先日までマイアミで開催されていた、世界最大の水着のファッションショー「マイアミ・スイム・ウィーク」。一般人からモデルの公募を行っていたブランドがあったこともあり、開始前から注目度が高かった同ショーだけれど、ステージ上でも数多くの話題を提供。その中でも特に関心が集まったのは、授乳をしながらウォーキングをしたモデル…!?
スーパーモデルの登竜門のひとつとして挙げられる『スポーツ・イラストレイテッド』誌の水着特集。彼らはまた、多様性の美をポリシーに掲げており、誌面に留まらずランウェイでも様々な体型や人種のモデルたちが参加。
まずオープニングを飾ったのは、パラリンピックスノーボード金メダリストのブレナ・ハッカビー選手。
その後に続いたのは、表紙を飾ったモデルのほか、公募で選ばれた女性たち。
一般的に“細い”と言われるモデルでも、プラスサイズモデルでもない、“ミドルモデル”のカミール・コステック。元チアリーダーで2年ほど前に『スポーツ・イラストレイテッド』のオーディションに参加し、雑誌に起用されている。
今回特別に行われたオーディションで選ばれた一般人は16名。その中のひとりであるアレンは、乳がんによって乳房の切除を余儀なくされた女性。
「26歳で生きるために両胸を切除した時は、今後一生自分が美しいと感じられなくなることを覚悟しました。しかし、MJやスポーツ・イラストレイテッドのおかげでまた美しいと感じられ、さらに命も美も両立できると教えてもらいました」とコメント。
そして、授乳をしながらのキャットウォークを披露したのが、同じく一般公募で選ばれたマーラ・マーティン。
大音量で流れる音楽や歓声から生後5ヶ月の娘を守るため、ヘッドホンをつけての登場。驚くべきは、これが最初から仕込まれたパフォーマンスではなかったということ。当初は普通に歩く予定だったものの、予定よりもショーの開始時間が遅れたことで授乳しなければならない時間になってしまったんだそう。困っていたマーラに、手を差し伸べたのがエディターのMJ。「もし授乳しながら歩きたければ、全力でサポートするわ」と宣言し、実現したという。
バックステージのマーラと、娘のアリアちゃん。 自身の行動が大反響を呼んだことに、当事者のマーラは驚きを隠せない様子。Instagramを通して感謝を表し、さらに授乳にまつわる環境についてちょっとしたメッセージも。
「毎日している授乳という行為が、これほどのニュースになっていることに驚いています。未だに現実感がないけれど、感謝の気持ちでいっぱいです。私がこうしてメッセージを送れることを嬉しく思い、また少しでも授乳が普通のことだと世間の人に知ってもらえることを願っています。それに、女性は何だってできるんですよ」 「最も感謝すべき人物は、私の行動をサポートしてくれたMJです。彼女の支えがなければ、こうして話し合うきっかけにすらならなかったから」 「私たち16人に、自分らしく、強く美しい女性でいられる環境を与えてくれて有難う!」
公共の場での授乳を取り巻く環境については、日本はもちろん海外でもまだ議論の真っ只中。セレブが授乳している写真をSNSに投稿すると、「見せびらかすものじゃない」や、「隠れてすべき」などと批判の声が上がることもしばしば。一方で「恥ずべきことじゃない」、「授乳はタブーじゃない!」と訴え続ける人たちも。そんな中で話題を呼んだ授乳ウォーク。これをきっかけにさらに議論が進み、理解を示す人が増えることを祈るばかり。