セントラル警備保障(CSP)は2019年にも、東京駅を含む主要駅に監視カメラの画像解析システムを導入する。人工知能(AI)を取り入れ、異変や異常行動などのデータを集めてパターン化し、自動で異常を検知。単純なカメラ監視ではなく解析機能を付けることで、セキュリティーインフラの構築を目指す。JRだけでなく、私鉄やマンション管理会社など、販路を広げる。
駅のホームやコンコースなどで、乗降客の異変や病人、酔っぱらい客など異常行動をパターン化してAIに学習させる。従来の画像解析システムよりも機能を高度化する。監視カメラの画像解析機能は、現在進行形のリスク予測に使われがちだが、事件の予兆や自殺予防など将来起こりそうなリスクを検知できるかが今後重要になってくる。
CSPは5年ほど前にJR横浜駅の監視カメラに画像解析システムを導入している。事件や事故の予兆を検知しながら、データを蓄積。東京駅に導入予定の画像解析システムはこのノウハウを生かし、検知の精度をさらに高める。
17年末にはIPカメラ対応の画像センターをさいたま新都心に新設し、約3000台の監視カメラの画像を集中監視する基盤を整備した。警備員の代わりにセンターで画像を監視する画像巡回サービスや、画像を解析して侵入や異常行動を検知し、異常事態を未然に防ぐ機能も備える。
警備業界は人手不足が課題となっており、単純なカメラ監視にとどまらず画像解析機能を設けることで、人による警備と同様のサービス提供を目指す。
(2018年6月18日 総合1面)
【ファシリテーターのコメント】
大量の画像を学習し、同じ特徴を持つ画像を見つけるのは、AIの一種のディープラーニングの得意分野。キヤノンや三菱電機などの監視カメラメーカーや、NECなどのIT企業が防犯向けの技術開発に取り組んでいます。いよいよ実利用に入ってきました。一方、新しい監視カメラとして、個人が持つスマートフォンのカメラも見逃せません。危険行動を撮影した画像を投稿してもらうなどの連携ができれば、より柔軟な防犯システムに役立てられるかもしれません。
梶原 洵子