cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_8225a05c5af6_「菜々緒2世」と話題!黒木麗奈・17歳のフレッシュビキニ 8225a05c5af6 0

「菜々緒2世」と話題!黒木麗奈・17歳のフレッシュビキニ

2018年8月28日 07:00 NEWSポストセブン

 2018年度三愛水着楽園イメージガールで、事務所の先輩「菜々緒2世」と呼び声高い黒木麗奈が、現在発売中の「週刊ビッグコミックスピリッツ」38号に、表紙&グラビアで初登場。9頭身で抜群のプロポーションを持つ17歳JKのフレッシュな声をお届けする。

 * * *
 普段のモデル撮影では、水着がキレイに見えるよう胸元を隠さないように意識したりするので、グラビアの撮影で自分を魅せるって感覚が新鮮でとても楽しかったです。そもそも緊張しないタイプなんですけど、最初は緊張したました。でもだんだん慣れてきて、最後は自分さらけだすって感じで撮影できました!

 休みの日はよく部屋の掃除をしています。一か所片付け出したら、ここもここもって気になって止まらないんです。部屋は何も無くてめっちゃシンプル。すぐ断捨離したくなって、ついつい必要なものまで捨てちゃって後悔することがよくあります(笑)。

【Profile & Information】Rena Kuroki
●2000年11月26日生まれ。●血液型:B型。●身長:172cm。●趣味:ファッション。●特技:水泳、ダンス、ピアノ。★2018年三愛水着楽園イメージガール。★『Tik Tok』CMに出演中。

(C)舞山秀一/小学館・週刊ビッグコミックスピリッツ

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_4cab56f66100_介護「臭い対策」クリーナー、開発の裏に義父のおむつ体験 4cab56f66100 0

介護「臭い対策」クリーナー、開発の裏に義父のおむつ体験

2018年8月28日 07:00 NEWSポストセブン

 排泄物の汚れやにおいは多くの自宅介護者の悩みの種。特にじゅうたんなど簡単に洗えない場所に汚れがつくと、拭いてもにおいが残るのだ。

 こんな状況を解決すべく開発されたのが“水洗いクリーナーヘッド”『switele〈スイトル〉』。

 家のキャニスター型掃除機(吸込み仕事率170W以上)に取り付けると、ヘッドの先から水を噴射して汚れを浮かせ、同時にその汚水を素早く吸い取るというもの。拭くだけでは取れない汚れやにおいが、洗濯したようにさっぱり落ちる。普通は水気厳禁の掃除機だが、特許技術の逆噴射ターボファンで汚水は本体タンクにだけ流れ、掃除機には流れ込まないしくみだ。


 この技術を開発したのは広島県福山市在住の川本栄一さん。発端は約30年前、まさに義父の介護に苦闘する妻の姿に「何とかしてやりたい」という思いが募ってのことだった。

「義父は認知症でおむつもしていました。便秘が命取りになるため軟便剤を使っていたのですが、おむつの中が不快なのか、自分でおむつの中に手を入れて家中を汚してしまうのです。衝撃的な光景でした。その処理に追われる義姉と妻を見ながら、“家中を洗濯機で洗えたら…”と思ったのがきっかけです」

 当時、サラリーマンだった川本さんは構想を抱きながら義父を見送り、早期退職して本格的に開発に着手。メーカーの目に留まり、時は超高齢社会の世に。そして昨年、満を持しての発売となった。

「時を経ても介護家族の悩みは変わりませんね。少しでも介護するかたがたの助けになればうれしいです」(川本さん)

※女性セブン2018年9月6日号

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_f338180a4100_ラッキーピエロ他 北海道・東北各県のご当地チェーン店 f338180a4100 0

ラッキーピエロ他 北海道・東北各県のご当地チェーン店

2018年8月28日 07:00 NEWSポストセブン

 全国展開はしていないけれど、地元の人々から愛される地域密着型のチェーン店が各地にある。その店の看板メニューは、まさに郷土のソウルフード。北海道および東北地方の「ご当地チェーン店」の名物メニューを紹介しよう。

【北海道】「ラッキーピエロ」 チャイニーズチキンバーガー


 巨大バーガーで有名な、函館の誇るチェーン店。店内にメリーゴーラウンドや動物のオブジェを置くなど、家族3世代で楽しめる工夫が満載。甘辛仕上げの鶏のから揚げをパンに挟んだこの商品は年間30万食を売り上げる。

【青森】「ラグノオ」 パティシエのりんごスティック


 青森県産のりんごをパイ生地の焼き菓子に包んで発売したところ、市民権を得た。1986年のNHK大河ドラマにちなんだ「いのち」というお菓子も有名。県内68店舗ある巨大チェーン。

【岩手】「南部家敷」 屋敷そば


 岩手のロードサイドの名物は同店のかやぶき屋根。「屋敷そば」という名のわんこそばが看板メニューだ。そばは各店舗で毎日打ち立てを提供する。天ぷらも揚げ立て。いつも家族客で賑わう和風ファミレスだ。

