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【独占】世界のヤマハが社員8人の電動バイクベンチャーに「1億円」出資した理由

折りたたみ式の電動ハイブリッドバイクの開発・販売を手がけるグラフィット(glafit、和歌山県和歌山市)は、二輪の製造・販売大手のヤマハ発動機(静岡県磐田市)と資本業務提携を結んだ。

グラフィットは、ヤマハ発動機をリードインベスターとする数億円規模の資金調達(シリーズAラウンド)を実施。ヤマハ発動機は約1億円を出資する。木下事業本部長によると、同社MC事業本部(モーターサイクル事業本部)としての国内ベンチャーへの出資は初の事例だという。

グラフィットは2017年9月1日に設立、2018年12月末現在で従業員8名という、創業わずか2年目のハードウエアスタートアップだ。資本業務提携におけるヤマハ発動機の狙いはどこにあるのか? 鳴海禎造代表に聞いた。

ヤマハと電動バイク「GFR」次期モデル開発に取り組む



グラフィットは、ペダル付きの折りたたみ式電動バイク「GFR-01」商品化のため、クラウドファンディングのMakuakeで2017年8月、過去最高額となる約1億2800万円の支援金を集めたことで、スタートアップ界隈で名を知られるようになった。

GFR-01は2017年10月に一般販売を開始。オンライン販売のほか、オートバックスなど通常の二輪(原動機付自転車)とは異なる小売りの販路を使って販売台数を拡大してきた。GFR-01の販売実績は、当初1年で約3000台にのぼる。

鳴海氏は「詳しい情報ソースは明かせませんが」としながらも、複数の信頼できる二輪市場関係者の情報として、GFR-01の販売規模は、国内における「電動バイク市場」で、事実上トップクラスだと説明する。つまり、ヤマハ発動機から見れば、電動バイク販売で国内有数の1社に出資したという形になる。

今回の資本業務提携によって両社で取り組むものは決まっている。GFR-01シリーズの「派生モデル」の開発だ。

「“派生モデル”という呼び方は暫定的なものですが、早い話がGFRシリーズの“次”をアップデートしていく(次期モデルに取り組む)、ということです。開発はすでにスタートしています」(鳴海氏)

二輪産業が斜陽産業と言われて久しいが、その情況は深刻だ。50cc以下の原付第一種だけで見ても、およそ20年前の1995年に88万台だった出荷台数は、2017年には17万台と5分の1以下にシュリンクしてしまった。

GFR-01(ウメボシレッド)。価格は税込15万円。最高時速30km/h、1充電で約40kmの走行ができるほか、充電切れでもペダルをこいで走ることができる。

そうした背景のなか、1955年創業の世界的な老舗二輪メーカーが、創業2年目のベンチャーに出資する —— この構図には非常に想像力をかきたてられる。

鳴海氏によると、ヤマハ発動機との資本関係は、「会社法上の関連会社にはならない」(鳴海氏)範囲。今後、ヤマハ発動機側から社外取締役が1名、就任する見込みだ。

GFRを発売したことで、複数の自動車メーカーから連絡が来た

Makuakeのプロジェクトページ。1億2800万円という支援額はいまでもMakuake市場最高額だ。

ヤマハ発動機側からコンタクトがあったのは、GFR-01の一般販売開始から間もない2018年1月。実は、ほぼ同時期に、ヤマハ以外にも複数の大手メーカーから「話を聞かせてほしい」と連絡が来たという。

「(GFR-01の実績をつくったことで)ベンチャーキャピタルから連絡が来るのは想定の範囲内ですが、自動車メーカーからの連絡には、とにかく驚きました。ちょっと会って話せませんか、と言われて、最初はどんな話なのか、と」(鳴海氏)

大手メーカーがグラフィットに興味を持った理由はシンプルだ。

まだ国内で各社が手探りで模索する電動バイクという市場で、まったく無名の和歌山のスタートアップが、電動バイクを1年で3000台売るという販売実績をつくってしまった。どういう集団なんだ? というわけだ。

駆動モーターはホイール内側に内蔵する、インホイールモーター式。この方式は、タイヤをペダルで回す際にもモーターが駆動抵抗にならないのがメリット。一部の電動自転車とは違って足こぎでも想像以上に軽く走る。

鳴海氏がヤマハ発動機を訪問してみると、すでにグラフィットのことをしっかり調べていることがわかった。その上で、何らか協業できないか、という提案を受けたという。

「正直言って、驚いたし、うれしいという気持ちもあった」(鳴海氏)

ただ、冷静になってみると、スタートアップであるからには、爆発的な成長ができなければ意味がない。相手は従業員数5万3000人(連結)の大企業で自分たちは従業員8人の小さな所帯だ。企業としての体力も人的リソースも違う。大企業と協業するなら、最も「本気」で取り組んでくれる相手を見極めたかった、と鳴海氏。

ヤマハ発動機のリリース文。

そこで、声をかけてくれたすべてのメーカーに「単なる(アドバイザーや手数料的な)出資ではなく、子会社やCVCからの出資でもなく、本社から出資してもらえないか」という趣旨の申し出をした。本社出資となれば当然、社長決済をすることになり、企業側にもそれなりに責任のある人物を立てることになるからだ。

そうしたやりとりの結果、最後まで本社出資を検討し続けたのが、ヤマハ発動機だった。

「二輪のノンユーザーが買った電動バイク」が評価された

タイヤは前後14インチ。自転車でもない、原付スクーターでもない、不思議な乗車感覚をもっている。

今回の協業は、公式発表の内容として具体的な2社のシナジーについて言及はない。とはいうものの、取り組みのイメージとしては「現時点で具体的にはいえるものはありませんが、ヤマハさんには、老舗二輪メーカーの支援として期待する部分はさまざまある」と鳴海氏は言う。

その「期待」には、ヤマハの車両作りのノウハウ以外にも、ブレーキなど車体パーツの供給や、実車の完成度を高めるためのテストコースの活用といったものも視野に入っているはずだ。そうでなければ、「業務提携」までする意味はないからだ。

一方で、ヤマハ発動機側のメリットは何か?

鳴海氏は2つのポイントを挙げた。1つは、グラフィットの車両作りの特徴である「量産ありきのアジャイル開発」。もう1つは、「二輪のノンユーザーの市場を開拓したこと」だ。

「世の中にこれだけモノがあふれていて、その製造を支えるメーカーも増えている。であれば、世界に既に存在するモノ(パーツ)を活かして組み合わせる方が、モノづくりは圧倒的に速いし(自分たちが量産に漕ぎ着けるためにも)確実だ、と考えたんです。パーツを組み合わせるときに足りない、“パーツとパーツを連携させる部分の開発”に特化する、という考え方です」(鳴海氏)。

これが、グラフィットの言うアジャイル開発だ。

一般的な「バイク」のイメージからすると極めて簡素なメーター。

テクノロジー家電のハードウエアスタートアップでは、「世界の工場」と言われる中国・深センの下請け工場の技術をフル活用して、高速・小ロットでのモノづくりをすることは、今や珍しくない。

グラフィットは、秋葉原の組み立て式の自作パソコンのように、世の中にあるパーツを組み合わせて電動バイクをつくれるのではないかと考え、量産を実現した。ある意味、大企業では思いついてもまず実行しない、対照的なモノづくりの手法だ。

