cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_393864f7b130_早起き感動体験が生む熱狂コミュニティ。「朝渋」仕掛け人、5時起きが起業に 393864f7b130 0

早起き感動体験が生む熱狂コミュニティ。「朝渋」仕掛け人、5時起きが起業に

いつかは始めたい。でも、なかなか一人では続かない —— 。

そう誰もが一度は考える習慣の一つが「早起き」だろう。その早起き習慣の価値を広めることを目的に、渋谷を拠点に活動しているコミュニティが「朝渋」だ。

そしてこの朝渋こそ、もっとも今“熱い”コミュニティとして注目されている。

朝渋仕掛け人の井上皓史さん。朝活の拠点は渋谷にある、この撮影場所である「Book Lab Tokyo」。

発足は2年前。リニューアルを重ね、2018年夏からは月額会費5000円、定員200人というスタイルになった。

夜型派からは、「早起きするのに、お金まで払うの?」という声が聞こえてきそうだが、会員の口コミから評判が広がり、今では月に50人ほどのエントリーがあるという。

コミュニティといえば著名人が自身のファンを集めるオンラインサロンがブームだが、朝渋仕掛け人の井上皓史さん(26)はあえて“裏方”に徹し、独自の手法で人気コミュニティを育て上げてきた。

「コミュニティを活性化させる熱源になるのは、誰か一人のカリスマ性ではなく、メンバー全員の『朝型生活に変えて人生変わった!』という感動体験です。朝渋に入ったら早起きが続いた、早起きが続いたら仕事がうまくいくようになった、素敵な仲間がこんなに増えた。そんな感動体験が口コミとなって、新たなメンバーを呼び込んでいます」(井上さん)
社長にも早起きのススメ、始業時間前倒しに
そもそものきっかけは、井上さん自身の早起き習慣だった。

出社が早い銀行員の父に合わせ、物心ついた時から「5時に起きて5時半に朝食を食べる」習慣が身についた。その生活リズムは大学生になっても崩れなかったが、新卒でヤフーグループに就職して求人広告営業の仕事を始めた途端、「始業10時、終電帰り」の生活に変えざるを得なくなった。

早起きが習慣の井上さんに「始業10時、終電帰り」の生活は合わなかった。
GettyImages / bee32

「明らかに自分の体質に合わない」と感じた井上さんは、上司に直談判して「2時間前出社」のスタイルに。同僚が出社する前の静かな朝の数時間のうちに資料作成や顧客データ管理などの集中業務を済ませ、始業と同時に顧客に電話営業をかける。みるみる効率よく仕事が進むようになった。

その後、転職した会社では、社長にも早起きを勧め、その効果に納得した社長は始業を1時間前倒しに。早起きの価値は、1社の就業規則を変えるほどのインパクトがあったのだ。

これらの体験を複業研究家として活躍する西村創一朗さんに話したところ、「早起きは井上君の強みだから、本格的な活動にしたほうがいい」と背中を押された。渋谷拠点の朝活コミュニティ、名付けて“朝渋”。2016年9月、知り合い20人ほどを集めての活動から始まった。

「朝ならではの発信力がある」

早起きができた!という体験が熱のあるコミュニティにつながっていった。
提供:朝渋

しかし、最初からうまくいったわけではない。当初は各メンバーが順番に自分の専門スキルを発表する形から始めたが、半年ほどでネタが枯渇。コアメンバー4人ほどで作戦会議を開き、たまたま全員が本好きだったことから、週に1回、好きな本を持ち寄ってただ黙々と本を読む「もくもく読書会」へと方向転換をした。

そのうち、メンバー間で話題に上った本の著者だったForbes Japan副編集長・谷本有香さんを呼んでのイベントを企画しようと告知したところ、いきなり50人ほどが集まった。これが今に続く朝渋の看板イベント「著者と語る朝渋」に発展したのだ。

これまで登場した中には、プロノバ代表・岡島悦子さん、SHOWROOM代表・前田裕二さん、乙武洋匡さんなど、なかなか呼べない大物も。著者を招いての開催数は、現在までに60回。開催日には「#朝渋」がTwitterのトレンドに入ることも少なくない。

夜に開催されることが多い他の著者イベントとの違いについて、井上さんは「朝ならではの発信力がある」と語った。

「終業後に集まる夜のイベントは、仕事の疲れから集中力・記憶力が続きにくく、終わった後にお酒を飲んだりして内容が記憶に残りにくい。朝開催であれば、印象が1日残り、シェア行動を起こせる時間も長い。『朝早くから有意義な時間を過ごせた』という満足感も合わさって、口コミが広がっていく」(井上さん)

「早起きが1カ月で身につく習慣づけ」を目指し、きめ細かなサポートに力を入れている。

朝渋メンバーはこの著者イベントに割引価格で参加できるが、これはあくまでメンバー特典であり、新規メンバーの呼び水でしかない。

グループで励ましあいながら育つ
井上さんが最も力を入れてきたのが「早起きが1カ月で身につく習慣づけ」のためのきめ細かなサポートだ。

メンバーは7〜8人のチームに振り分けられ、各チーム内でオンライングループを作成。1カ月間、「起きる時間」と「寝る時間」を毎日報告し合う。「チームで励まし合うピアプレッシャーで、早起きの達成率が上がる」(井上さん)。チームワークを高めるため、月初に一度、「チーム全員で渋谷でモーニングを食べる」のもルール化している。

各チームには、朝渋歴半年以上で特に熱量の高いメンバーを「バディ」として1人ずつ配置し、新人メンバーを「リーダー」に。バディに励まされながら、リーダーが育つ仕組みを作っている。チームは毎月シャッフルされ、メンバーの組み合わせには細心の注意を払う。オンライングループでの発言が少ないメンバーには「イベントのみ参加しては」と促す。

こういった「コミュニティの質を高めるメンテナンス作業」に、井上さんは毎日3時間以上を費やしている。「コミュニティ管理の肝は、徹底した“事務”です」と言い切る。

そのほかのオフラインでの活動も積極的だ。「早起きを身につけて、“何をするか”が大事。やりたかったことに気軽にチャレンジできるきっかけづくりとして、メンバー主体の部活動を立ち上げています。ウクレレ、フットサル、読書、鎌倉など、約50の部活動が動いています」

さらに、早起きによる自己変革体験を共有する「朝トーーク」、先月の振り返りと今月の目標を決めるオフ会を、それぞれ月1回開催している。

妻の「本業する価値あり」の一言で退社

朝のイベントには朝渋会員以外にも申し込みがある。「著者と語る」シリーズは人気だ。
提供:朝渋

これらの活動を複業として続けてきた井上さんだが、2018年8月に勤めていた会社を辞めて朝渋を本業に。決断の決め手は、朝渋のコアメンバーとして知り合った妻の中村朝紗子さんの「朝渋は本業にするだけの価値がある」という一言だった。

8月には会費の決済システムも変更。こうした運営側の変更は会員を手放すリスクを伴うため、できる限り避ける事業者が多い。しかし、井上さんは「モチベーションの高いメンバーだけを残すいいきっかけになる」と踏み切った。結果、180人中140人が更新。その後、さらにメンバーは増え、定員の200人に到達間近だ。

あえて「200人まで」と決めたのも「熱量の高いコミュニティを維持する限界値だと考えたから」。今後は、朝渋のコミュニティ設計は独自のものなので、「コミュニティ」のコンサルティングの仕事の依頼も相次ぐ。すでに数社との伴走は始まっている。

「早寝早起きは、明日から始められる“自分との約束”。自分との約束を果たせた達成感は、人を大きく成長させるし、本当にやりたかったことを始めるきっかけにもなる。その価値を一人でも多くの人に体験してもらうことが、僕の使命だと思っています」

(文・宮本恵理子、写真・竹井俊晴)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_3ed697b239d3_AK-47で子どもが訓練、ウクライナのサマーキャンプ 3ed697b239d3 0

AK-47で子どもが訓練、ウクライナのサマーキャンプ

キャンプの参加者(戦闘服に身を包んだ者もいる)は、注意深く自動小銃の狙いを定めた。インストラクターがアドバイスを送る。

「ターゲットを人間と思うな」

そう、この少年少女たちは人を殺すために引き金を引く。

ウクライナ西部の森の奥深く、少年少女たちは「テンパー・オブ・ウィル(Temper of will)」と呼ばれるサマーキャンプに参加している。開催したのは同国の民族主義政党スヴォボーダ党。

スヴォボーダ党は暴力的な活動や人種差別で非難されている。サマーキャンプはLGBTの権利やイスラム教に対抗する白人至上主義の思想に基づいたものだ。

ロシアとの対立において、スヴォボーダ党は中心的な役割を自ら担ってきた。そして政府とのつながりも保っている。

2018年はじめ、ウクライナの青少年スポーツ省(Ministry of Youth and Sports)は、同党が運営する多くのキャンプのいくつかに約15万ドル(約1700万円)の予算を割り当てた。同省によると、「愛国心教育」のため。