【秋田】「ナガハマコーヒー」 たらこパスタ


 イタリアで修業したシェフが、「日本人に合う味に」と開発。オリジナル生麺を使い、無着色の北海道産たらこにこだわったパスタがバカウケした。もともと自社焙煎コーヒーの店だが、今ではもう一つの“顔”になっている。

【山形】「平田牧場」 金華豚ロースかつ膳


 県内の有名牧場が経営。直営店ゆえに一番いい状態の豚肉を提供できる。オリジナル品種・金華豚の豚かつは、化学調味料・保存料不使用。牧場から出た有機完熟堆肥を提携農家に提供し栽培した「つや姫」のご飯も自慢。

【宮城】「たんや善治郎」 真中(しんちゅう)たん定食


 牛たんにうるさい宮城県民も唸らせる。オージービーフのとくに脂の乗った厚みのある部位を使用。「県外進出は考えていない」(大場善次・代表)が、お土産の全国発送は可能。

【福島】「メヒコ」 カニピラフ


 1970年創業のシーフードレストラン。看板メニューのカニピラフは蟹出汁の旨みと圧倒的ボリュームで評判。目の前でフラミンゴが見られる店、水族館のように水槽がある店など、各店違ったコンセプトでお出迎え。

※週刊ポスト2018年9月7日号

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_7cd24e186d05_海老蔵や寺島しのぶなど歌舞伎名家の子が有名私立に通う訳 7cd24e186d05 0

海老蔵や寺島しのぶなど歌舞伎名家の子が有名私立に通う訳

2018年8月28日 07:00 NEWSポストセブン

 お受験の季節が本格到来している。最近では芸能人の中では分散傾向にあるという“志望校”だが、例外は歌舞伎俳優たちだ。

「稽古の合間に、息子の勸玄くん(5才)と二人三脚で対策に励む市川海老蔵さん(40才)の志望校は、都内の富裕層が集まる有名私立。勸玄くんと同じく、今年受験を控える寺島しのぶさん(45才)の息子・眞秀くん(5才)もこの学校を志望校としているそうです。上級生には三田寛子さん(52才)や香川照之さん(52才)の子供たちの姿もあり、まさに“歌舞伎俳優御用達”の学校なのです」(歌舞伎関係者)

 その理由は、“エスカレーター制”にある。

「歌舞伎は年間通して舞台があるため、学業との両立が難しく、受験となればかなりの苦労を強いられます。その点、一度入学してしまえばよっぽどのことがない限り進学できる同校は安心して舞台に打ち込める環境なのです。また、卒業生にも歌舞伎役者が多く、先生たちの芸事への理解も深いうえ、新入生にとっては上級生にお兄さん格の先輩役者たちがいるから心強いのだそう」(同前)

 日本の伝統芸能は、“エスカレーター制”が支えているのかも。


※女性セブン2018年9月6日号

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_9148a04f2abd_実家の片付けの不快臭から救ってくれた蚊取り線香の香り 9148a04f2abd 0

実家の片付けの不快臭から救ってくれた蚊取り線香の香り

2018年8月27日 16:00 NEWSポストセブン

 認知症の母(83才)を支えるN記者(54才・女性)。母がサ高住(サービス付き高齢者むけ住宅)に引っ越し、実家の片付けをすることに。しかし、そこにはさまざまな臭いが混ざり合った“不快臭”がこびりついていた。

 * * *
 認知症で独居生活が立ち行かなくなった母をサ高住に転居させ、その後始末をしたのは4年前の夏。

 母の家から新生活に必要な物を運んだ後、残りは廃品業者が引き取ることになっていたが、予想外のモノの山。しかも母の掃除が行き届かなくなった部屋は、業者といえども見られるのが恥ずかしい荒れようだった。少しでも物が減れば料金が安くなることもあり、できるだけ片づけることにしたのだ。

 そんな前向きな片づけにもかかわらず、行くたびに玄関ドアを開けるのが苦痛だった。ひどい悪臭だったのだ。

 洗濯されずに山積みにされた衣類、よく洗われていない食器や調理道具、棚の奥に忘れられた調味料や食品。そしてしつけをしきれなかった愛犬の糞尿。いろいろな場所から立ち上る不快なにおいが混ざり合い、空気が澱んでいた。

 昔、帰るたびにホッとさせてくれた“実家のにおい”では、もはやなかった。両親の生活の跡なのだと、いくら自分に言い聞かせても全身が拒否反応。その場にいるだけでささくれ立った気分になった。

 ここで1人、物を拾ってはゴミ袋に入れることを繰り返す。自然と深く息を吸わないようにするので、息苦しくて集中できない。一向に作業ははかどらなかった。

 ふと棚の奥に蚊取り線香の束を見つけて、わけもなく火をつけてみた。すると不思議なことにあたりの空気が一変。線香の強い香りに包まれ、子供の頃の懐かしい夏の情景が浮かんで少し気が和らぎ、不快臭も遠のいた気がした。

 それから片づけ作業に来るたびに、儀式のように蚊取り線香をたくようになった。

 夕方、延々と終わらない片づけ作業に目途をつけて帰宅する頃、同じマンションのよその家では夕飯のしたくが始まっていた。クタクタになって廊下に出ると、数軒先の玄関から、家族の賑やかな声と魚を焼く香ばしいにおいが。