しかし、それが電動バイクにおける一種の「テストマーケティング」としても有効だったことは、GFR-01が一定の成功を収めたことが証明している。

また結果的に、GFR-01を買い求めた相当数が「二輪のノンユーザー」と推定されることも興味深い。鳴海氏によると、自動車系のある販路では、GFR-01の購入者の自動車所有率が極めて低かったり、またグラフィットへの問い合わせ内容にも二輪や原付の所有経験の低さを感じさせるコメントが多いと語る。

その上で誰もが気になるのは、ヤマハ発動機にとって自社の原付と競合しないのか、ということだ。鳴海氏はその点は明確に否定する。

「(法的には原付の扱いだがGFR-01は)乗ればわかりますが、原付とはまったく違う。自転車以上、原付未満、まったく別の乗り物です」(鳴海氏)

折りたたむとこのサイズになる。普通乗用車のトランクに複数台積めるほどのサイズだ。マンション住まいの都市圏住人がエレベーターで自室に持ち込んで保管している、という利用スタイルは納得感がある。

実際、GFR-01の使われ方は独特だ。たとえば、最近の賃貸物件では原付をマンションに置くことが難しい場合がある。しかし、グラフィットのユーザーは自転車のようにエレベーターに乗せて、自室まで運び、室内で折りたたんで保管する。

一方、郊外ユーザーは、クルマのトランクに積みっぱなしにして使う人もいる。こうしたケースでは、ドライブで訪れた観光地で、自転車代わりに乗って移動するなどに使われる。折りたたみ式で重量約18kgという軽量車両だからできることだ。どちらの利用スタイルも、たしかに一般的な原付には不可能だろう。

「ヤマハさんは、放っておいてもうち(グラフィット)みたいな会社は出てくる。だったら、むしろ連携していく方がモビリティ業界のためになる、と捉えてくれたんだと思います。

今までは、中国の工場を使いながらも(本社のある)和歌山に閉じこもって開発してきました。(ヤマハと取り組む)次期モデルでは、得意とするモビリティのアジャイル開発と、(ヤマハの二輪業界の知見とを)新旧ミックスした開発手法を確立したいと思っています。(“新”、“旧”)どちらでもない、“間”の開発手法があるはずですから」

今回の資金調達は、次期モデルのための開発系の人材採用と、開発のための設備購入にあてる。二輪メーカーとしての基盤を一層充実させるという狙いだ。グラフィットが目標とするのは、モビリティメーカーとして、「和歌山県で10社目の上場企業になること」(鳴海氏)。

ヤマハ発動機との資本業務提携は、その目標に向けた着実な第一歩だ。

編集部より:発表会の内容を踏まえ、一部表現をアップデートしています 2019年1月24日 13:25

(文、写真・伊藤有)

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世界で最もマイホームに手が届きづらい都市 トップ10

カリフォルニア州サンノゼ。
Sundry Photography/Shutterstock

アメリカの調査会社デモグラフィア(Demographia)が、世界で最も住宅購入にかかる費用が高い都市を発表した。「インターナショナル・ハウジング・アフォーダビリティ・サーベイ」は、今年で15回目だ。

この調査では、オーストラリア、カナダ、中国(香港)、アイルランド、ニュージーランド、シンガポール、イギリス、アメリカの309の住宅市場(と人口100万人以上の91の主要市場)を分析した。

ランキングを作るにあたっては、2018年第3四半期のデータを使い、住宅価格の中央値を世帯年収の中央値で割った。

その結果、最も「手が届きづらい主要住宅市場」は、オーストラリア、ニュージーランド、中国であることが分かった。

世界で最も住宅購入にかかる費用が高い都市トップ10を紹介しよう。


Pius Lee/Shutterstock


9位 ニュージーランド、オークランド —— 9.0

Secret Escapes


8位 ニュージーランド、タウランガ —— 9.1

travellight / Shutterstock


7位 アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス —— 9.2

Sean Pavone/shutterstock


6位 アメリカ、カリフォルニア州サンノゼ —— 9.4

Sundry Photography/Shutterstock


5位 アメリカ、カリフォルニア州サンタクルーズ —— 9.6

Dale Cruse/Flickr


4位 オーストラリア、メルボルン —— 9.7

kitsada wetchasart/Shutterstock


3位 オーストラリア、シドニー —— 11.7

Photo by Simon Rae on Unsplash


2位 カナダ、バンクーバー —— 12.6

Viktor Birkus/Shutterstock


1位 中国、香港 —— 20.9

Getty Images


[原文:The 10 most expensive cities to live in around the world in 2019]

(翻訳、編集:山口佳美)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_2edc4b465eeb_世界のポピュリズムはピークを過ぎた? 最新の大規模調査で判明 2edc4b465eeb 0

世界のポピュリズムはピークを過ぎた? 最新の大規模調査で判明

2019年1月24日 05:30 Nigel Farage / Twitter

・世界経済フォーラムの調査によると、世界全体で見ると、わたしたちは移民にオープンで、国益はゼロサムゲームではないと考えているようだ。
・調査結果は、「アメリカ・ファースト」といったポピュリズム的なアイデアを一掃するものだ。
・一方で、社会的地位の上昇はまず望めず、政府は人々に機会を提供するために十分な仕事をしていないことを示している。
最新調査によると、ポピュリズムは衰えかけているのかもしれない。その報告書の筆者は、わたしたちが移民や国際協調に反対しているというニュースが「誤りであることを示している」と指摘する。

世界中の1万人以上を対象に行われたこの調査は、1月22日にスイスのダボスで開幕した世界経済フォーラムの年次会合に合わせて公表されたものだ。調査の結果、国家間の協力は非常に重要であり、国家の自己改革はゼロサムゲーム(誰かが勝てば、誰かが負ける)ではなく、移民に対する考え方は概ねポジティブであることが分かった。

調査会社Qualtricsと共同で実施されたこの調査では、57%が移民は概ね良いことだと答えた。

報告書の筆者は、この結果は「ヨーロッパや北米、その他の地域でトップニュースとなっている移民に対するネガティブなイメージは完全に誤りであることを示している」のだという。

調査はまた、富や社会的流動性に対する、西側諸国における落胆やネガティブな姿勢にも注目している。北米では、貧しく生まれても、一生懸命働けばお金持ちになれるという考えが一般的だと答えたのは、34%だった。西ヨーロッパではわずか20%だった。

「国同士が共通のゴールに向かってともに取り組むことは、どのくらい重要だと思うか? 」との質問に対するそれぞれの地域ごとの回答。どの地域でも、合わせて70%以上が「極めて重要」もしくは「非常に重要」と回答している。
World Economic Forum

報告書はさらに、「回答者の半数以上が、社会的地位の上昇はまず望めず、政府は人々に機会を提供するのに十分な仕事をしていないと答えた」と述べた。

極右の政治運動の台頭や、「アメリカ・ファースト」「ブレグジット(イギリスのEU離脱)」といったポピュリズム的なキャンペーンは国際政治の分裂を招いているが、この調査結果はこうしたアイデアの人気が低下している可能性を示している。

しかし、地域ごとに見ていくと、微妙な違いがある。

ヨーロッパで言えば、西ヨーロッパでは46%が移民は良いと答えた一方で、極右が政権を握っているハンガリーやチェコを含む東ヨーロッパでは、その数字は40%にとどまった。

また、調査結果の中でも興味深いのが、気候変動をめぐる科学を最も信用していないのは北米で、テクノロジー企業を利他的だと最も信じていないのが東ヨーロッパだった。これはフェイスブックやグーグルに対するEUの対応を見ても分かる。

