全長約26.3メートル、幅約2.6メートルの3Dプリントによる世界最大の橋が、このたび中国で完成したようです。
そのデザインは、西暦605年ごろに完成した中国の歴史ある安済橋(あんさいはし)をオマージュしたもの。その安済橋(あんさいはし)は別名「趙州橋」や「大石橋」などとしても呼ばれており、現存する中国最古の橋です。建設には、約10年の歳月を要したといい伝えられていますが、清華大学の徐卫国(シュ・ウェイグゥオ)教授率いるチームは、この安済橋のオマージュを3Dプリンタの技術を用い、わずか450時間で仕上げたと言います。
また、清華大学のプレスリリースによれば、徐教授のチームはこの3D橋を材料の節約や工程の省略により、通常の2/3のコストで建造できたというのも驚くべきところです。
同橋は、ロボットアームにより作成された0.9 × 0.9 × 1.5mにくり抜かれた44のコンクリートユニット、68のコンクリートスラブからできています。
徐教授のチームが独自に開発した2つのロボットアームは、デジタル建築設計、プリンティングパスの設計とオペレーションコントロールシステムなどのような技術とコンクリート材料を攪拌(かくはん)し、絞り出すプッシュ機能などの作業も行う革新的な技術が統合されています。
橋が建設される前、その強度をテストするために、試作品として1/4モデルが作成されました。その工程が無事に完了し、橋の強度や歩行者を橋全体に密集しても保持することのできる負荷条件を満たしたことを証明できたとき、チームは次のゴールへと進む自信を十分に感じられたと言っています。
さらに清華大学のプレスリリースには、「3Dでのコンクリートプリントの構築には、まだ解決すべき課題がいくつもあります」と書かれています。これまで多くの企業が技術の構築に投資してきてはいましたが、実施設計としてはあまり使用されていないのも事実なのです。
そんな中、近年の技術の進歩によって、ここ数年でいくつかの3Dプリント建築プロジェクトが発足してきています。
例えばMITのチームは、およそ14時間で見事なサンプル住宅を建造しています。さらに、アメリカ海兵隊のための兵舎は、3Dプリンタで約40時間程度でつくられたという報道もありました。また、火星に家を建てるとすればNASAも3Dプリンタを使用し、ロボットによる建築を考えていると言います。
さらに清華大学のプレスリリースでは、「将来、建設プロジェクトにおける労働需要は、これからどんどん不足していく」ということも指摘されています。もし今後、橋を建設する人々が不足していった場合、この最新技術による建設によって、その問題を解決する手立てにもなるかもしれません。
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