「ここの家、今夜は焼き魚か。みそ汁の具は何だろう…」などと豊かな食卓を空想すると、母がかつて作った鼻腔をくすぐる料理の数々と、今片づけてきた部屋の有り様が重なって、泣きそうになった。「早く帰って夕飯作ろう」と自分で自分を慰め、さっさと帰途についた。


 途中の駅ビルの中で足が止まった。グレープフルーツの香りだ! 見ると雑貨店の店頭でルームフレグランスの宣伝をやっている。ピチピチと元気弾ける感じの女性が、「お部屋をリフレッシュしませんか!」と叫んでいる。

 みずみずしく強烈なグレープフルーツの香りに包まれると一瞬で心が華やぎ、グイグイと惹かれた。「においって本当にすごい…」と感心しながら近づくと、「グレープフルーツの香りにはダイエット効果もあるんですよ」と、女性が無邪気に笑った。

 残念なことに汗で化粧も剥げた更年期女の心に、その宣伝文句は一切刺さらず、小躍りした心はまたまた萎えた。

 少し元気になった今も、蚊取り線香とグレープフルーツの香りをかぐと、あのときの切ない気持ちを思い出す。

※女性セブン2018年9月6日号

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_621602bf3e33_地震で親亡くした男性「2階にトイレ作っておけば」と後悔 621602bf3e33 0

地震で親亡くした男性「2階にトイレ作っておけば」と後悔

2018年8月27日 16:00 NEWSポストセブン

 中国・四国地方を中心に深刻な被害をもたらした西日本豪雨では、自宅から逃げ遅れた人の多くが独居の高齢者だった。実際、200人以上の死者のうち60歳以上の高齢者が7割を占めた。そうしたなかでは、自らの身を守ることはもちろん、「離れて暮らす家族」が被災者となった場合のことも考えておく必要がある。“その時”のための備えを専門家や過去の大規模災害で被災した当事者たちに聞いた。

 大雨による洪水や土砂災害、地震による津波のリスクが懸念される地域では、迅速な避難が何より大切になるが、災害アドバイザーの高荷智也氏によれば、「水害に遭った時、河川が氾濫してすでに自宅周辺の冠水などが始まっているような状況ならば、無理に避難所に向かおうとするよりも、自宅の2階以上に避難したほうが安全な場合も多い」という。


 実際、西日本豪雨で深刻な被害を受けた倉敷市真備町地区では、死者の8割が住宅の1階やアパートの1階部分で亡くなっていた。

「とりわけ足腰が不自由な高齢者の場合、迅速に2階や平家の屋根に上がる“垂直避難”が困難になる。そのことを改めて実感させられた」(防災担当記者)

 そこで選択肢になるのが「寝室を2階にしておく」という考え方だ。これには、地震で自宅が倒壊した際のリスクを軽減する意味もある。阪神・淡路大震災で両親を亡くした72歳の男性が振り返る。

「実家の2階にトイレを作っておけばよかったと、今でも悔やんでいます。当時、六甲山から流れる急河川の氾濫に備えて“寝室を2階にするように”と市から指導があったのですが、両親は“トイレが1階にあるから、夜中に何度も階段を上り下りしたくない”といって1階で寝起きする生活を続けていた。そんななか、早朝にあの震災があって、2人とも1階で圧死でした」

 この男性は「お金をかけてでもリフォームしておくべきだった」と何度も繰り返していた。

※週刊ポスト2018年9月7日号

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_5263122db400_“愛国保守知識人”が日本語を壊すブラックジョーク 5263122db400 0

“愛国保守知識人”が日本語を壊すブラックジョーク

2018年8月27日 16:00 NEWSポストセブン

 保守を自任する安倍晋三首相以下、いまや政治家も言論人も、「我こそは保守」「我こそは愛国者」と競い合うように主張する。しかしそのメッキは、言葉遣いを見るだけで剥がれてしまうのかもしれない。最新評論集『日本衆愚社会』(小学館新書)が大きな話題を呼ぶ評論家の呉智英氏が、鋭く見抜く。

 * * *
 日本民族大移動の季節も終わった。故郷で家族・旧友と郷土料理を囲み方言で語り合い笑い合う。あるいは逆に、仕事や学校のため地方に住んでいる人は東京や大阪の故郷に帰り、地方の面白さ珍しさを披露し小マルコポーロの気分を味わったことだろう。日本は意外に広く、言葉も生活習慣も多様なのだ。ただし、その多様はバラバラということではなく、どこかでつながっていて多様なのである。

 前に住んでいた町でこんなことがあった。

 新聞の集金人が来たので一万円札を出した。少し西国の訛りのある集金人のおじさんは、釣り銭の千円札を渡しながら「ちゃんと読んでね」と言った。私は、そりゃ新聞は毎日読んでるさ、と思い、ウンと返事をした。そして、すぐ気づいた。私は釣り銭を確認して、御苦労様と言って微笑んだ。