[原文:A massive new survey suggests it could be time to call the peak in global populism]

(翻訳、編集:山口佳美)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_49da36c26fb0_無人コンビニのAmazon Go、すでに既存コンビニ超えのある数字 49da36c26fb0 0

無人コンビニのAmazon Go、すでに既存コンビニ超えのある数字

Q. 無人コンビニのAmazon Go、1店舗あたり売上はコンビニの何倍?

A. 約1.5倍。アメリカのコンビニの1店舗あたりの売上は$1M(約1億円)、Amazon Goは$1.5M(約1.5億円)です。

今日の記事では、Amazonが実験中の無人コンビニ「Amazon Go」を取り上げてみたいと思います。



ご存知の方も多いかもしれませんが、Amazon Goというのは、Amazonが展開しているレジで会計する必要のないキャッシュレスの店舗です。

入店する前に専用のアプリからバーコードをスキャンします。そして店内で手にした商品をそのまま持った状態でレジで会計をすることなく、写真のようなゲートを通ってお店を出ると、自動的に自分のAmazonアカウントに課金されるという仕組みになっています。

今まで謎に包まれていたAmazon Goのユニットエコノミクスが少しずつ明らかになってきたので、詳しく見ていきたいと思います。

Amazon Gocould generate $4.5B with plan for 3K stores(RETAIL DRIVE 2019/1/7)

2021年までに3,000店舗出店へ
現在はまだ数えるほどしかないAmazon Goですが、2021年までには3000店舗の出店を計画していると言われています。

仮に3000店舗出店して、1店舗あたりが冒頭で書いたとおり$1.5M(約1.5億円)の年間売上だとすると、Amazon Goビジネスは年間$4.5B(約4500億円)もの売上を生むビジネスになります。

Amazon全体の売上から見ると、$4.5B(約4500億円)というのは大きいビジネスではないかもしれませんが、現在アメリカにコンビニは約15.5万店舗あると言われていますので、今後まだまだ取れるマーケットが大きいとも言えます。

Amazon Goのユニットエコノミクス



Amazon Goの1店舗あたりのユニットエコノミクスは以下のようになります。
・店舗あたりの年間売上: $1.1M(約1.1億円)から $1.95M(約1.95億円)
・日次平均来客数: 400から700人
・購買単価: $10

1日あたり400人から700人が来店し、平均10ドルを消費して、店舗あたりの年間売上が$1.1M(約1.1億円)から $1.95M(約1.95億円)の間になります。

アメリカのコンビニの平均売上が年間約$1.03M(約1.03億円)なので、それよりも約1.5倍大きい計算になります。(この1.03億円にはアメリカのコンビニによく併設されているガソリンスタンドでのガソリン代とタバコの売上げは含みません)

ちなみに日本フランチャイズチェーン協会によると、全国5.56万店舗のコンビニの2018年11月の1店舗当たりの売上は約1600万円で、客単価は618円です。

客単価は低いものの1日の平均利用者数が約862名と多いため、年計算にするとAmazon Goと同程度の1店舗当たりの売上になっています。

コンビニエンスストア統計データ
(2018年11月度のPDF参照。上記の数字は、全店ベースの売上高891,079百万円、店舗数55,695、来店数1,441,444、平均客単価618円という公表数字から算出)

Amazon Goの最大の強みは「単位面積当たりの売上」
Amazon Goのユニットエコノミクスをコンビニと比較すると、いくつか共通した点と異なる点があります。

初めに共通している点ですが、従来のコンビニも現在展開されているAmazon Goも1店舗あたりの面積は1800sq ft=スクエアフィート(約50.5坪)程度になっているという点は似ています。

ちなみに日本のコンビニも店舗面積は50〜60坪が多いようです。次々と新商品を打ち出す業態のため、在庫のロスを最小限にするための棚の配置を考え、効率の良さを追求した結果の適正な面積だそうです。

一方で単位面積当たりの売上を見ると、通常のコンビニは1sq ftあたり570ドル(1坪あたり約204万円)であるのに対し、Amazon Goは1sq ftあたり853ドル(1坪あたり約305万円)と、Amazon Goの方が単位面積あたりで大きな売上を上げていることがわかります。(1sq ft=0.028坪として換算)

さらにAmazon Goは、450sq ft(約12.6坪)ほどの小型店舗もオープンしており、様々な実験を行っているのだと思われます。



店舗内のレイアウトを見てみると、日本のコンビニのようにわりと棚と棚の間が近く、ぎっしり密集しているような印象も受けます。

この単位面積当たりの売上の大きさが、Amazon Goの店舗に設置される多くのセンサーやカメラと言ったハードウェア投資を可能にしているとも言えるのではないでしょうか。

ちなみに、ホールフーズの1店舗あたりの面積は4.3万sq ft(約1200坪)、 Walmartは17.8万sq ft(約5000坪)と非常に巨大なので、Amazon Goはいかに小さな店舗で単位面積当たりの売上を大きくしていくか、という点に今後もフォーカスしていくのではないかと思います。

まだまだ謎に包まれた無人コンビニのAmazon Goですが、今後も注目していきたいと思います。



決算が読めるようになるノートより転載(2019年1月21日公開の記事)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_09e56aedd09c_PayPay「100億円あげちゃう」はキャッシュレス定着させる?有力ベンチャー3社が予測する2019年決済市場 09e56aedd09c 0

PayPay「100億円あげちゃう」はキャッシュレス定着させる?有力ベンチャー3社が予測する2019年決済市場

2019年1月24日 05:10 撮影:小林優多郎

平成最後の年末商戦。ヤフーとソフトバンクの合弁会社でQRコード決済事業を手がけるPayPay(ペイペイ)が繰り広げた「100億円あげちゃうキャンペーン」は、きわめて短い時間ながら、一種の社会現象とも言えるほど大きな話題を呼んだ。

関連記事:PayPay「100億円」に人が殺到、サーバーダウン混乱の現場を見た ── 週末は大混乱か?

日本の新しいお金の流れ、あるいは昨今叫ばれるキャッシュレス化の潮流の中で、このPayPayのキャンペーンはじめ、2018年に起きたいくつもの新たな動きはどんな意味を持ってくるのか。そしてそれは2019年以降の市場にどんな影響をもたらすのか。

それぞれ独特の切り口から決済・送金事業を手がける気鋭のベンチャー、Origami、Kyash、pringの3社に徹底議論してもらった(本前編はポイントバックを主なテーマとし、決済手数料などがテーマの後編は1月25日公開予定)。

鷹取真一(たかとり・しんいち):株式会社Kyash代表取締役社長。Kyashは、プリペイド型のバーチャルVISAカードを発行するサービス。残高はコンビニやクレジットカード(VISAまたはMastercard)、ペイジー(税金や公共料金をPCやスマホを通じて支払うサービス)を通して銀行口座から入金できるのに加え、Kyashユーザー同士であれば手数料無料で送金が行える。
伏見慎剛(ふしみ・しんご):株式会社Origami事業開発ディレクター。Origami Payは、2015年に始まったスマホ決済サービス。2018年には世界最大手の一角、銀聯国際(UnionPay International)と資本業務提携。同時に、自社の決済プラットフォームをパートナー企業に無償開放する「提携Pay」も発表した。
荻原充彦(おぎはら・みつひこ):株式会社pring代表取締役CEO。プリンは銀行口座直結のウォレットアプリ。送金や支払い、口座からの出し戻しを手数料ゼロで提供する。2018年にはQRコード決済の手数料を業界最安値の0.95%とすることを発表し、加盟店の募集を開始した。
QRコード決済が「市民権」を得るための一つの策