つまり「テンパー・オブ・ウィル」キャンプの目的は2つ。ロシアや親ロシア派から国を守るために子どもたちを訓練すること、そして民族主義的イデオロギーを広めることだ。

キャンプの様子を見てみよう。

キャンプの参加者はほとんどが10代、8歳くらいの子どももいる。

AK-47の組み立て方を教えるインストラクター。
Associated Press


最年長の参加者、18歳のムィハーイロは訓練は必要と語った。

川で水浴びをした後、AK-47を調整するムィハーイロ。
Associated Press

「我々の国ではいつでも悪いことが起こり得る。それに備えなければならない。キャンプに参加したのはそのため。自分自身と愛する人たちを守る方法を学ぶため」


「我々は決して人々に銃を向けない」。インストラクターのユーリー・チェルカシンは子どもたちに語った。「だが分離主義者、覆面兵士、モスクワからの占拠者は人間に数えない。だから銃を向けていいし、向けるべきだ」。

AK-47を抱えるスヴォボーダ党青年組織のリーダー、ユーリー・チェルカシン。
Associated Press

チェルカシンはウクライナ東部で親ロシア派の分離主義勢力と戦った退役軍人。戦闘で負傷し、その後、スヴォボーダ党青年組織ソクリのリーダーとなった。


チェルカシンはウクライナの若者に民族主義思想を教え込むことは重要と述べた。そうすることでプーチン大統領が率いるロシアと戦い、ヨーロッパ文明を「完全に破壊する勢力」に対抗することができる。

18歳のムィハーイロ(中央)は参加者のリーダー。隊列を組んで愛国の歌を歌う。
Associated Press


そうした勢力の中でも、LGBTの権利の主張は西欧における退廃のサインと彼らは訴えた。

AK-47を構える子どもたち。
Associated Press


「ジェンダーに関するあらゆること、今のロシアの倒錯した考え方や行為に関するあらゆることに目を向ける必要がある」とインストラクターの1人は語った。「ロシアはヨーロッパでの勢力を強め、今ではゲイパレードのようなLGBTに関するあらゆることを教育システムに組み込もうとしている」。

AK-47を構えて隊列を組む子どもたち。
Associated Press


講義中、居眠りする子どももいれば、注意深く聞き入る子どももいる。

テントの中でAK-47の扱い方についての講義を受ける。
Associated Press


休憩時間中に少年がギターで民族主義者を賛美する歌を歌う。ギターに貼られたステッカーには白い爆弾がモスクに命中する絵、その下には「White Europe is Our Goal.」の文字。

たき火を囲み、民族主義者を賛美する歌を歌う。
Associated Press


講義(そして、たき火を囲んでの歌)を除くと、数十人の若者たちのキャンプでの日々は厳しいものだ。

夕食前、プランクの姿勢を取る。
Associated Press


夜間、子どもたちはスタングレネード(閃光発音筒)の爆風で起こされた。

夜間訓練で懐中電灯をかかげるインストラクター。
Associated Press


テントからようやく抜け出した子どもたちは、AK-47を抱えるのもやっとの様子。銃と同じくらいの身長の子どももいた。

AK-47を抱え、指導を受ける。
Associated Press


一日中重いAK-47を抱えなくてはならない。1人の少女が疲れから泣き出した。

夜間訓練中、弾の入っていないAK-47を構える。
Associated Press


※敬称略

[原文:Inside a Ukrainian nationalist camp where kids are trained to kill Russian invaders]

(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_562f623f28ed_2019年の10大フードトレンド、ホールフーズが発表 562f623f28ed 0

2019年の10大フードトレンド、ホールフーズが発表

2019年は新しいタイプのアイスが登場する。
Shutterstock

  • ホールフーズは、2019年の10大フードトレンドを発表した。
  • 環太平洋地域生まれの食品、新しいタイプのアイス、脂肪たっぷり素材などがリストアップされている。

2018年ももうすぐ終わり。飲食業界は次は何が“”来る”だろうかと思いを巡らせている。

ホールフーズ(Whole Foods)は11月28日(現地時間)、2019年のフードトレンドを発表した。十数人のバイヤーと専門家が協力し、来年の新しいトレンドを予想した。

2019年に人気となる新しい食品は、環太平洋地域生まれの食品や合法大麻など、多種多様なものからインスピレーションを受けている。 

2019年の10大フードトレンドを見てみよう。 

環太平洋地域生まれの食品

Wikimedia Commons/Roei Tabak

ホールフーズによると、アジア、オセアニア、南アメリカ西海岸の食品が人気を集める。同社が注目したのは、グァバ、ドラゴン・フルーツ、フィリピンのソーセージ「ロンガニーサ」、干しエビ、コウイカ、エビのペースト。


常温保存が可能なプロバイオティック食品

Nate Otto / Flickr

プロバイオティック食品(人体に有益な微生物を含む食品)はすでに身近な存在。例えば、キムチや漬け物などの発酵食品がそう。健康食品ブランドや美容ブランドがこのトレンドに乗ろうとしている。


体に良い脂肪

Facebook/Bulletproof

ホールフーズは「ケトジェニックダイエット、パレオダイエット、グレインフリーダイエット、『ピーガン(パレオ+ビーガン)』ダイエット」を脂肪をより摂取できる食品としてあげた。

「脂肪の新しい摂取源、例えばMCTオイルパウダーで作られたケトジェニックな栄養バー、ココナッツバターが豊富なチョコレート、『ファット・ボム』と呼ばれるスナック、バターコーヒーにインスパイアされたインスタントのビーガンコーヒーなどは、手軽に良質な脂肪を摂取できる食品として人気を集めている」

詳しくはこちら:10 of the best keto meal options at popular chain restaurants


冷たいスイーツの変わり種

Larry Crowe/AP

「アボカド、ハマス(ひよこ豆のペースト)、タヒニ(ごまのペースト)、ココナッツウォーターなどが時代を超えた人気スイーツの新たな地平を切り開いた」

フローズン・チーズ・スワール、台湾かき氷、メキシコのアイスクリームのブランドには、アイスクリームを超える大人気を集めているものもある。


海藻を超えるシーフード

Facebook, Sea Tangle

2018年、海藻は大人気だった。今は海藻バター、ケルプ(昆布)ヌードルの人気が高まっている。


ヘンプ(品種改良された大麻)

AP Photo/P. Solomon Banda

カンナビジオール(CBD)の人気は、大麻ビジネスブームの中、ヘンプが法的に低リスクな選択肢として注目されていることを意味する。

「CBDオイルは厳密に言えばまだタブーにもかかわらず(食品、ボディーケア用品、栄養補助商品での使用は連邦法で禁止されている)、小売業者、シェフ、消費者の誰でも、食品見本市や食品イノベーターの会議、さらには地元農家のマーケットにおいてすら、大麻の人気を見ない日はない」

詳しくはこちら:'The new avocado toast': A former Coca-Cola and AB InBev executive reveals why every food and beverage boardroom needs to be talking about cannabis


人工肉のスナック

Facebook.com/louisvilleveganjerkycompany

「植物ベースの食品は正確には新トレンドではないが、ビーガンやベジタリアンではない、より多くの人が植物ベースの食品に興味を持っていると専門家は指摘した。新しい味を求め、肉以上に、より風味豊かなうま味をスナックや肉に加える方法を求めている」

つまり、食料品店に植物から作られたジャーキーや人工ベーコンのスナックがたくさん並ぶ。


購入の後押し

Greystone Bakery Facebook

「2019年、購入の背後にある思いやりは環境への責任と動物愛護を越えるものになる(もちろん、両者を排除するものではない!)。つまり、より人間にフォーカスしたものになる」

同社は、オープンな雇用モデルを持つグレーストーン・ベーカリー(Greyston Bakery)、女性農家と契約するクリ・クリ(Kuli Kuli)、女性と食品をテーマにした雑誌『チェリー・ボンブ(Cherry Bombe)』をあげた。


環境に優しいパッケージ

Starbucks

スーパーマーケットは顧客にマイバッグの持参を呼びかけ、チェーン店はストローを禁止している。使い捨てのパッケージはなくなっている。

「トレンドとして始まった動きでも、不可欠なものになることがある。これはその一例」

詳しくはこちら:日本にも来る? プラ製ストローを廃止するスターバックスの新兵器に注目が集まる


グルメスナック

Callie Ahlgrim/INSIDER

「スナック(軽食)は全般的に高級化している。通常の1日3食の食事に取って代わりつつあり、これまでとは違ったものになっている」

2019年、チーズの盛り合わせ、プロシュート(生ハム)、子どもの頃に食べたおやつの高級バージョンが人気となるだろう。ケトジェニックダイエットをしている人向けのグルメスナックが良い例だ。


