1857年にフランス人技師エドワール=レオン・スコット・ド・マルタンヴィルによって作成された装置“フォノトグラフ”から20年後、トーマス・エジソン発明の「蓄音機」が人類史上初の録音再生装置として、この世に誕生しました。
目には見えない、手で触ることのできない「音」が記録されたことによって、時間や空間を超えて音を伝えることができるようになり、100年以上前の人々の肉声が今でも残されています。
録音技術が登場した当初は蝋管やレコードに記録されていた音声が、現代ではデジタル化され、インターネットを介していつでもどこでも聞くことができるようになりました。人類が音を記録し始めた時代に活躍していた歴史上の偉人・有名人の声の記録を集めてみました。あの歴史上の人物は、いったいどんな声だったんでしょう。歴史的な声、音に耳を傾けてみてください。
乃木希典
1930年に日本ビクターから発売された『乃木将軍の肉聲と其憶出』。海軍中将子爵 小笠原長生氏による解説の後、2分45秒過ぎから乃木将軍の声が収められています。お聴き漏らしなきようご注意ください。
大隈重信
没後の1922年にニッポノフォンから発売されたレコード『講演:憲政に於ける世論の勢力(一)』。大正4(1915)年3月2日に早稲田の大隈邸で録音された講演の内容が録音されており、演説の間には聴衆の拍手も聞こえます。なんとも独特な語り口調です。
国立国会図書館によるデジタル化音源のデータベースサイト「歴史的音源(れきおん)」で、講演の音声のすべてが公開されています。
与謝野晶子
歌人・与謝野晶子本人による「短歌朗読(上)」。当時、短歌を制作した本人による朗読を録音するのが流行したそうです。
東郷平八郎
日本海海戦時に打電された「本日天気晴朗なれども波高し」のフレーズが含まれている音声。
東郷平八郎の肉声は、昭和6(1931)年に東郷邸で録音された日本ビクター盤『追憶 日本海海戦第一報告とその信号』等レコード2枚、日本コロムビアに2枚が録音されています。
『講演:連合艦隊解散式訓示(上)』は、昭和8(1933)年2月18日に、日本コロムビアにより東郷邸で録音されたもの。
川上音二郎一座
1997年に東芝EMIから発売された「甦るオッペケペー」より、三代目桂藤兵衛/作 川上音二郎/演出の『オッペケペー節』。明治33(1900)年のパリ万博での川上音二郎一座の公演をイギリスのグラモフォン社が録音したものが、イギリスのEMIに保管され埋もれていたものが1995年に発見されたのだそうです。
日本人最古の録音
1900年(明治33年)パリ万博に訪れた日本人による蝋管式蓄音機の録音です。明治時代のジャーナリスト人見一太郎が朗読する「ルカによる福音書 第15章」と東京新橋の芸者の日常会話。現代でも近所で耳にしそうな会話が記録されています。内海桂子師匠を思い出してしまいました。
日本人最古の録音
「古い流行歌13」 幕末から明治時代、大正初期を当時の音源で聞く
赤ひげさんがニコニコ動画で公開している「古い流行歌」シリーズから。郷愁あふれるメロディーが続きます。