左から、pringの荻原充彦氏、Kyashの鷹取真一氏、Origamiの伏見慎剛氏。本鼎談は2018年12月末に行われた。

——皆さん、PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」をどう見ましたか。

伏見:QRコード決済はまだ本当の意味で“市民権”を得ていません。体感してもらう機会を広げることがまずは大事で、その意味でキャンペーンは大きな役割を果たしたと思います。

100億円という還元額をどう見るか、という点ですが、実は中国に目を向ければもっと大々的にやっています。例えば、アリババのAlipayやテンセントのWeChat Payは、タクシーでQRコード決済を使った乗客だけでなく、運転手にまで還元してユーザーを広げている。日本でも、還元額を増やす以外に、もっとあの手この手を考える必要があるのではないでしょうか。

鷹取:市民権を得ていないという伏見さんの指摘にはまったく同感。これから市場をつくっていくフェーズですから。

一方、100億円については、金額の大きさに驚いたというより、これまでポイントのような形で還元するのが常識であったところを、PayPayは即座に現金を返すかのようなやり方を用いたのが画期的でした。お金に近い形で還元を受けられるほうが人を動かす、当たり前のことのようですが、そんな動きが顕著になってきている気がしています。

荻原:サービス開始当初から、摩擦なく、よりお金が回りやすい世の中にすることを目指してきた僕らプリンとしては、PayPayのキャンペーンによって個人消費が刺激されたことを素直に喜びたい。現在、1800兆円超ともいわれる家計金融資産を動かし、社会経済を活性化させるという大きな視点から見れば、わずか10日間の出来事とはいえ間違いなくプラスでした。

ただ、お金の摩擦をなくして流れをよくするには、個人より法人取引のほうが摩擦が多い。加盟店の店舗販売における決済手数料負担だったり、高額な給与の振込手数料だったり、まだまだ取り組まねばならないことがたくさんある。何もかも始まったばかりだと思っています。

「絶対的なセキュリティ」を求めるべきか

登録時と使用時のセキュリティを分けて考え、それぞれを高度化させることで、より高度な安全性を確保できるとしたOrigamiの伏見氏。

——スマホ決済の認知度が高まった一方で、不正入手したクレジットカード情報による利用が相次ぎ、ネガティブな意味でも注目を受けました。この問題をどう考えますか。

荻原:もちろん、トラブルは起きてはいけないんですが、語弊を恐れず言えば、仕方ない面もある。現実を直視するなら、クレジットカードの歴史は不正との戦いの歴史でもあります。

2018年12月に起きたソフトバンクの通信障害でも、エリクソン製交換機のソフトウェアに問題が起きるなんて、あらかじめ察知するのは不可能だったでしょう。最新の技術を導入していくためには、最善の努力をしつつも、何か起きたらすぐに手当てをするしかありません。

鷹取:システムの堅牢性については、僕らKyashも2018年11月に障害を起こしてしまった反省があります。それを踏まえた上であえて言うなら、既存の銀行のような完璧性を(革新的なサービスの)開始段階で求めてしまうと、新しいビジネスモデルや市場はなかなか生まれてこなくなるのでは。

とはいえ、お金を扱うサービスである以上、ユーザーにとっては絶対的な信頼性が必要な部分もある。どこで、どのレベルまでそれを求めるべきなのか、とても難しい問題ですね。

Origami Payのサービス案内画面。
出典:Origami HPより編集部がキャプチャ

伏見:スマホ決済については、登録時と利用時のセキュリティの問題は分けて考えたほうがいい。PayPayの問題ではクレジットカード登録時のセキュリティに注目が集まりましたが、そこを改善するだけでなく、利用時のセキュリティを高めることでカバーできる場合もあります。

例えば、ユースケースが増えてくれば、怪しい取り引きを検知した時点で対策を打つこともできる。Origami Payでは、加盟店の店頭でそうした動きが検知された場合、加盟店から当社の決済承認センターに連絡をいただき、ユーザーの本人確認を行う仕組みになっています。

事業者間の連携、その重要さと難しさ

これまで、事業者それぞれの社外秘として蓄積されてきたノウハウも、日本のキャッシュレス化推進と不正対策徹底のためなら、共有化を進めていくべきと話したKyashの鷹取氏。

——PayPayの問題を受けて、経済産業省は不正利用対策のガイドラインを取りまとめるための検討会を(キャッシュレス推進協議会の中に)立ち上げました。良い方向に行くでしょうか。

伏見:非常に重要な取り組みです。決済アプリの開発・提供企業、カード会社、チャージ元の銀行、加盟店は普段から連携しておく必要があると思っています。

鷹取:伏見さんの意見に全面的に同意ですね。不正対策をどのようにやっているか、どんなカード番号や氏名で不正があったのかといった情報は、これまで事業者それぞれの社外秘として蓄積されてきた。一種のノウハウなんです。でも、キャッシュレスの比率を国全体として増やし、新たな市場をつくっていこう、みんなでダメージを減らそうという時なので、今後はオープンにやるしかない。

Kyashのサービス案内画面。
出典:Kyash HPより編集部がキャプチャ

荻原:いやあ、ウチはとりあえず様子見かな(笑)。

鷹取:なかなか対応が難しいところですよね。大企業にせよ、僕らのようなスタートアップにせよ、できるところから始めていけたらと思っています。

荻原:方向性としてはもちろん同意なんです。ただ例えば、後払い決済サービスを運営する事業者に事故データをすべて出してくれと言っても、出すはずがない。サービスを支える資産だから仕方ないですよね。

だから、僕らのやり方はいまのところ「安心と制限」。多少の不正は起こりうることを前提に、一定額までは全部補償することにして安心を与える代わりに、利用額をリスクを負える範囲内に制限するわけです。何の制限もなく勢いだけでサービスを拡大して、不正が起きてからどうしましょう、というのはさすがに無理筋ですから。

ポイントバックは今後も洗練され、続いていく

PayPayのキャンペーンを、「これほど『お金を払うこと、買い物することが面白い』と思える試みはこれまでなかった」と評価したpringの荻原氏。

——そうやって不正利用対策を磨き込んでいくことを前提とすれば、キャッシュバックやポイントバックはこれからも続いていくと思いますか。

荻原:プリンとしては資金力の限界もあるので、規模で対抗とかは考えていません。でも、他社のキャンペーンは続いていくし、拡大していくんだと思います。鷹取さんが言うように、PayPayのはたしかに「現金をあげちゃう」感じに近かったんですが、それでもやっぱりサービス内で使えるポイント(還元)であることには変わりなく、囲い込みの効果はそれなりにあったと思います。

PayPayのキャンペーンは結局のところ、人間の射幸心をズバリ狙ったものでした。こんなふうに「お金を払うこと、買い物することが面白い」と思える試みは、少なくともスマホ決済の分野ではいままでなかった。これだけみんなが面白がっているものを、ここでスパっとやめるとは思えない。

pringのサービス案内画面。
出典:pring HPより編集部がキャプチャ

鷹取:Kyashとしては、VISAカードの加盟店ならどこでも2%の残高還元をやっていて、ビジネスモデルとして成立する限りはこのまま続けるつもりです。サービスを使えるお店をはっきりさせたいという狙いが僕らにはあるので、リーチを広げるために還元率や規模をやたらと拡大していくことは考えていません。

ユーザーの視点に立てば、カードやQRコードを提示するからその「手間賃」としてバックを受けられる、いまはまだその程度の認識だと思うんです。これからキャッシュレス決済の利用率が40、50%と広がっていくと、ユーザー自身の信用スコアリングに貢献するとか、かなりメリットが出てくるから当然使ったほうがいいという感じになるでしょう。逆にそれまでは、ポイントバックのようなカンフル剤は必要かなと。

伏見:僕も続いていくと思います。ただし各社とも、やり方はもっと洗練されてくるのでは。Origami Payもローンチ当初からさまざまなキャンペーンをやってきて、どのくらいどこに投資すればどの程度の反応があるか、ある程度は想定できるようになってきています。

——なるほど。そう考えると、ターゲットを狙い澄まして今回以上の規模でキャンペーンを繰り広げるプレイヤーが出てくる可能性もありますね。そもそも、今回のキャンペーンに驚かれましたか?