 いやあ、言葉にうるさい俺としたことが、こんなことにも気づかなかったのか。集金人はお釣りの千円札を「ちゃんと数えてね」と言ったのである。

 漢字の「醸」の偏(へん)は酉(とり)である。ただし「鶴」などの偏の鳥と区別するため「ひよみのとり」などと呼ばれる。これは「日読みのとり」、十二支の酉(とり)である。暦(こよみ)に使われ、日を読む(数える)。「読む」には「数える」の意味がある。暦そのものが「日(こ)読み」である。二日、三日の「か」と同源だ。

 新聞集金人のおじさんの故郷では「数える」を古語の「読む」という。方言の多くが古語であることは、民俗学の祖、柳田国男が『蝸牛考(かぎゅうこう)』などで論じている。


◆祖国とは国語である


 私は、私信などは正仮名遣い(旧仮名遣い、歴史的仮名遣い)で書く。大学卒業後から始めて五十年近くなる。仮名遣いには、新旧問わず、常にゆれがある。正仮名では「もうすぐ」を「もうすぐ」とするか「まうすぐ」とするか二説ある。私は「まうすぐ」と書く。理由は、私の住む名古屋の方言では「まあすぐ」と言うからだ。

 私は右翼でもなければ保守主義者でもない。ただ、日本文化の中に生きて思考している以上、日本語を大切にしなければならないと考えている。日本人を日本人たらしめているのは日本語である。先の柳田国男が、日本文化・日本語を庶民の中にまで分け入って考察したのは、明治近代国家成立の中で、あらためて日本人・日本文化とは何かを考えなければならなかったからだ。また、異色の哲学者E・シオランは「祖国とは国語である」と言っている。

 右翼あるいは保守派の人は、どうも私と考えがちがうらしい。

 八月八日の産経新聞の書籍広告に、高池勝彦『反日勢力との法廷闘争―愛国弁護士の闘ひ』が出ていた。なるほど「闘ひ」か。書影のリード文を読むと「司法界は健全か、あるいは歪んでいるか?」。えっ「歪んでいる」だって。「歪んでゐる」だろう。

 少し古くなるが、二〇〇八年五月二十二日付産経新聞に名古屋特派員の早坂礼子記者が、チケットなどの買い占めを批判してこんなことを書いている。

「名古屋ではそういう亡者を『たわけ』と呼ぶ」「戯(たわ)けるが名詞化した言葉だが、本来は『田分け』で『先祖伝来の田畑を守らずに小分けしてしまう愚か者』を指した」

「たわけ」は東海圏で、また西日本でも使うが、その「本来は『田分け』」であるはずがない。正仮名で書けばすぐわかる。「たはけ」である。綴りがちがうのだ。奈良期にも江戸期にもいくらでも用例がある。

 この「たわけ」た説は、産経新聞の伝統らしい。今年六月六日の同紙連載企画「明治150年」にも、こうある。

「『愚か』の意味で使う『たわけ』という言葉の語源は『分割相続で田を分ける』こと」

 記者だけではない。寄稿者もちょっとおかしい。産経新聞の発行する月刊誌「正論」今年五月号に小川榮太郎が「恋愛至上主義、日本人が死に至る病」を執筆している。その内容はさて措き、仮名遣いが奇妙なのだ。

 小川はこう始める。「人口激減といふ日本最大の危機に対し…」

 小川は正仮名論者らしい。だが、少し後では、こうだ。

「悲憤に堪えない」(堪へない)
「持ち直している」(ゐる)

 まあ、小論のうち二か所や三か所のまちがいは、校正ミスだろう。産経の現校閲部長・清湖口敏は見識豊かな校正者だが、前任の塩原経央はひどかった。あるいは「正論」の校閲部には前任者の弊風が残っているのかもしれない。

◆言葉は思考である


 私が正仮名遣いを使うようになったのは、若い頃愛読した石川淳の影響である。石川は、自分が正仮名を使うのは「論理」の問題である、とする。この一言にシビれた。シビれたなどと俗語を使うことは、別段日本語を乱すことにはならない。俗語、卑語、外来語を含めて日本語はあるからだ。石川は言う。

「笑う」は正仮名では「笑ふ」。この活用は、正仮名ではハ、ヒ、フ、フ、ヘ、ヘ。ハ行四段活用だ。これが新仮名では、ワ・オ、イ、ウ、ウ、エ、エ。ワア行五段活用となる。五十音表を見よ。どこにワア行などというバカげた行があるか。五十音表は活用表でもあるのだ。ワア行と言われて、自分はワアッと驚いた。

 その一方で、正仮名遣いには味わいがある、とか、情緒豊かである、とか言う人がいる。そうだろうか。正仮名だろうと新仮名だろうと、味わいのある文章にはどっちみち味わいがある。正仮名にあるのは論理なのだ。

 石川淳は思想的にはアナーキズムに近い。同じ正仮名論者でも福田恆存は保守主義である。丸谷才一はリベラル派である。三島由紀夫は石川淳と親しかった。政治思想の左右を問わず、文化の論理を重んじる人たちであった。

 何十年も前『古事記』を読んでいて気づいた。皇祖神たちは初めから日本語を話している。ああ、皇祖神より日本語の方が先なのだと知った。

●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会理事。著書に『バカにつける薬』『つぎはぎ仏教入門』など多数。

