の居住スペース
中央のくぼみが居住スペース。いつ雪崩が起きるか不安になるほどの積み上げ方。ある意味、芸術的でもある
こぢんまりとしたワンルームのアパートに住む依頼者は、某国立大学出身のエリートOL。
ドアを開けた瞬間、ゴミが胸の高さまであって、けっこう大きい現場だなと思っていたら、中に入ってガク然としました。そこにはゴミの山があったのですが、真ん中部分がすり鉢状に凹んでいる。蟻地獄のようなんです。
その蟻地獄の中にイスがチョコンと置かれていてパソコンも設置されている。つまり依頼者はこのイスで生活してるってこと。
そして、出てきたゴミを全部まわりに投げていった結果、蟻地獄状態になったというわけ。
(左)洗面台にはカップラーメンの空き容器の山。腐ったスープが異臭を放つ。これも汚部屋によくある光景/(右)ゴミで埋め尽くされたトイレ。はたしてココまでたどりつけていたのだろうか?
ゴミを片づけていくと、ティッシュペーパーのゴミの割合が増えていく。話を聞くと「漏水して床がビショビショになってしまったのでティッシュで吸わせようとして、どんどん増えてしまった」とのこと。
この漏水がきっかけで清掃業者を呼んだらしい。ずっと濡れていた場所は当然フローリングが腐っていましたね。ほかにもノートパソコンにナプキンがペローンと貼りついていたり、通帳やハンコなどの貴重品が出てきたり……。
◎こんなオンナが住んでいる
・国立大出身の20代OL
・ネガティブな理系女子
・とにかく物が捨てられない
◎取材/村田らむ
ライター、イラストレーター、漫画家。汚部屋やホームレスなど、ディープな潜入取材が得意。『孫の手』での体験をまとめた『ゴミ屋敷 奮闘記』(有峰書店新社)が発売中。
インタビュー・文/アリス美々絵