あなたの愛猫は普段どんなふうに歩いていますか?歩く、という行為は生きる上でごく自然な行動なので、呼吸をする、と同様にあまり意識して観察したことのある飼い主さんは少ないのではないでしょうか。
歩様(歩く様子)を観察することは病気を早期発見するために重要です。歩様から病気の小さなサインに気付くことができれば、病気が重症化する前に治療できます。では、歩様の異常を感じた場合はどんな病気の可能性があり、どんな点に着目したら良いのでしょうか。
あなたのフラつくはどんな時?
医療に知識のある方は、フラつきがどのような原因で起こるかある程度いくつかの可能性を挙げることができるでしょう。しかし、詳しい知識を持たない方たちは、自分にフラつきが起きたときのことを考え、貧血や立ちくらみなどを思い浮かべるでしょう。
もちろんそれも間違いではありませんが、どれもまさか命に関わる原因があるとは思えませんよね。その程度なら大丈夫、と軽く考えていると、取り返しのつかないことになりかねないこともあります。
原因となるものは1つではない
フラつきの原因となるものは、1つではありません。貧血はもちろんですが、脱水や糖尿病、末期の腎不全、脳腫瘍、てんかん、骨格の異常などがあげられます。フラつき以外にもそれぞれの特徴的な症状が現れるため、立て続けに起こる症状に異常を感じて動物病院へ受診する飼い主さんも少なくはありません。
例えば糖尿病も薬でコントロールすれば付き合っていける病気です。しかし、それには定期的な検査が必要です。これを怠って薬だけを受け取る生活を続けると、病状の変化に気づかず症状が進行してしまうことがあります。重度の糖尿病になると、普段爪先立ちのような姿勢で歩いていたものが、かかとをべたっとつけたような姿勢でフラフラと歩くようになります。また、腎不全末期になり、尿毒症様の症状が見られるようになると神経症状が出て、フラつきや起立困難、発作などが見られるようになります。どの場合も早期に治療が必要な状態なので、気づいた時点ですぐにかかりつけの動物病院へ連れて行くようにしましょう。
早期に発見するには?
歩様の異常を早期に発見するためには、普段の様子をよく観察する必要があります。正常な状態を知ることで、ちょっとした異常に気付くことができるのです。歩く仕草をじっと見ることはないかとは思いますが、これから意識して観察をすると良いですね。均等に体重をかけることができているのか、四肢の可動域に違いはないか、体重をかける時に震えがないかなど毎日こまめにチェックしてください。少しでも変化を感じた時は症状が小さくても、カレンダーや手帳にメモをしておきましょう。症状が重くなったときに、いつからだっけ?と思うことがなく、変化を感じた日付を明確にすることができます。
どんなに小さな変化でもすぐに病院を受診する以外最良のことはありませんが、猫は病院通いに多大なストレスを抱えてしまうこともあるので、行くべきなのか迷ったら病院に電話をするなどしてプロに指示を仰ぐのも良いでしょう。また往診してもらう手もあるので、そうなったときのためにも早めに病院探しをしておくのも良いですよ。
文/動物看護士 木本 由季