※週刊ポスト2018年9月7日号

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_bca559184c19_鈴木敏夫氏 ある美しいタイ人女性の中に「宮崎駿」を見る bca559184c19 0

鈴木敏夫氏 ある美しいタイ人女性の中に「宮崎駿」を見る

2018年8月27日 16:00 NEWSポストセブン

 日本を代表する作品を次々と生み出してきたスタジオジブリは、この人なくしては存在しなかった──プロデューサー鈴木敏夫さんは、宮崎駿監督と今年4月に亡くなった高畑勲監督の2人の天才を励まし、時に振り回され、ぶつかりながらも力を引き出してきた。現在『君たちはどう生きるか』を制作中の彼が、初めてのノンフィクション・ノベル『南の国のカンヤダ』がこの度刊行になった。

 そこに綴られているのは、ある1人の美しいタイ人女性と、彼女に振り回される男たち(鈴木さん含む)の実話。どうしてもこの作品を書きたかったと話す鈴木さんは、彼女の中に宮崎駿さんを見たという。

 スタジオジブリの名プロデューサーが初めて手がけたノンフィクション・ノベルである。主人公は、マンションのエレベーターで偶然、知り合った、美しいタイ人女性カンヤダ。過去を悔やまず、未来を憂えず、いつも〈今、ここ〉を生きている彼女に、周囲が巻き込まれ、振り回される様子を実に楽しげに描く。

「カンヤダと家族、その友人の話にとどまらないで、ぼくの友人や担当編集者まで全部巻き込んで動かしていく、大きな物語として書いてみたいと思いました。

 世の中って偶然に偶然が重なるんですよね。ぼくとは25年来のつきあいになる、CGアニメーションの仕事をしているイタリア人のコルピさんなんて、日本にいたかと思うとバンコクへ行っちゃって。カンヤダと知り合い、彼女が家族ぐるみで働けるようにレストランをバンコクで始めちゃう。そういう不思議な人の縁も書いてみたかった」


 都会のマンションのエレベーターで乗り合わせただけの、鈴木さんとカンヤダがここまで親しくなるというのも不思議な縁だ。

「このマンションが特殊なのかな(笑い)? エレベーターで知り合って仲よくなった人が、30~40人はいます。たぶん100戸以上あると思うんだけど、エレベーターが1基しかなくて、同じ人と何度も出会うんですよ」

 大きなカバンを抱えた人がいれば、「カバンがでかいね」と話しかける。会話はそこで終わらず、ご飯を食べに行く関係になった人が20人ぐらいいるそう。エレベーターの中で知り合ったのは台湾や中国など外国の人も多かったが、カンヤダが他と違っていたのは、ニコリともしない愛想のなさだったという。

「若いときに好きだった女優の安田道代に瓜二つだったという以上に、媚を売らない感じが魅力的だったですね。エレベーターの中で話しかけるとだいたいみんなニコッとするんだけど、彼女はまったく笑わなかった。

 ぼくは海外によく行くんですが、テレビのキャスターがみんな怖い顔しているんですよ。日本ではへらへら笑っている、なんでだろう、って思ってたので余計に印象に残った。これからは日本にもこういう女性が増えてくるんじゃないか、カンヤダはその先駆けかな、なんて勝手に思ったりもして刺激されました」

 カンヤダは自分の感情に正直で、思ったことはすぐ口にする。大洪水で被害を受けた実家を何とかしたいと、仕事のスキルアップのため日本語を学びに来ていた彼女がタイに戻り、子供を産んでシングルマザーになってからも、LINEのやりとりが続いた。

 本にも書かれている通り、鈴木さんは、未婚の男女を見つけると放っておけなくなる「お節介」な性分だという。友人たちを誘ってカンヤダの故郷パクトンチャイを訪問したとき通訳をつとめた青年が、カンヤダに心ひかれるのを見て「お節介」は発動される。彼女がこれからどう生きればいいか、相談に乗り、生活の筋道をつけるという「へんな仕事」を彼に依頼するのだ。

 父が日本人、母がタイ人というこの青年も、鈴木さんの「カンヤダをなんとかしようプロジェクト」の一員に引き込まれ、さんざん振り回される。農村地帯に育ち、家族思いで結婚に失敗しているカンヤダと、バンコク育ちで、合理的にものを考える青年。育った環境も、ライフスタイルもまったく違う2人の恋のゆくえも、この物語の1つの柱となっている。

「『女性セブン』連載中、読者から『カンヤダはひどい女だ』『男性がかわいそう』って感想も届いたそうです。まあ、そうかもしれないなと思いますけど、彼は彼で、自分とはまったく違う彼女の生き方に感動したりもしてるんです」

 せっかく鈴木さんが資金を調達したスパ経営もうまくいかず、通訳青年の尽力で開店したパクトンチャイのレストランも3か月でクローズするはめに。〈今、ここ〉だけが大切で、損得勘定がまったくできず、自分のことをさておいても困っている誰かのために何かしようと動くカンヤダに、周りはあきれたり、驚かされたり。そんな彼女を見ることで、忘れていた大切な何かを思い出したりもする。


