[東京 3日 ロイター] - 日銀が3日発表した3月短観は、企業の景況感が大企業製造業・非製造業ともに2ポイント改善した。中堅、中小企業を含め全規模での改善となった。16年度は減収減益見込みながらも前回調査から増益修正となったことが影響した可能性がある。17年度のドル円想定レートは108.43円となり、足元よりやや円高に設定、全産業で増収減益見通しとなっている。雇用人員判断は全規模でマイナス26と大幅な不足超過、大企業、中小企業ともに1992年以来の不足超幅となった。
・景況感、全規模で改善、先行きにはやや不安感
企業マインドは大企業製造業・非製造業ともに12月調査比で2ポイント改善。中堅、中小企業も含めて全規模の製造・非製造業で改善した。大企業製造業では2四半期連続の改善、素材、加工型ともに改善した。大企業非製造業では小売やサービスなど個人消費関連を中心に改善、人手不足感の強い運輸・郵便も改善した。
先行きは大企業製造業で1ポイント悪化、同非製造業で4ポイント悪化となった。製造業には米国経済の先行き不透明感などが、非製造業では運輸やサービスなど人手不足によるコスト上昇見通しなどが影響したものと見られる。
17年度のドル円レートの想定は108円台で16年度下期とほぼ横ばい、足元の円相場よりやや円高方向となっている。
・16年度減収減益、設備投資失速気味
2016年度は、全規模で売上高が前年度比2.4%の減収、経常利益が4.1%の減益見込みとなった。ただ経常利益は前回調査より上方修正されており、想定されていたほどの落ち込みにならなかった。
17年度計画は売上計画は1.3%増だが、1.1%の減益見通しとなっている。
設備投資計画は大企業全産業で16年度計画が前回調査より大幅に下方修正され、前年度比1.4%増、ここへきて失速気味となり過去平均より低い伸び率となっている。17年度計画は同0.6%増と期初としては過去平均よりやや高め。
・人手不足感はバブル末期以来
雇用人員判断は、大企業でマイナス15の不足超過、中小企業はマイナス28の不足超過。いずれも1992年バブル末期以来の不足超過幅となった。特に中小企業は前回調査から4ポイントの不足超過幅拡大となり、急速に不足感が強まっている。先行きも不足感は全般にさらに強まる見通し。
(中川泉 編集:吉瀬邦彦)