[原文:These 10 trends will decide how we eat in 2019, according to Whole Foods]

(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_244678030f64_AWS、子会社化すれば70兆円弱 ── 『GAFA』著者が予想[イグニッション報告] 244678030f64 0

AWS、子会社化すれば70兆円弱 ── 『GAFA』著者が予想[イグニッション報告]

2018年12月5日 05:30 Amy Harris/AP Photos
  • アマゾンはAWS(Amazon Web Services)を子会社化するだろうと『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者スコット・ギャロウェイ氏は12月3日(現地時間)、Business Insiderのイベント「IGNITION」で語った。
  • 子会社化によってアマゾンは少なくとも700億ドル(約8兆円)相当の価値を手にすると同氏。
  • 同時に、同社に対する規制当局の動きを緩和することにもつながると付け加えた。

アマゾンは近い将来、クラウドサービスのAWS(Amazon Web Services)を子会社化し、数百億ドル、おそらく数千億ドルを手にするだろう。

ニューヨーク大学スターン経営大学院の教授で、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者スコット・ギャロウェイ氏は12月3日(現地時間)、ニューヨークで開催されたBusiness Insiderのイベント「IGNITION」で語った。

子会社化はまた、同社の反競争的な行動についての調査を開始した当局の動きを緩和することにもつながり、子会社化によってAWSは「世界で最も評価額が高い10社のうちの1つ」になるだろうとギャロウェイ氏は述べた。

「その際の問題は、旧来の(小売業の)アマゾンはどうなるかということ」

AWSの子会社化には多くの合理的理由がある。そしてマーケットもそれを望むだろうとギャロウェイ氏。

クラウドコンピューティングはテクノロジー業界における最も重要なドレンドだが、投資家にとっては、そこから利益を上げることは簡単なことではない。3大クラウドサービス ── AWS、マイクロソフトのAzure、グーグルCloud ── はすべて巨大企業の一部門であり、クラウドサービスの収益は全体の収益の一部になっている。

つまり、クラウドのトレンドが「純粋に追求されているわけではない」とギャロウェイ氏は述べた。

最大手のAWSが子会社として独立することは自然な流れであり、アマゾンの株主も大きなメリットを得ることができる。市場の評価次第だが、AWSの評価額は700億ドル(約8兆円)から6000億ドル(約68兆円)の間になるとギャロウェイ氏は見ている。

AWSの子会社化は株主にも利益
株主にとって幸いなことに、ギャロウェイ氏によると小売業に特化したアマゾンと、新しく子会社化されたAWSの時価総額の合計は、現在のアマゾンの時価総額を上回る可能性が高い。

これは過去の子会社化事例からの教訓とギャロウェイ氏。アマゾンの現在の時価総額は約8640億ドル(約97兆6000億円)にのぼる。

また現状、AWSの利益はアマゾンの他のビジネスを補填していると同氏は述べた。アマゾンの国際部門は慢性的な赤字であり、北米部門の利益も小さい。

マーケティングの専門家、スコット・ギャロウェイ氏はAWSの子会社化を予想した。
Business Insider

子会社化は「株主にとって極めてポジティティブなことになる」。

またアマゾンにとって子会社化には、もう1つの動機がある。当局の規制だ。

世界各地の規制当局は、巨大テック企業のパワーと反競争的な行為に大きな関心を寄せ始めている。

巨大テック企業のパワーを弱め、分割して競争を促進すべきという声も高まっている。

AWSの子会社化は、当局の動きに対応し、会社を自分たちの意図通りに分割するチャンスとギャロウェイ氏は指摘した。

とはいえ、同社の反競争的行為への当局の懸念を完全に払拭できるものではないだろう。

エリザベス・ウォーレン上院議員らは、アマゾンが顧客に直接、商品を販売しつつ、小売業者にプラットフォームを提供していることを問題視している。アマゾンはこうした小売業者の販売実績から得たデータを自社製品の販売を有利にするために使用していると批判している。

当局は「アマゾンという侵略者を恐れている」とギャロウェイ氏は語った。

ギャロウェイ氏はアマゾンについての予想で実績を残している。同氏は第2本社に選ばれる都市を予想し、またホールフーズの買収も予想した。

さらに講演の中でギャロウェイ氏はフェイスブックにも言及、アマゾンと同様にインスタグラムを子会社化すべきで、子会社化すればインスタグラムの評価額は1000億ドルから4700億ドルになると語った。

また同社の取締役会はCEOのマーク・ザッカバーグ氏とCOOのシェリル・サンドバーグ氏を解任すべきと述べた。

[原文:The business school prof who predicted Amazon would buy Whole Foods now says an AWS spinoff is inevitable — and the standalone company could be worth $600B]

(翻訳、編集:増田隆幸)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_1bd076c2a7dd_出産・育児退職者ゼロの急成長ベンチャーが実践している、あるルール 1bd076c2a7dd 0

出産・育児退職者ゼロの急成長ベンチャーが実践している、あるルール

2020年までに女性管理職の比率を30%にする目標を政府が掲げたように、企業に女性社員の活躍を促す動きは揺らがないものとなっています。一方、現場では、出産というこればかりは男性が肩代わりできない女性ならではのライフイベント、また育児の負担を理由に、会社への復職、その後のキャリアアップをためらう声が依然として聞かれます。

そんな中、2015年9月に上場した急成長ベンチャーでありながら、「出産・育児を理由に退職した女性社員は創業以来ゼロ」と公言するのが、ストックフォトサービス大手「PIXTA(ピクスタ)」の古俣大介社長です。

しかし実際にお話を伺ってみると、経営者である古俣さんが追求してきたのは、女性社員の働きやすさではなく、あくまで事業の持続的成長であり、現在のような組織のあり方はそのための手段、あるいは結果でしかないことが分かります。

その取り組みや経営哲学から、女性のキャリアを断絶させない組織づくりについて、経営者やマネジャーが本当に考えなければならないことは何かを探ります。


PROFILE
古俣大介:ピクスタ株式会社 代表取締役社長
1976年生まれ。多摩大学在学中に、コーヒー豆のEC販売、女性向け古着販売を開始。大学4年次に株式会社ガイアックスにインターン入社。正社員入社後、営業マネジャーとして2つの新規事業部を立ち上げた後、2000年9月に子会社の立ち上げに参画、取締役に就任。2002年、有限会社万来設立、取締役社長に就任。飲食店舗向け販促デザイン事業を開始。2003年3月に撤退し、美容健康グッズのEC事業を開始。2年後に年商1億円となる。2005年、株式会社オンボード(現 ピクスタ株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。


やりとりの9割がチャット。自分の生活スタイルに合わせて働けるから無理がない
——創業以来、出産・育児を理由に退職した女性社員がいないと伺いました。まずは、女性メンバーの活躍ぶりについてお聞きしたいのですが。

弊社はインターネットサービスを提供しているため、必然的に社員に占めるエンジニアの割合が大きいのですが、エンジニアは今のところ全員が男性です。ただ、これはそもそもエンジニアという職種を選ぶ人の男女比が影響していると思っていて。それ以外の職種では女性比率がかなり高く、全体では男女半々くらいの比率になっています。

一般的に、女性は男性と比べてプライベートのライフイベントがキャリアにおよぼす影響が大きいですよね。弊社の場合も、創業13年で出産を経験した女性メンバーが十数人いました。ですが、今のところ出産・育児を理由に退職した人は一人もおらず、全員が復職しています(※出産後、「大学院に行きたい」という理由で退職した人はいるとのこと)。

復帰した後の職種も、法務、経理、マーケティング、コンテンツ企画などさまざまです。チームを率いるリーダーもいれば、メンバーもいます。仕事へのコミット具合も男性社員と変わらず活躍してくれています。



———なぜ、高い復職率が実現できているのでしょうか?

出産後はどうしても生活スタイルや時間の使い方が変わるものですが、それでも仕事の進め方や成果の出し方、コミュニケーションなどの点で、出産前と変わらずにやれる。そのことが事前に分かっているから、安心して出産・育児期間を過ごし、復帰してくれているのではないかと思います。

中でも最も大きいのがコミュニケーションです。弊社では7、8年前からコミュニケーションの中心がチャットになっています。社内の情報のやりとりの9割がチャット上で行われるんです。会議の議事録などもチャット上に流れるので、それを見ていればほとんどのことが把握できる状態になっています。

そうすると、この時間、この場所で相手と対面して話をしないといけないということがなくなるので、働く時間も場所も自由になり、自分のライフスタイルに合わせた形で仕事ができるようになります。例えば、夕方に保育園にお迎えにいく途中、電車でチャットを見ながらちょっとしたやりとりができたり。家に帰って夕飯の支度をして、合間を見て細切れに仕事をしたり。アウトプットをチャット上に流しておけば、受け手も数時間のタイムラグでそれを受け取ることができ、お互いに自分のペースで仕事を進められます。

そのためにはチャットだけでなく、あらゆる書類や情報をオンラインにしておかないといけません。流れのどこかで「紙で出力」が挟まってしまうと、途端に目詰まりしてしまう。なので、徹底したクラウド化を行っているんです。

普段使っているチャットの画面

——出社の義務はないんですか?