 忙しい合間を縫って何度もパクトンチャイを訪ねるなど、鈴木さんはなぜここまでカンヤダという女性に肩入れし、助けようと奔走するのか。

「助ける、というのとはちょっと違う。好奇心です。実は宮崎駿に関してもそうだったんです。この人が将来、アカデミー賞をもらうだろうなんてカケラも想像しないで、一緒にいて楽しいし、この人はどうなっていくんだろうって気持ちだけがあった。

『今、ここ』しかないという点でカンヤダは宮崎駿にそっくりなんです。『引退する』って言って、『もう一回映画をつくりたい』って平気で言える。同じでしょう? ルールに縛られない、彼らのこの自由さは何なんだろうといつも思う。ぼくはその観察者です」

 仕事以外にももう1人、同じような人を抱え込むなんて想像するだけで大変そうだが、カンヤダ本人やコルピさんとのやりとりを話す鈴木さんは本当に楽しそう。「鈴木さんが人を呼び寄せるんだよ」と宮崎さんは言うらしい。

 連載終了後の4月に亡くなった、高畑勲さんへの思いを「エピローグ1」として書きおろした。「エピローグ2」は、「その後のカンヤダ」。紆余曲折の末、カンヤダのために、コルピさんが今年6月、バンコクにオープンさせた『メイのレストラン』(注・メイはカンヤダのタイでの呼び名)はとりあえず大成功を収めているそうだ。彼らの物語は、今も続いている。

【鈴木敏夫(すずき・としお)】1948年愛知県生まれ。徳間書店に入社し『アニメージュ』編集長などを経て、スタジオジブリに移籍し、映画プロデューサーに。スタジオジブリ代表取締役。近著に『禅とジブリ』がある。現在、金沢21世紀美術館で「スタジオジブリ 鈴木敏夫 言葉の魔法展」を開催中(~8月25日まで)。『南の国のカンヤダ』に関する展示もある。

■取材・文/佐久間文子(文芸ジャーナリスト)、撮影/五十嵐美弥

※女性セブン2018年6月21日号

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cat_1_issue_oa-newspostseven oa-newspostseven_0_387515aef521_金足農業・吉田輝星「ドラフトか進学か」重い決断と恩義 387515aef521 0

金足農業・吉田輝星「ドラフトか進学か」重い決断と恩義

2018年8月27日 16:00 NEWSポストセブン

 彗星のごとく甲子園に現われ、日本中の注目を一身に集めた金足農業・吉田輝星(こうせい)。プロスカウトの評価はうなぎ上りで、ドラフト1位での競合指名も有力視される彼には、既に約束した“進学先”があった。プロ志望届を提出するか否か──周囲の期待と思惑の中、17歳は重すぎる決断を迫られている。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする(文中敬称略)。

 * * *
 大阪桐蔭の春夏連覇達成からおよそ3時間後──同校宿舎には、大勢の保護者やファンがナインの到着を待ち構えていた。

 例年通りの光景ではある。ところが、明らかに様子が違う点があった。報道陣の数が極端に少ないのだ。一方、準優勝校である秋田・金足農業の宿舎は、用意された部屋が人であふれかえっていたという。

 金足農業に13対2と圧勝し、史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭の偉業よりも、吉田輝星というたったひとりの球児の881球の熱投が、話題をさらったのである。

 入場者数が過去最高となる100万人を超えた100回目の甲子園は、バックネット裏の光景も違っていた。いつも2回戦を終える頃には甲子園を後にするスカウトの姿が、いつまでもあった。根尾昂(あきら)や藤原恭大(きょうた)といった、ドラフト上位候補を揃える大阪桐蔭“最強世代”の視察目的もあるだろう。しかし、“平成最後の怪物”の存在が大きい。彼らは吉田が「プロ志望届」を提出することを心待ちにしている。東北のファンもまた、ご当地選手として東北楽天での活躍に期待を寄せる。

 今後の関心は吉田の将来に移っていく。事態は本人だけでなく様々な大人の思惑が交錯する状況にある。

 決勝から遡ること11日(8月10日)。1回戦の鹿児島実業戦を終え、1日の休息日を挟んだ金足農業の練習場は閑散としていた。

 初戦で14三振を奪う快投を見せたとはいえ、当時は吉田狂騒曲のいわば“序曲”で、金足農業の決勝進出を予期できた者など、誰もいなかっただろう。練習を終えた吉田の周りにいたのも、私ひとりだった。

「進路は(甲子園が)終わるまで考えません。もちろん、将来の夢はプロ野球選手になって活躍すること。メジャーリーガーになることは想像もつきませんが、日本を代表するピッチャーになりたい」

 野球人生の次なる舞台について意気揚々と語った吉田は、進路に関しては煙に巻いたが、同じ日、金足農業監督の中泉一豊はこう明言した。

「一部の方は既にご存じかと思うのですが、(吉田の進路は)大学が基本線です。八戸学院大学を予定しております。(同大野球部の)正村(公弘)監督にご指導いただいたからこそ、今の吉田がある。そのご恩を反故にするわけにはいきません」

