監修:清水なほみ先生
女性であれば誰もがかかる可能性があるといわれている「カンジダ膣炎」ですが、妊娠中は膣内環境が変わることで、いつも以上に症状が出る可能性が高くなるといわれています。
症状が出ている場合は治療する必要がありますが、妊娠中にかかった場合は、産道感染を防ぐためにも出産までに治しておくようにしましょう。カンジダ膣炎の症状や、赤ちゃんへの影響について説明していきます。
カンジダ膣炎とは?
カンジダ膣炎とは、カンジダ真菌の増殖に伴って起こる膣の炎症のことを指します。カンジダ真菌は、もともと人間の皮膚や口に存在している常在菌(真菌=カビ)の一種ですが、体調不良や疲労の蓄積によって、膣内の真菌が増殖し、炎症が起こることがあります。
妊娠中は、おりものの分泌が増えるためカンジダ真菌の増殖につながり、カンジダ膣炎が発症しやすくなるといわれています。症状がごく軽い場合は、膣内の自浄作用により増殖を防いでくれるため自然に治癒することがあるようです。
しかし、カンジダ膣炎は再発することが多く、妊娠中に感染すると出産時に産道感染する可能性があるため、症状が出た場合はしっかりと治療する必要があります。
カンジダ膣炎の症状
・外陰部のかゆみ
・外陰部の赤みや腫れ
・カッテージチーズや酒かす状のおりものが出る
・おりものの量が増える
カンジダ膣炎にかかった場合、外陰部の強いかゆみや腫れ、おりものの変化といった症状が出ます。カッテージチーズや酒かすのような、白くポロポロとしたおりものが出るようになります。
かゆみを感じる、おりものの様子がおかしいといった症状があるときは、早めに病院を受診しましょう。
妊娠中のカンジダ膣炎が赤ちゃんに及ぼす影響
妊娠中にカンジダ膣炎に関した場合、症状が出ている状態を放置しても基本的には妊娠の状態に影響は出ません。かゆみがひどいなど、自分にとってつらい症状がある場合は早めに治療が必要です。
また、出産時に産道を通る赤ちゃんがカンジダ真菌に感染してしまうことがあるため、分娩前の時期には治療しておくことが大切です。通常、妊娠中期~後期の妊婦健診ではおりものの検査を行いますので、感染がわかった場合にはしっかりと治療をしておきましょう。
■鵞口瘡(がこうそう)を起こすことも
赤ちゃんがカンジダ真菌に感染すると、鵞口瘡を起こすといわれています。鵞口瘡は、口腔鵞口瘡とも呼ばれており、舌に海苔のような白いカビが生える症状です。
カンジダ膣炎の治療方法
カンジダ膣炎になると外陰部のかゆみや腫れ、おりものの変化など不快症状に悩まされます。出産時、赤ちゃんに感染させないためにも、医師の診察を受けてしっかりと治すようにしましょう。
カンジダ膣炎は以下のような治療を行います。
・膣洗浄をする
・抗真菌薬を含む膣錠の挿入する
・患部にクリームや軟膏などの塗り薬を塗る
カンジダ膣炎は、膣洗浄や、膣錠挿入、軟膏による治療を行います。膣洗浄は通院して行うため、症状により異なりますが多ければ毎日、少なくても週に1~2回通院する必要があるでしょう。
膣洗浄と併せて膣錠や軟膏が処方されることがあります。自分で使用することができるため、連日の通院が厳しい場合でもありがたいですね。
症状は数日でよくなってくるといわれていますが、再発の恐れがあるため必ず医師の指示に従って治療しましょう。
感染時に注意したいこと
カンジダ膣炎に感染した場合、患部を清潔に保つことが大切です。しかし入浴の際に石けんでゴシゴシ洗うのはよくありません。せっけんは使用せずお湯でやさしく流すようにしましょう。
下着は通気性のよいものを着用して毎日取りかえるようにして、規則正しくストレスを溜めない生活をすることも大切です。また、症状が治まるまでは性交渉は控えるようにしましょう。
早期治療で出産に備えましょう
女性は誰もがかかる可能性があるカンジダ膣炎。特に妊娠中はかかりやすいといわれていますが、出産の際に赤ちゃんにうつってしまうことがあるため、分娩前の治療が肝心です。
外陰部のかゆみや腫れ、おりものの変化など特有の症状があるため、気になる症状が出たらすぐに病院を受診しましょう。妊婦健診の際に相談してみるのもよいかもしれません。
もし、健診のときであれば適切な診断と治療を行うことができるため安心ですね。
そして大切なのは、症状が改善されたからといって途中で治療をやめないことです。カンジダ膣炎は再発の可能性があるため、赤ちゃんのためにもしっかりと治して、出産に備えましょう。
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