一部ですが、どうしても対面で話さないと伝わらないことはあると思っているので、会議を入れやすいよう、コアタイムは設けています。また、月間でこれだけ出社しなければならないという労働時間の規定もあります。ただ、「時間単位有給」といって、1時間単位で有給申請できる制度があるので、「この日は午前中、どうしても家にいないといけない」となったら、1時間か2時間だけ有給をとって、出社を遅らせることができます。

こうした自由な働き方が可能という前提があるから、育児中でも安心して働けるのではないでしょうか。

——経営者側から見ると、女性の多い職場で、頻繁に出産・育児で抜けてしまう社員がいることで、困ったことは起こりませんか?

そうした状況が起こらないために、引き継ぎなどカバー体制を作ることはしっかりやっています。すでに社内にいるメンバーに該当するポジションに入ってもらう場合もあれば、新たに採用するケースもあります。いずれにしろ、出産・育児で抜けることは半年前には分かるもの。それだけの時間あれば、カバーするだけの体制は十分に作れると思っています。

——コミュニケーションをチャット化したのは、育児のためにリモートワークをしたい社員が増えたことなど何かきっかけが?

情報共有やコミュニケーションのオンライン化は、創業当時から意識していたことです。しかしこれは女性の働きやすさというより、サービスをよりよくするためには、どのポジションのメンバーも、事業全体が今どんな状況にあるのかを把握した上で、それぞれの持ち場で判断することが大事。そうすることで、一つひとつの判断の精度が上がると思ったからです。特に僕らのようなインターネットサービスは、お客さまのさまざまな行動を数値で計測し、共有できるのが強みですから。

創業当時はチャットサービスがなかったから、最初はメーリングリストでお互いに情報を流し合うという方法をとっていました。その次に使ったのはメッセンジャー。メンバーが増えてそれでは対応できなくなってきた2010年ごろに、ちょうどビジネス系のチャットサービスがいくつか出始めました。ですから、情報共有を徹底するという考え方自体は創業以来一貫したもので、より適したツールが出てくるたびに乗り換えてきた、というのがこれまでの流れです。

過去使っていたメーリングリストの画面

社長が「いじられる」。ツールより大切なフラットなカルチャーが生む心理的安全性
——とはいえ、ツールや制度さえあればそれだけで組織がうまく回るものでもないのでは?

それはその通りです。ツールや制度というのは形式的な話に過ぎません。より本質的に重要なのは考え方や文化でしょう。

僕らのようなインターネットサービスをやっている事業者は、市場で一番いいサービスでないと生き残れません。同じようなサービスを提供している会社は他にも山ほどある。お客さまからすればそのどこで買っても構わないわけだから、一番検索しやすいとか、一番いいコンテンツがそろっているとか、自分の会社のりん議に合った決済方法が用意されているとか、そういうことをトータルして使うサイトを決めるんです。

ストックフォトサービス「PIXTA」

もっといいところがあったらすぐに移ってしまう。だから、どこよりもいいサービスであり続けなければいけないんですよ。ということは、メンバー一人ひとりがそれぞれの持ち場で、お客さまにとって一番良いものは何かを考え続け、形にし続けられる環境でなければなりません。

その意味では、どのポジション、どのレイヤーのメンバーであってもあらゆる情報にアクセスできることと並んで、フラットに意見を言い合える必要があるでしょう。例えば、社長である僕が発言した内容に対しても、アルバイトの若手メンバーが普通に「それはこうじゃないですか?」と反論できる、というような。

だから、「ユーザーのために正しいかどうか」を大切にする意識というか、文化をいかに当たり前に浸透させるかという部分、そしてそれを前提にしたコミュニケーションツール。この両輪が大事なのではないかと思って、これまでやってきました。

——ツールはいいと思ったらその日からでも試せる一方で、カルチャーを浸透させるのはとても難しいと思うのですが、そのためにやってきたことがありますか?

確かに、フラットなカルチャーを浸透させるのに「これをやったからこうなる」と言うのは難しい。そこは、経営陣が日常的に姿勢を見せていくことで、メンバーに心理的安全をもたらすのが大事だと思っています。何を言ってもちゃんと受け止めてもらえるとか、変に感情的にならないとか、権威で物事を動かそうとしないとか。自分を含めた経営陣がそれを徹底して意識できているのが大きい気がします。

——先ほども社員の方に「いじられて」楽しそうにしていらっしゃる姿が印象的でした。そうしたフラットなカルチャーづくりも創業当時から意識してやってきたことなのですか?



いえ、そう考えるようになったのには僕の失敗体験があります。ピクスタを立ち上げた当時は、自分が創業者だし、最初のサービス責任者だったので、自分が発案してエンジニアに作ってもらう形が多かった。でも、失敗続きだったんですよ。10個作ったらそのほとんどが失敗して、その中からようやく1、2個少し反応があって、それを積み重ねて・・・ということを3年くらい続けていく中で、あまりに失敗するので、自分の考えには大した精度はないんだと悟ったんです。

やはりユーザーのことを考えて、そこから優先順位をつけて「これがいいだろう」と思うことを試していくしかない。そのためには、自分一人がユーザーのことを考えるのではなく、メンバー全員がフラットに、いいと思うことを議論しながら試していける環境が絶対に必要だと思うようになりました。

実は、ピクスタは自分が立ち上げた2社目の会社なんです。24歳の時に1社目を作り、そこではデザイナーを3人くらい雇っていたのですが、当時はすごくトップダウンで、自分が「これがいいんだ」と思うことをやっていました。でも、クリエイティブな人材というのは、上から言われたことをやるだけではどうしたってフラストレーションが溜まるもの。その結果3人とも辞めてしまい、うまくいかなかった。その時の反省がベースとしてすごくあります。



持続可能でないと事業は成り立たない。「頑張る」のと「無理する」のは違う
——ところで、いつでもどこでも働けるとなると、逆に言えば逃げ場がないことにもなりますね。世の中には「チャットやメールの通知が苦痛だ」という人もいるようですが、ピクスタにはそういう人がいない?

そこはおっしゃる通りで、時間の制限がないぶん、いつでも仕事ができてしまうという側面はあります。それが負荷になる危険性はあるのですが、それを解決するのもまたカルチャーではないか、と。

いいサービスを作るためにはチームワークが大事です。誰かが無理して機能しなくなってしまうと、全体に対して悪い影響をおよぼしてしまいます。その点、弊社にはいかにみんながストレスなく、助け合いながら、チームワークを大事にしながらプラットフォームサービスを作っていくかという前提が、カルチャーとしてメンバー全員に浸透しているところはあると思います。

具体的には例えば、夜遅くのチャットでは相手に通知が飛ばないよう、宛先をつけずにテキストだけで「◯◯さん」と書くとか。「この内容であれば今じゃなくても大丈夫だから、明日送ろう」と配慮するとか。「返信は明日朝で大丈夫です」と一筆加えるとか。そういうちょっとした気遣いを一人ひとりが意識してやっています。

子どもが熱を出したメンバーへの気遣いが感じられるやりとり

——その答えは少し意外でした。てっきり「全員がお客さまにとって一番いいサービスを作ることに熱狂していて、それを苦痛と思うような社員は一人もいないんです」といった答えが返って来るかと思っていたので。

僕らはずっと終わりのない改善をしないといけないんです。そのためには、僕ら自身も持続的にハイパフォーマンスを出せなければダメ。だから、できるだけストレスや無理はなくさなければと思っているんです。もちろん頑張らなければならない局面はありますよ。でも、頑張るのと無理して不具合が出るというのは別なので。必要以上の無理が出ないようにというのは心がけているところです。

そういう意味で大切なのは、メンバー一人ひとりが自律していることではないでしょうか。仕事が遅れ気味なのであれば、「明日の朝はちょっと早めに起きてここまでやろう」と考えてやらなければならないし、人を巻き込んでやる必要がある際には、適切なタイミングで説明したりコミュニケーションをとったりできなければならない。そうやって自分で考えて進めていける自律した人が、このやり方にマッチしているのだろうと思います。

逆に、受け身の人は向いていないでしょう。受け身の人はそれこそ、言われたらそのまま受け取って、やり過ぎてしまって無理が生じたり、自由を与えられるとどうすべきか分からなくなってしまったりするものなので。

ですから、採用の際にはその擦り合わせを徹底しています。ある意味、スキルとか条件以上に、カルチャーに合うかどうかをしっかり見極める。そういうメンバーしかそもそも入ってきていないからこそ、うまく回っているというところはあるだろうと思います。

——今回のテーマは「女性のキャリアを断絶させない組織のつくり方」でした。が、なんだかお話を伺えば伺うほどに「女性のための……」という話から遠ざかっていくから不思議です。



そうなんですよ。僕らはもともと、女性の出産とか育児に対応するために、こういう制度やカルチャーを作ったわけではない。ここまでお話ししてきたように、ユーザーのことを一番に考え、持続的に事業を運営するのに最適な環境を考えていったら、結果的に女性のキャリアにも有効だったという話で。

——経営層やマネジャー層が「女性だから」「女性のために」と考え始めると、むしろ本質から離れてしまう可能性がある?