荻原:僕は驚きましたね。ヤフーとソフトバンクの合弁会社が(2018年6月に)できてからこんな短時間で、こんな大規模な投資に打って出るなんて。

鷹取:僕も驚きましたよ。100億円という金額には絶対的な重みがある。でも、いま冷静に考えてみると、20%還元だから実際に決済された金額は500億円で、消費市場の中ではさほど大きな額ではないんですよね。これからPayPay以上のキャンペーンがあったとしても、今度はさほど驚かないかもしれない。

SNS上の巨大な反響から学べたこと

カード不正利用事件の発生を受け、2019年1月21日から、QRコード決済のPayPayでクレジットカードを登録する際には個人認証作業が必要になった。
出典:PayPay HPより編集部がキャプチャ

——金額の大きさも然ることながら、一連のキャンペーンを取材していて、SNS上での反響の大きさや広がりにも驚かされました。

荻原:でも、当然ですよね。何となくキャンペーンを知ってアプリをダウンロードして、家電量販店に行って買い物したら全額返ってきた、それも数万円!だなんて、誰でもSNSに投稿したくなるじゃない(笑)。これこそ本質を突いたSNSキャンペーン。プリンは送金にこだわってサービスをつくっていますが、決済の部分では、参考にできるものならしたいですね。

ついでに言えば、伏見さんが指摘したように、営業部隊の投入もそうだし、キャンペーンの情報拡散のためにテレビCMにもおそらく億単位で投資している。SNSの拡散力だけでなく、さまざまな手法が組み合わさって今回の大きな反響になったんだと思います。

鷹取:荻原さんの言う通りですね。だからこそ、キャンペーンによるユーザーの体験が「瞬間風速的なものではないか」「デフォルトのものなのか」というところはシビアに見ておきたい。(キャンペーンが終わった後で)サービスそのものによって得られる体験はどの程度のものなのか。直前の体験がかなり刺激的だったからこそ、落差も大きく感じられるかもしれません。

伏見:僕の場合は率直に言って、SNSの勉強になりました。宝くじで一等が当たった人はSNSに投稿しないんですよね、強盗に狙われたりするから(笑)。でも、数万とか数十万ならけっこうシェアする。今回のキャンペーンのSNS投稿を見ていて、そのあたりの肌感覚が得られた感じがします。

荻原:もう一つだけ言っておきたいことが。テレビCMやSNSを見た人は今回、PayPayを使ってものすごく得をしたわけですが、もしウチの母親がキャンペーン中にビックカメラに行っていたら、絶対現金で買い物したと思うんです。僕らプリンは、そんなふうに「知っている人が得をする」金融ではなくて、「知らなくても損をしない」金融をつくりたいなと。

(※本鼎談の後編は1月25日公開予定です)

(取材・構成:川村力/小林優多郎、撮影:岡田清孝)

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かかったら社会人失格?インフル発症者続出の職場がすべきこと

「大変申し訳ないのですが、子どものインフルをもらってしまった疑いがあります。予防していたのですが……」

1月も後半になって最近、こんなメッセージがスマホに飛び込んでくることが増えた。

「インフルエンザにかかってしまったようです、すみません」。謝罪が飛び交う、日本の企業社会。自己管理ができていないと責める風潮もあるが、それだけだろうか(写真はイメージです)。
Shutterstock/TheVisualsYouNeed

それもそのはず、インフルエンザが猛威を奮っている。全国の推計患者数は1月18日時点で163万人を越え、国立感染症研究所はインフルエンザの流行が全国で「警報レベル」と発表。学級閉鎖も相次いでいる。

仕事熱心な日本社会の表れなのか、「ご迷惑をおかけした方、本当にすみません」「(インフルにかかって)かつてない自己嫌悪に陥っています」など、インフルエンザ発症者の謝罪や懺悔がSNS上で飛び交っている。

たしかに集団感染が起きると、会社の業務まで滞ってしまうのは事実。とはいえ「予防接種していてもかかる」とよく聞くインフルエンザ、予防接種を受けていないのはそんなにダメなの?発症したら、自己管理がなっていないと責められても仕方ないのか。

インフルエンザ予防に“自覚”は通じるか

人の集まるエリアは、感染要注意ゾーン。通勤経路も危ないかもしれない(写真はイメージです)。
Shutterstock

インフルエンザ警報が発令された1月18日、ロッテのドラフト1位の藤原恭大外野手(18)が、インフルエンザA型と診断され、新人合同自主トレを欠席。監督が「プロの生活では自己管理も大切。調整もできなくなってしまう。自覚を持ってやってほしい」と苦言を呈したと報じられていた。

受験シーズンもピークを迎え、全国的に死亡者も出るなど、インフルエンザ流行に世間はピリピリしている。発症すれば、感染拡大を防ぐためにしばらく出勤は停止。ただでさえ人手不足が叫ばれる日本の職場で、次々に人が倒れては、業務に深刻な支障が生じるケースもあるだろう。

とはいえ、IT企業勤務の20代男性はこうこぼす。

「予防接種のワクチンが近所の病院では切れていて、まだ受けていないのですが、職場では告白しづらいです」

自己管理が甘いと、上司に責められるのが目に浮かぶからだ。

Twitter上では、こうした異様なピリピリムードに違和感を訴える声も。

「予防接種してないやつは社会人として終わってるって上司が喚いてるんだけど、こんだけ流行してる以上お前ら明日は我が身かもしれないのによくそんだけ叩けるな」


「職場に予防接種しない人をめちゃ叩く人がいるんだけど、予防接種しても毎年かかっちゃう同僚さんが一人居て困った顔してたの見ると何とも言えない気持ちになってしまう事よくある」


「かかった奴が悪い」では予防に限界

医師が考える、職場のインフルエンザ対策で、忘れてはいけないこととは(写真はイメージです)。
Shutterstock

「インフルにかかった人間が悪いと責めるのは、マネジメント層にとって簡単です。しかし、感染の制御を個人の責任に帰結させていると、問題は解決しません」
そう話すのは、秋葉原内科saveクリニック院長で医師の鈴木裕介さんだ。

鈴木医師は大前提として、「1番の予防は、やはりインフルエンザの予防接種を受けること。小児のデータですが、2015〜16年シーズンの調査では、予防接種で6割の人はインフルエンザの発症を防げるとの結果がでています」と示す。

