「猫パルボウイルス感染症」という言葉をご存じですか?
一部の猫はウイルス感染により死亡したこともあり、「いったいどんな病気なの?」「うちの猫は大丈夫?」など、関心を持つ人も多いのでは?
そこで今回、「猫パルボウイルス感染症」とはどんな病気なのか、ねこのこもち獣医師相談室の先生が解説。猫カフェに行くときの注意点も聞いてみました!
猫パルボウイルス感染症とは?
猫パルボウイルス感染症とは、「猫汎白血球減少症ウイルス」という猫のパルボウイルスが原因でおこる感染症。「猫伝染性腸炎」ともいわれます。
ウイルスに感染してから発症する期間は数日と短く、とくに抵抗力が弱い子猫や老猫に発症しやすく、症状も重くなります。
猫パルボウイルス感染症の症状
猫パルボウイルス感染症の主な症状としては、下記があげられます。
- 食欲不振
- 元気消失
- 発熱
- 下痢
- 嘔吐
病気の名前に由来するように、体を守る白血球が非常に少なくなり、さまざまな病原体に対する抵抗力が落ちてしまします。
その結果、死亡してしまう子猫も多い怖い感染症なのです。伝染力が強いので、子猫が次から次に発病することも。
成猫や妊娠中の猫が感染した場合
成猫の場合は、無症状か腸炎、白血球の減少が起こることがあります。妊娠中の猫が感染すると胎盤を介してウイルスが胎児にかかり、流産や死産、また小脳に障害を持って産まれる場合も。
心臓の心筋細胞にウイルスがつくと、心筋炎をおこし突然死することもあります。
猫パルボウイルス感染症の治療法
ウイルスに対する治療はありません。それぞれの症状に対しての「対症療法」が主体になります。
下痢、嘔吐による脱水症状に対しては「輸液療法」、免疫を高めるために「インターフェロン」を使用したり、他の病原体による感染症を防ぐために抗生物質を使ったりします。
そして、栄養の補給に努めて猫自身がウイルスに打ち勝つことができれば、改善する見込みはあります。回復した猫は強力な免疫ができ、終生この病気にはかからなくなります。
感染した猫を触った手でほかの猫を触ると、感染の恐れが!
猫パルボウイルスに感染する原因は、感染している猫の「糞便」や「嘔吐物」などを摂取すること。猫の体外でも、ウイスルは1年〜1年半は生存するといわれています。
それゆえ、感染した猫を触った手でほかの猫を触ると感染の恐れが非常に高くなるのです。
猫カフェに行くときに気をつけたいこと
飼い主さんが猫カフェに行く場合、愛猫がこのウイルスに対する「ワクチン(混合ワクチン)接種をしているかの確認」が必要です。接種してないようならワクチン(混合ワクチン)接種をしてあげましょう。
しかし、ワクチン(混合ワクチン)接種は「予防」なので、なるべく飼い主さんは、不特定多数の猫がいる場所には行かない方が無難です。
また、一般的な消毒薬にも強い抵抗力を示し、グルタルアルデヒド系消毒薬(ホルマリンなど)、塩素系消毒薬が有効でアルコールは無効とされていますので、十分に注意しましょう。
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
取材・文/Honoka