そうかもしれないですね。今はそれこそセクシャルマイノリティーとか、女性に限らずいろんな価値観、いろんな考え方の人がいる。経営に携わる人やマネジャーは、それを前提に考えたほうがいいのではないかと思います。世の中にはいろんな人がいて、自分の会社にだっていろんな人が当たり前のようにいる。そうした前提に立って振る舞えば、パワハラだとかセクハラだとかいった大きな間違いは、あまり起こらないのではないか、と。

むしろ、極端に「女性が、女性が」と言い出したり、変にグルーピングをしてしまうと、今度は別の集団がマイノリティになるといった弊害も出てくる。その意味ではやはり、徹底的にフラットな考え方というか、文化、接し方というのが大事になってくるんだと思います。

——なるほど。

自分は今42歳ですが、社外で自分より上の世代の人と接すると、いまだに「女性は家庭を守るもの」とか、「三つ指ついて」みたいな昭和的価値観……まあこの表現も一種のグルーピングなのでどうかとは思いますが(笑)、そういう考え方が言動に表れている人が結構いるんですよね。一方で、僕らより下の世代のマジョリティは、それとはちょっと違うとも感じます。若い世代には、フラットな価値観を当たり前のものとして受け取っている人が多い気がしていて。

それはインターネットが普及して、いろんな人がそれぞれ好きなように情報発信して、というのを当たり前に見て育ったからなのかもしれません。でもそういう意味では、今流行りの「働き方改革」にしたって、なにも無理やりトップダウンで進めなくても、自然と進んでいくかもしれない希望はあるようにも思うんですよ。



(取材・文、鈴木陸夫、岡徳之、撮影・ 伊藤圭)

"未来を変える"プロジェクトから転載(2018年11月20日公開の記事)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_464586b6eedd_中国の“おっさんずラブ”は懲役10年。違法ポルノ通報に報奨金1000万円の厳しすぎる性規制 464586b6eedd 0

中国の“おっさんずラブ”は懲役10年。違法ポルノ通報に報奨金1000万円の厳しすぎる性規制

平成最後の「現代用語の基礎知識選 2018ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、男性同士の純愛を真正面から描いた「おっさんずラブ」もトップ10に入賞した。

一方、お隣の中国では、ボーイズラブ(BL)作家がわいせつ物を配信した罪で懲役10年の判決が下り、日本のBL界にも衝撃を与えた。

中国でポルノ小説を販売していた女性作家が懲役10年の判決を受け、衝撃が走っている。
Kaspars Grinvalds,shutterstock.com

ポルノ小説をECサイトで販売し逮捕
11月下旬、ツイッターで「BL小説発表して懲役10年」という中国ニュースが話題になった。

正確に説明すると、女性作家の「狗娃子天一(ゴウワーズティエンイー)」さんは、BLだけでなく、未成年の性行為など幅広い作品を手掛けるポルノ作家(中国のファンは「耽美作家」と表現している)であり、ECサイト「タオバオ(淘宝)」で自著7000部を販売し、15万元(約250万円)の利益を得たことが罪に問われ、10月31日、一審で懲役10年6カ月の判決を受けた。

11月下旬にこの判決が報じられると、中国のネットでも「強姦は3年なのに、ポルノ販売は10年は釣り合いが取れない」「(脱税で処罰された)女優のファン・ビンビンに比べたらかわいいもんだろう」と批判や驚きの声が噴出。弁護士などの専門家も、実名で異議を唱えている。

「ポルノは社会を汚染する文化ごみ」

狗娃子天一 さんの微博は1年前から更新されておらず、今年に入って心配する声が出ていた。

ただし、中国の人々にとって、彼女の「逮捕」自体は驚きではないらしい。ネットのコメントも、ポルノコンテンツの配信や販売が有罪とされることは論点になっておらず、大半が減刑やこれ以上罪が重くならないことを求める声だ。

大連の大学院生、楊暁琨(ようぎょうこん、23)さんは、「ポルノの出版や販売は、刑法違反なんだから逮捕は仕方ない。懲役10年は重いと感じるけど」と話す。

中国では、ポルノコンテンツの出版や販売は法律で禁じられている。日本アニメは中国で大人気だが、「パンチラ」や「際どいビキニ」などのお色気シーンは、モザイクをかけられるか、カットされて放映される。中国で大人気の元AV女優・蒼井そらさんも、中国では文化人的な発言・活動を軸にしている。

中国政府は「ポルノコンテンツは人々の心身の健康に危害を及ぼし、社会の文化や環境を汚染する文化ごみ」と糾弾。刑法第363条で、ポルノコンテンツの制作や出版、販売、配信を行った者は原則3年以下の有期刑に処すると定め、犯罪行為がより悪質な場合には3年以上10年以下の有期刑、「特別悪質」な場合は、無期懲役も科せると明記している。

狗娃子天一さんの判決が報道されたとき、ネットには「強姦ですら3年なのに……」と書き込まれ、日本でも話題になったが、刑法は強姦の刑罰を「原則3年から10年の有期刑。悪質な犯罪は死刑もあり得る。子どもに対する強姦は刑を重くする」としており、強姦罪と比較した限りでは、「ポルノコンテンツの販売で懲役10年」は重くないとも言える。

違法コンテンツ通報者には1000万円の報奨金

中国政府はポルノ取り締まりのためのサイトも開設しており、電話やネットで通報を受け付けている。

同罪は1998年に導入されたことから、ネットでは「社会や価値観が大きく変化しているのに、20年前の価値基準で裁くのはおかしい」との声も上がっている。

しかし中国政府はこの数年、「社会秩序を乱す存在」であるポルノコンテンツの取り締まりをむしろ強化している。

12月1日には「ポルノコンテンツの通報奨励制度」を施行。違法コンテンツの通報者には、最高で60万元(約1000万円)の報奨金を提供するとし、通報対象となるコンテンツや行為もより明確に規定した。

微博で7万5000フォロワーを持つ狗娃子天一さんへの重い刑罰は、政府による「見せしめ」と捉えることもできる。

エロ本・エロ動画を見たことがない大学生は普通

ネット規制とポルノ規制で、ポルノコンテンツを見る環境はかなり狭まっているという。
Dmitri Ma,shutterstock.com

では、政府がポルノ規制を強化する中で、中国の10代、20代は性に関する情報をどのように得ているのだろう。

河北省の会社員、孫坤楊さん(25)は「最大の情報源は、学校の不良グループの実体験や自慢話でしたね」と振り返る。国が禁止しているだけでなく、中国では学校や家庭でも性の話はタブーで、孫さんの中学の生物の授業では、植物の生殖器官や受粉の仕組みは故意に飛ばされたという。

孫さんは「僕が中学生だった10年前はグーグルも閲覧でき、政府のネット規制もそんなに厳しくなかったので、パソコンからエロ動画を見るのはそんなに難しくなかったです。だから、外国コンテンツがエロとの出会いだった人は多いですよ」とも話す。

一方で、「自分の下の世代はネット規制が強まり、今は(中国政府が禁止しているサイトを閲覧するための)VPN(仮想プライベートネットワーク)にもつながりにくいので、エロ本やエロ動画を見たことがないという大学生は、全然珍しくないです」という。

校外で男女が一緒にいると停学

多くの中国の中高生は、大学入試のために勉強漬けの毎日を過ごす。
REUTERS/Stringer

日本と違って、中国では中高生の性行為はほとんどない(あるとしても全く表に出ない)。一部の“不良”以外は、受験勉強のプレッシャーで恋愛どころではないからだ。

多くの中高が恋愛を禁止しており、「男女が30センチ以内に近づいてはいけない」「校外で男女が一緒にいるのが見つかると停学」と校則で定める学校すらある。

日本に留学中の王さん(仮名、23)は中学時代、ひそかに好きだった同級生からラブレターをもらったが、親にも学校にも恋愛を禁止されていたため、「私はあなたのことが嫌いです」という返信を、相手の机の引き出しに入れた。