インフルエンザの予防接種は、65歳以上をのぞいてあくまで任意。しかし高齢者、妊婦、医療従事者に教育や保育者、接客業などで接種が推奨されており、実際に感染防止に効果が大きいと言う。

しかしその上で、職場の感染防止について、個人を責めることについては異を唱える立場だ。

鈴木さんの考えはこうだ。

「職場のインフルエンザの感染予防はマネジメントの問題です。費用負担するので個人で予防接種を受けてくださいでは、全員に行き渡らせるのはなかなか難しいでしょう」
「例えば、いつまでに全員接種するか。摂取接種できる時間をとれるような人員の充て方をしているか。そもそも予防接種に行く時間もないくらい忙しい状況をどう回避するか。これらは全てマネジャーの責務です。スタッフの健康状態の維持を、経営課題として対処する。『健康経営』とはそういうことです」
たしかに、「予防接種」の費用補助制度がある職場は少なくない。それでも受けていない人の理由はなにか。

少し古いデータになるが、独立行政法人国立国際医療研究センターが2011年に行った調査では、受けなかった人の理由でもっとも多かったのは「医療機関に行く時間がなかったから」。

ひどいケースになると「仕事に穴を開けるわけにはいかないからと、インフルエンザにかかっていることを隠して出社する人も」(鈴木さん)というが、これもまた「その人がいないと回らない体制を作り出している職場全体の問題でもあります」と、鈴木さんは、指摘する。

メイド服で予防接種の理由

秋葉原のメイドカフェの店長が行った、インフルエンザ対策のマネジメントとは。(写真はイメージです)。
Shuttestock/Kobby Dagan

インフルエンザ予防を率先できている職場の例として、秋葉原でクリニックを開業している鈴木さんは、とあるメイドカフェのケースを上げた。

「秋葉原のあるメイドカフェの店長は、◎日までにインフルエンザの予防接種を受けるようにと日程を指定。業務中に交代で従業員に受けさせていました」

クリニックには、メイド服姿のカフェ従業員が続々、予防接種を受けに来たという。業務時間内で、かつ仕事が回るように人員を配置した上で、予防接種の時間をとってもらえたら、さすがに多くの人が病院に行けそうだ。

ブラックな職場が危険なワケ

ブラックな職場環境が、インフル感染拡大に影響するケースは少なくなさそうだ。
撮影:今村拓馬

周囲では残業が続くなど、疲れている人がインフルに倒れているようにも見えるが、どうだろう。

鈴木さんは「忙しさや疲労度合いは数値化しにくく、インフルエンザ発症の因果関係を示すエビデンスはありません」とした上で、こう示す。

「ただし十分な睡眠がとれない、疲れていても無理して働くというのは明らかに不健康。不健康な人が病気になりやすいのは当たり前ですし、不健康な働き方をせざるをえない雰囲気や状況があるとすれば、それもまたマネジメントの問題だと思います」

体調が悪くても「少々の風邪なら仕事に行くべき」という風潮も危険そう。インフルエンザは、感染してから発症までの潜伏期間が1〜2日程度あるとされる。

予兆としては、身体のだるさや喉の乾燥、悪寒などがある。とはいえ熱が出ていないことから「ちょっと体調が変かな?」と思っていても、無理して仕事をしている間に、多くの人に接してしまう可能性もある。

スパルタやブラックな職場体質が、インフルエンザの蔓延を招く可能性は否定できない。

「100%かからない方法はありません。ウイルスはそこらじゅうにいるものですから」と、鈴木さんは完全な対策はないと指摘。

そのうえで「職場のインフルエンザの発症を、個人の責任だけに押し付けるのではなく、どれだけリスクを下げられるかをマネジメントする、経営課題として捉える必要があります。かかった個人を責めるのではなく、チームとしてどうしたら次は防げるかを考える。その方が建設的です」

もちろん、インフルエンザにかかって辛い症状を耐え、生活に一番支障をこうむるのは自分自身。自己管理が必要なのは言うまでもない。

ただ、インフルエンザが蔓延する職場は今一度、組織としてもやるべきことがないか、振り返ってみる価値はありそうだ。

(文・滝川麻衣子)

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成人誌に続き他の雑誌は大丈夫?コンビニ今なぜ一斉に販売中止に

セブンイレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートが2019年8月末までに成人誌の取り扱いを原則、中止すると発表した。なぜ今のタイミングで一斉に決まったのか。コンビニに成人誌を卸している出版社は今回の決定をどう受け止めているのか。

五輪で来日する外国人にも配慮

ローソン広報室によると、雑誌など書籍の販売については、原則出版社ではなく取次会社とやりとりしていると言う。

契約は半年ごとに見直しており、成人誌の販売を中止する決定は、2019年1月に入ってから取次会社に伝えたという。

実際ローソンの成人誌コーナーで販売されていた雑誌の出版社に、今回の決定をどう受け止めているか問い合わせたところ、

ワニマガジン社(漫画『華漫』など)「特にコメントすることはない」
大洋図書(『ご当地人妻密会DX』など)「担当者がいないのでコメントできない」
(注:取材時に不在ということではなく、常時いないとのこと)
マイウェイ出版(『金髪美尻』など)「社の見解がまとまっていないのでコメントは控える」
など、いずれも実質“ノーコメント”だった。 (2019年1月22日時点)

成人誌は中が見られないようにテープが貼ってあるが、袋で覆われておらず、表紙は誰の目にも入る。

とはいえ、コンビニ側もいきなり販売中止ではなく、雑誌をビニール袋で覆うなどの対策も取れたのではないか。ローソン広報室に尋ねると、

「袋に入れる作業は営業負荷もかかりますし、何より(先行して販売中止をしてきた)沖縄で理解が得られました。昔とは客層が変わり女性やお子さまの来客頻度が増えているので」(ローソン広報室)

ローソンは2017年11月から沖縄県の全店舗で成人誌の販売を中止しており、客や加盟店からの理解が得られたため、全国に拡大することを決定したという。背景には、女性や子ども、そして2020年の東京五輪・パラリンピックなどで増える外国人観光客への配慮がある。

非効率で批判も多い

成人誌は中が見られないようシールが貼ってある。
撮影:竹下郁子

こうした社会的な要請に加えて、成人誌の売り上げが落ちていると見ているのはコンビニに詳しい流通アナリストの渡辺広明さんだ。

「多くのアダルトコンテンツがインターネットで見られるようになったので、コンビニの成人誌は2〜3日に1冊売れればいい、くらいのペースです。非効率な上に批判も多いので販売するメリットがないというコンビニの経営判断でしょう。男性目線のものだけがつくられていること、表紙や裏表紙の表現や描写を自制するなど配慮をしてこなかったことなど、出版社側の問題も大きいですね」
渡辺さんは元ローソン社員。現在も週に何日かは店舗に出向いているそうだが、成人誌を買うのは65歳以上の男性がほとんどだという。

実際、ローソンの「チェーン全体における成人誌の売り上げは1%未満」(ローソン広報室)だそう。

Twitterには賛否両論

撮影:今村拓馬

成人誌の販売をいち早く中止したのはミニストップだ。行政主導で2017年12月1日から千葉市内、そして2018年1月からは全国にも広げた。

当時、熊谷俊人千葉市長が「災害時のトイレ解放など、コンビニ店舗の社会インフラとしての重要性が増す中、過激な成人誌の表紙がトイレへの通路等に露出されていることに対して何らかの対策を求める意見がありました」など経緯をツイートすると、Twitter上には多くの(市長Tツイートへの)批判があふれた。

