あなたの愛犬・愛猫が、突然ブーブーと鼻を鳴らして苦しそうに首を前に伸ばすような仕草をしたことはありませんか?一体何が起こったのかと飼い主さんは焦るかもしれません。当の本人はしばらくその仕草をした後、ペロペロと口周りを舐めていつも通りに…。その仕草、逆くしゃみと呼ばれるものかもしれません。
発作の呼吸で、命の危険を感じる
逆くしゃみに初めて遭遇した時、飼い主さんのほとんどはこのまま呼吸困難で死んでしまうのでは!?と感じるかもしれません。なぜなら、首を前に伸ばして、鼻の穴は大きく開き、口は食いしばるようにする場合もありますし、時間が経つごとに白目をむいて、よだれを垂らすことも。
見た事がない方は想像しただけでもヒヤヒヤしそうな現場ですよね。でもこの逆くしゃみ、呼び名の通りくしゃみと同じくくりで、生理現象なので、治療が必要になることは少ない場合が多いです。
一体、逆くしゃみって?
逆くしゃみとは、そのままの意味で、くしゃみと逆のものです。くしゃみは粘膜などに刺激があった時に、鼻から急速に空気を送り出すことをいいます。こうして異物等を除去するのです。逆くしゃみはその逆で、鼻から急速に空気を吸い込むことを言います。そして、連続的にこれを行うのが特徴です。くしゃみも一回で終わることもあれば、何度も続くこともありますよね、それと同じことなのです。
もう一つの特徴が、空気を吸い込む時にブーブー、や、ガーガーなどの音がすることです。細い鼻腔に勢いよく空気が通るので道が狭くなり、音が出ます。音がなっている時(吸気時)に、胸が大きく広がって見えます。
たまに起こる程度は治療の必要はない?
逆くしゃみは生理現象ですので、治療の必要はない場合が多いです。何らかの刺激があったから、と考えて良いでしょう。しかし、あまりに頻回に起こったり、逆くしゃみの後にパタンと倒れたりする場合は、逆くしゃみ以外の原因の可能性があります。
動画サイトで逆くしゃみと称して動画がアップされていることがありますが、全てが逆くしゃみという判断で合っているわけではありません。1番良いのは、愛犬や愛猫の逆くしゃみと思われる動画を撮って、かかりつけの動物病院で判断を仰ぐことです。他の発作と見間違えて放っておいてしまうと危険です。突然起きて、すぐに終わることもあるのでなかなかタイミングが難しいですが、撮れるようならば動画に撮って見てもらうと良いでしょう。
逆くしゃみが起きたら?
逆くしゃみが起こったら、そっとしておきましょう。鼻腔を塞ぐとか、様々な方法が紹介されていることもありますが、死亡事故が起きたりと大きな危険も潜んでいます。診察用の動画を撮ったり、背中をさするくらいであれば問題ありません。いずれ自然に止まるので、その時を待ちましょう。
1分以上続いたり、痙攣を起こしたり、倒れて失神したりするようであればすぐに受診し、原因を究明して下さい。治療の必要ない生理現象とはいえ、見誤ると大変なことになりますので、自己判断はせずに一度は病院を受診して、本当に逆くしゃみなのかどうかを相談してみて下さいね。
文/動物看護士 木本 由季