「日本の恋愛ドラマやアニメを見るようになって、自分の当時の行動をすごく後悔した。中学時代に戻って人生をやり直したいと強く思うようになった」と王さんは言う。

高校生カップルはいるが、「大学入試のプレッシャーを乗り越える同志みたいな存在。手をつないで登下校するくらいの接触度」(孫さん)と、日本人から見ると清いことこの上ない。

コンビニにエロ本、「日本はタブーがなさすぎる」

「結婚前のセックスはありかなしか」というのは、中国の若者の間でよく議論されるトピックだという。(写真はイメージ)
Atstock Productions,shutterstock

「人前で性に関する話をするのはタブー」という考えだけでなく、「女性は結婚するまで処女でいないといけない」という価値観も根強い。

20代の複数の中国人は、「国際化の影響で、この3~4年は以前ほどではない」「婚前性交渉はありかなしか、という話は、大学生の間でも活発に議論されるようになった」と前置きしつつ、「処女でないと結婚が難しくなる。セックスをするなら結婚を前提に、という女性の方が自分たちの世代でも多数派です。僕も彼女はいますが、相手が結婚までだめというなら当然受け入れます」(孫さん)、「周囲の男友達に聞いたことがあるけど、半分以上が、『結婚する女性は、性体験がない方がいい』と答えた」(楊さん)と話す。

中国女性の間でも「30歳までに結婚したい」というような考えはあるものの、23歳の楊さんによると「彼氏がいないことへの焦りはあっても、自分たちの年齢なら、性体験がないことへの焦りはない」という。

「ポルノコンテンツの販売で懲役10年」の中国ニュースに日本のネットはざわついたが、中国人は逆に、コンビニでアダルト雑誌が売られ、セクシー女優が地上波の番組に出演する日本の状況に、驚きと不安を覚えるという。

王さんは2016年の来日時に「セクハラに遭うかもしれないと怖くて、コンビニで立ち読みをしている男性の後ろを通れなかった」と明かし、「日本はタブーがなさすぎると思う」と話した。

(文・浦上早苗)

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ケガ泣き寝入りに日報改ざん、精神疾患で労災認定された佐川急便ドライバーが訴えるパワハラの実態

佐川急便の男性セールスドライバー(38)が精神疾患で労災認定を受けた。うつ病、不安障害、不眠症を発症したのは、上司とのトラブルと、月100時間をこえる時間外労働が原因だと認められたという。

「死亡以外の労災認定は私たちに知らされることがない」。今も自宅で療養を続ける男性が記者会見を開いた理由は──。

けがの申請に収入下がる職種変更を要求

人手不足が叫ばれる運送業界で、深刻なパワハラが起きているという。
shutterstock/StreetVJ

男性と、会見に同席した代理人の増田崇弁護士の説明によると、事実関係は以下の通りだ。

男性が佐川急便に入社したのは2009年。うつ病や不安障害を発症したのは2016年、36歳のときだった。発症までは以下のような経緯があった。

2013年12月に自転車で通勤中に転倒事故を起こし、約1カ月間の自宅療養に。通勤災害の申請をしようと上司に相談すると、想像もしていなかった言葉が返ってきたという。

「配送業務からはずして事務所での荷物整理の係にする」

荷物整理は残業を申告していい時間がドライバーより短いため、収入が約2割ほど減ってしまうこともあるそうだ。結局、男性は申請を断念。

2016年8月に膝のけがが悪化し、入院して手術することになった際も「お前、以前も休んだよな」。会社を訴えた場合は「それなりの対応をするから覚悟しとけよ」と言われ、 再びドライバーからの配置転換を迫られたという。

増田弁護士は言う。

「荷物整理の仕事は1日中、荷物を上げ下げするのでドライバーよりも力仕事。けがをした被害者にこうした配置転換を迫るのはパワハラです」(増田さん)

残業100時間超、車から降りられない精神状態に

会見中の男性。
撮影:竹下郁子

男性によると、その後ドライバーに復帰したが、12月のお歳暮の時期に入り残業が増えるにつれ、体調も悪化していったという。

不眠や不安感が続き、楽しみにしていたクリスマスコンサートに行っても車から出ることができず、帰宅したことも。

仕事中は決められた時間内に営業所に帰らないと上司から「なにしてるんだ?」と電話があるため、がむしゃらに働いていたが、家に帰るとイライラしたり急にふさぎ込むことが多くなっていた。

自身も異変を感じていたが、妻からも精神科の受診を勧められるように。

2017年の4月、体調の異変を感じて仕事を早退し、その足で病院に行って、うつ病だと診断を受けた。

男性が働いていたのは佐川急便の埼玉県・児玉営業所。管轄する熊谷労働基準監督署が精神障害による労災認定をしたのは2018年の10月30日だ。職種変更の強要などの上司とのトラブル、そして月100時間以上の残業が原因だとした。労基署が認定した、男性の発症に影響したとみられる2016年12月の時間外労働時間は116時間にのぼる。

男性によると、休憩時間もとれず、タイムカード打刻後の残業も常態化していた。実際に働いた時間でタイムカードや残業時間を申告すると、虚偽の報告をするように圧力をかけられたり、日報を改ざんされたりしていたという。

精神疾患でも申告を

代理人の増田崇弁護士。「佐川急便全体で埋もれている被害者は多数いるのではないか」と話した。
撮影:竹下郁子

男性は現在は佐川急便を休職して精神科に通院している。会社からは書類を出すために出社するよう言われるが、上司に会うと動悸やめまいがするため、出来ていないと話した。通院と犬の散歩以外はほとんど外に出ない生活を送っているという。

男性はリスクを負って記者会見を開いた理由を問われ、こう答えた。

「人手不足と長時間労働は佐川急便、そして運送業界全体の体質です。人が足りない営業所にドライバーを貸し出すことがよくあるんですが、結局、貸し出した営業所も仕事がさばけずドライバーにしわ寄せがいっている。

佐川急便の労災は死亡事例しか私たちは知ることが出来ない。でも、こうした長時間労働や精神疾患で苦しんでいる人は全国にたくさんいると思うので、申告していい、声を上げていいんだと伝えたいです」(男性)

2016年10月には、佐川急便の男性社員(当時22歳)が自殺したのは上司のパワハラでうつ病になったのが原因だとして遺族が起こした訴訟で、 労災だと認める判決が仙台地裁で出ている。

増田弁護士は男性と同じ児玉営業所の他の従業員からも労災申請の依頼を受けているという。

佐川急便は働き方改革の一環として、初めて 2019年元日の一部業務を中止すると発表しているが、もっと抜本的な改革が必要だろう。

(文・竹下郁子)

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_43a299c6210d_PayPay「100億円」に人が殺到、サーバーダウン混乱の現場を見た ── 週末は大混乱か? 43a299c6210d 0

PayPay「100億円」に人が殺到、サーバーダウン混乱の現場を見た ── 週末は大混乱か?

PayPayの100億円あげちゃうキャンペーンスタートと同時にPayPay対応を果たしたビックカメラグループ。各店舗でかなり“PayPay対応”を推していた。
撮影:小林優多郎

12月4日からスタートした、PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」。日本の決済をキャッシュレス化したい各企業の中では後発のPayPayとしては、インパクトのあるスタートを切ったと言える。

初日の活況を見る限り、おそらく、終了予定である2019年3月31日よりも前に100億円に到達し、キャンペーンが終了する可能性は高いが、能動的な利用体験が伴うコマーシャルとしては安く済んでいる部類だろう。

人気のジャンルや発生したサービス障害などは既報の通りだが、本稿では実際に店舗での様子や、新しい決済手段に対応する店員の声などを含めたレポートをお送りする。

定番の活用場所はコンビニと家電量販店

ファミリーマートでPayPayを試してみたところ。20%の残高付与が小さく画面下に書かれているのがわかる。

キャンペーン開始は朝9時からで、まず同日からPayPay対応を開始したファミリマートで試してみた。とくに問題なく決済は完了したが、スマートフォン側から割と大きなボリュームで「ぺいぺい!」と再生されることが意外だった。

店員側も初対応で「スマホから鳴るんですね」と筆者と同様の反応をしたが、店員側がマニュアルをチェックしたのは約30分前。操作的には既存の決済処理と変わらずと語った。コード識別方式は店舗側から見ても、あまり負荷ではないようだ。

開店前のビックカメラ新宿西口店。

では、キャンペーン開始前から話題に挙がっていたビックカメラはどうだろうか。

PayPayで支払うと、ビックカメラポイントは8%(通常時10%の商品の場合)になるものの、ネットで公開されているクーポンの利用で+3%、さらにPayPayのキャンペーンで+20%と、実質還元額は大きい。