それに比べると今回のコンビニ大手の発表には賛同の声が増えたようにも感じるが、いまだ反対の声も根強く、「ドラッグストアで堂々と生理用品を売っていることも男性軽視なのでは?」「ananのセックス特集も子どもに悪影響なので置かないで欲しいですね」などのツイートも。

上記にはそれぞれ「日本の性教育がいかに欠如しているかの見本」「性暴力と性行為の区別ができていない」という女性たちからの反論があった。

次は写真週刊誌?
一方で、日本雑誌協会も成人誌の定義について懸念を示す。

ローソンは今回、販売中止の対象になる成人誌は「各都道府県青少年育成条例等で定められた未成年者(18歳未満者)への販売・閲覧等の禁止に該当する雑誌及びそれらに類似する雑誌類」だと表明している。これは日本フランチャイズチェーン協会のガイドラインに基づく基準で、青少年育成条例で禁止されているものはもともと販売されていない。

「私たちは『それらに類似する雑誌類』の範囲が明確に示されていないことに疑問を感じています。写真週刊誌なども含まれてくるのかどうか、何を以って線引きをするのか」(日本雑誌協会)
前出の渡辺さんは、県などの地方自治体がコンビニチェーンに青少年育成条例に関して指導する場に何度か足を運んでいるが、そこでは「男女がまぐわっているような描写はNG」だと言われたそうだ。

雑誌売り場が縮小していく?

先に成人誌の販売を中止したミニストップには「約8割が賛成」の反応だった一方、「約1割が男性からの反対」だったそう。
撮影:今村拓馬

「表紙の文言や写真だけ見ると週刊誌の方が過激で暴力性をはらむことも多い。リスクも多いし、コンビニにおける雑誌の売り上げ自体も落ちているので、今後は棚自体が縮小していくでしょうね。最後に残るのは漫画くらい」(渡辺さん)
ローソン広報室の担当者は、これまで成人誌を置いていた場所に代わりに何を販売するのかまだ決めていないと前置きした上で言う。

「店舗における雑誌コーナーは縮小傾向にありますが、街の本屋さんが少なくなる中で、実は文庫本など書籍の売り上げは伸びているんです。現段階では出版物全体の販売を減らすという方針ではないです」(ローソン広報室)

(文・竹下郁子)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_77155392e486_iPhoneのLCD搭載モデルは2020年に廃止 ── ジャパンディスプレイは中国、台湾からの出資を探る 77155392e486 0

iPhoneのLCD搭載モデルは2020年に廃止 ── ジャパンディスプレイは中国、台湾からの出資を探る

・アップルはiPhone XR用、iPhone 8用の液晶ディスプレイ(LCD)をジャパンディスプレイから購入している。
・だがアップルは2020年、新型iPhoneのラインナップからLCD搭載モデルをなくすようだ。ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。
・同紙によると、ジャパンディスプレイは中国や台湾の投資家からの出資を検討している。
2007年に初代iPhoneを発売して以来、アップルは毎年、液晶ディスプレイ(LCD)を搭載した新型iPhoneを発売してきた。

ここ数年、高価な上位モデルには高品質な有機ELディスプレイ(OLED)を搭載、。一方、コストを理由に、LCDを搭載したiPhoneもラインナップし続けている。

例えば、2018年モデルでは、iPhone XRはLCDを搭載、一方、ハイエンドモデルのiPhone XS / XS MaxはOLEDを搭載した。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2020年以降は変わるようだ。

アップルは新型iPhoneのラインナップからLCD搭載モデルを完全になくすようだと、ウォール・ストリート・ジャーナルはアップルの生産計画に詳しい匿名の関係者の情報をもとに伝えた。

この動きはアップルにLCDを供給しているジャパンディスプレイにとっては大問題。同社は主に日本政府が出資している。

記事によると、同社は中国や台湾の投資家からの出資を検討している。例えば、iPhoneのタッチパネルを製造している宸鴻科技集団(TPK Holding)や中国の政府系投資ファンド、シルクロード基金(Silk Road Fund)などだ。

液晶ディスプレイ(LCD)はここ数年でコモディティ化しているが、記事によると、アップルとの密接な関係が、投資家にとってジャパンディスプレイの魅力になっているようだ。

iPhoneの2019年モデルには、LCD搭載モデルが残るようだ。アップルは毎年9月に新型iPhoneを発表する。2019年モデルのデザインはほぼ固まっている。

さまざまなレポートやアナリストの予想によると、2019年の新型iPhone 3モデルは以下のようなスペックになりそうだ。

・iPhone XRの後継モデル:液晶ディスプレイ(LCD)を搭載、背面カメラが現行XRのシングルレンズからダブルレンズになる。
・iPhone XSの後継モデル:2018年モデルと同様、高品質な有機ELディスプレイ(OLED)と、背面にダブルレンズのカメラを搭載。
・iPhone XS Maxの後継モデル:背面カメラがトリプルレンズになる。
アップルは11月以降、株価が低迷している。11月に同社が今後はiPhoneの販売台数の発表を行わないと発表したこと、そして最も重要なホリデーシーズンの売り上げ予想を少なくとも50億ドル下方修正したことは、iPhoneの販売台数が同社の予想を数百万台下回ったことを示唆した。

またデータは、消費者が毎年登場する新型iPhoneにそれほどエキサイトしなくなっていることも示唆した。

[原文:Apple is reportedly planning to change a key component of every iPhone lineup by 2020, and now one of its major suppliers is scrambling]

(翻訳、編集:増田隆幸)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_7b35a02ecabf_新郎リモート結婚式、「ポルカ」お見舞いも…警報級インフル猛威、こんな乗り切り方も 7b35a02ecabf 0

新郎リモート結婚式、「ポルカ」お見舞いも…警報級インフル猛威、こんな乗り切り方も

インフルエンザが猛威をふるっている。患者数は1月18日段階で163.5万人で、前週の2.8倍に急増した。1月22日にはインフルエンザの可能性のある女性が、駅で転落し死亡するという事故まで起きている。

その一方で、リモート結婚式や、身近な人どうしで支援を募る「ポルカ」などで、工夫しながらインフルのつらさをやり過ごしている人もいる。

インフルで「リモート」結婚式

「やってしまった……」予防していてもかかることもある、インフルエンザ。
polkadot_photo / shutterstock

「ああ、やってしまった……」

都内の広告系企業でプランナーとして働くチカさん(34、仮名)は1月下旬、人生初の「インフルエンザA型」の診断を受けて、がっくりと肩を落とした。

思えば不吉な予兆は、その前の週から始まっていた。

前の週の日曜日に、チカさんの友人の結婚式があった。その当日に、なんと新郎がインフルにかかり、欠席してしまったのだ。

「インフル結婚式」という異例のイベントも。
画像:取材者提供

新郎は病床に伏せりながらも、ビデオ会議アプリ「zoom」を使って式に参加。画面に向かって誓いの言葉を捧げる花嫁……。インフル感染さえなければ、こんなことにはならなかった。チカさんは明るくふるまう新婦に近寄り、ハグをして励ましたという。

その後数日経って朝起きると、体の節々に痛みが走った。

体温を測ってみると微熱で、病院に行ってみると「鼻炎」との診断。「インフルは高熱が出ると勝手に決め込んでいて。その時はインフルという発想すらもありませんでした」とチカさんは振り返る。

