キャリアを築き、自立した女性が多くなった現代。それでも、ビジネスの場での女性に対する偏見や性差別的な待遇は、多かれ少なかれ、働く女性なら経験したことがあるのではないでしょうか。
そんななか、ハーバード大学のビジネススクールが、興味深い研究を発表しました。娘のいる男性ビジネスパーソンは、娘のいないビジネスパーソンよりも女性を雇用する傾向にあり、そういった企業は業績も良いというのです。
娘がいる男性幹部は、女性を雇用し利益も上昇
ハーバード大学のポール・ゴンパース教授は、圧倒的な男性社会であるベンチャー・キャピタル企業とスタートアップ企業の男性幹部を対象に、調査を行いました。
そこで得られた1,400の回答によると、娘をもつ父親が幹部にいる企業では、女性投資家の雇用が24パーセント上昇する。「Redbook」より翻訳引用ことが判明。さらに、そういった企業では、
娘がいない幹部の企業と比較し、利益率が3パーセント高かった。
「Redbook」より翻訳引用
のだそう。女性をより積極的に雇用し、利益率が上がるポジティブな結果をみれば、今後は本気でもっと女性を雇う企業が出てくるかもしれません。
ビジネスや社会に広がる「娘効果」とは
このように、娘の存在がビジネスの決断や結果に影響を及ぼす現象は、「Daughter Effect(娘効果)」と呼ばれており、他にも、ハーバード大学がアメリカの裁判官を対象に行った別の研究結果では、
%s裁判官に子どもが1人おり、それが娘だった場合は、女性の権利に関し好意的な判決を下す確率が16パーセント上昇する。
「Fast Company」より翻訳引用
ことがわかっています。また、デンマークの調査では、娘がいるCEOは男女の賃金格差を縮小する傾向にあるという結果も。
娘がいる男性は、女性の能力やビジネスで直面する困難を理解・共感しやすく、社員間の関係や多様性を尊重するなど、組織におけるリーダーシップのスタイルが変化するためであると見られています。
異なるものを受け入れる柔軟性の大切さ
たしかに、自分の娘が「女だから」という理由で就職で不利だったり、収入や出世が限定されれば、どんな親でも胸が痛み、これではいけない、と思うはず。
実際、こちらの研究を行った男性教授も、自分の娘が仕事の場で苦労しているのを見て、インスパイアされたそうです。
自分のこととして感じてこそ、人は異なるものを受け入れようとし、そういった柔軟性がビジネスにおいてもポジティブな結果を生みだしていく。「娘効果」が、わたしたちに教えてくれているような気がします。
[Redbook, Fast Company, Harvard Business Review]
photo by Shutterstock
cafeglobeより転載(2017年8月3日公開の記事)
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