 八戸学院大は青森、岩手、秋田の3県の大学が加盟する北東北大学野球連盟の1部に所属。西武の秋山翔吾らを輩出する強豪私立である。吉田の才能を開花させた指揮官のもとに進学するのだと、中泉は言った。

 しかし、甲子園でのブレイクによって吉田の状況が一変することを中泉は危惧していた。

「周りからいろいろ言われますよね。それによって、本人の気持ちは揺れるかもしれない。それが怖い」

 中泉の言う「いろいろ」とは、無論、プロへの誘いである。


◆「悪い大人のちょっかい」


 甲子園での吉田は、投手としての様々な“顔”を見せた。万全のコンディションでマウンドに上がった1、2回戦は、打者によって直球のギアを入れ替え、相手を力でねじ伏せる“剛”の投球術。

 3回戦の横浜戦では、新たな引き出しを開け、それまで投げていなかったスプリットを多投。逆転した直後の9回表、この日の161球目には自己最速に並ぶ150キロのストレートを投げ込むタフネスぶりだった。

 連投となった準々決勝・近江戦や、準決勝・日大三戦では、打たせて取る“柔”の省エネ投法で、アウトを重ねた。強打の日大三打線を7奪三振・1失点に抑えた吉田は、「今日の試合が理想のピッチングでした」と振り返った。

 自身のコンディションや相手打者の能力によって、ギアを上げ下げするクレバーな投球術に加え、バント処理や牽制の巧さもまた、スカウトが「即戦力に近い逸材」と太鼓判を押したくなる理由だろう。

 こうした状況に気を揉んでいるのが、八戸学院大監督の正村である。

「大学進学なら絶対にうちだと思っていますが、100%進学が決まっているわけではないので、不安は残ります。私は信じるしかありません。今後、悪い大人がちょっかいを出すことだってあるでしょう(笑)。イケメンで、人気も期待できるでしょうから」

 吉田というと、MAX150キロの直球に目を奪われがちだが、8つの変化球を投げ、とりわけ左打者の膝元に食い込む縦のスライダーは大きな武器である。

 このスライダーを伝授した人物が正村だ。指導を始めたのは昨年9月20日、金足農業が秋季秋田大会の準々決勝で敗れ、今春の選抜への道が絶たれた直後。34年前の夏の甲子園でベスト4に進出し、PL学園に敗れた当時の監督・嶋崎久美から吉田を紹介された。

「『良い選手がいるから獲った方が良い』と、嶋崎さんに薦められてね。確かにすげえ球を放っていた。ただ、素質を十分に活かした投球フォームには見えなかった」

 以来、正村は八戸から金足まで往復8時間をかけ、何十回と通い詰めて指導にあたった。それほど、吉田の可能性に惚れ込んだということだろう。

「スライダーが全然曲がらなかったんです。その頃のフォームは、アゴが上がり、上から叩きつけるような投げ方をしていた。そこで『頭のてっぺんから尾てい骨までを軸にして、回転させるように』と伝えました。最初はヒジが下がったように感じられ、違和感があったみたいです」

 吉田はスマホで投球フォームを撮影してもらい、微修正を繰り返して正村の指導に沿ったフォームを体得していく。

「ポテンシャルも体力もあって、野球小僧だからどんどんうまくなっていった」と正村は振り返る。

 皮肉にも、金足農業の快進撃によって、関係者の困惑も増していく。1回戦を終えた段階では吉田の進学を明言していた中泉も、口を閉ざしていった。決勝後には、こう語るのみだった。

「進路の話はしないように(学校関係者から)指導を受けているんです。今の段階では何も……」

◆「ご恩は感じています」


 決勝のピッチングをテレビで見届けた正村から、吉田への「よく頑張った、ご苦労さん」との伝言を頼まれていた。試合終了からしばらくして、吉田に伝えると、安堵するような表情を見せた。

「やっぱり、正村監督の指導が僕には大きかったと思います。フォームに力が入らなくなったというか、力感のないフォームになった。スライダーは投げ方から教えていただいて、すごく曲がるようになった。ご恩はすごく感じています」

 そして、こう続けた。

「進路はまだ全く考えられないです」

 甲子園取材では、敗れたチームにドラフト候補がいれば、「進路」について質問するのが常である。大学進学を既に決めている選手ははっきりそれを明言し、「進路に関してはこれから……」「親や監督と相談してから」と言葉を濁す選手は、プロ志望届の提出を決めているか、本当に迷っているかのどちらかである。

 少なくとも、大会が開幕する17日前までは大学進学で固まっていた吉田の胸中に、迷いが生じていることだけは窺えた。秋田に帰った後、憧れの球団として巨人の名を挙げている。

 今大会で「レジェンド始球式」のマウンドに上がったなかに、吉田が尊敬する人物がいた。34年前に金足農業と対戦したPL学園のエース・桑田真澄だ。

 この桑田こそ、大人の思惑が交錯するドラフトによって翻弄されたひとりだろう。早稲田大への進学を公言していた桑田は、1985年ドラフトで巨人の単独1位指名を受けて入団。その結果、密約を疑われ、巨人への入団を切望していた清原和博とも、30年以上が経過しても禍根を残したままである。また、早大にはそれ以降、PL学園出身選手は1人も入部することができなかった。桑田はインタビューで当時をこう振り返っている。