通常時はビックポイント対象外もしくは還元率が低い商品であっても、PayPayの20%は関係なく適用される。想像にたやすいと思うが、多くのニュースからも判明している通り、開店前から待機列の出来る店舗がいくつもあったほか、ビックカメラ系列や従来のポイントも加味してお得な店舗も似た展開だったようだ。

ビックカメラでは、PayPay利用時の注意点をホームページに掲載。PayPayキャンペーンの20%還元と同時にビックポイントの付与もアピールしていた。
出典:ビックカメラ

今回は新宿を拠点として選び、ビックカメラ新宿西口店、新宿東口駅前店、ビックロビックカメラ新宿東口店を見て回った。わかりやすい待機列を確認できたのは、ビックカメラ新宿西口店だった。

開店直前の朝9時50分頃のビックカメラ新宿西口店の待機列は約30人。店員が取り置きをしているのか確認をするシーンもあったが、整列している人のほとんどが生返事でスマホに表示されたPayPayの画面を見ていたのが印象深い。

ゲーム機が6割、アップル製品などが4割

Business Insider Japanの小林記者も新型Mac miniをPayPayで購入。
撮影:小林優多郎

開店と同時に6割ほどがゲームフロアへ向かい、その様子を追ってみたところ、「Nintendo Switch」を買う人 ── おそらくは月末の「サンタさん」が多くいた。

また、若い利用客は12月7日発売のSwitch対応タイトル「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」に備えてだろう。ただ、ひとりだけ複数台を抱える人がいたのも付け加えておく。子だくさんかもしれないのだが。

キャンペーン開始前は転売目的の購入が多いのではないかと話題だったが、年始の福袋などのような混沌とした雰囲気はなかった。3万円以上の購入の場合は本人確認があるほか、ネット通販は対象外であるといった制限が効果的だったのではないだろうか。客層についても出勤直前のサラリーマンや、自営業者、学生風といった顔ぶれだった。

とはいえ、メルカリなどのフリマアプリに並ぶアップル製品のこのタイミングでの増加ぶりは、100億円あげちゃうキャンペーンとの連動性は感じる。露骨な「買い占め」は難しいキャンペーン仕様であるため、ある程度は抑制することができた、とも言えるのだが。

さて、ゲームフロア以外に向かった残る4割の利用客は白物家電とカメラ、アップル製品といった具合で、比較的単価の高い製品に集中していた。平日開店直後としては妙に客数が多く、総じてスマートフォンにはPayPayアプリが表示されており、マーケティングとしては成功と言えるし、店舗内でのアピールも目立っていた。

ビックカメラが採用したユーザースキャン式はかなり煩雑

写真はPayPayのユーザースキャン式の決済方法。自分のスマートフォンのカメラで店舗のQRコードを読み取り、金額を入力し決済する仕組み。
撮影:小林優多郎

ユーザースキャンの場合、金額を自分で入力する必要がある。

筆者も実際にビックカメラで取材備品を購入しつつ、PayPayを試してみた。

12月4日現在、ビックカメラでPayPayを使用する場合は、いわゆる「ユーザースキャン方式」となる。関係者の話によると、本来はコード識別でスタートを切りたかったそうだが、間に合わずしばらくはユーザースキャン方式なのだそうだ。

ユーザースキャンは、まずユーザーがレジ脇にあるQRコードを読み、それからレジに表示されている金額を入力。決済処理が終了してから、店員が決済番号を確認する……というように、従来の決済方法と比べて煩雑だ。

このとき、スマートフォンを店員に渡して決済番号を確認してもらう流れで、心理的な抵抗を強く感じた。

単純に決済番号のフォントサイズが小さいことが原因なのだが、この点は検討しなかったのだろうか。店員側も決済番号の確認が手間のようだった。

PayPayアプリで決済番号を確認するには、フォントサイズも小さく、またフォントカラーも視認性がいいとは言えない。

別のビックカメラでも購入をしつつ店員に話を聞いてみたところ、開店からPayPayの使用率はほぼ100%となっており、店員側としては独特の決済フローには慣れたが、ユーザーが入力に戸惑うことが何度かあったそうだ。

この時点で同店員は夕方以降と週末の心配をしていた。スマートフォン自体の操作に不慣れな人の割合が増えるだろうという点からだ。ビックカメラのアプリでバーコードを表示、次にクーポンのバーコードを表示、それからPayPayアプリにタスクを切り換え……といったフローはスマートとは言えないし、意外とユーザー側への負担も高い。

PayPayポイントは処理中と表示され、約1カ月を目処に付与される。

ちなみに、お買い物は検証用のSSD 1TBとSDカードにした。

12月4日のサービス障害は少なくとも2回発生

PayPay広報からの回答では単に混雑解消している時間のはずだったが、画面上部にアナウンスが表示されていた。

現場(売り場)の混乱は何かと耳にしているハズだが、PayPay側でも問題は起きていた。12月4日12時45分頃から13時56分頃までアクセスが困難な状態になったほか、18時14分頃から18時31分頃までのサービスダウンもあった。

障害規模についてPayPay広報に問いあわせたところ「調査中」との回答。「障害発生要因は決済トランザクションの集中が一因と思われる」とのことだった。

14時過ぎからしばらく、スクリーンショットの通り、オフィシャルサイト上にはアナウンスが表示されていた(画面左)。サービスダウンから復旧したという時間以降のスクリーンショット。18時45分付近まで、まともに表示されなかった(画面右)。

また障害発生中、およびその前後では多重決済も起きており、多重決済については公式サイトならびにTwitterなどで案内しているカスタマーサポート窓口で対応するとのことだ。

店舗向けの管理画面である「PayPay for Business」も上記障害の影響を受けていたのかは、「調査中」(PayPay広報)とだけ回答があったが、PayPay for Business側もダウンしていたとの情報もある(実際、公式ページではそのようにアナウンスされている)。

例外的なものとしては、個人経営の飲食店でまだアクティベーションを済ませていないケースとも遭遇した。地図上に対応店舗と表示されるのは、アクティベーション時点(利用開始できる状態)ではなく、サービスにエントリーした時点のようだ。まずは、近所で試してみようという場合はファミリーマートが無難だろう。

週末の利用者急増にPayPayは耐えられるのか
決済トランザクションの集中による影響がとくに目立った印象だが、週末にかけて、さらに利用者は増加すると思われる。

ビックカメラのようにユーザースキャン方式はエラーの起きうるフローがあり、人が集中するとなると騒動となる可能性も高い。PayPayがどう対応していくのか。過去の類似マーケティング同様にやるだけやりっぱなしでいくのか。分かりやすい利用体験を提示するだけで終わらせてほしくないものだ。

(文・林佑樹、撮影・林佑樹、小林優多郎)


林佑樹:1978年岐阜県生まれ。東京在住。ITサービスやPC、スマートフォンといったコンシューマから組み込み、CPS/IoT、製造、先端科学までに適応するほか、ゲームやゲーム周辺機器のライティングも行なう。フォトグラファーとしては、ドラマスチルや展示会、ポートレートをこなしつつ、先端科学研究所の撮影をテーマとしている。

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cat_11_issue_oa-businessinsider oa-businessinsider_0_d5e05b485c43_面接合否、学歴フィルター実態など全採用データを公開する企業の狙いとは d5e05b485c43 0

面接合否、学歴フィルター実態など全採用データを公開する企業の狙いとは

現在大学2年生にあたる2021年卒から、経団連が就活ルールを廃止することが正式に決まった2018年。情報解禁や採用選考開始で足並みをそろえてきた企業が、今後はどう動くのか、政府主導のルールづくりで就活はどう変わるのか。当事者である学生たちにも、読みづらい状況が続いている。

そんな中「すべての採用活動データを公開します」と、毎月の受験者数、その合否の数、学歴フィルター懸念についてなど、あらゆるデータの公開に踏み切った企業がある。IT企業のガイアックスだ。可能な限りをオープンにするその理由とは。

入社してから真実を知っても遅い
「就活で学生は加工された情報しか見せられない。あまりにも透明性がないので、判断に困る。企業にいいことだけ言われても信用できませんよね。だったら、いっそのこと採用活動の情報は、すべて公開してしまおうという話になりました」

ガイアックスの人事・採用担当、藤堂和幸さんは、採用情報の公開に踏み切った背景を、そう振り返る。

ガイアックス人事・採用担当の藤堂和幸さん。「本当の情報がなければ学生も判断しようがない」。
提供:ガイアックス

2018年は廃止をめぐり、話題となった経団連の就活ルールだが、そもそも廃止以前に、面接などの採用活動解禁当日の6月1日には内定率が7割近く(リクルートキャリア調べ)と、ルールはほとんど形骸化している。