涙、涙……予約は全てキャンセル
それでも体調はよくならず、土曜日にもう一度かかりつけの病院で検査をしてみると、インフルエンザA型との診断だった。すぐにしたことは、シェアハウスのメンバーへの連絡だ。

「ごめん!うつしているかもしれない!」

そしてチカさんはその足でパソコンを取りに会社へ向かった。出社ができないときも、リモートワークで仕事をするためだ。同僚が出社していない土曜日に行ったが、ただ、インフルエンザと診断された後に出社はしてはいけない。周囲に感染を広げることにつながるからだ。

当然、週末の予定はすべてキャンセル。高級焼肉も、婚活のデートも、仲良しの女子とのおしゃべり会も……。

あまりの悔しさに耐えきれず、おしゃべり会にはスカイプ通話で参加。その会話の中で、ふと「polca(ポルカ)してみたら?」という話題になった。

ポルカで「家でおいしいものが食べたい!」

チカさんが投稿したpolca。1月24日時点では23800円に。
画像:取材者提供

ポルカとは2017年に始まった、自分がしたいことに対してお金を募ることができる「フレンドファンディング」のアプリだ。

関連記事:ネット上で見知らぬ若者にお金を渡す「ポルカおじさん」とは

チカさんはポルカの存在は知っており興味を持っていたが、実際に自分が支援を募る側になったことはなかった。自分の自信のなさも手伝い、なにも提供していないのにお金を集める、ということに抵抗があったからだ。

そんな自己評価の低さを、ポルカで変えてみたいという想いもあった。友人に打ち明けてみると、「だったら、インフルエンザの今じゃない!?」という返事がかえってきた。

その日のうちにポルカを投稿。「インフルエンザで、家で美味しいものが食べたい!」というタイトルにしてみると、なんと4日あまりで2万円以上のポルカが集まったのだ。

弱っている時は周囲を頼ってもいい

チカさんが公開したpolca。インフルにかかった悲しみがつづられている。

ここまでの反響は予想以上だった、とチカさん。それ以上に心に沁みたのが、「インフル大変だよね、がんばって」「こうすると早く良くなるよ」といった知人からのやさしい言葉の数々だ。

厚生労働省は1月18日、インフルエンザの患者数が今季初めて警報レベルを超えた(1月7日から13日までの、1医療機関あたりの患者数が38.54人)と発表した。全国の推計患者数は163.5万人で、前週(58.6万人)の2.8倍に急増した。

つらいインフルエンザの症状の中で、嫌われるんじゃないかと緊張しながら挑戦したポルカ。そこで思いがけない優しさをもらった、と、今はインフルエンザから回復したチカさんは振り返る。

「弱さを出すのって恥ずかしいし緊張すると思うんですけど、自分が弱っている時こそ周りを頼る。そんな信用社会を(ポルカで)実感できました」
(文・西山里緒)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_92d5a20c3138_既存メディア、コンテンツ引き上げへ ── ネットフリックとメディアの戦いが激化 92d5a20c3138 0

既存メディア、コンテンツ引き上げへ ── ネットフリックとメディアの戦いが激化

2019年1月23日 10:45 NBC

・NBCユニバーサルは2020年、自社のストリーミングサービスを開始する。
・同社のステーブ・バークCEOは、「ジ・オフィス」をネットフリックスから自社の新しいストリーミングサービスに移すことを検討しているとウォール・ストリート・ジャーナルに語った。
・調査会社JumpshotがBusiness Insiderに提供したデータによると、「ジ・オフィス」と同じくNBCの「パーク・アンド・レクリエーション」はネットフリックの人気番組。
・多くの会社が動画配信事業に参入しつつあるなか、ネットフリックはオリジナル・コンテンツに多額の投資を行っている。
10年以上前、ネットフリックスが初めて動画配信サービスを開始した時、視聴者を獲得するための目玉は伝統的なテレビ番組のラインナップだった。

今、多くの既存メディアが自社のストリーミングサービスを始めようと計画しており、ネットフリックスはいくつかの人気番組を失う危機にある。

NBCユニバーサルは1月21日(現地時間)、2020年にストリーミングサービスを開始すると発表した。広告モデルを採用し、コムキャスト、スカイといった従来の有料テレビにすでに加入しているユーザーは無料で視聴できる。サービスはNBCの人気テレビ番組、ユニバーサルの映画、そしてオリジナル・コンテンツをラインナップする。

有料テレビに加入していないユーザーの月額料金は10ドル程度になりそう。ウォール・ストリート・ジャーナルが匿名の関係者の情報をもとに伝えた。

NBCユニバーサルのステーブ・バーク(Steve Burke)CEOは「ジ・オフィス(The Office)」をネットフリックスから自社の新しいストリーミングサービスに移すことを検討していると同紙に語った。ネットフリックスとは以前、2021年まで同番組の配信ライセンスを与えることで同意している。

Business InsiderはNBCユニバーサルに詳しいコメントを求めたが、同社は拒否した。

これはネットフリックスには悪いニュース。

なぜなら「ジ・オフィス」は調査会社JumpshotがBusiness Insiderに提供したデータによると、ネットフリックスで最も人気の番組。またNBCの「パーク・アンド・レクリエーション(Parks and Recreation)」も3番目に人気の番組となっている。

下のグラフは、2018年のネットフリックスの人気番組ベスト10を並べたもの。Jumpshotが「ユーザー動向を調査するために、1億台のデバイスを対象に、1日あたり50億アクションを追跡した」して導き出した。

2018年、ネットフリックスの人気番組ベスト10

Shayanne Gal/Business Insider

ネットフリックスで2番目に人気の番組、ワーナー・ブラザースのコメディ「フレンズ(Friends)」は、今のところは大丈夫。1990年代にヒットした「フレンズ」は、2019年中はネットフリックスで見ることができる。

ネットフリックスと、昨年タイム・ワーナーを買収したAT&Tは、2019年の「フレンズ」の配信契約をまとめようとしているが、一方でこの契約は、AT&Tが今年スタートさせると見られている自社サービスで同番組を配信する可能性も示した。

ニューヨーク・タイムズによると、ネットフリックスは「フレンズ」に最大1億ドル(約110億円)を支払おうとしている。これはこれまでのライセンス料、年間3000万ドル(約33億円)をはるかに上回る金額。

似たような状況は「ジ・オフィス」「パーク・アンド・レクリエーション」、そして他のNBCの番組でも起こり得る。Jumpshotによると、ネットフリックスの人気番組ベスト50に入っているNBCの他の番組は「グッド・プレイス(The Good Place)」と「ザ・ホワイトハウス(The West Wing)」。

だが、ネットフリックスは複数の番組にたくさんのお金を費やすだろうか? 同社はすでにオリジナル・コンテンツに多額の投資を行っている。2018年の新たな支出の85%はオリジナル・コンテンツに向けられた。

ネットフリックスは既存メディアとの競争を予測していた。同社はライセンス契約よりも、オリジナル・コンテンツに注力し続けるだろう。

「長期的な視点に立てば、競合各社は自社コンテンツを自社サービスで配信したがるだろう」とネットフリックスのコンテンツ最高責任者、テッド・サランドスは7月、決算報告で語った。

「我々は、かなり前にオリジナル・コンテンツを手がけ始めた時から、それを予測していた」

[原文:NBC says it may eventually pull 'The Office' off Netflix to fuel its own streaming service]

(翻訳、編集:増田隆幸)

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