〈どこどこの球団が指名すると言ってるぞ、と言われても、『ありがたいですね』と言うだけで、誰に対しても心の中は見せませんでした。(中略)誰も信じなかった。親父のことでさえ、信じていませんでした〉(「Number」2017年10月26日号)

 吉田は、桑田の始球式を、一塁側ベンチから見守っていた。現役時代と変わらぬ体型を維持し、伸びのある直球を捕手に投げ込んだ桑田の始球式から、吉田は何を感じ取っただろうか。

 恩義か、それとも自身の夢を優先すべきか。どちらにせよ、吉田本人が下した決断が尊重されることを願いたい。

※週刊ポスト2018年9月7日号

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運動や脳機能を低下させる“不快臭”とのつきあい方

2018年8月27日 16:00 NEWSポストセブン

 失禁、食べこぼしのほか、高齢者には不快なにおいの原因がいろいろあり、ただでさえ心労が重なりがちな心に拍車をかける。介護は不快臭との闘いでもあるのだ。においとストレスの関連について多数の研究がある精神神経科医の古賀良彦さんに、不快臭との向き合い方を聞いた。

「不快臭や自分が嫌いなにおいをかぐと、運動や脳機能のパフォーマンスが明らかに落ちることがわかっています」

 古賀さんはそう言う。

 たばこ嫌いの人がたばこのにおいの中にいる実験で、30分後には脳のリラックス状態を示すα波がほとんど消滅。また衣類などについた自分や他人の汗のにおいが、体の柔軟性や持久力を低減させるという実験結果もあるという。

「不快なにおいをかぐと、脳が穏やかでいられなくなり、本来の力をスムーズに発揮できません。意識しないうちにストレスがたまり、日常の行動や運動能力が制限されるほどの影響を与えます。場合によっては、うつ状態に陥ることもあります」

 家族介護の場では、身内だからこそ状況は複雑。不快と思うことにまで罪悪感を覚えて深く傷つく人もいると、介護職の人からも聞く。

「嗅覚は、非常に原始的な感覚です。微妙な色彩や音など繊細な感覚でとらえる視覚や聴覚とは違い、好きか嫌いか一瞬で判断されます。なぜなら嗅覚は本来、敵か味方かを見分ける、食べても害がないかを判断するなど、生きるために必要な情報を得るための感覚だから。不快な悪臭は特に、強烈なインパクトを持って感じるわけです。

 かぎ分けた快不快の感情は、理屈ではどうにもならない。抗いようがないのです。介護現場での排泄物のにおいは誰にとっても不快。これを“自分を育てた大切な親のことだから”“不快と思ったら悪いから”などと、理性で抑えようとしても無理なこと。そう考えれば考えるほどストレスはたまっていくのです。まずはこの現実を、よく理解することが大切です」


◆ストレスは排除せずに“上手につきあう”が正解


 不快臭に“心の持ちよう”は通用しない。正攻法で解決するのが得策だ。

「介護現場での不快臭は、悪臭と割り切って、汚れを洗ったり物を捨てたりして、できるだけ断つこと。またマスクをして防御をするなどで不快臭を避ければ、その分だけストレスは軽減できます」

 それでも、ストレスを一掃することは難しい。

「日常生活の中でストレスの原因を一切排除するということは、現実的ではありません。 むしろ“ストレス・コーピング”といって、上手につきあう態度で臨むのがベスト。キーワードは“3つのR”。Rest(休む)Relaxation(癒し)Recreation(活性)。多少ストレスを負いつつ、介護の作業をがんばったら、まずしっかり休むこと。脳には睡眠が何よりの休息です。

 また気持ちを切り替え、緊張を緩めてくつろぎましょう。そして重要なのがレクリエーション。嫌なことを忘れるくらい楽しいことをする時間を持ちましょう。ささやかなことを短時間でよいのです。心が一瞬でもワクワク高揚することがおすすめです」

 不快臭が強烈に心にストレスを与えるように、好きな香り、心地よい香りを楽しむアロマテラピーは同じくらいのインパクトで心を癒すという。

「香りを受け身で楽しむだけより、たとえばいくつか選んでブレンドするなど、ポジディブに楽しむとより効果的。香りは個人的嗜好の影響が大きいので自分の心躍るような香りを探すとよいでしょう」

 一般的にリラックスさせるならラベンダー、元気にするのはレモンなど柑橘系の香り。これらの効果は検証済みだ。

「私の最近の研究では、ピーチの香りが脳の理知的な働きを活性化することも判明しています。“脳の理知的な働き”とは、たくさんの記憶の中から、今必要な情報を取り出す働きです」

【Profile】
杏林大学名誉教授・古賀良彦さん●精神神経科医。うつ病、睡眠障害、統合失調症などの治療・研究、食事と香りの抗加齢、抗ストレス研究の第一人者として、NPO法人日本ブレインヘルス協会理事長も務める。近著に『脳の疲れをとる本』(方丈社刊)などがある。

※女性セブン2018年9月6日号

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