「ホンネとタテマエ」が渦巻く就活は、学生にとってのわかりやすさや透明性とは、あまりにかけ離れているのが現状だ。

上場企業のガイアックスだが、経団連加盟企業ではないため、もともと経団連の就活ルールは無関係で、通年採用を行ってきた。

合否状況などいっそすべてオープンにすることで、ゆがんだ就活の実態に一石を投じたいという思いがあったという。

毎月、何人受けて何人合格したかを公開
1年程度の検討期間を経て、ガイアックスが公開した具体的な採用データをみてみよう。

現時点で誰でもアクセスできる情報として、①月別の人事面接通過状況②大学群別の人事面接通過状況が公開されている。

例えば「人事面接通過状況」として、以下のグラフが明らかになっている。

ガイアックスが公開した月別の人事面接通過状況。
出典:ガイアックス

・2017年10月 不合格・辞退人数6人、合格人数2人、通過率25%
・2017年11月 不合格・辞退人数21人、合格人数10人、通過率32%
・2017年12月 不合格・辞退人数11人、合格人数3人、通過率21%…
ここでは何人が受けに来て、何人が合格したのか。通年採用とはいえ、受験者が多い時期はいつごろなのか——がすべて可視化されている。

一方、大学群別の人事面接通過状況は、次のグラフのとおり。

就活の不安で最も大きいものの一つに、いわゆる学歴フィルターの存在があるが、ガイアックスは「応募に対して、大学名ではじいたことは一度もないと言える」(藤堂さん)と明言。

ガイアックスが公開した、大学群別人事面接通過状況。
出典:ガイアックス

  • 旧帝大→不合格・辞退20人、合格5人、通過率20%
  • 早慶上智→不合格・辞退22人、合格2人、通過率8.3%
  • その他私立→不合格・辞退31人、合格6人、通過率16.2%…

「出身大学を選考に考慮していないことが、人事面談合格率に表れています。必ずしも早慶上智、旧帝大の合格率が高いわけではありません。一方、その他私立大は合格率が比較的高いなど、入学難易度と合格率に強い相関関係がない。そういう会社だと知ってもらいたい」と、藤堂さんは説明。さらに「学生のみなさんは、学歴にとらわれることなく、会社が合いそうかどうかでみてほしい」と、呼びかける。

「学生に自分のキャリアを考えてほしい」

経団連が就活ルールの廃止を決めたことで今後就活はどう変わっていくのだろうか(写真はイメージです)。
Reruters/Toru Hanai

ガイアックスは、2社で人材を共有するダブル正社員や、「1人月5万円以上は苦手な仕事を外注するルール」など、ユニークな働き方を実践してきたことでも知られる。

「時代が変わり、ガイアックスも出戻り社員が増えたり、リモートワークが多くなったり、起業や副業をしている社員を採用したり。だんだん、新卒採用の概念も変わりつつあります」

これだけ働き方が多様化して、社員にも自分のキャリアを自分で考えてほしい時代にも関わらず、「入り口の採用活動だけ情報がなければ、学生は自分のキャリアを考えようがない」と、藤堂さんは言う。

2018年は、経団連の就活ルール廃止が決定。今後、就活自体がどう変わるのか。学生だけでなく、大学も企業も戸惑っている。

「今後、どうやって採用活動や就活に取り組めばいいのか分からない会社や学生は多いのでは。それなら、企業がどんな人と会いたくて、いつ誰をどういう形で選考しているかという情報を、すべてオープンにするのがベストだと、ガイアックスとして提案したい」(藤堂さん)

企業と学生「合意」すれば就職が決まる時代に?

学生と企業が対等な就活の時代は来るか?ガイアックス社内の、社内外に開かれたコミュニティーラウンジの様子。
提供:ガイアックス

ガイアックスは今後、

・どんな人物を求めているかの採用基準
・採用目標に対して、どれだけ採用できているかという採用充足率
・社員の働いている時間の実態
なども、公開していくという。

「これまで学生側にばかりプレッシャーがかかるのが就活でしたが、会社が一方的に学生を採用するというより、会社と学生が対等にお互いをみて、合意すれば協力関係を結ぶ……くらいのスタンスであるべきだと考えています」と、藤堂さんは言う。

ただ、就活そのものを変えるには、一社の動きではどうにもならない。

「我々だけが透明化しても、仕方がない。賛同してくれる企業が増えれば、就活全体が変わるんじゃないでしょうか。賛同企業を募集中です」(藤堂さん)

(文・滝川麻衣子)

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驚異の100億円還元「PayPay祭」スタート ── 狙いは家電量販店とアップル製品

ヤフーとソフトバンクの共同決済サービス「PayPay(ペイペイ)」の100億円あげちゃうキャンペーンが12月4日午前9時、ついにスタートした。

詳細な条件は発表時の記事をチェックしていただくとして、同キャンペーンはPayPayが利用できるリアル店舗で期間中に決済すると、20%ものPayPay残高の還元が受けられるという破格の施策となっている。実際に、スタート直後から「PayPay」というキーワードがTwitterのトレンド入りするほどの盛り上がりを見せている。

筆者も早々にこのキャンペーンに参加した口だが、多くのユーザーはどのようなものを、どんなところで買ったのか。Twitterの投稿をチェックしてみた。

やはり狙いは家電量販店、特にアップル製品
Twitterのタイムラインを賑わせているのが、ビックカメラ、ソフマップ、コジマ、ジョーシン、ヤマダといった家電量販店での購入しているパターンだ。

とくにビックカメラの場合は、PayPayの残高バックに加えて8%(通常10%ポイント付与の商品の場合)のビックポイントが付与されると公式で発表。PCやゲーム機など、年末シーズンに合わせて買い物をしようと考えていた層に直撃の施策といえる。



さらにその中でも、iPadやMacbookシリーズといったアップル製品の人気は高い。なぜなら、アップル製品は日頃から量販店などのポイント還元率が他製品に比べて低めだが、PayPayのキャンペーンでは、アップル製品であろうとも20%分還元してくれるからだ。

特に新製品の場合は、クレジットカード系のポイントアップサイトの対象外になる場合がほとんどなので、先月発売されたばかりの「iPad Pro」や「MacBook Air」を購入する人をここぞと買う人が多く見られた。



ちなみに、筆者自身もそのパターンで新型「Mac mini」を購入した。しかも、通常の在庫品ではなくメモリーやストレージを変更したCTOでの注文もビックカメラで行い、PayPay経由で購入できた。筆者はソフトバンクユーザーでもワイモバイルユーザーでもなかったため、最大10万円の全額還元とはならかったが、約5万円の還元を受けられたのは非常に大きい。

購入時にもらったレシート。しっかりCTOで注文できており、さらにギフトカードとPayPayの両立もできている。

PayPayアプリ側には決済完了後、すぐに還元率が分かる仕様。筆者はソフトバンク・ヤフー系サービスを使っていないこともあって、最大10万円の全額還元キャンペーンには当たらなかったようだ。

高額商品以外に、コンビニなどでの還元に喜ぶ声も
家電量販店での例は、どちらかと言えばすでにさまざまな決済の手段を持っていたり、ポイント還元などに敏感な層が多く活用しているといった雰囲気だ。

一方、12月4日から対応スタートしたPayPay加盟店の中には、大手コンビニエンスストアのファミリマートがある。ここでも初日から積極的に活用するような人はアーリーアダプター層だろうが、とくに大きな買い物をするつもりがない人も活用できるのは、同サービスを使うハードルを下げていると言えるだろう。



多重決済など混乱も起きている

筆者のスマートフォンのPayPayアプリには13時55分頃、サービスにつながりにくい状況が告知されていた。

しかし、多くのユーザーが利用することで少なからず現場では混乱が起きている。PayPayの障害情報によると、12月4日の12時45分頃から13時56分頃まで、PayPayサービスにつながりにくい状況が発生していたという。

実際、Twitterなどでは「決済ができなかった」「多重決済になってしまった」などといった報告も上がっている。



PayPayホームページには、12月4日15時20頃に、消費者向けだけではなく加盟店向けアプリの不具合も告知されていた。
出典:PayPay

筆者が12月4日15時20分頃にPayPayホームページを確認したところ、PayPayだけではなく加盟店向けの管理画面「PayPay for Business」の利用ができない状態であるとのお知らせが掲出されていた。

同キャンペーンは2019年3月31日までの期限が設定されているものの、100億円の原資が尽きた時点で終了となる。そのため、確実に20%の還元を受けるためには、なるべく早めに決済を完了しておく必要がある。今回の「お祭り」ムードは、そういったユーザーの焦りや期待度が表面化した結果と言えるだろう。

(文・写真、小林優多郎)

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